この記事の概要
「最近、髪が薄くなってきたみたい」「治療すべきかな…」
そんな言葉を、大切なパートナーやご家族から聞いたことはありませんか?
多くの男性が年齢とともに経験する「AGA(男性型脱毛症)」は、見た目の悩みだけでなく、自信や気持ちのあり方にも大きく影響します。心配する側としては、「何が原因で、どうすればいいのか?」をしっかり知っておきたいところ。
本記事では、AGAの主な原因のひとつであるテストステロンとその代謝産物DHT(ジヒドロテストステロン)の関係を中心に、ホルモンバランスが「はげ」にどう関わっているのか、そしてその対処法までを丁寧に解説していきます。
第1章 AGA(男性型脱毛症)とは?
1-1. AGAの定義と特徴
AGA(Androgenetic Alopecia)とは、男性に多く見られる進行性の脱毛症です。多くの場合、
- 額の生え際が後退する(M字ハゲ)
- 頭頂部が薄くなる(O字ハゲ)
といった形で徐々に進行し、年齢とともに悪化していきます。
1-2. AGAの主な原因
AGAは以下の3つの要素に強く影響されます
- ホルモンバランス(特にDHT)
- 遺伝的要因
- 生活習慣やストレス
なかでも中心的な役割を担っているのが、テストステロンとその代謝物DHTです。
第2章 テストステロンとDHTの働き
2-1. テストステロンとは?
テストステロンは、男性らしさを形成する男性ホルモンの代表格。以下の働きを担っています
- 筋肉や骨を強くする
- 性欲や活力を保つ
- 体毛(ひげ・胸毛・すね毛など)を発達させる
髪の成長にも関与していますが、直接的な脱毛の原因ではありません。
2-2. 問題は「DHT」にあり
テストステロンの一部は、5α-リダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されます。
このDHTが、毛根(毛包)に悪影響を与えることで、髪の寿命を短くし、はげの進行を招くのです。
📚 エビデンス
“Androgen metabolism and alopecia.” Dermatologic Clinics, 2021
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33213798
第3章 DHTが髪に与える具体的な影響
3-1. 毛包がDHTに反応すると…
DHTが毛包に作用すると、以下の変化が起こります
| 健康な毛包 | DHTの影響を受けた毛包 |
|---|---|
| 太く長い髪を育てる | 細く短い髪しか育てられなくなる |
| 成長期が長い | 成長期が短く、すぐに抜ける |
| 新しい髪を繰り返し作る | 休止期が長く、新しい髪が生えづらい |
つまり、髪の成長サイクルが乱れ、「産毛のような毛」が増えることがAGAの正体なのです。
第4章 AGAとホルモンバランスの関係
4-1. なぜDHTに敏感な人がいるの?
AGAが発症するかどうかは、毛包がDHTに対してどれだけ敏感かで決まります。そしてその感受性は、遺伝によって決まることがほとんどです。
両親や祖父母に薄毛の人が多い場合、DHTに反応しやすい体質を受け継いでいる可能性が高いのです。
📚 エビデンス
“The genetics of androgenetic alopecia.” Clinical Genetics, 2020
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32364260
第5章 AGAの進行を防ぐには?
5-1. 5α-リダクターゼ阻害薬(内服薬)
DHTの生成を抑える治療法が、AGA治療の中心です。主な薬には以下の2種類があります
これらの薬を継続して服用することで、DHTの作用をブロックし、髪の成長を守ることができます。
📚 エビデンス
“Finasteride in the treatment of AGA” Journal of the American Academy of Dermatology, 1999
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11359389
5-2. ミノキシジル(外用薬)
血流を改善し、毛包に栄養と酸素を送りやすくすることで、髪の成長を促進します。DHTを抑えるわけではありませんが、内服薬と併用することで相乗効果が期待できます。
5-3. 生活習慣の見直しも重要
- 栄養バランス:ビタミンB群、亜鉛、たんぱく質などを意識
- 睡眠:深夜0時~2時は髪の成長ホルモンが活発に
- ストレス管理:ストレスがDHT生成を促進することも
📚 エビデンス
“Impact of psychological stress on hair loss.” Journal of Dermatological Science, 2018
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29477491
第6章 ホルモンと付き合いながら「はげ」を防ぐ心構え
6-1. テストステロン=悪者ではない
勘違いしやすいのが、「テストステロンが多いからはげる」という誤解。実際には、テストステロンの量よりも、DHTへの変換量や感受性が問題です。テストステロン自体は健康維持にも欠かせないホルモンです。
6-2. 早期発見・早期治療がカギ
AGAは「進行性」ですが、早めに対応することで進行を食い止め、改善も可能です。
髪のことで悩んでいる様子が見えたら、優しく話を聞き、専門医の受診を勧めることも大切なサポートです。
第7章 大切な人のためにできること
7-1. サポートのポイント
- 「気になるなら、一緒に病院に行ってみようか」と寄り添う声かけ
- 飲み薬・外用薬の管理をサポート(リマインダー設定など)
- 食生活の見直しやストレス解消を一緒に取り組む
7-2. ヒロクリニックでのAGA治療
ヒロクリニックでは、AGA治療において、
- 個別のホルモン検査
- テストステロン・DHTバランスのチェック
- 最適な治療薬の提案(内服・外用)
- オンライン診療対応
を行っています。髪の悩みがある方にとって、心強い味方です。

まとめ テストステロンとうまく付き合えば、はげは怖くない
AGA(男性型脱毛症)は、テストステロンとDHTの関係、そしてホルモンバランスの崩れが原因で起こる症状です。しかし、適切な知識と治療法があれば、進行を抑え、髪の健康を守ることは十分に可能です。
大切な人が「薄毛で悩んでいる」ときは、原因を理解し、寄り添い、正しい情報に導いてあげることが最大のサポートになります。
✅ 参考文献・エビデンスリンク一覧
Stress and hair loss connection
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29477491
Androgen metabolism and alopecia
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33213798
The genetics of androgenetic alopecia
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32364260
Finasteride in the treatment of AGA
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11359389










