受診のご案内

この記事でわかること
- 熱中症で点滴が効く理由と、経口補水液との使い分け
- 病院に行く目安と、救急車を呼ぶべき危険なサイン
- 熱中症は何科を受診すればよいか(内科でできること)
- 当院の熱中症点滴と、夏バテ予防の「にんにく注射」追加投与について
熱中症は、中等症以上になると水分補給だけでは追いつかず、点滴による水分・電解質の補給が回復への近道です。 意識がはっきりしない、吐いてしまって水が飲めない。そんなときは我慢せず内科を受診してください。この記事では、川口で内科診療を行う立場から、点滴が効く理由・受診の目安・費用の考え方を整理します。
熱中症とは?重症度分類(I度・II度・III度)と主な症状
熱中症は重症度によってI度・II度・III度の3段階に分けられ、どの段階かで対応が大きく変わります。 軽く見て手当てが遅れると、命に関わる状態へ進むこともあります。

日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2024」では、症状と緊急度から次のように分類しています。まずは自分や家族がどの段階かを把握してください。
| 重症度 | 主な症状 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| I度(軽症) | めまい・立ちくらみ・こむら返り・大量の汗 | 涼しい場所で休み、水分と塩分を補給 |
| II度(中等症) | 頭痛・吐き気・嘔吐・強い倦怠感・集中力の低下 | 医療機関を受診。自分で水分がとれないなら点滴 |
| III度(重症) | 意識障害・けいれん・まっすぐ歩けない・体が熱い | ためらわず救急車。すぐに救急搬送 |
ポイントは、II度から医療機関の出番になるという点です。「少し休めば治る」と思っていても、吐き気で水が飲めなくなった時点で、体は自力での回復が難しくなっています。
I度でも、こむら返りや立ちくらみは体からの明確な警告です。ここで無理を続けると、一気にII度・III度へ進む方を、私は夏の外来で毎年のように診ています。
熱中症で点滴が効く医学的根拠|経口補水液との使い分け
熱中症の点滴は、失われた水分と電解質を血管から直接補うため、飲むよりも速く確実に体を立て直せます。 ここが経口補水液との決定的な違いです。

熱中症の本質は、大量の発汗で水分とナトリウムなどの電解質が失われ、血液が濃く・少なくなった状態です。軽症のうちは経口補水液で追いつきます。ところが吐き気が出ると、飲んでも戻してしまい、かえって水分が抜けていきます。
点滴(輸液)なら、消化管を通さず生理食塩水や乳酸リンゲル液を届けられます。日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2024でも、中等症以上では吸収の速さと循環血液量を戻す観点から輸液が基本とされています。
飲む治療と点滴の使い分けを、目安として整理します。
| 状態 | 向いている対応 |
|---|---|
| 汗をかいたが意識ははっきり、水も飲める | 経口補水液で様子を見る |
| 吐き気で水が飲めない・飲むと戻す | 点滴を検討(受診) |
| ぐったりして反応が鈍い | 点滴+医療機関での管理 |
「スポーツドリンクをたくさん飲んだのに良くならない」。そんな相談をよく受けます。糖分が多い飲料は電解質が不足しがちで、熱中症の立て直しには物足りないことがあります。
病院に行く目安と、救急車を呼ぶべき危険なサイン
次のサインが1つでもあれば、迷わず救急車(119番)を呼んでください。 判断に迷う時間が、そのまま重症化のリスクになります。
- 呼びかけへの反応がおかしい、意識がもうろうとしている
- 全身のけいれん、まっすぐ歩けない
- 体に触ると明らかに熱い(高体温)
- 自分で水分をとれない、飲んでもすべて吐いてしまう
これらはIII度、またはII度でも自力回復が難しいサインです。救急車を待つ間も、涼しい場所へ移し、首・わきの下・足の付け根を冷やしてください。
一方、頭痛や強いだるさはあるが意識ははっきりしている、水は少しずつ飲める。この段階なら、日中の診療時間内に内科を受診してください。点滴で早めに立て直せば、翌日への持ち越しを防げます。
救急搬送されるのは高齢者が多いという事実も、知っておいてください。総務省消防庁の熱中症情報でも、搬送者の半数前後を高齢者が占める年が続いています。「昨日は平気だった」は通用しない、それが熱中症です。
熱中症は何科を受診する?内科でできる検査と治療
熱中症の受診先は、まず内科で問題ありません。 かかりつけの内科があれば、そこで点滴を含めた初期対応を受けられます。
内科では、問診と血圧・脈拍・体温の確認に加え、必要に応じて血液検査で脱水の程度や腎臓・肝臓への影響を調べます。そのうえで、点滴による水分・電解質の補給と、体を冷やす処置を行います。
「何科に行けばいいか分からず、受診が遅れた」。これは避けたい遅れです。子どもの繰り返す熱中症で内科に相談したという声もあり、迷ったら内科と覚えておいてください。
当院は一般内科・生活習慣病・アレルギー科などを一体で診るかかりつけ医です。夏場の体調不良も、まずは気軽にご相談ください。
当院の熱中症点滴|内容・効果・所要時間の目安
当院では、熱中症・脱水に対する点滴治療に対応しており、水分と電解質を血管から補って体調の回復を後押しします。 「水を飲んでも戻してしまう」「だるさが抜けない」方に向いています。
使う輸液は、状態に合わせて選びます。脱水の立て直しには生理食塩水や乳酸リンゲル液、エネルギー補給が必要なときはブドウ糖を含む輸液を用います。吐き気が強い場合は、制吐薬を点滴に加えることもあります。
点滴の所要時間は、内容にもよりますが、おおむね30分から1時間ほどが目安です。横になって受けられるため、点滴中に体を休められる利点もあります。
受診から帰宅までの流れは、次のようにシンプルです。
- 来院・受付(電話やLINEで事前予約いただくとスムーズです)
- 問診と、血圧・脈拍・体温の確認。必要に応じて血液検査
- ベッドで点滴(30分〜1時間)。体を冷やす処置も併用
- 状態を確認し、水分のとり方や再受診の目安を説明して帰宅
費用については、熱中症・脱水の治療を目的とする点滴は保険診療の対象になる場合があります。一方、後述する疲労回復目的の注射は自費診療です。適用や金額は状態によって変わるため、受診時または電話でご確認ください。
なお、点滴は万能ではありません。III度の重症は、点滴だけでなく集中的な全身管理が必要です。当院で対応が難しいと判断した場合は、速やかに高次医療機関へおつなぎします。ここは正直にお伝えしておきます。
夏バテ予防には「にんにく注射」の追加投与|だるさ・食欲不振に
夏の疲れが抜けない方には、点滴に「にんにく注射」を追加する形で、ビタミンB1を中心とした栄養補給を行っています。 熱中症の治療とは別に、夏バテ予防・疲労回復を目的とした選択肢です。

