マンジャロ(チルゼパチド)とGLP-1受容体作動薬の違いを比較|肥満治療の効果を医師が解説

この記事の概要

マンジャロはGLP-1受容体だけでなくGIP受容体にも作用する薬です。GLP-1薬との作用・効果・副作用・投与方法・国内で承認された対象の違いを医師監修で比較します。

女性医師
このテーマの総合ガイドマンジャロとは(効果・副作用・費用の総合ガイド)

マンジャロは、GLP-1受容体だけでなくGIP受容体にも作用する「GIP/GLP-1受容体作動薬」です。GLP-1受容体のみに作用するオゼンピック、リベルサス、ウゴービなどとは作用機序が異なります。

本記事では、マンジャロ(一般名:チルゼパチド)とGLP-1受容体作動薬の違いを、作用機序、体重減少効果、副作用、投与方法、国内で承認された効能・効果の観点から比較します。同じ成分でも販売名によって対象や保険適用の条件が異なるため、2026年9月時点の国内状況に基づいて整理します。

この記事の要点

  • マンジャロはGLP-1単独ではなく、GIPとGLP-1の2つの受容体に作用します。
  • 同じチルゼパチドでも、マンジャロは2型糖尿病、ゼップバウンドは一定の条件を満たす肥満症などが国内で承認された主な対象です。
  • 効果だけでなく、承認された対象、副作用、投与方法、費用、継続的な診察を含めて医師と選ぶことが重要です。

1. GLP-1薬とは?その基本的な仕組み

GLP-1受容体作動薬は、血糖値のコントロールと食欲抑制の2つの働きで、肥満治療・糖尿病治療の両面に使われる薬剤です。GLP-1(Glucagon-Like Peptide-1)は、食事を摂ったときに小腸から分泌されるホルモンで、「インクレチン」と呼ばれる一群のホルモンの一つです。インクレチンは、血糖値を下げるインスリン分泌を促す重要な役割を果たしています。GLP-1は本来体内に存在するものですが、半減期が短くすぐに分解されるため、肥満や糖尿病治療への応用は限定的でした。

そこで開発されたのが「GLP-1受容体作動薬」です。人工的に作られた薬剤で、GLP-1の働きを安定して長時間持続させるよう設計されています。

GLP-1薬の主な作用機序

GLP-1受容体作動薬は、主に3つの経路で体重減少と血糖改善に働きかけます。

  1. 血糖値のコントロール
    食後に血糖値が上がると、膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌を促進します。同時に膵臓のα細胞に働きかけて、血糖値を上昇させるグルカゴン分泌を抑制します。この二重作用によって、血糖値の急上昇を抑えられます。
  2. 食欲抑制作用
    脳の視床下部にある食欲中枢に直接作用し、満腹感を増強します。胃の排出を遅らせ、食べたものが長く胃にとどまるため、「お腹いっぱい」の感覚が続くことも食欲抑制につながります。
  3. 体重減少効果
    摂取カロリーが自然に減ることで、長期的に脂肪量の減少が期待できます。糖代謝改善と合わせて、肥満症だけでなく生活習慣病の予防にも役立ちます。

国内で使われる主なGLP-1関連薬

同じ有効成分でも、販売名によって国内で承認された対象が異なります。2026年9月時点の主な位置づけは次のとおりです。

  • オゼンピック(セマグルチド):週1回注射するGLP-1受容体作動薬。承認された効能・効果は2型糖尿病です。
  • リベルサス(セマグルチド):1日1回服用する経口GLP-1受容体作動薬。承認された効能・効果は2型糖尿病です。
  • ウゴービ(セマグルチド):週1回注射する肥満症治療薬。一定のBMI、健康障害、治療歴、施設要件などを満たす場合に使用されます。
  • マンジャロ(チルゼパチド):週1回注射するGIP/GLP-1受容体作動薬。承認された効能・効果は2型糖尿病です。
  • ゼップバウンド(チルゼパチド):マンジャロと同じ有効成分を含む肥満症治療薬。マンジャロとは承認された対象・使用条件が異なります。

海外で肥満症治療に使われるサクセンダ(リラグルチド)は、日本では肥満症治療薬として承認されていません。薬剤名だけでなく、国内で承認された効能・効果を確認することが重要です。

