この記事の概要
「最近、髪のボリュームが減ってきたかも…」そんな不安を感じたことはありませんか?女性の脱毛症は決して珍しいことではなく、ホルモンや生活習慣、ストレスなど、さまざまな要因が関係しています。本記事では、毛髪専門医が語る最新の治療法や対策を、中学生でもわかるやさしい言葉で解説。自分の髪と心を大切にする第一歩を踏み出してみませんか?
髪の毛が抜けるのはなぜ?女性のためのやさしい脱毛症講座

「最近、なんだか髪の毛が薄くなってきた気がする……」
朝、鏡の前で髪をとかしながら、ふとそんなことを感じた経験はありませんか?抜け毛が多く感じたり、分け目が目立ってきたりすると、不安になってしまいますよね。
実は、女性の脱毛症はとてもよくある悩みなのです。しかしその原因や対策は、人によってまったく異なる場合が多く、「何から始めればいいのかわからない」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、世界中の毛髪治療の専門家が集う「国際毛髪外科学会(International Society of Hair Restoration Surgery:略称 ISHRS)」のライブセミナーをもとに、女性の脱毛症についてやさしく、わかりやすく解説していきます。専門用語も丁寧に説明しますので、中学生でも楽しめるような内容になっていますよ。
では、一緒に“髪の健康”の秘密を探っていきましょう!
ホルモンって髪に関係あるの?女性型脱毛症の話

まず、女性の脱毛でとても多いのが「女性型脱毛症(female pattern hair loss)」と呼ばれるタイプです。これは、加齢やホルモンバランスの変化によって、頭頂部の髪が少しずつ細くなっていき、全体的にボリュームが減っていく脱毛症です。
「えっ、ホルモンって髪に関係あるの?」と思うかもしれませんが、実は大ありです!
女性の体は、思春期・妊娠・出産・更年期といったさまざまなホルモン変化の波にさらされながら生きていて、それが髪の状態にも強く影響します。たとえば、女性ホルモンの一種であるエストロゲン(Estrogen)は、髪の毛を長く保ち、つややかに育てる働きをしています。
このエストロゲンが減ってくると、髪の毛の成長サイクルが短くなり、細くて抜けやすい髪が増えてしまうのです。
また、男性ホルモン(アンドロゲン)も、女性の体の中に少しだけ存在していますが、これが多くなりすぎると、毛根が縮んでしまい、脱毛が進んでしまうことがあります。
ですから、医師は脱毛の診察のときに、「生理の周期はどうですか?」「最近妊娠・出産されましたか?」「ホルモン剤を使っていますか?」といった質問をして、体の中のホルモン状態を探っていくのです。
生活習慣も大事!髪の毛はあなたの鏡?
脱毛の原因はホルモンだけではありません。実は、あなたの毎日の生活のなかにも、髪の毛のトラブルを招く「ヒント」がたくさん隠れているんです。
たとえば――
- 食生活:栄養バランスが偏っていると、髪に必要な栄養が足りなくなります。
- ストレス:心が疲れていると、体も「もう髪を育てている余裕がないよ〜」と悲鳴を上げて、髪の成長を止めてしまうのです。
- 薬の副作用:何気なく飲んでいる薬の中にも、髪に影響を与えるものがあります。
- 運動不足:血流が悪くなると、頭皮まで栄養が届きにくくなってしまいます。
特に最近は、コロナ禍のストレスや環境の変化によって、「休止期脱毛症(telogen effluvium)」という一時的な脱毛が増えています。これは、本来ならしっかり生えているはずの髪が、ストレスなどで突然「休憩モード」に入ってしまい、抜け落ちてしまう状態です。
つまり、髪の毛は「あなたの体と心のバロメーター」でもあるのです。だからこそ、髪だけでなく、生活全体を見直すことが大切なのですね。
髪の診察ってどんなことをするの?
「髪の診察って、美容室みたいに髪を見るだけ?」と思っていませんか?実際には、医師たちはいろいろな“秘密兵器”を使って、髪の状態をしっかりチェックしています。
まず登場するのが、「トリコスコピー(Trichoscopy)」という拡大鏡付きの機械です。これで毛穴の一つひとつをズームアップして、毛根の太さや本数、毛穴の形まで観察します。
まるで探偵のように、「どこで、どんな抜け方をしているのか?」を細かく調べていくのです。
さらに、「引っ張りテスト(Pull Test)」では、軽く髪を引っ張って、どれくらいの髪が抜けるかを見ます。
「ヘアチェックテスト(Hair Check Test)」という機器も使われます。これは、髪の密度(どれくらい生えているか)や太さの変化を数値でチェックできるすぐれものです。治療前と治療後にこのテストを繰り返すことで、「効果が出ているかどうか」を客観的に判断できるのです。
どんな治療があるの?お薬から最先端治療まで!
