マンジャロで筋肉は落ちる?筋トレ併用で筋肉量を守る方法|医師監修

この記事の概要

マンジャロによる減量で筋肉はどう変わるのか、体組成データと安全な筋トレ・栄養の考え方を医師監修で解説します。

疑問
このテーマの総合ガイドマンジャロとは(効果・副作用・費用の総合ガイド)

マンジャロが筋肉を直接壊すことを示す根拠はありません。しかし、大きく体重が減るときは脂肪だけでなく、筋肉を含む「除脂肪量」も一定量減る可能性があります。筋肉量と筋力を保つには、薬だけに任せず、無理のない筋トレ、必要な栄養と水分、体調に合わせた減量ペースを組み合わせることが大切です。

この記事の要点

  • 体調が安定し、食事と水分を取れていれば、マンジャロ使用中でも無理のない筋トレは可能です。厚生労働省の一般向けガイドでは、成人・高齢者に週2~3日の筋トレを推奨しています。
  • マンジャロが筋肉を直接減らすと断定できる根拠はありません。ただし、大きく体重が減ると、脂肪と一緒に筋肉を含む「除脂肪量」も減ることがあります。
  • 筋肉を守る基本は、極端な食事制限を避け、必要なたんぱく質と水分を取りながら、自分に合う強度で筋トレを続けることです。
  • 嘔吐・下痢・食事不足・脱水・低血糖症状がある日は運動を控え、処方医に相談してください。

マンジャロで筋肉は落ちる?体組成データから解説

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する薬です。食欲や食事量が低下して体重が減る一方、減った体重のすべてが脂肪になるわけではありません。これはマンジャロに限らず、食事療法などによる減量でも起こり得ます。

SURMOUNT-1体組成サブ解析の結果

肥満または過体重の成人を対象としたSURMOUNT-1試験のうち、DXA(デキサ)法で体組成を測定した160人のサブ解析では、72週時点で次の変化が報告されています。

72週時点の変化チルゼパチド群プラセボ群
体重-21.3%-5.3%
脂肪量-33.9%-8.2%
除脂肪量-10.9%-2.6%
出典:Look M, et al. Diabetes Obes Metab. 2025。チルゼパチド群124人、プラセボ群36人のDXAデータ。

減った体重の内訳は、およそ75%が脂肪量、25%が除脂肪量でした。脂肪量の減少幅が大きい一方、除脂肪量も減っているため、筋肉を守る対策は必要です。

「除脂肪量=筋肉量」ではありません

DXAで測る除脂肪量には、骨格筋だけでなく、水分や臓器など脂肪以外の組織も含まれます。そのため「減った体重の25%がすべて筋肉だった」とは判断できません。また、このサブ解析だけで筋力がどれだけ変わったかは分かりません。

マンジャロを使いながら筋トレしても大丈夫?

吐き気やふらつきなどがなく、食事と水分を取れている場合は、マンジャロ使用中でも一般的に筋トレを行えます。注射した日は必ず休む、反対に必ず運動する、といった一律の決まりはありません。当日の体調と処方医の指示を優先してください。

ただし、電子添文では「激しい筋肉運動」が低血糖を起こすおそれのある状態の一つとして挙げられています。マンジャロ単独で重い低血糖が起こる頻度は高くありませんが、インスリン製剤やスルホニルウレア剤などを併用している方、食事量が大きく減っている方は特に注意が必要です。

その日の状態運動の考え方
食事・水分が取れ、体調が安定軽い運動から実施できます。徐々に負荷を上げます
軽い吐き気、強い疲労感、食事量が少ない負荷を下げるか休み、まず水分と栄養を確保します
嘔吐・下痢が続く、水分が取れない運動を中止し、脱水になる前に処方医へ相談します
冷汗、動悸、手の震え、強い空腹感、意識がぼんやりする低血糖の可能性があります。運動を中止し、事前に指示された対処を行います
激しい腹痛、胸痛、息苦しさ、失神運動を中止し、速やかに医療機関を受診してください

マンジャロ使用中に筋肉を守る4つのポイント

1.筋トレを週2~3日、休息日を挟んで行う

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人と高齢者に筋トレを週2~3日行うことを推奨しています。大切なのは、毎日追い込むことではなく、脚・胸・背中など大きな筋肉を無理のない範囲で継続して刺激することです。

運動経験が少ない方の例主に使う部位始め方
椅子からの立ち座り太もも・お尻安定した椅子で5~10回から
壁を使った腕立て伏せ胸・腕壁との距離を短くして開始
かかと上げふくらはぎ壁や椅子につかまり10回から
ゴムバンドを引く運動背中・腕軽いバンドで姿勢を崩さない範囲

「少しきついがフォームを保てる」程度から始め、同じ部位には休息日を設けます。高齢の方、心臓・腎臓・関節の病気がある方、糖尿病治療中の方は、開始前に医師や運動指導の専門家へ相談してください。

2.たんぱく質量を一律に決めない

減量中にたんぱく質摂取量を増やすことは、筋肉量の減少を抑える方向に働くという研究があります。ただし、マンジャロ使用者全員に共通する最適量は確立していません。体重1kg当たりの計算を現在の体重へ機械的に当てはめると、体格によっては過剰になることもあります。

  • 1日1回に偏らせず、朝・昼・夕の各食事に主菜を入れる
  • 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など食べやすい食品を組み合わせる
  • 食欲が弱い日は、豆腐、卵、ヨーグルトなど少量で食べやすい食品を選ぶ
  • 腎機能低下、糖尿病性腎症、肝疾患などがある方は自己判断で高たんぱく食にしない