2. マンジャロ(チルゼパチド/tirzepatide)の特徴と作用機序

マンジャロはGLP-1とGIPの2つのホルモンに同時作用する世界初の「二重作動薬」で、従来のGLP-1薬より強い血糖改善・体重減少効果が報告されています。

2-1. チルゼパチド(tirzepatide)とは何か

マンジャロは製品名、有効成分(一般名)はチルゼパチドです。日本では、マンジャロが2型糖尿病治療薬として、同じ有効成分を含むゼップバウンドが一定の条件を満たす肥満症などの治療薬として承認されています。販売名が違えば承認された対象と使用条件も異なります。

2-2. GLP-1とGIP、2つのインクレチンの働き

チルゼパチドが従来のGLP-1受容体作動薬と異なる理由は、2種類の受容体に作用する点にあります。

  • GLP-1受容体への作用:血糖値に応じたインスリン分泌を促し、グルカゴン分泌や胃内容排出を抑えることで、血糖管理と食欲の調整に関わります。
  • GIP受容体への作用:血糖値に応じたインスリン分泌を促します。GLP-1受容体への作用と組み合わさることで、血糖改善と体重管理に寄与すると考えられています。

作用機序だけで薬を選ばず、診断、既往歴、併用薬、副作用、治療目的を含めて医師が判断します。

2-3. 臨床試験データから見る効果

薬剤の効果は、対象者、用量、治療期間、生活習慣介入などが異なる試験同士では単純に比較できません。直接比較試験の結果を中心に確認することが大切です。

  • 2型糖尿病患者を対象としたSURPASS-2試験:40週間で、チルゼパチド5mg・10mg・15mg群の平均体重変化はそれぞれ−7.6kg、−9.3kg、−11.2kg、セマグルチド1mg群は−5.7kgでした。
  • 2型糖尿病のない肥満の成人を対象としたSURMOUNT-5試験:最大忍容量で72週間比較した平均体重変化率は、チルゼパチド群−20.2%、セマグルチド群−13.7%でした。

いずれも集団の平均値であり、同じ結果が得られることや、チルゼパチドがすべての人に適することを意味しません。国内でどの製剤が治療対象になるかは、承認された効能・効果と患者さんの状態を踏まえて医師が判断します。

2-4. 投与方法と利便性

  • 投与方法:週1回の皮下注射(ペン型デバイスを使用)
  • 投与量:2.5mgから開始し、段階的に5mg、10mg、15mgへと増量可能
  • 自己注射が可能で、ライフスタイルに合わせやすい

毎日注射が必要なサクセンダに比べて、週1回で済む利便性は大きなメリットです。なお、「2.5mgを2本打てば5mgと同じ効果になるのでは」といった自己判断による用量変更を心配する声も聞かれますが、承認された用法・用量以外の使い方は安全性・有効性が確認されていません。増量や併用の判断は必ず医師に相談してください。

2-5. 副作用と注意点

マンジャロは強力な効果を持つ一方、次のような副作用も報告されています。

  • 吐き気、下痢、便秘、食欲不振(投与初期に多い)
  • 一過性の倦怠感
  • まれに膵炎や胆石のリスク

特に、体重減少が急激に進む場合があるため、栄養バランスや筋肉量の維持に注意が必要です。妊娠中・授乳中の使用は推奨されていません。

3. マンジャロと主なGLP-1関連薬の違いを比較

最大の違いは、マンジャロがGIPとGLP-1の2つの受容体に作用するのに対し、オゼンピック、リベルサス、ウゴービはGLP-1受容体に作用する点です。

販売名有効成分作用投与国内で承認された主な対象
マンジャロチルゼパチドGIP+GLP-1週1回注射2型糖尿病
ゼップバウンドチルゼパチドGIP+GLP-1週1回注射一定の条件を満たす肥満症など
オゼンピックセマグルチドGLP-1週1回注射2型糖尿病
リベルサスセマグルチドGLP-11日1回内服2型糖尿病
ウゴービセマグルチドGLP-1週1回注射一定の条件を満たす肥満症

「マンジャロ=GLP-1製剤」と広く表現されることがありますが、正確にはGIP/GLP-1受容体作動薬です。また、同じ成分でもマンジャロとゼップバウンドでは承認された対象と使用条件が異なります。

