「その植毛、本当に医師がやってる?」―無資格者による手術の危険と、世界的医療団体からの警鐘とは

顔を手で覆い、落胆した表情を浮かべる女性。植毛手術で想定外のトラブルに直面した患者の不安や後悔を象徴するイメージ写真

この記事の概要

最近SNSや動画サイトで「当日施術OK」「費用は○万円~」といった植毛の広告を目にしたことはありませんか?しかしその裏には、医師免許を持たない“無資格者”が実際の手術を行っているという、深刻なリスクが潜んでいます。本記事では、世界的な毛髪医療団体「ISHRS(国際毛髪外科学会)」が発した警告をもとに、安全な植毛を選ぶための知識と注意点をわかりやすく解説します。髪の悩みがある方はもちろん、将来に備えたいすべての人にとって、見逃せない重要な情報です。

「その植毛、誰がやるの?」―無資格者による手術にご用心!世界的医師団体が発した重大な警告とは

衝撃を受けて後ろにのけぞり、額に手を当てる男性。無資格者による植毛手術の実態を知り驚く患者のリアクションを表現したイメージ写真

最近、SNSや動画サイトで「たった1日で髪がフサフサに!」「費用は○○万円でOK!」といった植毛手術の宣伝を見かけたことはありませんか?まるで美容院に行くような感覚で気軽に受けられそうに見えますが、実はその裏に重大なリスクが潜んでいるかもしれません。

今回は、世界70か国以上の医師が所属する国際的な医療団体「ISHRS(国際毛髪外科学会)」が発した消費者への重要な警告を、分かりやすく・丁寧に解説していきます。髪の悩みを抱えている方も、そうでない方も、「知らなかった」では済まされない大切な内容です。

自信を取り戻す、最適な植毛

世界の毛髪治療をリードするISHRSって、どんな団体?

スマートフォンを見つめながら思案する若い女性。背景には〇と×のマークが分かれて表示されており、信頼できる植毛クリニック選びに慎重になる様子を象徴したイメージ写真

まずは、今回の警告を発した「ISHRS」について少し紹介しましょう。

ISHRS(International Society of Hair Restoration Surgery)は、毛髪再生治療や植毛手術の専門医が集まる世界的な医療団体です。1993年に設立され、現在では世界70カ国以上、1,200人以上の医師が加盟しています。

ISHRSは、薄毛や脱毛症に悩む患者のために、常に最新の知識や治療技術を研究・発信しています。単なる「美容」ではなく、医学としての毛髪治療を真剣に扱うプロフェッショナル集団といえるでしょう。

そんなISHRSが、なぜ今回わざわざ「世界中の消費者」に向けて警鐘を鳴らしたのか?その理由を、次の章からじっくり解き明かしていきます。

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実は怖い!? 無資格者による植毛手術が増えている

ISHRSが最も懸念しているのは、医療資格を持たない人物(いわゆる無資格者)による植毛手術が、世界中で急増しているという事実です。

本来、植毛手術はれっきとした外科手術(surgical procedure)であり、医師免許を持つ専門家だけが行うべき医療行為です。しかし近年、「安さ」や「簡単そうなイメージ」に惹かれた患者が、医師ではない人物によって施術を受け、重大なトラブルに見舞われるケースが後を絶ちません。

ISHRS会長であるケン・ワシェニク医師(Dr. Ken Washenik)は、こう語ります。

「ISHRSの会員医師のもとには、無資格者による手術で頭皮や毛髪に深刻な損傷を受けた患者が、修正治療を求めて来院しています。中には元に戻せないダメージを負ってしまった人もいます。」

これは決して、海外だけの話ではありません。日本国内でも、「外国人観光客向け」「格安医療ツアー」「美容系サロン併設」などの名目で、資格のない人が実質的な手術を行っているケースが報告されています。

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「日帰り」「低侵襲(ていしんしゅう)」って本当に安全?

