エカルディ・グティエール症候群

エカルディ・グティエール症候群エカルディ・グティエール症候群

概要

エカルディ・グティエール症候群(Aicardi-Goutières Syndrome・AGS)は、早期発症型の重度の心身障害をきたす脳症で、血小板減少といった先天感染症(TORCH症候群)と類似の病像を示すこともありますが、多くの患者では正常発達の期間の後に顕在化するなど、その発症時期は様々です。臨床症状は、易刺激性、間欠的な無菌性発熱、頭位成長の低下、発達退行などに特徴づけられる、亜急性発症の重症脳症の経過をとります。約40%の患者で手指、足趾、耳などに凍瘡様の皮膚病変を伴います。近年ではより軽症な非典型例が存在することが明らかになってきています。疾患背景として自己免疫性機序が考えられており、次第にAGS関連遺伝子群の異常は臨床的に幅広いスペクトラム障害であると考えられるようになってきています。

エカルディ・グティエール症候群(AGS)は、遺伝的に複合的な劣性遺伝疾患です。家族性の幼児期に見られる重度心身障害をきたす脳症で、頭蓋内の石灰沈着と・髄液インターフェロン-α・髄液ネオプテリンの上昇があります。先天感染症(TORCH症候群)類似の臨床像を示すこともあるため、偽先天性トキソプラズマ脳症 あるいは偽TORCH症候群とも呼ばれます。

疫学

世界での症例は200例程度、日本国内では100名前後と予測されています。

原因

原因遺伝子別に、これまで5つのサブグループ(AGS1-AGS5)に分類されています。
AGS1はTREX1遺伝子(3p21.3-p21.2)、AGS2はRNASEH2B遺伝子(13q)、AGS3はRNASEH2C 遺伝子(11q13.2)、AGS4 はRNASEH2A遺伝子(19p13.13)、 AGS5はSAMHD1遺伝子(第20染色体)の変異によっておこるとされています。同じ変異で優性遺伝となることもあり、TREX1遺伝子の変異が、最も重症型になります。

SAMHD1遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。
原因
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症状

新生児期から生後早期に進行性の経過をとる重症脳症の臨病像を示し、重度の心身障害をきたします。頭蓋内石灰化病変と幼少期の慢性的な髄液細胞数・髄液インターフェロン-α・髄液ネオプテリンの増加を特徴とします。血小板減少、肝逸脱酵素上昇、肝脾腫、間欠的な発熱などから不明熱として精査を受けることが多いのですが、感染指標には基本的には異常がありません。また、IgM、IgGの上昇と補体の低下も報告されています。診断を支持する他の所見として、手指・足趾・耳などの凍瘡様の皮膚病変が40%程度の患者で認められ、全身性ループスエリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患の合併がときに現れます。

治療法

現時点では、治療は対症療法にとどまります。神経症状に対しては、リハビリテーションや医療的ケアの対象となります。また炎症症状や、合併して起こる自己免疫性疾患に対しては免疫修飾療法や免疫抑制療法が有効な可能性があります。

予後

現時点での症例報告は、診断時の乳幼児期のものが殆どで、予後を含めた長期生存報告がありません。