注射

4. 副作用と安全性

マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬でもっとも頻度が高い副作用は吐き気・下痢などの消化器症状で、多くは投与初期に生じ、時間とともに軽減する傾向があります。GLP-1受容体作動薬、そしてマンジャロ(チルゼパチド)は、多くの臨床試験で有効性が示されていますが、副作用がゼロではありません。医療ダイエットに活用する際には、効果とともにリスクを理解しておくことが大切です。ここでは代表的な副作用と安全性のポイントを解説します。

4-1. 消化器症状(最も多い副作用)

GLP-1薬に共通する副作用で、マンジャロでも頻度が高く見られます。

  • 吐き気・嘔吐:特に初回投与や増量初期に多く見られます。
  • 下痢:腸管運動が活発になることで生じます。
  • 便秘:胃腸の動きが抑制されることで逆に出やすい場合もあります。
  • 食欲不振・胃もたれ:食欲抑制効果が強すぎる場合に起こります。

多くは投与を継続することで体が慣れ、数週間〜数か月で軽減します。副作用を抑えるため、マンジャロは低用量から開始し、段階的に増量する方式が基本です。

4-2. 低血糖リスク

GLP-1薬単独での使用では、低血糖は比較的まれです。GLP-1やGIPの作用が「血糖値が高いときのみインスリンを促進する」という仕組みに基づくためです。ただし、インスリンやスルホニル尿素薬など他の血糖降下薬と併用している場合は、低血糖リスクが高まるため注意が必要です。

4-3. 体重減少による注意点

マンジャロは強力な減量効果を持つため、短期間で大幅に体重が減ることがあります。これに伴い以下のリスクが指摘されています。

  • 筋肉量の減少:脂肪と同時に筋肉も落ちる可能性があります。
  • 胆石リスク:急激な体重減少は胆石形成を促進することがあります。
  • 栄養不足:食欲が落ちすぎて必要な栄養が摂れない場合があります。

そのため、医師は栄養指導や運動療法を組み合わせ、無理のない体重減少をサポートします。

4-4. まれに報告される重篤な副作用

  • 膵炎:強い腹痛や背部痛を伴う場合はすぐに受診してください。
  • 胆嚢疾患:胆石や胆嚢炎の発症リスクがやや上昇するとされています。
  • 甲状腺C細胞腫瘍の可能性(動物実験):ヒトでの関連性は未確定ですが、甲状腺腫瘍の既往がある方は注意が必要です。

これらは頻度が低いものの、投与前の問診や定期的な診察で確認されます。

4-5. 安全性に関するエビデンス

SURPASS試験やSURMOUNT試験では、チルゼパチドで多くみられた有害事象は吐き気、下痢、便秘などの消化器症状で、その多くは軽度から中等度でした。頻度は試験の対象者、用量、期間によって異なるため、異なる試験の割合をまとめて一つの数値として示すことはできません。

4-6. 使用前に医師へ伝えること

妊娠中・授乳中、膵炎や胆のう疾患の既往、重い胃腸障害、糖尿病治療薬の使用などがある方は、処方前に必ず医師へ伝えてください。使用できるかどうかは、最新の電子添文と患者さんの状態に基づいて個別に判断されます。

自己判断で薬剤を併用したり、用量を変更したりしないでください。

自分の体質でマンジャロが合うか気になる方は、まず医師のカウンセリングで相談してみませんか。
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5. 費用と保険適用は治療目的で異なる

GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬が、すべて自由診療になるわけではありません。承認された病気の治療として保険診療の要件を満たす場合は、公的医療保険の対象になり得ます。一方、美容・痩身・ダイエット目的で使用する場合は自由診療です。

  • マンジャロ・オゼンピック・リベルサス:2型糖尿病の治療として要件を満たす場合は保険診療の対象になり得ます。
  • ゼップバウンド・ウゴービ:一定の条件を満たす肥満症の治療として、患者・医療機関などの要件を満たす場合に保険診療の対象になり得ます。
  • 美容・痩身目的:自由診療となり、費用は全額自己負担です。

