- 男性が知っておきたい主な性病(性感染症)8種類の特徴と症状
- 種類ごとの病原体・症状・潜伏期間の目安を一覧表でまとめて確認できる
- 男女で症状のあらわれ方が違い、無症状のまま進むことがある理由
- 早めの検査とパートナー同時治療がなぜ欠かせないのか
男性が知っておきたい性病(性感染症)とは
性病(性感染症)とは、性的な接触を通じてうつる病気の総称です。細菌・ウイルス・原虫など、原因となる病原体はさまざまです。
英語の頭文字からSTD、あるいはSTIとも呼ばれます。性器だけでなく、のどや肛門など複数の部位に起こる点が特徴です。
男性の場合、排尿時の痛みや分泌物で気づくことがあります。一方で、自覚症状がまったく出ないまま進む種類も少なくありません。私が診察でお話を伺っていても、「パートナーの検査ではじめて指摘された」という方は珍しくないのが実情です。
だからこそ、症状の有無だけで判断せず、心当たりがあれば早めに検査を受けてください。早期に見つかれば、体への負担もパートナーへの影響も抑えやすくなります。
主な性病(性感染症)の種類一覧【早見表】
まずは代表的な性病を、病原体・男性の主な症状・潜伏期間の目安で整理します。全体像をつかむための早見表として活用してください。
下の数値はあくまで一般的な目安であり、実際の症状の出方や時期には大きな個人差があります。潜伏期間を過ぎても症状が出ない場合もあるため、参考程度にご覧ください。
| 性感染症 | 主な病原体 | 男性の主な症状 | 潜伏期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 性器クラミジア感染症 | 細菌(クラミジア) | 軽い排尿痛、尿道の違和感、分泌物。無症状も多い | 1〜3週間ほど |
| 淋菌感染症(淋病) | 細菌(淋菌) | 強い排尿痛、膿のような分泌物 | 数日〜1週間ほど |
| 梅毒 | 細菌(梅毒トレポネーマ) | 感染部位のしこりや潰瘍、時間をおいて全身の発疹 | 数週間ほど |
| 性器ヘルペス | ウイルス(単純ヘルペス) | 水ぶくれ、ただれ、痛み。再発を繰り返しやすい | 数日〜1週間ほど |
| 尖圭コンジローマ | ウイルス(HPV) | 陰部のイボ。痛みやかゆみは乏しいことも | 数週間〜数か月 |
| トリコモナス症 | 原虫(トリコモナス) | 排尿時の違和感。無症状のことが多い | 個人差が大きい |
| マイコプラズマ・ウレアプラズマ | 細菌に近い微生物 | 軽い尿道の違和感。無症状も多い | 1〜5週間ほど |
| HIV感染症 | ウイルス(HIV) | 初期に発熱など風邪に似た症状。その後は無症状の時期が続く | 初期症状は数週間後のことがある |
数だけを見ると身構えてしまうかもしれません。しかし、多くの性病は早期に見つけて適切な対応をとれば、落ち着いて向き合える病気です。
各性病(性感染症)の特徴と症状
ここからは、代表的な性病を1つずつ見ていきます。それぞれの詳しい解説は、当院の疾患ページもあわせてご覧ください。
性器クラミジア感染症
クラミジアは、日本で報告数の多い性感染症のひとつです。男性では尿道炎として、軽い排尿痛や尿道の違和感、少量の分泌物があらわれることがあります。
症状が軽く、気づかないまま経過する方も多いとされています。放置すると精巣上体炎など、ほかの炎症につながる場合もあるため注意が必要です。詳しくは性器クラミジア感染症のページで解説しています。
淋菌感染症(淋病)
淋菌感染症は、クラミジアより潜伏期間が短く、症状がはっきり出やすい傾向があります。男性では、強い排尿痛と膿のような分泌物が代表的なサインです。
クラミジアと同時に感染しているケースもみられます。症状がつらいと受診のきっかけになりやすい一方、のどの感染では気づきにくいことも。詳細は淋菌感染症のページをご確認ください。
梅毒
梅毒は近年、報告数が増えている性感染症として知られています。感染した部位に痛みの少ないしこりや潰瘍ができ、時間をおいて全身に発疹が広がることがあります。