にんにく注射は、名前のとおり打つとにんにくのような香りを感じる注射で、実際ににんにくを注入するわけではありません。主成分はビタミンB1(チアミン)です。ビタミンB1は糖をエネルギーに変える働きを助けるため、不足すると疲れやだるさが抜けにくくなります。
こんな方に選ばれています。
- 夏の暑さで食欲が落ち、だるさが続いている
- 睡眠をとっても疲れが取れない
- 仕事や家事で夏を乗り切りたい
料金の一般的な相場は、にんにく注射単体で1回あたり1,500〜3,000円程度とされています。当院での追加投与の費用は状態やメニューにより異なるため、点滴とあわせて受診時にご案内します。
「夏バテ気味だけど、飯を食うのもしんどい」。SNSでもこうした声は珍しくありません。食事から栄養がとりにくい時期こそ、注射での補給が助けになります。効果の感じ方には個人差がある点は、あらかじめご理解ください。
夏バテそのものの見分け方やセルフケアは、当院の「内科で診る夏バテ症状とその予防法」でも詳しく解説しています。食事からの栄養がとりにくい時期は、「内科医がすすめる季節ごとの栄養管理」もあわせてご覧ください。
熱中症になりやすい人と予防のポイント(高齢者・子ども・室内)
熱中症は屋外だけでなく室内でも起こり、特に高齢者と子どもは体温調節が弱く注意が必要です。 「家にいたのに」という発症は、決して珍しくありません。