ヒロクリニックでの自由診療の費用は料金ページをご確認ください。保険適用の詳しい条件はマンジャロの保険適用の記事でも解説しています。

6. マンジャロとGLP-1薬の選び方

「一番痩せる薬」だけで決めず、治療目的と安全に継続できる条件を比較します。

  • 治療目的:2型糖尿病の治療か、医学的に診断された肥満症の治療か
  • 作用機序:GLP-1単独か、GIP/GLP-1の二重作用か
  • 投与方法:週1回注射か、毎日の内服か
  • 安全性:胃腸症状、低血糖リスク、既往歴、併用薬を考慮できるか
  • 継続性:費用、診察、検査、栄養管理を含めて無理なく続けられるか

自己判断で薬剤を切り替えたり併用したりせず、医師と相談して選びましょう。

7. マンジャロ(tirzepatide)に関するよくある質問

マンジャロはGLP-1製剤ですか?

GLP-1受容体だけでなくGIP受容体にも作用するため、正確にはGIP/GLP-1受容体作動薬です。

リベルサスとマンジャロはどちらがよいですか?

リベルサスは1日1回内服、マンジャロは週1回注射です。治療目的、持病、併用薬、副作用、継続しやすさを含めて医師と選びます。

マンジャロの欠点は何ですか?

消化器症状が起こることがあり、週1回の自己注射と定期的な診察が必要です。ダイエット目的では自由診療となり、継続的な費用もかかります。

マンジャロより痩せる薬はありますか?

すべての人に対して「最も痩せる」と言える薬はありません。SURMOUNT-5試験では平均体重変化率がチルゼパチド群−20.2%、セマグルチド群−13.7%でしたが、特定条件の集団平均です。

マンジャロとGLP-1薬を併用できますか?

自己判断での併用は避けてください。薬の切り替えや併用は、現在の処方内容を確認した医師が判断します。

日本でマンジャロは肥満治療に使えますか?

マンジャロの国内承認は2型糖尿病です。減量目的では適応外使用の自由診療となります。同成分のゼップバウンドは一定の条件を満たす肥満症などに承認されています。

まとめ:マンジャロとGLP-1薬は作用・承認対象・投与方法が異なる

マンジャロはGIPとGLP-1の2つの受容体に作用するGIP/GLP-1受容体作動薬です。GLP-1受容体のみに作用する薬とは作用機序が異なり、同じ成分を含むゼップバウンドとも国内で承認された対象や使用条件が異なります。

薬を選ぶ際は、体重減少効果の数字だけでなく、治療目的、既往歴、併用薬、副作用、投与方法、費用、継続的な診察を含めて医師と相談してください。

引用文献

監修:岡 浩子(医療法人社団福美会 理事長/日本内科学会認定医)

副作用が出たときの連絡先|受診の目安

次の症状が出た場合は、自己判断で様子を見ずにご連絡ください。マンジャロをはじめとするGIP/GLP-1受容体作動薬は、消化器症状を中心とした副作用が知られています。多くは軽度ですが、まれに重篤なものがあります。

症状考えられること対応
悪心・嘔吐が続く消化器症状。最も多い副作用水分がとれない状態が続く場合はご連絡ください
激しい腹痛(背中に抜ける痛み)急性膵炎の疑いただちに投与を中止し、受診してください
冷や汗・動悸・強い空腹感・意識がもうろうとする低血糖すぐに糖分をとり、ご連絡ください
皮膚の発疹・呼吸のしにくさ・顔やのどの腫れアレルギー反応ただちに受診してください

ご連絡先:0120-241-929(受付 9:00〜18:00)
受付時間外で症状が重い場合は、お近くの救急医療機関を受診してください。

各院の直通電話はクリニック情報のページに掲載しています。

参考資料

本記事の医薬品に関する記載は、以下の公的資料に基づいています。用法・用量や副作用の詳細は、必ず最新の電子添文をご確認ください。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)「マンジャロ皮下注アテオス 電子添文」
PMDA「患者向医薬品ガイド マンジャロ皮下注アテオス」(PDF)
厚生労働省「生活習慣病予防」

マンジャロを2型糖尿病以外の目的で用いる場合は適応外使用となり、ダイエット目的では自由診療です。効果や副作用の現れ方には個人差があります。

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岡 浩子 ヒロクリニック川口院 院長(医師)

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