最近なんとなく体がだるい、やる気が出ない、性欲が落ちた。40代以降の男性に増えるこうした不調は、男性更年期障害(LOH症候群)が関係していることがあります。女性の更年期と同じく、男性にも男性ホルモンの低下による心身の変化が起こります。この記事では、症状の見分け方から原因、セルフチェックの考え方、治療やセルフケアの選択肢までを、泌尿器科の視点でわかりやすくお伝えします。
- 男性更年期障害(LOH症候群)とはどのような状態か
- 倦怠感・性欲低下・EDなど代表的な症状
- 原因となるテストステロン低下とストレスの関係
- セルフチェックの考え方と、治療・セルフケアの選択肢
男性更年期障害(LOH症候群)とは
男性更年期障害とは、加齢による男性ホルモンの低下が背景にある、心身の不調の総称です。医学的にはLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症)と呼ばれます。
女性の更年期が閉経前後の数年に集中するのに対し、男性の変化はゆるやかに進みます。そのため不調に気づきにくく、年齢や疲れのせいと片づけてしまう方も少なくありません。
発症しやすいのは40代から60代の男性です。仕事の責任が重く、ストレスを抱えやすい世代。診療の現場でも、真面目に働く方ほど症状を我慢しがちだと感じます。
男性更年期障害は、決して珍しいものではありません。近年は泌尿器科に専門の外来を設ける医療機関も増えています。気力の低下や不眠が続くとき、背景にホルモンの変化が隠れていることもあります。
男性更年期障害に多い症状
男性更年期障害の症状は、体・心・性機能の3つの領域にまたがって現れます。一つだけでなく、複数が重なって出るのが特徴です。
代表的な症状を領域ごとに整理しました。
| 領域 | 主な症状 |
|---|---|
| 身体の症状 | 倦怠感、疲れやすさ、のぼせや発汗、寝つきの悪さ、筋力の低下 |
| 精神の症状 | 気分の落ち込み、意欲の低下、集中力の低下、イライラ |
| 性機能の症状 | 性欲の低下、勃起機能の低下(ED) |
仕事の集中力が落ちた、休んでも疲れが取れない。こうした変化が続くと、日常や仕事にも影響します。単なる疲れと区別しにくいからこそ、経過を見て相談先を考えることが役立ちます。
これらの症状は、うつ病や甲状腺の病気など、ほかの疾患でも起こります。自己判断で決めつけず、気になる状態が続くときは医療機関で相談してください。
原因は男性ホルモン(テストステロン)の低下
男性更年期障害の中心にあるのは、テストステロン(男性ホルモン)の低下です。テストステロンは筋肉や骨、意欲、性機能を支えるホルモンになります。
分泌量は若い頃をピークに、加齢とともにゆるやかに減っていきます。減り方には個人差が大きく、同じ年齢でも状態に差が出ます。
低下に拍車をかけるのがストレスや睡眠不足、肥満、運動不足といった生活習慣です。過度なストレスはホルモンのバランスを乱す一因と考えられています。
テストステロンは、気力や判断力の維持にも関わるとされています。だからこそ低下すると、体だけでなく心の面にも影響が出やすくなります。生活を整えることが、ホルモンを守る第一歩になります。
性欲の低下やEDも、テストステロンの低下と関わることがあります。体と性機能の変化が同時に出る場合、一度その背景を確認すると安心につながります。
当院にも「大きな仕事のあとから一気に不調が出た」という相談が寄せられます。加齢だけでなく、環境の変化が引き金になることもあります。
セルフチェックと医療機関での診断
気になる症状が続くときは、セルフチェックで傾向をつかみ、医療機関の検査につなげる流れが基本です。まずは自分の状態を客観的に振り返ってみましょう。
セルフチェックにはAMS問診票(加齢男性の症状を尋ねる質問票)などが使われます。心身や性機能に関する質問に答えて、症状の程度を大まかに把握する目的の問診票です。ただし点数だけで診断が確定するものではありません。あくまで受診のきっかけととらえてください。
医療機関では、問診に加えて血液検査でテストステロン値を測定します。値の評価には診療の手引きで示された基準が用いられ、症状とあわせて医師が総合的に判断します。数値の見方は人によって異なるため、結果は必ず医師の説明を受けてください。
はじめての受診でも、特別な準備は必要ありません。いつからどんな症状があるかをメモしておくと、問診がスムーズです。服用中の薬や持病があれば、あわせて伝えてください。
検査の結果は、その日に分かるものと後日になるものがあります。医療機関によって流れが異なるため、事前に確認しておくと落ち着いて臨めます。
気になる症状はオンラインで相談できます
オンライン診療はこちら お電話: 06-6226-8631
男性更年期障害の治療法
