マンジャロ皮下注射によるダイエット効果と長期使用の安全性について

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はじめに――「痩せる」から「病気を治す」へ

マンジャロ(チルゼパチド)は、GLP-1とGIPという2つのホルモン受容体に同時に作用する週1回注射の薬剤で、臨床試験では体重の15〜21%減少という効果が確認されています。ただし効果の大きさには個人差があり、必ず特定の結果が得られると保証するものではありません。
これまでのダイエット薬と違うのは、「食欲を抑える」+「代謝を助ける」という2つの作用を併せ持つ点です。日本ではチルゼパチドは、2型糖尿病治療薬「マンジャロ」として承認されているほか、2024年12月に肥満症治療薬「ゼップバウンド」としても製造販売承認され、2025年から一定の条件を満たす肥満症患者への保険適用も始まっています。

ゼップバウンドの保険適用対象となるのは「高血圧や脂質異常症、糖尿病などを合併している肥満症の方」で、BMIの基準も定められています。一方、当院を含む多くの医療ダイエットクリニックで美容・ダイエット目的に使用されている「マンジャロ」は、日本では2型糖尿病治療薬としての承認であるため、ダイエット目的での使用は自由診療(保険適用外・全額自己負担)の適応外使用にあたる点をご理解のうえでご検討ください。

この記事でわかること

  • マンジャロがGLP-1・GIPにどう作用して痩せるのか
  • SURMOUNT試験シリーズでわかった具体的な体重減少効果
  • マンジャロとゼップバウンドの違い、日本での使用ルール
  • 注意すべき副作用と、安全に続けるためのポイント
  • 費用の考え方(自由診療である点を含む)

どんな仕組みで効くのか

マンジャロは、GLP-1とGIPという2つの体内ホルモンを同時に刺激することで、単一ホルモンに作用する薬より強い体重減少効果を発揮します。

  • GLP-1:食欲を抑え、胃の働きをゆっくりにし、血糖を下げる作用があります。
  • GIP:脂肪や代謝に働きかけ、GLP-1と組み合わさることでさらに効果を強めます。

この「二刀流」の仕組みが、従来の薬よりも大きな体重減少を可能にしています。

研究でわかった効果

マンジャロの体重減少効果は、SURMOUNT-1・3・4という3つの主要臨床試験で確認されており、生活習慣改善との併用や継続投与によってさらに効果が高まることがわかっています。

SURMOUNT-1(NEJM 2022)

肥満や過体重の2,500人以上を対象に72週間投与した研究では、体重が平均15〜21%減少したと報告されています。あくまで平均値であり、実際の減少幅は年齢・体質・生活習慣によって個人差が大きく出ます。副作用でやめた人も一部おり、多くは吐き気や下痢などの消化器症状が理由でした。

SURMOUNT-3(Nat Med 2023)

食事や運動で少し痩せたあとにマンジャロを使うと、さらに21%の体重減少が得られました。つまり、生活改善と薬を組み合わせるとより効果的です。

SURMOUNT-4(JAMA 2024)

36週間で大きく痩せたあと、薬を続けるグループとやめるグループを比較したところ、

  • 続けた人はさらに体重が減少
  • やめた人は体重が再び増加

という結果でした。「肥満は慢性の病気であり、薬を続けることが治療の一部」だと示しています。

日本での使用ルール

保険適用のゼップバウンドにはBMI等の明確な対象基準があるのに対し、当院を含む医療ダイエットクリニックが自由診療で処方するマンジャロには同様の保険適用基準はなく、医師の診察のもとで処方の可否を判断します。

  • ゼップバウンド(保険適用・肥満症治療)の対象者:BMIが27以上で生活習慣病を合併している人、またはBMI35以上の人。
  • 開始用量:2.5mgから始め、4週ごとに少しずつ増やします。通常は10mgまで使い、最大で15mg。この用量設定はマンジャロを自由診療で使う場合も基本的に共通です。
  • 使える場所:専門の医療機関のみ。保険適用のゼップバウンドは美容目的や短期のダイエット目的では処方されません。一方、マンジャロを自由診療のダイエット目的で使用する場合は、医師の診察・問診を経たうえで処方の可否が判断されます。

安全性と副作用

マンジャロの副作用は消化器症状が中心で多くは軽度ですが、胆石・膵炎・甲状腺関連など注意すべき副作用や、避妊薬の効果低下といった相互作用にも留意が必要です。

よくある副作用

  • 吐き気、下痢、便秘、嘔吐
    → 多くは使い始めや増量期に出ます。食事量を調整することで軽減できます。

注意が必要な副作用

  • 胆石や胆嚢の病気
  • 膵炎(すいえん)
  • 腎機能の悪化(下痢や嘔吐による脱水が原因となることあり)
  • 甲状腺がんの可能性(動物実験で報告。人での因果関係は不明)

妊娠・避妊について

妊娠中の使用はできません。また胃の働きが遅くなるため、経口避妊薬の効果が下がる可能性があります。開始時や増量後4週間は、他の避妊方法を併用する必要があります。

長く使うとどうなる?

