インフルエンザについて

インフルエンザとは

インフルエンザは普通のかぜと比べ、重くなりやすいウイルス性のかぜです。
突然の高熱と倦怠感、筋肉痛などの強い全身症状で発病し、次第に咳、鼻水といった感冒症状が続きます。発熱は3~5日と長く続きます。発熱初期はぐったりして重症感があります。
インフルエンザウイルスにはA型、B型の2種類があります。
A型はウイルスの表面のタンパク質(H:ヘマグルチニン、N:ノイラミニタ―ゼ)で分類され、近年流行しているのはH3N2A香港型、H1N1Aソ連型(2009年に流行した新型インフルエンザはAソ連亜型)となります。
B型はA型ほど重症感はないものの、症状(熱、咳、鼻水)がだらだら長引く傾向があります。
その年で流行するウイルスの型は異なりますが症状は大きく変わりありません。
A型に対する免疫反応が過剰に強く出てしまうと脳症を引き起こすことがあります。インフルエンザウイルスは脳細胞に感染しないので脳炎にはなりません。
脳症の症状は、意識がなくなったり、意識が混濁して痙攣が止まらなくなるなど、とても重症です。
うわごとをいったり、うなされたりといった症状は熱せん妄と呼ばれ脳症とは関係ありません。せん妄はこちらからの問いかけに答えませんし、せん妄中のことは覚えていません。
インフルエンザウイルスによる肺炎は小児はなりませんが、二次感染の肺炎はありえます。B型はA型ほど重症感はないものの、症状(熱、咳、鼻水)がだらだら長引く傾向があります。
北半球では冬季に周期的に流行する重いかぜのことがインフルエンザと呼ばれるようになり、インフルエンザウイルスが同定されるまでさまざまな病原体が原因と言われてきました。
そのせいでインフルエンザとは関係ないのにインフルエンザ桿菌(予防接種のHib)は長らくインフルエンザの原因とされたため名前にインフルエンザが残っています。
クループ症候群を起こすパラインフルエンザウイルスはインフルエンザの流行期に一緒に流行があるためインフルエンザのそばにという意味のパラインフルエンザと名づけられています。

診断

インフルエンザ専用の迅速キット(抗原検査)を使用して検査します。
発熱後12時間以上経過しておらず、ウイルス抗原量が検出可能になる前に検査をすると陰性と出る可能性があります。検査で陰性が出た時でも、疑わしい場合は翌日に再検査をすることがあります。
基本鼻腔ぬぐい液を用います。

症状

  • 潜伏期間1~3日程度
  • 感染経路飛沫、接触感染
  • 経過寒気と急激な高熱、全身の倦怠感、咽頭痛、頭痛・筋肉痛、関節痛、吐き気や・腹痛などお腹の症状、その後咳、鼻水

治療

抗インフルエンザ薬を発症から2日以内に使用します。この薬は体内でウイルスが増殖するのを抑えるため、有症状期間を短くしたり症状を軽くします。インフルエンザの発熱には原則アセトアミノフェンを内服します。
抗インフルエンザ薬は5種類あります。それぞれ特徴があり、小さなお子様には飲みにくいお薬ではありますが、お子様の年齢や体格(体重)、服薬状況などを考慮し、それぞれのお子様に合った処方を出されます。医師の指示通り飲み切ることが大事になります。

剤形 薬剤名 詳細
タミフル 第一選択薬
生後2週目から内服可能
1日2回5日間、ドライシロップ
カプ
セル
タミフル 第一選択薬
体重が37.5㎏以上
1日2回5日間
錠剤 ゾフルーザ 1回の服用のみ
年齢と体重で量を決める
体重10㎏以上のお子様から内服可能とされているが、年齢で出している病院もある
吸入 リレンザ
イナビル
1日2回5日間吸入
子どもも大人と同量
吸入は1回、10歳未満は2吸入、10歳以上は4吸入
吸入薬は強く吸い込む必要があり、吸入ができない小児がいるので注意
点滴 ラピアクタ 重症化リスクのあるお子様や発達障害で普段から内服が極めて困難なお子様の場合に使用検討

ワクチン

流行時期前に予防接種をうけることができます。

  • 生後6か月~13歳未満:2回接種(1回目と2回目の間隔は4週間)
  • 13歳以上は1回(2回接種しても問題はない)
  • 1回接種量は6か月~3歳未満:0.25ml、3歳以上:0.5ml