白髪でも植毛できる?グレーヘア世代のための最新ヘア再生医療ガイド

加齢による髪や顔の変化を見つめながら、鏡の前で静かに自分の容姿を見つめる高齢女性。自然な老いを受け入れ、白髪や肌の変化を優雅に受け止めたいと願う様子。

この記事の概要

「白髪になったら、もう植毛はできない?」そんな不安を抱える方に朗報です。実は、白髪やグレーヘアも健康な毛包から生えているため、通常の髪色と同じように植毛が可能です。本記事では、白髪になる仕組みから、年齢を問わず成功する植毛の条件、安全性、施術後のヘアケア方法まで、専門医の知見に基づいて詳しく解説します。加齢による髪の悩みを抱えるすべての方へ、希望となる情報をお届けします。

白髪やグレーヘアも植毛できる?最新の医学的見解

白髪が目立つ高齢女性が、指をこめかみに当てながら床を見つめ、加齢による薄毛と植毛の可能性について思い悩む様子。白髪でも植毛できるのかを真剣に考える姿。

白髪やグレーヘア(graying hair, gray hair)は植毛できるのか——これは、加齢とともに白髪が目立ち始め、さらに男性型脱毛症または女性型脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)による抜け毛に悩まされるようになった方々から、よく寄せられる質問です。

結論から言うと、「白髪も他の髪色と同様に安全かつ成功率の高い植毛が可能です」。
よくある誤解に「白髪は不健康な髪であるため、植毛には適さない」というものがあります。しかし実際には、白髪も健康な毛包(hair follicles)から生えており、十分に移植対象となり得ます。
植毛手術の基本原理は、「健康な毛包を抜け毛の部位に移植し、その部位で再び髪の成長を促すこと」です。つまり、髪の色ではなく毛包自体の健康状態が重要なのです。



白髪になるのはなぜ?

同じポーズで並んで座る祖母と孫娘。木製のテーブルにひじをつき、そっくりな笑顔を浮かべながら寄り添う二人。髪色の違いが印象的で、祖母の白髪と孫娘の黒髪が世代のつながりを象徴する温かな光景。

髪の色は、毛包の内部にあるメラノサイト(melanocytes)という色素細胞によって作られるメラニン色素(melanin)によって決まります。
メラニンには黒褐色のユーメラニン(eumelanin)と、黄赤色のフェオメラニン(pheomelanin)の2種類があり、それぞれの分泌量は遺伝的要因によって決まります。

ところが、加齢に伴いメラノサイトの機能が低下したり、完全にメラニン生成を停止することがあります。
このようにメラニンの量が減ることで、髪の色が薄くなり、やがて白髪やグレー(灰色)の髪となるのです。

なぜメラノサイトがメラニンの生成をやめるのか、正確なメカニズムはまだ完全には解明されていません。ただし、現在の研究では、遺伝的にコントロールされた「生物学的な時計(biological clock)」がメラニンの生成停止のタイミングを決めていると考えられています。



白髪が始まる年齢とその広がり

白髪になることは加齢に伴う自然な現象であり(病気や先天的異常による白髪を除く)、一般的には40〜50歳頃から目立ち始めることが多いです。ただし、早い人では20〜30代で白髪が見られることもあります。

統計的には:

  • 35歳時点で、男女の約25%が白髪を有している
  • 50歳までには、人口の約半数に白髪が見られる

なお、明るい髪色(ブロンドなど)の人では白髪が目立ちにくいため、気付かないうちに白髪化が進行していることもあります。
一方で、茶髪や黒髪の人は「塩と胡椒(salt-and-pepper)」のようなまだら模様として白髪に気づきやすい傾向があります。

白髪はこめかみ付近から始まり、徐々に頭頂部や後頭部へと進行していくことが一般的です。



白髪の質とヘアケア上の注意点

加齢に伴い、毛包の皮脂腺(sebaceous glands)の分泌機能も低下します。そのため、白髪やグレーヘアは天然の油分が減り、黒髪に比べて乾燥しやすくなる傾向があります。

この乾燥により、

  • ブラッシングや櫛通しによるダメージを受けやすくなる
  • スタイリングが難しくなる

といった悩みが生じることもあります。
そのため、植毛後を含めたヘアケアに関しては、医師や毛髪再生医療の専門医によるアドバイスを受けることが推奨されます。



高齢の白髪患者でも植毛は可能?

加齢は植毛治療の適応を決める絶対的な制限にはなりません。
実際に、80歳を超える高齢の患者でも、医学的に問題がなければ植毛手術は成功しています。

判断において重要なのは、年齢よりも以下の6点です:

  1. 脱毛の原因(androgenetic alopecia など)
  2. 診察時の身体的健康状態
  3. 既往歴(心疾患・糖尿病など)
  4. 頭皮の状態(瘢痕、炎症の有無など)
  5. 脱毛の進行パターンと範囲
  6. 患者自身の外見的改善に対する期待度

特に、完全な白髪ではなくグレーへ移行中の方は、将来的にどういった外見を維持・達成したいか、専門医との相談が重要です。
多くの患者は、自然な形で白髪が分布している状態(均一なグレーヘア)を維持したいと希望します。



植毛した白髪は染められる?

はい、移植された白髪に対してもヘアカラー剤を安全に使用することが可能です。
ただし、移植直後は頭皮や毛包が敏感な状態にあるため、染毛のタイミングについては医師の指示を仰ぐことが非常に重要です。

毛髪再生専門医が、安全な時期と染毛方法について適切なアドバイスを行いますので、焦らず、計画的なヘアケアを心がけましょう。



記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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