必要量は年齢、基準となる体重、運動量、腎機能、総摂取エネルギーで変わります。具体的なグラム数は医師や管理栄養士に確認してください。マンジャロ使用中の食事全体については、マンジャロ使用中の栄養管理と生活習慣でも解説しています。

3.食事を極端に減らさず、水分も確保する

食欲が落ちているときに、さらに自己流の絶食や厳しい糖質制限を重ねると、必要なエネルギー・たんぱく質・水分を確保しにくくなります。特に嘔吐や下痢が続くと脱水の危険があります。食事や水分が取れない状態が続く場合、次回まで我慢せず処方医へ連絡してください。

4.体重だけでなく、筋力と日常動作も記録する

家庭用体組成計やInBodyの値は、水分量や測定時間でも変動します。1回の数値だけで筋肉が減ったと判断せず、同じ条件での推移を見ましょう。体重・腹囲と合わせて、椅子から立ち上がりやすいか、階段や歩行がつらくなっていないか、扱える重さや回数が落ちていないかも記録すると、体の変化を把握しやすくなります。

マンジャロ使用中の1週間の筋トレ例

曜日運動例
立ち座り・壁腕立て・かかと上げを各1~2セット
軽いウォーキングなど
休息またはストレッチ
月曜日と同じ筋トレ。余裕があれば回数を少し追加
軽いウォーキングなど
土・日体調に応じて活動。少なくとも1日は休息

これは運動習慣が少ない方向けの一例で、全員に同じ内容が適するわけではありません。注射日ではなく、吐き気や疲労感が出やすいタイミングを自分の記録から確認し、その日を休息日にする方法もあります。

「筋肉が落ちているかも」と医師へ相談したいサイン

  • 体重が想定より速く減り続けている
  • 食事や水分が十分に取れない
  • 立ち上がり、階段、歩行が以前よりつらい
  • 筋力や運動回数が明らかに低下している
  • ふらつき、脱力、低血糖を疑う症状がある
  • 高齢、もともと筋肉量が少ない、長期間運動していない

PMDAの患者向医薬品ガイドでも、過度の体重減少がみられた場合は処方医へ相談するよう案内されています。自己判断で投与量を変更したり、無理に運動量を増やしたりせず、食事量・副作用・体重変化を医師に伝えてください。

ヒロクリニックのオンライン診療で相談できること

ヒロクリニックのオンライン診療では、体重の変化だけでなく、食事量、吐き気や便秘などの症状、運動習慣、併用薬を確認しながら治療を検討します。筋力低下が気になる方は、体重の推移、食事記録、普段の筋トレ内容を診察時にお伝えください。

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※自由診療です。診察の結果、ご希望の治療を受けられない場合があります。

マンジャロと筋肉・筋トレに関するよくある質問

マンジャロで落ちた体重の25%は筋肉ですか?

正確には「約25%が除脂肪量」です。除脂肪量には筋肉以外に水分や臓器なども含まれるため、25%すべてが筋肉とはいえません。体組成値だけでなく筋力や日常動作も確認しましょう。

マンジャロを打った日に筋トレできますか?

食事と水分が取れ、吐き気やふらつきがなければ、注射当日だから一律に禁止されるわけではありません。ただし、注射後に症状が出やすい方は別の日に変更し、体調を優先してください。

激しい運動をしても大丈夫ですか?

急に高強度の運動を始めることは避けましょう。食事量が少ない状態や、インスリン・スルホニルウレア剤などを併用している場合、激しい運動で低血糖の危険が高まることがあります。運動強度は処方医と相談してください。

マンジャロで筋肉痛が起こることはありますか?

筋肉痛はマンジャロの代表的な副作用として挙げられていません。新しく始めた運動による筋肉痛、食事・水分不足、ほかの薬や病気なども考えられます。強い痛み、力が入らない、発熱、尿の色が濃いなどの症状がある場合は運動を中止し、医療機関へ相談してください。

たんぱく質は1日何グラム必要ですか?

全員に共通する量はありません。年齢、基準体重、運動量、総摂取エネルギー、腎機能などで変わります。現在の体重に一律の係数を掛けるだけで決めず、持病がある方は医師や管理栄養士に確認してください。

筋トレが難しい場合、ウォーキングだけでもよいですか?

ウォーキングにも健康上の利点があります。筋肉への刺激という点では、椅子からの立ち座りや壁腕立てなど、できる範囲の筋トレを週2~3日加える方法が勧められます。痛みや持病がある方は専門家へ相談してください。

まとめ|マンジャロ中は「体重」だけでなく筋力も確認する

マンジャロによる減量では脂肪量が大きく減る一方、除脂肪量も一定量減る可能性があります。マンジャロが筋肉を直接壊すと考えるのではなく、食事量の低下、運動不足、減量ペース、年齢や持病を含めて対策しましょう。週2~3日の無理のない筋トレ、個別に調整した栄養、水分、筋力と日常動作の記録が基本です。体重が急に減る、食べられない、力が落ちたと感じる場合は、自己判断で続けず処方医へ相談してください。

参考文献・公的資料

マンジャロの日本での承認効能は2型糖尿病です。肥満・減量目的での使用は適応外使用となり、自由診療です。同一成分チルゼパチドを含む肥満症治療薬ゼップバウンドには、別途、適応条件があります。治療の可否は医師が診察のうえ判断します。

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岡 浩子 ヒロクリニック川口院 院長(医師)

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