FUEって何?最新植毛テクノロジーをやさしく探検!混乱しがちな植毛手術を徹底解説

薄毛が気になる女性が頭頂部からこめかみにかけて頭皮を触れている様子。FUE植毛や自毛植毛に関心を持ち始めた人の不安や疑問を表現したイメージ。

この記事の概要

「植毛って、薄毛に髪を増やすアレでしょ?」——そんなふんわりとしたイメージしかない方も多いのでは? ところが実際に調べ始めると、「FUE」「FUT」「インプランター法」など、知らない単語が次々登場して混乱することも…。 この記事では、世界中で主流になっている「FUE(毛包単位切除法)」について、やさしく・楽しく・詳しく解説します。 名前に惑わされず、本当に安心できるクリニックを選ぶためのポイントまで、しっかり押さえましょう!

「FUEって何?」から始まる、植毛の世界のふしぎ旅

植毛を検討中の男性が、薄毛の状態を看護師に相談しながら頭頂部に手を添えている様子。FUE植毛のカウンセリング場面をイメージしたシーン。

皆さんは、「植毛(しょくもう)」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
「毛がなくなったところに髪を増やすやつでしょ?」と、なんとなくの理解はあるかもしれません。

でも、実際に植毛について調べ始めると……「FUE」「FUT」「DHI」「インプランター方式」などなど、やたらとアルファベットや横文字が飛び交い、気づけば頭の中が「???」だらけに。

実はこの「FUE」と呼ばれる植毛の方法、現代では一番ポピュラーで多くの人が受けている術式なのですが、その一方で「世界一混乱を招く植毛法」とも言われているのです。

今回は、そんな謎多きFUEの世界を、まるで探検するように、わかりやすく紐解いていきましょう。

自信を取り戻す、最適な植毛

植毛の歴史をざっくりたどると…

ベッドの上でスマートフォンを見ながら薄毛治療に関する最新コラムを読むボブヘアの若い女性。幹細胞やPRP療法など未来の毛髪再生医療に関心を寄せている様子を表現したイメージ。

今でこそSNSやYouTube、クリニックのホームページで大量の情報が得られますが、植毛が始まったのは約50年以上も前。当時は、医師から渡される小さなパンフレットが唯一の情報源でした。

それから時は流れ、技術は進化し続けます。植毛の歴史をざっくり振り返ると、大きく4つの時代があります。

  1. プラグ式植毛(Plug Method):
     1960年代から1980年代にかけて使われた初期の方法です。直径4mmほどの丸い皮膚ごと毛をくり抜いて移すスタイルで、髪型が「植木鉢」みたいに不自然になることもしばしばでした。
  2. ストリップ法(Strip Method):
     頭の後ろ(後頭部)から皮膚を細長く帯状に切り取り、そこから毛を採って植える方法です。この中にも、
     - ミニグラフト/マイクログラフト法(1990年代)
     - 毛包単位移植法(FUT:Follicular Unit Transplantation、2000年代初頭)
     という細かなバリエーションがあります。
  3. FUE(Follicular Unit Excision)時代の到来:
     2000年代に入り、FUEという新しい技術が登場。2010年代から一気に主流となり、今では世界中で一番よく使われている植毛方法になっています。

ISHRS(国際毛髪外科学会)の2017年の統計によれば、植毛手術全体のうち53%がFUE、44%がFUT(ストリップ法)、残り3%が両者を併用する方法となっていました。

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FUEって何がそんなに特別なの?

FUEとは、英語で「Follicular Unit Excision(毛包単位切除法)」の略で、読んで字のごとく毛を生やしている「毛包(もうほう)」という小さな単位を1本ずつ丁寧にくり抜いていく手術です。

この方法が従来のFUT(皮膚を帯状に切る方法)と大きく違うのは、頭皮に大きな切れ目を入れずに済むという点です。

FUTではどうしても「直線的な傷跡(リニアスカー)」が残ってしまうため、髪を短く切るとバレやすいというデメリットがありました。でもFUEは、極小の器具で毛を1本ずつ「点」で採るので、目立つ傷がほとんど残らず、自然な仕上がりが期待できるのです。