環境省の熱中症予防情報サイトでは、暑さ指数(WBGT)が28℃を超えると熱中症の危険が急に高まるとされています。気温だけでなく、湿度と日差しを合わせた指標で判断するのがコツです。
予防の基本は次のとおりです。難しいことはありません。正しい水分のとり方は「内科医が教える健康的な水分補給の仕方」で詳しく解説しています。
- のどが渇く前に、こまめに水分と塩分をとる
- エアコンを我慢しない(電気代より命を優先)
- 高齢の家族には、こちらから声をかけて水分を促す
- 子どものスポーツや部活では、休憩と冷却をこまめに
見落とされがちなのが「暑熱順化」です。体は少しずつ暑さに慣れることで、汗をかいて体温を下げる力が高まります。梅雨明けや、涼しい日が続いた後の急な猛暑日は、体が慣れておらず危険です。日頃から適度に汗をかく習慣が、夏を乗り切る土台になります。
高齢の方は暑さやのどの渇きを感じにくく、「まだ大丈夫」と外出して発症する例が後を絶ちません。周りが一歩早く気づく、これが最大の予防策です。
実際の声|「水分をとっていてもなった」という体験
予防していても熱中症になることはあり、その多くが「水分はとっていた」という共通点を持ちます。 ここに落とし穴があります。
SNS上でも、「ポカリや経口補水液を飲んでいたのに、結局点滴を受けた」という体験が数多く共有されています。「部屋で涼んでいてもなった」という声も目立ちます。こうした投稿は、熱中症が油断できないことを教えてくれます。
実際に「仕事中に点滴を2本受けて帰宅した」「点滴のおかげでだいぶ回復した」という報告も見られます。点滴が回復の助けになったと実感する方は、私の外来でも少なくありません。
大切なのは、水分をとっているから安心、と思い込まないことです。飲んでも吸収が追いつかないサイン(吐き気・強いだるさ)が出たら、それが受診のタイミングです。
よくある質問(FAQ)
熱中症の点滴について、外来で特によく受ける質問をまとめました。
Q1. 熱中症の点滴は保険が効きますか? 熱中症・脱水の治療を目的とする点滴は、保険診療の対象になる場合があります。一方、疲労回復目的のにんにく注射などは自費診療です。状態により変わるため、受診時にご確認ください。
Q2. 点滴はどのくらい時間がかかりますか? 内容にもよりますが、おおむね30分から1時間ほどが目安です。横になって受けられるため、点滴中も体を休められます。
Q3. 経口補水液を飲めば点滴は必要ありませんか? 軽症(I度)で水が飲めるなら経口補水液で十分なことが多いです。吐き気で飲めない、飲んでも戻す場合は点滴を検討してください。
Q4. 熱中症は何科を受診すればよいですか? まずは内科で問題ありません。意識障害やけいれんなど重症のサインがあるときは、受診より先に救急車(119番)を呼んでください。
Q5. にんにく注射に本当ににんにくが入っているのですか? 入っていません。主成分はビタミンB1で、注射時ににんにくに似た香りを感じることから、この呼び名がついています。
Q6. 子どもや高齢の家族が心配です。予防で気をつけることは? のどの渇きを感じにくいため、周りからこまめに水分を促してください。エアコンを使い、暑さ指数の高い時間帯の外出は控えるのが安全です。
Q7. 点滴を受けた後は、すぐ元の生活に戻ってよいですか? 点滴で楽になっても、体はまだ回復の途中です。当日は無理をせず、涼しい環境で休んでください。翌日以降も、こまめな水分補給と暑さを避ける生活を続けると、再発を防ぎやすくなります。だるさが長引くときは、あらためてご相談ください。
まとめ|夏の不調は我慢せず内科へ
熱中症は、中等症以上では点滴が回復への近道であり、迷ったら内科を受診するのが安全です。 意識がおかしい・水が飲めないときは、受診より救急車を優先してください。
当院では、熱中症・脱水への点滴治療に加え、夏バテ予防のにんにく注射の追加投与にも対応しています。「だるさが抜けない」「食欲がない」そんな夏の不調も、まずはご相談ください。
監修: ヒロクリニック内科 統括院長 岡 博史(医師・医学博士)/ヒロクリニック内科編集部 参考: 環境省 熱中症予防情報サイト/日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」/総務省消防庁 熱中症情報/厚生労働省 熱中症予防対策
一般内科・糖尿病内科を担当しています。
略歴
- 国立国際医療センター(現 国立国際医療研究センター)研修
- 日本医科大学付属病院 糖尿病内分泌代謝内科 及び関連病院など
- ヒロクリニック 内科
資格・所属
- 日本糖尿病学会専門医
- 総合内科専門医
この記事は、ヒロクリニックの医師紹介・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
岡 浩子 (おか ひろこ)
医療法人社団福美会 理事長
略歴
- 平成9年 東邦大学 医学部 卒業
- 平成9年 慶応大学 医学部内科学教室 入局
- 大学病院、総合病院で研鑽をつんだのち、美容皮膚科を習得
- 平成20年7月 ヒロ美容クリニック開院
資格・所属
- サーマクール認定医
- 日本内科学会認定医
- 日本医師会認定産業医
- 日本内科学会会員
- 日本リウマチ内科学会会員
- 抗加齢美容医療学会会員
- 点滴療法研究会マスターズ会員
この記事は、ヒロクリニックの医師紹介・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
一般内科を担当しています。
この記事は、ヒロクリニックの医師紹介・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。