マンジャロは継続することで体重を維持しやすく、中止するとリバウンドしやすいため、停滞期を含めて長期的な視点で生活習慣と組み合わせることが大切です。

  • 続ければ体重を維持しやすい
  • やめるとリバウンドしやすい
  • 停滞期が来たら、運動や食事内容を見直すことが大切

つまり「薬だけに頼る」のではなく、「生活習慣とセット」で使うのがポイントです。

体重計

使い方の実際

マンジャロは週1回同じ曜日に自己注射するシンプルな薬ですが、食事・水分・運動の工夫を組み合わせることで効果と続けやすさが変わります。

  1. 週1回、同じ曜日に注射する。お腹や太もも、二の腕に打てます。
  2. 打ち忘れても4日以内ならOK。それを超えたら次の予定日に打ちます。
  3. 食事はたんぱく質を多めにし、脂っこいものは控える。水分補給も忘れずに。
  4. 運動は有酸素運動+筋トレを組み合わせる。筋肉量を保つことが大事。

向いている人/向いていない人

マンジャロは、生活習慣病を伴う肥満で医師と二人三脚で改善に取り組める人に向いている一方、妊娠中や特定の既往歴がある人には使用できません。

  • 向いている人
    BMIの基準を満たし、生活習慣病がある肥満症の方。医師と一緒に生活改善に取り組める人。
  • 向いていない人
    妊娠中・授乳中の人、甲状腺がんや膵炎の既往がある人、重い腎臓病がある人など。

ここまでのまとめ

マンジャロは「痩せる薬」というよりも「肥満という病気を治療する薬」であり、研究では体重の15〜21%減少という効果が示されています。継続することで効果を維持しやすいとされています。筆者がこれまで診療関連の情報を追ってきた印象でも、単独の食事制限より挫折しにくいという声が目立ちます。ただし副作用やリスクもあり、医師の管理下で安全に使うことが前提です。

肥満は慢性疾患。薬と生活習慣改善を合わせることで、より健康的に体重をコントロールできます。

マンジャロ治療を受けるときの注意点

マンジャロ治療を安全に続けるには、医師との定期面談・生活習慣の並行改善・薬に頼りきらない姿勢という3つが欠かせません。

医師との定期的な面談が大切

マンジャロは「注射して終わり」の薬ではありません。定期的に医師の診察を受け、体重・血圧・血糖・血液検査などをチェックする必要があります。特に、胆嚢や膵臓のトラブルは早期発見が重要です。異常を感じたときは、自己判断せずすぐに医療機関を受診しましょう。

生活習慣を整えることが効果を高める

薬の効果を最大限に活かすためには、食事・運動・睡眠の3本柱が欠かせません。

  • 食事:高たんぱく・低脂質を意識し、糖質も摂りすぎないようにする。
  • 運動:ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動に加え、筋トレで筋肉を維持する。
  • 睡眠:睡眠不足はホルモンバランスを崩し、食欲を増やしてしまうため要注意。

薬だけに頼らない姿勢が重要

マンジャロは強力なサポートになりますが、「薬があるから安心」と生活をおろそかにするとリバウンドしやすい傾向が報告されています。実際、X(旧Twitter)で編集部が見た@ryota_tanさんの投稿では、「マンジャロ注射をしながら食事制約もかけたら急激に痩せてしまったので、今度は食べながらゆっくり体重を落とす」と方針を見直していました。薬の作用に任せきりにせず、食事量を医師と相談しながら調整する姿勢が、無理のない減量につながります。

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費用面について

ダイエット目的でマンジャロを使う場合は自由診療(保険適用外・全額自己負担)となるため、契約前に総額を確認することが欠かせません。マンジャロは糖尿病治療薬として処方される場合は保険適用となりますが、美容・ダイエット目的で肥満治療として利用する場合は自由診療となるのが一般的です。

  • 自己負担額の目安:月数万円〜10万円程度(医療機関によって異なる)
  • 費用を抑える工夫:食事や運動も合わせることで、少ない用量でも効果を出しやすくなる可能性があります。

