この記事の概要
顔の印象は「眉毛」と「まつ毛」で決まる――そう言っても過言ではありません。事故や病気、美容施術などで失われた毛は、もう元に戻らないと思っていませんか?実は今、医学の進歩により、自然な見た目を取り戻せる「外科的増毛」という選択肢が注目を集めています。本記事では、まつ毛・眉毛の再建手術について、初心者でもわかるようにやさしく、そして丁寧にご紹介します。
まつ毛と眉毛の外科的増毛 ― 自然な美しさを医学で取り戻す方法とは?

みなさんは、顔の印象にどのパーツが最も影響を与えると思いますか?目、鼻、口……どれも大切な要素ですが、実は「まつ毛」と「眉毛」も、私たちの見た目を大きく左右する非常に重要な部分なのです。ちょっと想像してみてください。もし眉毛がなかったら?まつ毛がすべて抜けてしまったら?顔全体のバランスが崩れ、鏡を見るたびに違和感や悲しみを感じてしまうかもしれません。
この記事では、そんな「まつ毛・眉毛が失われてしまった方」や「もっと理想的な形に整えたい方」に向けて、医学的な方法で自然な見た目を取り戻す外科的増毛(がいかてきぞうもう)について、わかりやすく、そしてちょっぴり楽しく解説していきます。専門用語もできるだけ噛み砕いて説明しますので、医学に詳しくない方もどうぞ安心して読み進めてくださいね。
そもそも、なぜまつ毛や眉毛が抜けてしまうの?

「まつ毛が少ない気がする」「眉毛の一部がなくなってる?」と気づいたとき、まず気になるのは「なぜ?」という原因ですよね。実は、まつ毛や眉毛が失われる理由にはいろんなケースがあります。ここでは主な原因をいくつかご紹介します。
ケガや事故などの外傷(がいしょう)
火傷(やけど)や交通事故、化学薬品の接触などによって、眉毛やまつ毛の生えていた皮膚そのものがダメージを受けると、その部分から毛が生えなくなってしまうことがあります。
病気による脱毛(だつもう)
身体の病気(全身性疾患)や皮膚の病気(局所的な皮膚炎など)も、まつ毛や眉毛の毛根に影響を与え、自然に抜け落ちてしまうことがあります。
生まれつき毛が生えてこない
まれではありますが、生まれつき眉毛やまつ毛がほとんど、またはまったく生えてこない「先天性欠損(せんてんせいけっそん)」という状態も存在します。
美容整形や脱毛の影響
眉毛の形を整えるために受けた美容整形や、過度な脱毛処理が原因で、毛根にダメージが入り、永久的に毛が生えてこなくなる場合もあります。
心の問題が関係する「抜毛症(ばつもうしょう/トリコチロマニア)」
ストレスや不安などから、自分で無意識にまつ毛や眉毛を引き抜いてしまう癖がついてしまう病気が「抜毛症(trichotillomania)」です。クセとはいえ、立派な精神疾患の一つとして扱われ、治療が必要です。
放射線治療や抗がん剤などの医療的副作用
がんの治療などで使われる放射線や抗がん剤は、全身の毛に影響を与えることがあり、まつ毛や眉毛も一時的、あるいは永久的に失われてしまうことがあります。
これらの原因によって、まつ毛や眉毛が減ったり、完全になくなったりすることがありますが、医学的な治療や再建手術によって、再び自然な見た目を取り戻すことができる可能性があるのです。
まつ毛や眉毛の再建手術を受ける前に知っておきたいこと
手術に進む前に、まず大切なのは原因の特定です。たとえば、皮膚の病気が進行中のままでは、せっかく植えた毛もすぐに抜けてしまいます。また、抜毛症がコントロールできていない場合も、移植した毛が再び抜かれてしまう恐れがあります。
さらに、火傷や事故でできた「瘢痕(はんこん)組織」、つまり傷あとが残っている場合は、その部分に毛を植えるのが難しいこともあります。その場合はまず、皮膚の状態を整えるための再建外科手術からスタートすることになります。
美容目的の増毛もOK!理想の眉毛に近づける方法
「もっと太く整った眉毛にしたい」「アーチ形の美しい眉になりたい」など、美容的な目的で眉毛の増毛を希望する方も年々増えています。こうした場合も、医学的な技術を使って、自然で洗練された眉毛をつくることが可能です。
眉毛の外科的増毛 ― あなたに合った方法を選ぶには?