植毛手術というと、「メスを使わない」「当日帰れる」「傷が目立たない」など、一見すると気軽に受けられる印象があるかもしれません。しかし、ISHRSはこう断言します。

「どんなに小さくても、植毛手術はれっきとした外科手術であり、医療専門知識が不可欠です。」

どういうことかというと、たとえ「部分的な毛髪移植」や「パンチで穴を開けるだけ」の施術であっても、以下のような高度な医療行為が含まれます:

  • 脱毛症の正確な診断:薄毛の原因がAGA(男性型脱毛症)なのか、それとも甲状腺異常や自己免疫疾患などの全身疾患なのかを見極めなければなりません。
  • 麻酔の投与:量が多すぎればショック状態に、少なすぎれば激痛に。正確な判断が求められます。
  • 皮膚の切開・切除:FUEやFUTという手術法では、頭皮に数百〜数千の小さな切開を加えます。
  • 術中の全身管理:患者の血圧や心拍などを常時モニタリングし、異変があれば即座に対応できる体制が必要です。

こうした行為を、医師免許も持たず、医学部すら出ていない人物が「見よう見まね」で行う危険性を、想像してみてください。

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植毛の2大手術法とは?—FUEとFUTの違いをやさしく解説

◆ FUE法(毛包単位抽出法:Follicular Unit Extraction)

後頭部などから1本ずつ毛包(毛根を包む組織)を取り出して移植する方法です。傷跡が目立ちにくく、術後の回復も早いのが特徴。ただし、精密機械や顕微鏡を使いながら、何千本もの毛髪を採取・植えつけるという、高度な技術と集中力が求められます。

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◆ FUT法(毛包単位移植法:Follicular Unit Transplantation)

後頭部の頭皮を帯状に切り取って、そこから毛包を分離して移植する方法。大量の毛髪を一度に移植できるのが利点ですが、皮膚を切除するため、正確な外科知識と縫合技術が必要不可欠です。

これらはいずれも、医師本人が診断から術後ケアまで一貫して担当すべき手術です。ところが近年、広告やSNSで「医師が監修」としながら、実際の手術は無資格スタッフが行っているというケースが後を絶たないのです。

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「医師が担当すると思っていたのに…」—患者を欺く宣伝の手口

ISHRSによると、医師が資格や学歴をアピールして集客したにもかかわらず、実際の施術を無資格者に任せるという行為は、「患者を誤解させ、命を危険にさらす」として強く非難されています。

このような悪質なケースでは、以下のようなトラブルが起こりがちです:

  • 不必要な手術が行われる(実は手術の必要がなかったのに実施される)
  • 原因疾患が見落とされる(甲状腺異常や鉄欠乏など)
  • 感染症や重篤な合併症(無菌処置が不十分なため)
  • 見た目の大失敗(不自然な生え際、不均一な密度、傷跡など)

こうした事態に陥った患者が、後からISHRS所属の医師の元を訪れ、「手術のやり直し」を希望するケースが後を絶たないのです。

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安心・安全な植毛を受けるために、今すぐできること

では、信頼できる植毛クリニックや医師をどうやって見分ければよいのでしょうか?ISHRSでは、次の3つを強く推奨しています。

● 1. 医師本人が手術を行うか、事前に必ず確認を!

カウンセリングだけ医師が行い、実際の施術は別のスタッフが担当する――そんなケースも少なくありません。「手術当日、初めて会うスタッフに任せられた」という患者の声もあります。必ず手術に医師が立ち会うか、施術を担当するかを確認しましょう。

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● 2. 医師の資格・所属団体を調べる

ISHRSや日本毛髪科学協会(JHRS)など、国際的な専門団体に所属している医師は、知識や倫理において一定の基準をクリアしている証といえます。

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● 3. ISHRSの公式サイトを活用しよう

ISHRSでは、「医師に尋ねるべき質問リスト」や、信頼できる医師検索サービスを提供しています。ぜひ活用して、安心して相談できる医師を探してください。

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最後に:髪の未来を守るのは、正しい知識と選択です

「たった数時間でフサフサに」「海外で激安ツアー」…そんな魅力的な言葉に惹かれても、あなたの髪と健康は一度きり。万が一トラブルが起これば、後悔しても取り返しがつきません。

ISHRSの今回の警告は、単なる「注意喚起」ではなく、患者一人ひとりの命と尊厳を守るための強いメッセージです。

植毛を検討している方は、ぜひこの情報を胸に、「誰がやってくれるのか」「どんな資格があるのか」をしっかり見極めてください。そうすれば、髪だけでなく、心にも明るい未来が訪れるはずです。

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記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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