先天性障がいとは?生まれつき障がいや病気をもつ原因や種類について解説【医師監修】

先天性障がいとは

生まれつき障がいを持つ先天性障がい。もし、自分の子どもが先天性障がいを持っているとわかったら不安に思う方も多いでしょう。今回の記事では、先天性障がいが生じる理由や障がいの種類、NIPT(新型出生前診断)でわかるかどうかについて解説します。

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生まれてくる赤ちゃんの中には、生まれつき障がいを持って生まれてくる赤ちゃんがいることをご存知でしょうか。生まれつき持っている障がいのことを先天性障がいといいます。

今回の記事では、先天性障がいとはどのような障がいなのか、なぜ障がいを持った赤ちゃんが生まれるのか、どのような障がいがあるのかなどについて詳しく解説します。また、NIPT(新型出生前診断)で先天性障がいを知ることができるのかについても触れていくので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

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 先天性障がいとは

先天性障がいとは、生まれつき身体のどこかの場所に異常がある状態のことです。脳や骨、筋肉など身体のあらゆる場所で生じる可能性がありますが、心臓の先天性障がいが最も頻度が高いとされています。

心臓の先天性障がいは、乳児期の主要な死亡原因です。世界では先天性障がいによって、年間、295,000人の赤ちゃんが生後28日以内に死亡していると報告されています。ただし、先天性障がいがあるからといって必ず生命に関わる原因になるかといわれれば、そうではありません。

障がいの程度や状態によっては、薬で管理したり、手術で治療したりできる障がいもあります。一般的に先天性障がいの有無は、生まれた時や生後1年以内に、日常の動きや乳幼児検診によって明らかになるケースが多いです。

障がいを持って生まれる理由は?

なぜ、生まれてくる赤ちゃんの中に障がいを持って生まれる赤ちゃんがいるのでしょうか?

現在のところ、先天性障がいが発生する原因の多くはわかっていません。しかし、次にあげる要因が先天性障がいのリスクを高めるとされています。

  • 両親からの遺伝
  • 妊娠中の感染症
  • 栄養不足
  • 身体に有害な物質

それぞれの要因について詳しくみていきましょう。

先天性障がいを持って生まれる理由

両親からの遺伝

両親の遺伝子に先天性障がいを引き起こすリスクがある遺伝子があった場合には、生まれてくる赤ちゃんに先天性障がいが発生する可能性があります。先天性障がいを引き起こすリスクがある遺伝子があっても、実際に症状として現れず、本人も自覚していない場合があります。

そのため、一見自分には異常がないからといって、必ずしも生まれてくる赤ちゃんに遺伝要因による先天性障がいが発生しないわけではありません。

妊娠中の感染症

赤ちゃんがお腹の中にいる時に、お母さんが感染症にかかると、先天性障がいを発症する原因となることがあります。

先天性障がいを発症するリスクを高める可能性が高いのは、次の感染症です。

  • 風疹
  • 水ぼうそう
  • 梅毒
  • ヘルペスウイルス感染症
  • トキソプラズマ症 など

先天性障がいの原因と考えられる感染症の一部は、ワクチンによって予防できるものもあるため、自身が摂取しているか確認しておくとよいでしょう。

栄養不足

お腹の中にいる赤ちゃんを健康に育てるためには、十分な栄養が必要です。栄養不足になると、先天性障がいが発生するリスクが高くなるといわれています。

不足すると先天性障がいのリスクが高まるとされている栄養素の一つが、葉酸です。葉酸が不足すると、脳や脊椎などに先天性障がいが生じるリスクが高くなると報告されています。

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身体に有害な物質

お腹の中に赤ちゃんがいるお母さんが、一部の身体に有害な物質にさらされると先天性障がいを引き起こすリスクが高くなります。有害な物質とは、放射線や特定の薬剤、アルコールといった毒性物質などです。

これらの有害物質にさらされても、ほとんどの方は先天性障がいのない赤ちゃんを出産します。しかし、長期間や高濃度の有害物質にさらされると、先天性障がいのリスクがより高くなります。

生まれつきの障がい

ここでは、身体部位によってどのような障がいが発生するのか詳しくみていきましょう。

生まれつきの障がいは、以下のあげる身体の部位でさまざまな障がいが生じます。

身体部位 障がい
頭部 大頭症・小頭症(頭のサイズの異常)口唇列・口蓋裂(くちびるや口蓋に裂け目が生じた状態)目、耳などの欠損や変形 など
手足 手や足、腕、指などの欠損や変形生まれつきのO脚、X脚足の骨のねじれ など
脊椎(背骨) 脊柱側湾症 など
脳や脊髄の異常 など
心臓 心室中隔欠損症・心房中隔欠損症・ファロー四徴候 など
消化管 消化管の狭窄・閉鎖腸回転異常症 など

これらの生まれつきの障がい以外にも、さまざまな先天性障がいがあります。

生まれつきの病気

生まれつきの病気、いわゆる先天性疾患として有名な病気は次の3つです。

それぞれの病気について詳しくみていきましょう。

ダウン症候群

ダウン症候群は、人の身体を構成する染色体といわれる遺伝子のうち、21番目の染色体が通常よりも1本多いことで発症する病気です。

特徴としては、全身の筋肉の緊張が弱いことや知能の発達が通常よりもゆっくりであること、先天性障がいとして心臓の奇形を伴う可能性が高いことがあげられます。

ダウン症候群といっても日常生活を問題なく過ごす人もいれば、治療やサポートが欠かせない人もおり、症状の幅が広い病気です。

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エドワーズ症候群は、染色体のうち18番目の染色体が通常よりも1本多いことで発症する病気です。染色体の数の異常で発症する生まれつきの病気の中では、ダウン症候群に次いで多いとされています。