症状が一時的に消えても、体の中では進行している場合があります。段階によって現れ方が変わるため、自己判断は禁物です。梅毒のページで経過の特徴を紹介しています。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって水ぶくれやただれ、痛みが起こる病気です。一度感染するとウイルスが体内にとどまり、体調によって再発を繰り返しやすい性質があります。
再発時は初回より症状が軽いことが多いとされています。薬でウイルスの増殖を抑える対応が中心。詳しくは性器ヘルペスのページをご覧ください。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって陰部にイボができる病気です。痛みやかゆみが乏しいため、見た目の変化で気づく方が多くいらっしゃいます。
病変が消えてもウイルスが残り、再発することがあります。放置せず早めに相談してください。尖圭コンジローマのページで治療の考え方を解説しています。
トリコモナス症・マイコプラズマ・ウレアプラズマ
これらは、症状が軽い、または無症状のことが多い性感染症です。男性では、わずかな尿道の違和感や排尿時の不快感にとどまる場合があります。
ほかの性感染症と重複して感染することも少なくありません。心当たりがあるときは、トリコモナス症のページやマイコプラズマ・ウレアプラズマのページもあわせてご確認ください。
HIV感染症
HIVは、免疫の働きに関わるウイルスです。感染初期に発熱や倦怠感など風邪に似た症状が出ることがあり、その後は自覚症状の乏しい時期が長く続くとされています。
早い段階で見つけて医療につながれば、体調を保ちながら生活を続けやすくなっています。症状がないからと油断せず、検査で状態を確かめることが安心につながります。
男女で異なる症状と「無症状」の落とし穴
同じ性感染症でも、男性と女性では症状のあらわれ方が異なります。この違いを知っておくと、見逃しを防ぎやすくなります。
一般に男性は排尿の症状で気づきやすく、女性は無症状のまま進むことが多いとされています。次の表に、代表的な傾向を整理しました。
| 観点 | 男性で目立ちやすいこと | 女性で目立ちやすいこと |
|---|---|---|
| 自覚症状 | 排尿時の痛みや分泌物で気づくことがある | 症状が乏しく、無症状のまま進みやすい |
| 気づきにくさ | 症状が軽いと見過ごしやすい | 体の内部の炎症に気づきにくい |
| 放置したときの影響 | 精巣上体炎や前立腺炎につながることがある | 骨盤内の炎症や不妊の要因になることがある |
| 性器以外の部位 | オーラルセックスでのどに感染することがある | 同様にのどや複数部位に感染することがある |
無症状であっても、感染していればパートナーへうつす可能性は残ります。「症状がないから大丈夫」という思い込みが、感染を広げてしまう落とし穴です。
のどへの感染は、性器の症状がなくても起こり得ます。オーラルセックスの機会があった場合は、その点も念頭に置いてください。
パートナーの同時検査・同時治療が欠かせない理由
性感染症は、自分だけ治療してもパートナーが感染したままだと再びうつり合うことがあります。だからこそ、パートナーとそろって検査と治療を受けることが基本です。
片方だけ治療を終えても、もう一方に感染が残っていれば、性交渉のたびに感染を繰り返すおそれがあります。この状態は「ピンポン感染」と呼ばれます。
気まずさを感じる方もいらっしゃいますが、二人で向き合うことが、結果的にいちばんの近道です。同時に検査し、必要なら同時に治療を進めてください。
当院では、男女ともに診療しています。女性の検体採取は女性看護師が担当し、プライバシーに配慮した体制を整えています。
検査・受診の目安と当院でできること
次のような場合は、早めに泌尿器科や性感染症の診療科を受診してください。迷ったときは、まず相談から始めるだけでも構いません。
- 排尿時の痛みや、尿道からの分泌物がある
- 陰部にしこり・イボ・水ぶくれ・ただれができた
- 不特定または新しい相手との性交渉に心当たりがある
- パートナーが性感染症と診断された
