この記事でわかること

  • 排尿痛・尿道からの膿・かゆみといった、男性の尿道炎に多い症状
  • 淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎の違いと、見分けの考え方
  • クラミジアやマイコプラズマなど、非淋菌性の原因と性感染症以外の原因
  • 尿PCR検査・治療・パートナー同時治療の流れと、放置したときのリスク

男性の尿道炎とはどんな病気か

尿道炎とは、尿の通り道である尿道に炎症が起こり、排尿痛や分泌物があらわれる状態です。男性に多く相談が寄せられる病気のひとつです。

尿道は、膀胱にたまった尿を体の外へ運ぶ管を指します。男性は尿道が長いぶん、炎症の場所によって症状の出方が変わります。

多くは性行為を通じて病原体が入り込む性感染症として起こります。ただし、性感染症以外の原因で炎症が生じることもあります。

私が診察でお話を伺うと、「排尿のときにしみる」「下着に分泌物がつく」と気づいて来院される方が少なくありません。早く相談されるほど、原因の見きわめもスムーズになります。

男性の尿道炎の主な症状

主な症状は、排尿時の痛み・尿道からの分泌物・尿道口のかゆみや違和感です。原因となる病原体によって、強さや出方が変わります。

とくに気づきやすいのが、排尿の途中や排尿後に感じるヒリヒリした痛みです。下着の内側に分泌物がついて、初めて異変に気づく方もいます。

代表的な症状を、下の表に整理しました。複数が重なることもあれば、ひとつだけが目立つこともあります。

分類 あらわれやすい症状
排尿の症状 排尿痛、排尿時のしみる感じ、頻尿、残尿感
分泌物 尿道からの膿、透明〜白っぽい分泌物、下着の汚れ
尿道口の症状 かゆみ、むずむず感、赤み、違和感
そのほか 尿のにごり、症状が続くことによる不安

症状が軽い、あるいは自覚症状がほとんどないケースもあります。「痛くないから大丈夫」とは言い切れない点に注意してください。

近年は性行為の多様化にともない、尿道だけでなく、のどや直腸に感染がおよぶこともあります。この場合、尿道の症状が乏しいまま経過することもあります。

気になる症状が数日続くときは、市販薬で様子を見るより、泌尿器科で原因を確かめるほうが安心です。

淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎の違い

男性の尿道炎は、淋菌が原因の「淋菌性」と、それ以外が原因の「非淋菌性」に大きく分けられます。まず、この二つの違いを押さえてください。

淋菌性は症状が強く出やすく、非淋菌性は比較的おだやかに経過しやすい傾向があります。ただし、症状だけで確実に見分けることはできません。

おおまかな傾向を、下の比較表にまとめました。あくまで一般的な目安であり、実際には個人差があります。

項目 淋菌性尿道炎 非淋菌性尿道炎
主な原因 淋菌 クラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマなど
潜伏期間の目安 おおむね2〜7日と短め おおむね1〜3週間とやや長め
排尿痛 強く出やすい 軽い、または気づきにくい
分泌物 黄白色の膿が多め 透明〜白っぽく少量のことが多い
治療の中心 注射(点滴)による抗菌薬が選ばれやすい 内服の抗菌薬が中心

淋菌性の詳しい症状や経過は、淋菌感染症(淋病)のページでも解説しています。強い排尿痛と多めの膿が特徴です。

両方の病原体に同時に感染していることもあります。そのため、片方だけを想定した自己判断は避けたほうが安全です。

非淋菌性尿道炎を起こす主な病原体

非淋菌性尿道炎の代表はクラミジアで、マイコプラズマ・ウレアプラズマ・トリコモナスなども原因になります。それぞれ特徴が異なります。

これらは症状が軽く、感染に気づかないまま経過することがあります。知らないうちにパートナーへうつしてしまう背景にもなります。

病原体 特徴
クラミジア 非淋菌性で最も多い原因のひとつ。症状が軽く自覚しにくい
マイコプラズマ・ウレアプラズマ 症状が軽い、または無症状のことがある。検査で確認する
トリコモナス 原虫による感染。かゆみや違和感を伴うことがある

クラミジアについては性器クラミジア感染症のページ、マイコプラズマ・ウレアプラズマはマイコプラズマ/ウレアプラズマ感染症のページで詳しく触れています。

原虫が関わるタイプは、トリコモナス感染症のページをあわせて確認してください。原因によって効く薬が違うため、検査で病原体を特定する意味は大きいといえます。

性感染症以外で尿道炎が起こる原因

尿道炎は性感染症だけでなく、過度な刺激や雑菌の侵入などで起こることもあります。心当たりがない場合でも、炎症は生じ得ます。

たとえば、下着のこすれや強い自慰による物理的な刺激、器具の使用などが引き金になる場合があります。皮膚と同じように、尿道の粘膜も刺激に弱い部分。

また、体調をくずして抵抗力が下がったときに、もともと体にいる雑菌が尿道で増えることもあります。まれに、石けんや洗浄液の刺激が関わることもあります。

ただし、性感染症かどうかを見た目だけで区別することはできません。原因を思い込みで決めつけず、検査で確かめてください。

排尿痛や尿道の分泌物が気になる方へ。まずはご相談ください。

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尿道炎の検査と治療

検査は尿を用いたPCR検査が中心で、特定した病原体に合わせて抗菌薬で治療します。原因に合った薬を選ぶことが回復への近道です。

尿PCR検査で原因を調べる

尿PCR検査は、採取した尿から病原体の遺伝子を調べる方法です。淋菌やクラミジアなどを高い精度で確認できます。

検査の前は、一定時間おしっこを我慢してから採尿するようご案内することが多いです。症状が軽くても、原因の特定には検査が欠かせません。当院では秘匿性に配慮し、自費や匿名での診療にも対応しています。

