女性の薄毛・脱毛症の原因とは?知っておきたい7つのタイプと対処法

口元に不安げな表情を浮かべた女性が、両手で広がった長い髪をつまんでいる様子|抜け毛や薄毛の悩みを抱える女性の心理的ストレスを象徴するイメージ|女性の脱毛症コラム用装飾画像

この記事の概要

「最近抜け毛が増えてきた気がする…」「髪のボリュームが減ってきた」そんなお悩みを抱える女性が増えています。実は、女性の薄毛には遺伝だけでなく、日常の習慣やストレス、無意識のクセなどさまざまな原因が潜んでいます。本記事では、代表的な7つの脱毛タイプとその特徴、治療法についてわかりやすく解説します。大切な髪を守る第一歩として、正しい知識を身につけましょう。

女性の脱毛症:原因とその特徴

美容師が女性の長い髪をしっかりと編み込んでいる様子|牽引性脱毛症の原因となるタイトなブレイズや編み込みヘアスタイルのリスクを示すイメージ|女性の脱毛症に関する説明記事用画像

女性の脱毛症(hair loss)は、遺伝的要因(genetic causes)によるものが最も多いとされています(※参考リンクあり)。しかし、日常的に髪型を頻繁に変えたり、複雑で緊張の強い編み込みやブレイズ(braids)を楽しんだりすることで、非遺伝的要因(non-genetic causes)による脱毛リスクも高まります。

以下にご紹介する脱毛の種類に心当たりがある方は、毛髪再生専門医(hair restoration physician)への相談をおすすめします。早期の対処が、回復の鍵となります。

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円形脱毛症(Alopecia Areata)

感情を読み取りにくい無表情の女性の顔のクローズアップ写真|脱毛に悩む女性が自覚症状に戸惑いながらも気づきを得る瞬間を象徴するイメージ|女性の脱毛症に関する啓発コラム用画像

円形脱毛症(AA: Alopecia Areata)は、再発性の脱毛症で、頭皮だけでなく眉毛など体毛がある部位全体に生じる可能性があります。典型的には、頭皮や眉の一部に丸型または楕円形の脱毛斑が突然出現します。多くの場合、6か月から1年以内に自然に毛が再生しますが、再発を繰り返す傾向があり、悪化すると頭髪全体が抜ける「全頭脱毛症(alopecia totalis)」へと進行する場合もあります。

原因は自己免疫疾患(autoimmune disorder)が疑われており、免疫系が自分自身の毛包(hair follicle)を誤って攻撃してしまうことで脱毛が起こると考えられています。患者の多くは、ストレスや不安をきっかけとした発症を訴える傾向があります。

治療には、ステロイド(corticosteroids)の外用または注射が主に用いられます。発症から1年以内であれば予後は良好とされますが、長期経過例や成人では回復が難しくなることがあります。ミノキシジル(Minoxidil、商品名:ロゲイン®)も発毛促進に有効です。一方で、外科的治療は推奨されていません。

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牽引性脱毛症(Traction Alopecia)

牽引性脱毛症(traction alopecia)は、髪の毛を長期間強く引っ張ることにより、毛根が慢性的にダメージを受けて発症する脱毛症です。アフリカ系アメリカ人女性に多く見られ、特にタイトな編み込みやコーンロウ(cornrows)といった髪型が原因になります。多くは生え際周辺(hairline)に現れます。

また、男性でかつら(hairpiece)を同じ位置に長期間装着している場合も、同様の脱毛を引き起こすことがあります。

さらに、抜毛症(Trichotillomania)と呼ばれる強迫的な抜毛行動に起因する場合もあります。これは精神的な要因による習慣性の抜毛で、脱毛のパターンが不規則になる傾向があります。長期間にわたって続くと、永久的な脱毛につながる可能性もあります。

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瘢痕性脱毛症(Scarring Alopecia)

瘢痕性脱毛症(scarring alopecia)とは、頭皮に瘢痕(=傷跡)が形成されることにより、毛包が破壊されて発毛が不可能になる脱毛症です。

以下のような要因が原因となります:

  • 長期間続く牽引性脱毛症や抜毛症
  • 外傷や火傷などによる頭皮の損傷
  • 自己免疫疾患(autoimmune diseases)(例:全身性エリテマトーデス〈lupus erythematosus〉、強皮症〈scleroderma〉)
  • 感染症(例:毛包炎〈folliculitis〉、真菌感染症〈fungal infection〉、帯状疱疹〈shingles / herpes zoster〉)

これらが原因で頭皮に傷跡が残ると、その部分の髪は永久的に再生しなくなる可能性があります。

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抜毛症(Trichotillomania)

抜毛症(トリコチロマニア:Trichotillomania)は、頭髪や体毛を無意識または習慣的に自分で引き抜いてしまう精神的な障害です。軽度の例では、読書中やテレビ鑑賞中に髪を触って抜いてしまうことがあります。重症例では、鏡の前で儀式的に抜毛行動を繰り返すこともあります。

長期間続くと、脱毛部位に瘢痕が形成され、永久的な脱毛症へと進行するリスクがあります。この疾患の分類は、習慣的行動なのか、あるいは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder, OCD)の一種なのかについて議論が続いています。本人も行動に対して罪悪感を抱き、他人に隠す傾向があります。

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三角形脱毛症(Triangular Alopecia)

三角形脱毛症(triangular alopecia)は、こめかみ周辺(temporal area)に限定された毛髪の薄毛または脱毛を特徴とする比較的稀な症状です。部分的に残っている毛髪は、細くて柔らかい「ミニチュア毛(miniaturized hairs)」であることが多く、明らかな原因が特定されないまま小児期に始まることもあります。

治療には内科的アプローチ(薬物治療)、もしくは外科的アプローチ(植毛など)が選択されます。

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休止期脱毛(Telogen Effluvium)

休止期脱毛(telogen effluvium)は、毛髪の成長サイクル(hair growth cycle)のうち「休止期(telogen phase)」に、通常よりも多くの毛包が一度に移行してしまうことで起こります。その結果、一時的に抜け毛が増加します。

原因としては以下のものが挙げられます:

  • ホルモンの変化(出産後や閉経期など)
  • 栄養不足(特に鉄分・亜鉛・タンパク質など)
  • 特定の薬剤の副作用
  • 強いストレス

このタイプの脱毛は通常、一時的で可逆的であるため、原因の特定と対応が早ければ、元の状態に回復することが多いです。

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ルースアナジェン症候群(Loose-Anagen Syndrome)

ルースアナジェン症候群(Loose-Anagen Syndrome)は、特に金髪系の髪質を持つ人(fair-haired persons)に多くみられます。この症状では、髪の成長期(anagen phase)においても毛が毛根にゆるく固定されているため、軽くブラッシングしただけで容易に抜けてしまうことが特徴です。

多くの場合、小児期に現れますが、成長とともに自然に改善することが知られています。

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最後に

女性の脱毛症は、単なる美容上の問題にとどまらず、生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼす深刻な悩みです。原因やタイプに応じて、治療法や予後は大きく異なります。症状に気づいたら、早めに専門医に相談することが、回復への第一歩です。

ご自身やご家族がこれらの症状にお悩みの場合は、国際毛髪外科学会(ISHRS: International Society of Hair Restoration Surgery)認定医への相談を検討してください。

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記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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