今後、日本での適応や制度の整備が進めば、費用負担が軽くなる可能性もあります。

長期使用で期待できるメリット

マンジャロの長期使用は、体重の安定化だけでなく生活習慣病の改善や生活の質の向上にもつながる可能性があります。

  • 体重の安定化:長期に続けることでリバウンドを防ぎやすくなる。
  • 生活習慣病の改善:血糖、血圧、脂質が整い、合併症リスクを下げる。
  • 生活の質の向上:動きやすくなる、睡眠の質が上がる、自己肯定感が高まる。

これらは「一時的に痩せる」だけでは得られない大きなメリットです。

患者さんの声

治療を受けた方の感想は「食欲が落ち着いた」「数値が改善した」といった声が中心ですが、これらは個別の体験談であり、同じ結果を保証するものではありません。

  • 40代女性:「食事制限が苦しくて続かなかったけど、マンジャロを始めてから食欲が落ち着き、無理なく体重が減った実感があります。」
  • 50代男性:「高血圧と脂質異常症で通院していたが、体重減少とともに数値の改善を医師から指摘された。」
  • 30代女性:「副作用の吐き気は最初の時期だけで、筋トレを組み合わせたら体型の変化も感じられた。」

体重減少の幅や副作用の出方は人によって異なります。上記はあくまで一例として参考にしてください。

今後の展望

チルゼパチドは肥満症治療の大きな転換点となっており、長期安全性データの蓄積や併用療法の研究が今後さらに進むと見込まれています。今後は以下の点にも期待が寄せられています。

  • 長期的な安全性データの蓄積:何年も使い続けた場合の効果や副作用についてさらに明らかになる。
  • ダイエット目的での保険適用範囲の拡大可能性:肥満症治療薬「ゼップバウンド」はすでに2025年から条件付きで保険適用が始まっており、今後は対象条件の拡大が期待されます。ただし美容・ダイエット目的でのマンジャロ使用は、現時点では引き続き自由診療が前提です。
  • 新しい併用療法:他の薬や治療との組み合わせで、さらに高い効果が期待できる。

よくある質問

Q1. マンジャロとゼップバウンドは違うの?

成分(チルゼパチド)は同じですが、日本では2型糖尿病治療薬として承認されているのが「マンジャロ」、2024年12月に肥満症治療薬として承認されたのが「ゼップバウンド」と、承認内容とブランド名が分かれています。ゼップバウンドは2025年から条件付きで保険適用されていますが、美容・ダイエット目的でのマンジャロ使用は自由診療となります。

Q2. いつまで続けるの?

基本的に長期継続が前提です。SURMOUNT-4試験でも、投与を中止すると体重が再増加する傾向が確認されており、やめると体重は戻りやすいとされています。

Q3. 筋肉は落ちないの?

急激に痩せると筋肉量も落ちやすくなります。たんぱく質をしっかり摂り、筋トレを取り入れることで、筋肉量の低下を抑えやすくなります。

Q4. ピルを飲んでいますが大丈夫ですか?

マンジャロは胃の働きを遅くするため、経口避妊薬の効果が下がる可能性があります。開始時や増量後4週間は、他の避妊方法を併用してください。

Q5. マンジャロは誰でも使えますか?

保険適用のゼップバウンドは、医師が診断した「肥満症」の方でBMI等の基準を満たす方が対象です。一方、当院を含む医療ダイエットクリニックが自由診療で処方するマンジャロは、保険適用のような一律の基準はありませんが、医師の問診・診察を経て処方の可否を判断します。妊娠中・授乳中の方や、甲状腺がん・膵炎の既往がある方などは使用できません。

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まとめ

マンジャロは「肥満を根本的に治療する薬」として、世界中で注目されています。

  • 体重の15〜21%減少という強い効果
  • 長く続ければ維持できるが、中止するとリバウンドする可能性
  • 副作用に注意しながら医師の管理下で使う必要性

この3点を理解して、薬だけに頼らず生活習慣を整えることが、健康的で持続的なダイエット成功への鍵です。

参考文献

  • Jastreboff AM, et al. NEJM 2022:マンジャロによる72週の体重減少効果
  • Wadden TA, et al. Nat Med 2023:生活指導後の追加効果
  • Aronne LJ, et al. JAMA 2024:継続投与と中止後の比較
  • FDA「Zepbound」添付文書:安全性・副作用・避妊に関する注意
  • PMDA「チルゼパチド最適使用推進ガイドライン」:日本での使用条件

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、効果・副作用には個人差があります。マンジャロは美容・ダイエット目的で使用する場合、自由診療(保険適用外)で提供される医療用医薬品です。使用にあたっては必ず医師の診察・指導のもとで行ってください。

監修:岡 浩子(医療法人社団福美会 理事長/日本内科学会認定医)

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美容皮膚科

岡 浩子 ヒロクリニック川口院 院長(医師)

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