自毛植毛の最前線:FUT・FUEの違いと自然な仕上がりの秘訣とは?

薄毛の進行に驚き、鏡を見つめる女性。生え際や頭頂部のボリューム低下に気づき、FUTやFUEによる自毛植毛を検討し始めた様子を象徴するストックイメージ。

この記事の概要

「薄毛が気になるけど、植毛手術は不自然にならないか心配…」そんな不安をお持ちの方へ。今、注目されている自毛植毛技術「FUT(フォリキュラーユニット移植)」と「FUE(フォリキュラーユニット抽出法)」は、より自然でバレにくい仕上がりを実現します。本記事では、専門医しか知らない技術の詳細や違い、手術後の傷跡についてもわかりやすく解説します。

フォリキュラーユニット移植(FUT)および抽出法(FUE)とは?

FUTとFUE、2つの自毛植毛法の関係性を象徴するように交差する指。技術の共通点と方向性の違いを視覚的に示したイメージ。

近年、薄毛や脱毛に悩む方々の間で注目を集めている最先端の外科的薄毛治療法が、「フォリキュラーユニット移植(Follicular Unit Transplantation:FUT)」と「フォリキュラーユニット抽出法(Follicular Unit Extraction:FUE、別名:FOX法)」です。どちらも、自毛を使った自然な仕上がりの植毛術として高い評価を受けています。

自信を取り戻す、最適な植毛

フォリキュラーユニット(FU)とは?──髪が生える「最小単位」の構造

自毛植毛(FUT・FUE)の成功に満足し、喜びの拳を上げる女性。自然な仕上がりに笑顔を見せる、薄毛治療後のポジティブな心境を表現したストックイメージ。

「フォリキュラーユニット(Follicular Unit:FU)」とは、頭皮の中で髪の毛が自然にまとまって生えている1つの単位のことを指します。具体的には、1〜4本の毛包(hair follicle)、それに伴う産毛(vellus hair)、皮脂腺(sebaceous gland)、立毛筋(arrector pili muscle)、そしてこれらを支える結合組織(connective tissue)などがまとまった小さな“束”です。

上空から麦畑を見下ろしたように、短く刈った頭皮をよく観察すると、髪の毛は一様にはえているのではなく、小さなグループ単位でまとまって生えているのが分かります。このグループの1つひとつが、まさにフォリキュラーユニットです。

医学的にFUは真皮中層(mid-dermis)と呼ばれる皮膚の深部に根を下ろしており、毛包が斜めに伸びることも多いため、肉眼では判別が難しいこともあります。そのため、FUの識別には拡大鏡(magnifying glass)や顕微鏡(microscope)を用いて、熟練した植毛専門医が慎重に判断します。

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FUTとFUEの違い──採取方法と移植手技

FUT(フォリキュラーユニット移植法)

FUTとは、後頭部などのドナー部位(hair donor site)からFUを帯状に切り取る方法(single-strip harvesting)で採取し、それをFUごとに分割して、移植部位へ移す手法です。この際、FUの構造を損なわないように、顕微鏡下で慎重に分けられます。

FUE(フォリキュラーユニット抽出法)

一方、FUEはより低侵襲な方法として近年人気を集めています。これは、直径1〜2ミリの円形のパンチブレード(circular scalpel)を使って頭皮に円形の切れ込みを入れ、その中からFUを丸ごと抜き取る技術です。FUを取り出す際には皮膚と真皮の層(深さ約2ミリ)にまで達するため、精密な技術が求められます。

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FUの移植──自然な毛流れを再現

採取されたFUはそのままの形で使用されることもあれば、さらに小さな単位に分けて使用することもあります。たとえば、

  • 1本毛のFUは生え際の繊細な再現に使用されることが多く、
  • 複数本のFUは頭頂部などの密度を出したい部分に移植されます。

移植は、メスや細い針で作られた小さな切れ込み(slit)にFUを差し込むように行われます。この方法により、自然な毛流れや密度を再現しやすくなっています。

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傷跡やダウンタイムに関する考慮点

FUTとFUEでは、術後の傷跡や回復の仕方に違いがあります。

  • FUT(帯状採取):後頭部に細長い線状の傷ができますが、数日で治癒し、通常は髪で隠れるため目立ちにくいとされています。
  • FUE:直径1〜2ミリの小さな穴が多数開きますが、縫合は不要で自然に塞がります。ただし、体質によってはゴルフボールのような小さな白い凹み(dimpled white spots)が残るケースも報告されています。

どちらの方法を選ぶかは、医師とのカウンセリングを通じて慎重に決定することが重要です。個々の体質や希望する仕上がり、予算などが大きな判断材料となります。

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FUT/FUEの進化──「自然さ」を重視する現代の植毛術

現在の植毛手術のトレンドは、かつての「植えた感」が出やすかった古い技術から、できる限り自然な見た目を追求する方向へと進化しています。

FUTやFUEでは、毛の自然なまとまりであるFU単位を活かして移植することで、昔のような“トウモロコシ畑のような一列感”がない、自然な髪の分布を実現できます。さらに、FUはもともと頭皮に存在する構造体であるため、移植後も生着率が高く、自然な発毛が期待できるとされています。

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自分に最適な方法を見つけるには?

FUTやFUEといった先進的な自毛植毛法が登場したことで、薄毛治療の選択肢は大きく広がっています。ただし、どの方法がベストかは、以下のような個別の要素によって異なります。

  • 脱毛の原因(例:男性型脱毛症、びまん性脱毛症 など)
  • 脱毛の進行状況や将来的な予測
  • 髪質(太さ・くせ・密度など)
  • 手術費用と費用対効果
  • 希望するヘアスタイルや自然さの程度

こうした点を総合的に考慮したうえで、専門医と十分に相談することが非常に大切です。

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記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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