アトピー性皮膚炎
こんな症状でお困りではありませんか?
- 生まれた頃から肌が敏感で、湿疹がずっと続き、どんなケアをしても良くならず、不安が募る。
- 薬を塗れば一時的に落ち着くけれど、またすぐに悪化する。
- できるだけ薬には頼りたくないが、自然に良くなる様子もなく、どうすればよいのか分からない。
- 薬を使いたくないが、自然に良くならない。
- かゆみや不快感で日々の生活が思うようにいかず、学校や仕事、家事に集中できない。
- 日常生活での支障が増え、学校や仕事に集中できない。
- 顔や体の湿疹が気になって、人と会うのがつらくなって外出を避けるようになる。
このような症状をお持ちの方、それはもしかすると「アトピー性皮膚炎」かもしれません。
ヒロクリニックでは、こうした悩みを抱える方々に対して、丁寧な診察と最新の知見に基づいた治療を提供しています。
アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、慢性的に皮膚のバリア機能が低下し、外部刺激やアレルゲンに過剰に反応することで、かゆみや湿疹が繰り返し現れる疾患です。皮膚が乾燥しやすく、かゆみによる掻き壊しで炎症が悪化し、さらにバリア機能が低下するという悪循環に陥りやすいのが特徴です。
この病気は単なる”皮膚の病気”ではなく、体質や免疫反応と深く関わっており、家族歴やアレルギー体質が背景にあることが多く見られます。症状は年齢によって異なり、乳児期には顔や頭から、幼小児期には関節部位、思春期や成人では首や背中などに症状が現れます。
放置しておくと「アレルギーマーチ(アレルギー疾患の進行)」へ進む可能性があり、早期の治療と予防がとても重要です。特に睡眠障害や学習・仕事への集中力低下、社会的な引きこもりなど、生活の質全体に深刻な影響を及ぼすことがあります。
また、皮膚のバリア機能の障害により、細菌やウイルスの感染が容易になり、皮膚以外の部位への影響(眼疾患、内臓の炎症)を引き起こすこともあります。アトピー性皮膚炎は、決して軽く見てよい疾患ではありません。

ヒロクリニックのアプローチ
当院ではアトピー性皮膚炎を「皮膚の表面の問題」としてではなく、「体の中からくる問題」と捉え、根本的な改善を目指します。以下の3つの柱で一人ひとりに合わせた治療を行っています。
1. 科学的な診断とアレルゲン検査
詳細な血液検査を通じて、アレルゲンや交差反応の有無を特定します。将来的な発症リスクも踏まえ、根本的な原因にアプローチします。
2. 肌状態に応じた適切な薬剤選び
強い薬に頼るのではなく、「今の肌に合った」薬を選びます。ステロイド、タクロリムス軟膏、生物学的製剤(デュピクセント)など、症状に合わせて調整し、塗り方や回数も丁寧に指導します。
3. 環境・生活習慣の改善サポート
肌に悪影響を及ぼす生活習慣や環境(洗剤、衣類、寝具、ストレスなど)を丁寧に見直し、継続可能なケアプランをご提案します。
治療のステップ
当院では、明確なステップを持った治療計画を立て、最終的に薬の使用を必要としない状態を目指します。
Step 1
炎症を速やかに抑える(治療開始から3〜5日程度)
治療の初期段階では、強いかゆみや炎症を数日間でしっかり抑え、つらさを早期に緩和します。
Step 2
症状ゼロの状態を維持する(2〜4週間)
炎症が落ち着いたあとは、その状態を安定的に保ちつつ、皮膚のバリア機能を回復させます。毎日の観察記録を活用し、わずかな変化も見逃さず、丁寧にサポートしていきます。
Step 3
薬の使用を徐々に減らす(およそ半年〜1年)
症状の安定に合わせて、薬の量や種類を少しずつ調整し、使用を減らしていきます。この間に生活習慣や環境要因の見直しを徹底し、再発しにくい肌づくりを進めます。
Step 4
保湿ケアだけで健康な肌をキープ(長期的な維持へ)
最終段階では、強い薬を使わずに、保湿と日常のケアだけで肌の健康を保てる状態を目指します。安定した肌状態を維持するために、継続的なフォローアップ体制も整えています。
セルフケアの重要性
治療と並行して、日々のセルフケアも非常に重要です。肌を清潔に保ち、適切な保湿とアレルゲンの回避が基本です。皮膚の状態を記録することで、医師との情報共有がスムーズになります。
- 保湿と清潔なスキンケアの実践
- アレルゲン・刺激物の特定と回避
- 睡眠・ストレス管理・栄養バランスの改善
- 皮膚日記の作成と症状の記録
- 家族との協力とサポート体制の構築
よくある合併症
アトピー性皮膚炎は、皮膚バリアの障害により様々な感染症を引き起こすことがあります。また、眼の合併症など重篤な症状を伴う場合もあります。
- とびひ(伝染性膿痂疹): ニキビのような見た目ですが、急速に広がる細菌感染。湿疹の上から感染することが多く、抗菌薬が必要です。
- カポジ水痘様発疹: ヘルペスウイルスの感染で、痛みと発熱を伴い急速に悪化することがあります。顔や上半身に拡がることが多く、早期の診断と治療が重要です。
- みずいぼ(伝染性軟属腫): 自然に治癒することもありますが、広がりやすいので注意が必要です。学校生活にも影響を及ぼすことがあります。
- 眼合併症: 顔周りの湿疹が広がることで白内障や網膜剥離などのリスクも。視力に影響を及ぼすため、皮膚科と眼科の連携が必要です。
肌荒れ・乾燥肌・接触性皮膚炎・アトピー性皮膚炎の違いとは?