外用ミノキシジル:毎日こつこつがカギ
髪の治療と聞いて、まず思い浮かぶのが「ミノキシジル(Minoxidil)」ではないでしょうか?
これはもともと高血圧の薬として開発された成分ですが、「髪が生えてくる」という思わぬ副作用が見つかり、今では発毛剤として世界中で使われています。
女性には、一般的に2%濃度のミノキシジルローションが使われます。泡タイプ(foam)は使いやすく、べたつきが少ないのが特徴です。
ただし、すぐに効果が出るわけではありません。3〜6か月ほどかけて、じわじわと成果が出てくるので、あきらめずに「毎日続けること」がとても大切です。
飲む薬もあるの?ホルモンバランスを整える選択肢
「塗るのは面倒だから、飲み薬がいい!」という方もいるかもしれません。最近では、経口ミノキシジル(oral minoxidil)も登場しています。トスティ医師は、女性には0.6mgの低用量を処方しています。
さらに、フィナステリド(Finasteride)やデュタステリド(Dutasteride)というホルモンに働きかける薬もあります。これらは「5α還元酵素阻害薬(5-alpha reductase inhibitors)」と呼ばれ、男性ホルモンを弱めて脱毛を防ぐ役割があります。
また、スピロノラクトン(Spironolactone)という薬は、もともと利尿薬ですが、女性の多毛症やニキビにも使われています。50〜200mgの範囲で処方され、アンドロゲンの作用をブロックします。
さらに進んだ選択肢としては、ビカルタミド(Bicalutamide)という抗アンドロゲン薬もあり、トスティ医師は肝臓の検査をしながら安全に使っています。ただし、肝機能障害の危険があるため、慎重な対応が必要です。
最新の注目治療:PRP、レーザー、マイクロニードリング
「もっと新しい治療法はないの?」と思う方に注目されているのが、以下のような治療です:
- PRP療法(Platelet-Rich Plasma):自分の血液を使って、成長因子を濃縮し、頭皮に注射する再生医療の一種。
- 低出力レーザー治療(Low-Level Laser Therapy):赤い光で毛根を刺激し、成長を促す家庭用機器も登場。
- マイクロニードリング(Microneedling):細い針で頭皮に刺激を与え、薬剤の浸透を高める方法。
ただし、トスティ医師は「これらはあくまで補助的な治療。メインの治療と組み合わせて使うのがベスト」とアドバイスしています。
見た目を工夫して気分も前向きに!
「治療を始めても、すぐに髪が増えるわけじゃないし…」というときには、カモフラージュ(見た目の工夫)もとても大切です。
- 髪色を少し明るくすると、頭皮とのコントラストが減って薄毛が目立ちにくくなります。
- パーマでボリュームを出すことで、髪全体がふんわり見えます。
- スカルプマイクロピグメンテーション(SMP)という方法では、頭皮に小さな点をタトゥーのように入れて、髪があるように見せることもできます。
ロジャース医師は、「増毛用シャンプーや美容液は、髪を太く見せるだけで、実際に生えるわけではありません」と強調しています。見た目を整えることは大切ですが、現実的な期待値を持つことが肝心です。
“髪のダイエット”はじめませんか?
最後に紹介したいのが、ジェニファー・クレイチ医師の提案する「ヘアダイエット(Hair Diet)」です。
これは、「髪を休ませてあげる期間をつくろう」という考え方です。
毎週のカラーリング、ブリーチ、コテ、アイロン、ドライヤー……。毎日のスタイリングが髪にとっては「過酷なダイエット」になっているかもしれません。
一度、髪に優しい生活をしてみませんか?自然の髪を大切にすることで、髪の本来の美しさがよみがえるかもしれませんよ。
まとめ:あなたの髪は、あなた自身の物語
脱毛はとてもデリケートな問題です。でも、正しい知識を持ち、原因を知り、できることから始めることで、未来は変わります。
薬や治療だけでなく、「心」「生活」「習慣」すべてが髪に影響しているということを、ぜひ覚えておいてください。
そしてもし、もっと詳しく知りたいという方は、ISHRS(国際毛髪外科学会)の公式情報やライブ配信もチェックしてみてください。あなたの髪に寄り添ってくれる、信頼できる情報源がきっと見つかるはずです。
あなたの髪と心に、そっとエールを送ります。