この「目立たない」というのが、FUEの人気の秘密。

でも、話はそう簡単ではありません。

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混乱の原因①:「名前が多すぎ問題」

FUEは、基本的な原理こそシンプルですが、それぞれのクリニックがこぞって独自の名前をつけて売り出しているのです。

「〇〇式FUE」「△△式ダイレクト法」「プレミアムFUE」など、実際の内容は同じような手術なのに、名前だけが違うことで、患者さんが混乱してしまうのです。

中には、「うちの技術はFUEではない、全く新しい特許技術です!」と大げさにアピールするところもあります。でも、ISHRS(国際毛髪外科学会)は明言しています。

「FUEとFUT以外に、実際的で現実的な植毛術式は存在しない」

つまり、「FUEだけど別物っぽく見せたいだけ」のマーケティング戦略が、患者の混乱を引き起こしているというわけですね。

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混乱の原因②:「だれが手術してるの?」

もっと怖い話もあります。

名前だけではなく、実際に手術を担当しているのが「医師ではない」こともあるのです。

法律では、外科的な医療行為(切ったり縫ったりする行為)は、国家資格を持つ医師が行わなければならないと決まっています。にもかかわらず、いわゆる「ブラッククリニック」では、資格を持たない技術者(テクニシャン)が手術の多くを担当しているケースがあるのです。

あなたの頭皮を切るのが、医師でも看護師でもない素人だったら……と考えると、ゾッとしますよね。

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FUEの基本的な手順をのぞいてみよう!

では、FUE手術はどんな流れで行われるのでしょうか?
ざっくりと説明すると、次の3ステップです。

ステップ①:毛包の採取(くり抜き)

専用のパンチという器具(直径0.6〜1.0mm程度)で、後頭部などの「ドナー部」と呼ばれる部分から毛包を1つずつ丁寧にくり抜きます。これがFUEの特徴です。

医師は、角度や深さを調整しながら慎重に作業を進めます。毛根を傷つけないようにするには、高度な技術と経験が必要です。

自信を取り戻す、最適な植毛

ステップ②:保管

採取された毛包(グラフト)は、乾燥や温度変化でダメージを受けないよう、特殊な液体に浸して一時保管されます。
この工程を軽視すると、移植後の「生着率(生き残る毛の割合)」が下がってしまうので、実はとても重要なステップなのです。

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ステップ③:移植

グラフトを薄毛や脱毛が気になる部分に植えていく段階です。方法には以下の2種類があります。

自信を取り戻す、最適な植毛

「植える方法」も2タイプある!

フォーセップ法(ピンセット方式)

「まず頭皮にスリット(小さな切れ目)を入れて、そこにグラフトを差し込む」方法。スリットを先に全部入れてから一気に植える方法と、1本ずつ「切る→植える→切る→植える…」を繰り返すスティック・アンド・プレース法(Stick and Place)があります。

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インプランター法(Implanter)

こちらは、インプランターという特殊なペン型の器具を使う方法。先端にグラフトを入れて、プランジャー(押し棒)で植えていきます。

  • 鈍頭型(Dull):事前に入れたスリットにグラフトを差し込む。
  • 鋭頭型(Sharp):器具の先端で直接切り込みを入れ、そのまま植える。

※鋭頭型を使って「切開」する場合は、必ず医師が行うべきとISHRSは明確に定めています。

ちなみに、最近話題の「DHI(Direct Hair Implantation)」という言葉。これもFUEの一種で、「鋭頭型インプランターを使う移植法」の呼び名にすぎません。DHI=新しい手術法、というわけではないのです。

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結局どう選べばいいの?安全なFUEの見分け方

ここまで読んで、「じゃあ、どのクリニックなら安心なの?」と思われたかもしれません。見極めのポイントは、意外とシンプルです。

  • 医師がISHRS(国際毛髪外科学会)に所属しているか?
  • 「〇〇式」などの派手な名前でごまかしていないか?
  • 手術が医師本人の責任のもとに行われているか?

ISHRSでは、こう宣言しています。

植毛は医療であり、外科手術です。誤解を招くようなマーケティング用語で包んではならない」

医師は国家資格を持ち、「人に害を与えない(Do no harm)」という誓いを立てた存在。
だからこそ、安全性や結果にこだわるなら、派手な宣伝より信頼できる医師と、透明な説明を大切にしてください。

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おわりに:名前に惑わされず、本質を見よう

FUEという植毛法は、確かに素晴らしい技術です。
でも、その「素晴らしさ」は、「〇〇式」などの名前の派手さではなく、施術する医師の腕と誠実さによって決まるのです。

もしあなたがFUEについて調べているなら、その技術が本当に正しく行われているか、誰が施術しているのかをきちんと確かめることが、何よりも大切です。

「安全」と「良い仕上がり」は、かならずしもカッコいい名前からは生まれません。
本当に良いクリニックは、名前で勝負しなくても、自信と誠実さで勝負しているものですよ。

自信を取り戻す、最適な植毛

記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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