「肌荒れ」や「乾燥肌」「接触性皮膚炎」「アトピー性皮膚炎」は、いずれもかゆみや赤みなどの症状が現れるため、一見すると似ているように思われがちです。しかし、それぞれ原因や症状の持続性、治療法がまったく異なり、適切な対処をしなければ悪化することもあります。
とくにアトピー性皮膚炎は、アレルギー体質や皮膚のバリア機能の低下が関与しており、他の肌トラブルとは異なる根本的なアプローチが必要です。
まずは、それぞれの違いを正しく理解することが、効果的なケアと予防への第一歩です。
| 主な原因 | 主な症状 | 症状の持続性 | 対処法 | 予防効果 | |
| 肌荒れ | 外的刺激(摩擦、紫外線、マスクなど)、生活習慣 | 赤み、かゆみ、吹き出物など | 一時的なことが多い | 優しいスキンケア、刺激の回避 | 適切なケアで比較的改善しやすい |
| 乾燥肌 | 水分不足、加齢、季節の変化 | カサカサ、つっぱり感、かゆみ | 季節的・慢性化することもある | 保湿中心のスキンケア | 継続的な保湿で予防可能 |
| 接触性皮膚炎 | アレルゲンや刺激物との接触 | 接触部位の赤み、腫れ、水ぶくれなど | 原因物質に触れるたび再発 | 原因物質の特定と回避、必要に応じ薬物治療 | 原因を避けることで再発防止可能 |
| アトピー性皮膚炎 | アレルギー体質、皮膚バリア機能の低下 | 強いかゆみ、慢性的な湿疹、掻き壊し | 慢性的・長期に続く | 薬物治療+スキンケア+生活習慣の見直し | 体質への対応が必要 |
治療のゴール
ヒロクリニックが目指すのは、単なる見た目の改善ではありません。私たちは、アトピー性皮膚炎の根本に向き合い、「症状ゼロの維持」と「薬に頼らず健康な肌を保つこと」を治療の最終目標としています。
皮膚の状態が一時的に良くなったとしても、それはゴールではありません。かゆみや湿疹が再発する不安が続く限り、本当の意味での「回復」にはなりません。だからこそ私たちは、症状を繰り返さない肌づくりを重視し、生活習慣全体に着目した治療を大切にしています。
具体的には、薬の使用量を段階的に減らしながら、日々の生活の中で肌を守る力を育てていきます。最終的には、保湿と適切なセルフケアのみで良好な肌状態を維持できることを目指します。
そのために、私たちは一人ひとりの症状や生活環境に丁寧に耳を傾け、オーダーメイドの治療計画を立てています。治療中の不安や悩みにも寄り添い、医師と患者がチームとなって、着実にゴールを目指していくスタイルです。
よくあるご質問
完全に「治る」とは言い切れませんが、適切な治療と生活改善によって症状をコントロールし、薬に頼らず健康な肌を保つことは十分に可能です。当院では、薬ゼロの状態を目指した治療計画を立てています。
アトピー性皮膚炎は乳児期に発症することが多いですが、大人になっても続くことがあります。思春期や成人以降に再発するケースや、成人してから初めて発症する「成人型アトピー」もあります。
ステロイドは正しい使い方をすれば非常に効果的です。当院では必要な期間だけ使用し、症状に合わせて徐々に減量・中止する方法をとっているため、安心して治療を受けていただけます。
軽度の症状であれば、丁寧な保湿によって改善することもあります。しかし中等度以上の場合は、炎症を抑える治療との併用が必要です。症状に合ったケアが大切です。
食品によるアレルギーがアトピーを悪化させることもあります。血液検査でアレルゲンを確認し、必要に応じて食事指導も行っています。ただし、むやみに食事制限をするのは逆効果です。
デュピクセントは生後6ヶ月以上の方が対象となる、比較的新しい治療薬です。重症〜最重症のアトピーに効果的で、副作用も比較的少なく、継続的な治療に向いています。
気温や湿度の変化は皮膚のバリア機能に大きく影響します。特に冬は乾燥が強まり、肌トラブルが起こりやすくなります。季節に応じたケアの工夫が必要です。
アトピーは遺伝的な傾向があり、両親のどちらかがアレルギー体質の場合、子どもに発症するリスクが高くなります。ただし、適切な予防とケアで発症を防ぐことは可能です。
はい。ストレスは免疫バランスを崩し、かゆみや炎症を悪化させる原因になります。ストレス管理もアトピー治療の大切な一部として重視しています。
初期は1〜2週間ごとの経過観察が必要ですが、症状が安定すれば月1回程度になります。