特徴としては、死産や新生児・乳幼児の死亡が多く、1年以内に亡くなる可能性は90%異常です。生まれた直後から、呼吸障がいや先天性心疾患などを認めることがあります。

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パトウ症候群の赤ちゃんが生まれてくるのは10%以下といわれており、90%以上の赤ちゃんは死産してしまうといわれています。

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先天性障がいと向き合うには

もし、自分の赤ちゃんが先天性障がいがあるとわかったら、不安な感情を抱く方もいることでしょう。しかし、先天性障がいがあっても多くのご家庭と変わらず、幸せなご家庭を育んでいくことができます。

赤ちゃんに先天性障がいがあるとわかったら、まずは適切な対応や治療を受けられる専門の医療機関を受診しましょう。また、先天性障がいによっては助成金制度が用意されている場合もあるため、一度確認してみることをおすすめします。

先天性障がいと向き合うには

NIPT(新型出生前診断)で先天性障がいがわかる

NIPT(新型出生前診断)は、胎児の染色体の病気の有無を調べる検査であるため、染色体の異常を伴う先天性障がいがわかります。一方で、染色体異常がない先天性障がいについては、正確に発見することができません。

NIPT(新型出生前診断)で主に判断が可能なのは、生まれつきの病気の項目で紹介した以下の3つの病気です。

NIPT(新型出生前診断)は採血をするだけでほとんどリスクがなく、高い精度で検査ができます。

ただし、NIPT(新型出生前診断)は確定診断ではありません。そのため、検査結果を確定させるためには、羊水染色体検査や絨毛検査などの確定診断を受ける必要があることを知っておきましょう。

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まとめ

今回は、生まれながらの病気を持つ赤ちゃんが有する先天性障がいについて紹介しました。

先天性障がいは、障がいの程度や発生する身体の部位によってさまざまな状態があります。生まれてきた赤ちゃんに先天性障がいがあるとわかったら不安になってしまうかもしれませんが、正しい情報にアクセスすることで適切な対応や治療が受けられるでしょう。

また、NIPT(新型出生前診断)で染色体異常を伴う先天性障がいは胎児の頃から見つけられる可能性があります。NIPT(新型出生前診断)に興味がある方は、ヒロクリニック NIPTをぜひご検討ください。

【参考文献】

生まれつき障がいを持つ先天性障がい。もし、自分の子どもが先天性障がいを持っているとわかったら不安に思う方も多いでしょう。今回の記事では、先天性障がいが生じる理由や障がいの種類、NIPT(新型出生前診断)でわかるかどうかについて解説します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


伊藤 雅彦先生

伊藤 雅彦先生

元医療国際福祉大学教授、前医療創生大学柏リハビリ学院長、日本遺伝子診療学会・日本遺伝子学会会員、他

略歴

1974年防衛医大入学
1979年、豪州シドニー大学医学部小児科(ロイヤルアレクサンドリア小児病院)にエクスターン留学
1980年防衛医大卒業(第1期生)。防衛医大小児科学教室に入局
防衛医大病院、自衛隊中央病院、北海道立小児総合保健センター新生児科、国家公務員共済組合連合会三宿病院小児科で勤務
1989年米国ハーバード大学医学部リサーチフェロー、米国タフツ大学医学部クリニカルフェロー
1993年埼玉医科大学短期大学小児科学講師
1994年埼玉医科大学小児科学講師
1997年国際医療福祉大学小児科学助教授、山王病院小児科勤務
2006年国際医療福祉大学特任教授(小児科学)
2008年イーハトーブ病院(岩手労災病院)名誉院長
2009年医療法人社団心の絆・蓮田よつば病院理事長
2010年医療法人銀美会銀座美容外科クリニック理事長
2011年医療法人社団鶴癒会新川病院院長
2011年学校法人医療創生大学千葉・柏リハビリテーション学院長
2014年医療法人葵会新潟中央透析クリニック院長
2016年医療法人葵会新潟聖籠病院副院長
2017年医療法人福聚会東葛飾病院院長
2018年医療法人葵会AOI国際病院国際部長

資格

医学博士、介護支援専門員(ケアマネジャー)登録、日本アレルギー学会認定医、日本医師会認定産業医、日本小児科学会認定医、日本レーザー医学会専門医試験合格、日本小児アレルギー学会評議員、日本小児心身医学会評議員、日米医学医療交流財団評議員、日本インターネット医療協議会評議員、日本コンピュータサイエンス学会理事、ナイチンゲールスピリット連盟理事長、NPO防衛衛生キャリアネット理事長、法務省黒羽刑務所医務部顧問などを歴任あるいは活動中
1998年9月、第10回日本コンピュータサイエンス学会学術集会を神奈川県横浜市パシフィコ横浜で会頭として主催
2011年5月から6月にかけて、宮城県気仙沼市立本吉病院にボランティア診療支援

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