のどや直腸への感染が疑われる場合は、採尿だけでなく、その部位のぬぐい液を調べることもあります。感染した場所に合わせて検査を選ぶことで、見落としを防ぎやすくなります。

治療とパートナー同時治療

治療は、原因となる病原体に効く抗菌薬を用います。淋菌性では注射(点滴)が、非淋菌性では内服薬が選ばれることが多い傾向です。

大切なのは、症状が消えても自己判断で薬をやめないことです。指示された分をきちんと飲みきることで、再発や耐性のリスクを抑えやすくなります。

もうひとつ欠かせないのが、パートナーの同時治療です。片方だけ治しても、性行為を通じてお互いにうつし合う「ピンポン感染」が起こりやすいためです。心当たりがあるときは、パートナーにも検査をすすめてください。

感染予防の考え方については、性病予防薬のページもあわせて参考になります。予防と早期の受診を組み合わせることが安心につながります。

尿道炎を放置するとどうなるか・受診の目安

放置すると炎症が奥へ広がり、精巣上体炎などにつながるおそれがあるため、早めの受診が安心です。症状が軽くても油断はできません。

男性では、炎症が精巣の近くまで及ぶと、陰のうの腫れや痛み、発熱があらわれることがあります。長引く感染が、将来の妊よう性に影響する可能性も指摘されています。

次のような場合は、様子見を続けずに泌尿器科へご相談ください。

  • 排尿時の痛みや、尿道からの分泌物が続いている
  • 尿道口のかゆみ・違和感がおさまらない
  • 陰のうの腫れや痛み、発熱を伴う
  • パートナーが性感染症と診断された

「恥ずかしい」「そのうち治るだろう」と受診をためらう方もいます。しかし、早く相談されるほど治療の選択肢は広がります。当院はオンライン診療にも対応しているため、通院しづらい方もご利用いただけます。

実際の声・体験

「排尿のときに尿道(竿)がしみるように痛む」「下着に膿がついていて不安になった」という声は少なくありません。その一方で、痛みや自覚症状がほとんどないまま炎症が続いていて、検査で初めて気づいたというケースもあると聞きます。心当たりがあって受診したところ原因がはっきりし、治療につながって安心できた、という体験も見られます。市販薬や自己判断で様子を見て長引かせるより、早めに検査で淋菌性か非淋菌性かを確かめてよかった、と振り返る方が多いようです。

私自身、診察の場では「これくらいで受診してよいのか」と迷いながら来られる方を数多く拝見しますが、早めにご相談いただくほど原因の見きわめも治療もスムーズに進むと感じています。

よくある質問

男性の尿道炎について、患者さんからよく寄せられる質問をまとめました。受診前の不安の整理にお役立てください。

Q. 尿道炎は自然に治りますか?

A. 軽い刺激による炎症が落ち着くこともありますが、性感染症が原因の場合は自然に治るとは限りません。淋菌やクラミジアは、放置すると炎症が広がることがあります。症状が続くときは、自己判断せず泌尿器科で検査を受けてください。

Q. 症状が軽くても検査は必要ですか?

A. 必要です。非淋菌性尿道炎は症状が軽い、または無症状のこともあります。自覚がないまま感染が続くと、パートナーへうつす原因にもなります。心当たりがあれば、症状の強さにかかわらず検査を検討してください。

Q. 淋菌性と非淋菌性は症状で見分けられますか?

A. 傾向の違いはありますが、症状だけで確実に区別することはできません。両方に同時に感染していることもあります。どちらか、あるいは両方かを確かめるには、尿PCR検査などで病原体を特定する必要があります。

Q. パートナーも受診したほうがよいですか?

A. はい、同時に検査・治療を受けることをご検討ください。片方だけ治しても、性行為を通じてお互いにうつし合う「ピンポン感染」が起こりやすいためです。パートナーに症状がなくても、感染していることがあります。

Q. 性行為をしていなくても尿道炎になりますか?

A. なることがあります。過度な刺激や雑菌の侵入など、性感染症以外の原因でも炎症は起こります。ただし、見た目だけで原因を区別するのは難しいため、まずは検査で確かめると安心です。

Q. 治療期間はどのくらいですか?

A. 原因や状態によって幅があり、一概には言えません。抗菌薬の内服や注射で対応することが一般的ですが、経過には個人差があります。症状が消えても薬を途中でやめず、医師の指示に沿って治療を続けてください。

Q. 市販薬で治療しても問題ありませんか?

A. 原因に合った薬でないと、十分な効果が得られないことがあります。尿道炎は淋菌性か非淋菌性かによって選ぶ抗菌薬が異なり、市販薬だけでは原因菌に合わないことも少なくありません。自己判断で様子を見るうちに症状が長引いたり、炎症が奥へ広がったりすることもあります。不安なときは、まず検査で原因を確かめてから治療を始めてください。

Q. 受診が恥ずかしいのですが、配慮してもらえますか?

A. ご安心ください。泌尿器科では、デリケートな症状のご相談を日常的にお受けしています。当院では秘匿性に配慮し、自費や匿名での診療、オンライン診療にも対応しています。恥ずかしさから受診をためらう間に症状が長引くこともあります。無理のない方法で構いませんので、気になるときはご相談ください。

排尿痛・尿道の膿・かゆみが気になる方は、お早めにご相談ください。

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ご予約・お問い合わせ:TEL 06-6226-8631

男性の尿道炎は、原因を見きわめて適切に治療すれば、落ち着いていくことが多い病気です。気になる症状は自己判断で放置せず、泌尿器科を受診してください。性感染症に関する公的な情報は厚生労働省のサイトなども参考になります。

監修医師

畠中 聡(ヒロクリニックなんば心斎橋院 院長/日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医)