男性更年期障害の治療は、生活習慣の改善を土台に、症状に応じて薬物療法を組み合わせるのが一般的です。どれを選ぶかは、検査結果や症状、体の状態によって医師が判断します。
主な選択肢を整理しました。
| 治療の選択肢 | 概要 |
|---|---|
| 生活習慣の改善 | 運動・食事・睡眠・ストレス対策を見直す土台となる取り組み |
| 漢方薬 | 体質や症状に合わせて用いられることがある |
| テストステロン補充療法 | 不足した男性ホルモンを補う方法。日本では注射が中心 |
| ED治療薬 | 勃起機能の低下が強い場合に併用を検討する |
補充療法は誰にでも行えるわけではありません。前立腺がんなどがある場合は受けられないことがあり、治療前に検査が必要です。効果や副作用には個人差があるため、医師と相談しながら進めてください。
軽い症状であれば、生活習慣の見直しだけで楽になる方もいます。まずは土台を整え、必要に応じて薬物療法を検討する流れが、無理のない進め方です。
注射による補充療法では、数週間ごとに通院して男性ホルモンを補います。開始後は、体調や検査値を確認しながら継続の可否を判断します。自己判断で中断せず、経過を医師と共有してください。
性欲低下やEDだけが目立つ場合もあります。ED診療とLOH症候群は重なる部分が多く、あわせて評価することが大切です。当院ではオンライン診療でも相談を受け付けています。
食事・運動でできるセルフケア
毎日の食事と運動を整えることは、テストステロンを支える基本のセルフケアです。特別なことより、続けられる習慣の積み重ね。この視点が役立ちます。
食事では、タンパク質と亜鉛を意識してください。肉や魚、卵、大豆製品、牡蠣などに多く含まれます。栄養が偏ると、体づくりの土台が崩れやすくなります。
反対に、暴飲暴食や極端な糖質のとりすぎは、肥満を通じてホルモンに影響します。バランスのよい食事を、腹八分目で続ける意識が役立ちます。
運動では、次のような取り組みが取り入れやすいです。
- スクワットなど筋肉に負荷をかける筋力トレーニング
- ウォーキングや軽いジョギングといった有酸素運動
- 質のよい睡眠を確保する生活リズムづくり
無理な負荷は、かえって体の負担になります。週に数回、軽めから始めてみてください。あわせて、ストレスをためこまない工夫や節酒・禁煙も、心身の安定につながります。
睡眠も、ホルモンの回復に欠かせない時間です。夜ふかしが続くと、日中の不調が抜けにくくなります。就寝前のスマホを控える、湯船につかるなど、小さな工夫から整えてみてください。
よくある質問
Q1. 男性更年期障害は何歳くらいから起こりますか?
一般的に40代以降に増えるとされますが、30代でも生活習慣やストレスの影響で不調が出ることがあります。年齢だけで判断せず、症状が続くかどうかを目安にしてください。
Q2. 女性の更年期とどう違いますか?
女性は閉経前後にホルモンが急激に変化するのに対し、男性はゆるやかに低下します。そのため気づきにくく、不調が長引きやすい傾向があります。
Q3. セルフチェックだけで診断できますか?
問診票は傾向をつかむ目安であり、それだけで診断は確定しません。血液検査などをふまえて医師が総合的に判断します。気になる場合は受診してください。
Q4. テストステロン補充療法は誰でも受けられますか?
前立腺の病気などがある場合は受けられないことがあります。事前の検査で適応を確認します。効果や副作用には個人差があるため、医師とよく相談してください。
Q5. EDも男性更年期障害と関係しますか?
性欲低下やEDは代表的な症状の一つで、テストステロンの低下と関わることがあります。ED診療とあわせて評価することが大切です。
Q6. 忙しくて通院が難しいのですが、どうすればよいですか?
オンライン診療を利用すれば、自宅から相談や経過の確認ができる場合があります。まずは気軽にご相談ください。
まとめ
体のだるさや意欲の低下、性機能の変化は、年齢のせいと我慢してしまいがちです。けれど男性更年期障害は、適切なケアで生活の質を取り戻せる可能性があります。
一人で抱え込まず、まずは専門家への相談が第一歩。ヒロクリニックなんば心斎橋院ではオンライン診療にも対応しています。気になる症状があれば、お気軽にお問い合わせください。
男性更年期障害かもしれないと感じたら
オンライン診療はこちら お電話: 06-6226-8631
畠中 聡(ヒロクリニックなんば心斎橋院 院長/日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医)
参考情報
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療を保証するものではありません。症状の程度や適切な治療は個人差があります。気になる症状がある場合は、必ず医療機関で医師の診察を受けてください。