百日咳

百日咳とは

百日咳菌の感染により、特有のけいれん性の咳発作を主症状とする急性気道感染症です。
お母さんからの免疫が十分でなく、乳児期の早くからかかる可能性があり、1歳児、特に生後6か月以下では死に至る危険性も高いと言われています。
百日咳ワクチンを含むDPT三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)接種により、世界各国で発生数は激減していますが、終生免疫(一度かかったら次はかからない)ではないため、 風邪のように何回もかかる可能性があり、ワクチンによる免疫が低下する4~6歳ごろにかかりやすいと言われています。咳が始まってから1~3週間後まで感染力があります。

診断

検査では遺伝子検査(LAMP法)が一般的です。咽頭を綿棒でぬぐって行い、結果が出るまでには2~3日かかります。採血して百日咳抗体を検査したり、回復期に再度血液検査が必要になる場合もあります。 *百日咳は全例保健所に報告します。

百日咳診断フローチャート

百日咳診断フローチャート

症状

  • 潜伏期間5~10日、最大3週間
  • 感染経路飛沫、接触感染
  • カタル期乾いた咳、くしゃみ、鼻水、微熱といった風邪症状
  • 痙咳期乾いた咳が連続した後、「こんこん、ヒュー」と笛を吹くように聞こえる咳発作を起こす。
    咳は夜にひどく、眠れなかったり、咳で嘔吐したりする。
    2~3週間ほど続く。
  • 回復期激しい咳は軽減し、数週間で症状消失する。
    最終的に治癒するまで2~3ヵ月かかる。

はじめ、風邪のような症状が出て、頑固な咳が続き、次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となります。これは短い咳が断続的に出現するスタッカートと呼ばれる特徴的なもので、続いて息を吸った際に笛を吹くようなヒューという音が出ます。
このような咳嗽発作を繰り返すことをレプリーゼと呼び、しばしば嘔吐を伴います。息をつめて咳をするので、顔面の静脈圧が上昇し、顔面浮腫、点状出血、眼球結膜出血、鼻出血といった症状を呈すこともあります。
発熱はなく、あっても微熱程度。症状はカタル期・痙咳期(咳発作期)・回復期の3つの経過をたどります。

治療

百日咳菌に有効な抗菌薬と咳止めを使用します。生後6か月以上の患者には、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系の抗菌薬で、これらは特にカタル期で有効です。新生児ではアジスロマイシン(ジスロマック)での治療が推奨されています。
6か月未満の赤ちゃんでは、呼吸困難の症状が強い場合や、嘔吐を繰り返すなどといった場合には、入院して治療が必要になります。