症状がまったくなくても、心当たりがあれば検査を受けて確かめておくと安心です。早期に見つかるほど、体への負担も周囲への影響も抑えやすくなります。
当院では、秘匿性に配慮し、自費での匿名診療にも対応しています。周囲に知られたくないという不安にも寄り添いながら診療を行います。私自身、受診をためらっていたものの来てよかったと話してくださる方に、これまで何度もお会いしてきました。
あわせて、性感染症の予防に用いられるDoxy PEPやPrEPといった予防薬の取り扱いもあります。予防に関心のある方は、性感染症予防薬のページもご覧ください。通院の時間がとりにくい方には、オンライン診療もご利用いただけます。
性病の不安を一人で抱え込み、パートナーや家族、職場に知られたくないと感じる方は少なくありません。検査を受けるまでは怖かったけれど、結果を聞いて気持ちが楽になった、もっと早く受ければよかった、という声も聞かれます。一方で、「症状がないから大丈夫」と思い込んで受診が遅れたり、自分の症状を画像と見比べてかえって不安が募ったりする方もいらっしゃいます。自己判断で抱え込まず、まずは相談から始めてみてください。
よくある質問
性病(性感染症)について、患者さんからよく寄せられる質問をまとめました。受診前の確認にお役立てください。
Q. 症状が何もなくても性病に感染していることはありますか?
A. あります。クラミジアやトリコモナス、HIVなど、無症状のまま経過する性感染症は少なくありません。症状がないからといって感染していないとは限らないため、心当たりがあるときは検査で確かめてください。
Q. 男性と女性で症状は違いますか?
A. 違います。男性は排尿時の痛みや分泌物で気づきやすい一方、女性は自覚症状が乏しく、無症状のまま進むことが多いとされています。どちらの場合も、パートナーとそろって検査を受けると安心です。
Q. 性器に症状がなければ、のどの検査は不要ですか?
A. 必ずしもそうとは言えません。オーラルセックスの機会があった場合、のどに感染していても性器に症状が出ないことがあります。心配な場合は、のどの検査についても医師にご相談ください。
Q. 潜伏期間を過ぎればもう感染していないと考えてよいですか?
A. そうとは限りません。潜伏期間はあくまで目安で、過ぎても症状が出ない場合や、検査で適切に調べる時期が病原体ごとに異なる場合があります。受診の際に、いつ検査を受けるとよいか医師に確認してください。
Q. パートナーも一緒に検査を受けるべきですか?
A. はい、そろって受けることをおすすめできる状況です。片方だけ治療しても、もう一方に感染が残っていると再びうつり合うことがあります。二人で同時に検査・治療を進めると、感染の繰り返しを防ぎやすくなります。
Q. 周囲に知られずに検査・治療を受けられますか?
A. 当院では秘匿性に配慮し、自費での匿名診療にも対応しています。周囲に知られたくないという不安を感じる方も、安心してご相談ください。オンライン診療もご利用いただけます。
Q. 受診が恥ずかしくてためらってしまいます。それでも大丈夫でしょうか?
A. ためらう気持ちは自然なものです。性感染症は、性交渉の経験があれば誰にでも起こり得ます。恥ずかしさから受診が遅れるより、早めに確かめておくほうがご自身にもパートナーにも安心につながります。当院はプライバシーに配慮した体制を整えていますので、どうぞ気負わずお越しください。
Q. 検査を受けてから結果が出るまで不安です。どのくらいで分かりますか?
A. 結果が分かるまでの時間は、検査する項目や方法によって異なります。待つあいだは落ち着かないものですが、結果が出る時期の目安は受診時に医師へご確認ください。不安が続くときは、そのお気持ちも含めて遠慮なくご相談ください。
性病(性感染症)は種類が多く、症状のあらわれ方もさまざまです。無症状のこともあるため、心当たりがあれば自己判断で放置せず、泌尿器科を受診してください。公的な医療情報は厚生労働省のサイトなども参考になります。
畠中 聡(ヒロクリニックなんば心斎橋院 院長/日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医)