眉毛の再建には、大きく分けて2つの方法があります。
方法①:頭皮から毛を採取して1本ずつ植える「マイクログラフト移植」
これは現在、もっとも広く行われている方法です。後頭部や側頭部(耳の上あたり)の髪の毛の中から、特に細くて柔らかい毛を選び、1本〜2本ずつの単位で眉毛の形に沿って植え付けていくという繊細な作業です。
この方法の大きなメリットは、「とにかく自然に見える」こと! 医師と一緒に眉の形や太さを事前にしっかりデザインし、まるで生まれつきの眉毛のような仕上がりを目指します。
ただし、移植された毛は頭髪と同じように伸び続ける性質を持っているため、月に1回程度はカットしたり、ワックスで毛流れを整えたりする必要があります。
方法②:フラップ法 ― 皮膚ごと眉の位置に移動させる再建手術
事故や火傷などで、眉毛の部分に大きな傷跡が残っている場合には、フラップ(皮弁)法という再建手術が行われることがあります。これは、側頭部から毛の生えた皮膚とその下の組織を、血管をつけたままの状態で眉の位置にトンネル状に移動させる手術です。
こうすることで、移動した皮膚が自ら血管を張りめぐらせて、眉の位置で生き続けることができるのです。傷の広さに応じて大がかりになることもありますが、眉の広範囲を自然に再建できるというメリットがあります。
眉毛のフル再建 ― 数回に分けて丁寧に作り上げる
眉毛が部分的にではなく、完全に失われている場合は、一度の移植では十分な毛量を確保できないことが多くあります。このため、次のようなプロセスで段階的に治療が進められます:
完成までに時間はかかりますが、「一生付き合える眉毛」を少しずつ丁寧に作ることで、高い満足度が得られます。
まつ毛の移植 ― 繊細で高度な技術が必要な目元の再建
さて、眉毛に続いてはまつ毛の再建についてご紹介しましょう。まつ毛の場合、再建に使える方法は基本的に移植手術のみです。しかもその作業は極めて細かく、施術できる医師は限られています。
どんな手術なの?
- 移植に使う毛は、眉毛と同じく細くて柔らかい毛
- 1本ずつ、上まぶたや下まぶたに手作業で丁寧に植え込む
- 通常、片側のまぶたに6本程度でも十分な効果がある
このような繊細な作業によって、再び自然で美しいまつ毛がよみがえります。
術後のケアがとても大事!
ただし、まつ毛の移植には独特の注意点があります。とくに多いのが「かゆみ」です。術後の皮膚は敏感になっていて、どうしてもかゆくなりがち。でもここでゴシゴシこすってしまうと、せっかく植えた毛が抜けてしまうだけでなく、感染症のリスクも高まります。
そこでおすすめなのが:
- メガネをかける(手が無意識に顔に触れないようにするため)
- かゆみ止めのお薬を処方してもらう
- まつ毛のカールを出すために、専用オイルやビューラーでやさしく整える
医療と美容の融合で「自信」を取り戻す
まつ毛や眉毛の移植は、単に外見を整えるだけの手術ではありません。自分の顔に対する違和感が消えることで、人前に出ることへの不安が軽くなり、社会的な自信や積極性が戻ってくることも多いのです。
まつ毛や眉毛は、顔の中でもとくに「感情」や「印象」を伝えるパーツ。だからこそ、失われたときのショックも大きいものですが、医学の力を使って自分らしい見た目を取り戻すことは、決して夢ではありません。
あなたがもし、まつ毛や眉毛のことで悩んでいるなら、一度専門医に相談してみませんか?あなたにぴったりの治療法が、きっと見つかるはずです。








