髪が抜ける本当の理由とは?知っておきたい毛周期と脱毛のメカニズム

白いキャミソールを着た女性が黒髪に指を通す様子。毛髪の成長や抜け毛が気になる読者に向けた、毛周期やヘアケアの重要性を示すイメージカット。

この記事の概要

「最近、髪の毛がよく抜ける気がする…」そんな不安を抱えたことはありませんか?実は、私たちの髪の毛は常に「成長→休止→脱毛」というサイクルを繰り返しています。この毛周期を正しく理解することで、正常な抜け毛と注意が必要な脱毛を見分けることができます。本記事では、毛髪の成り立ちから脱毛を引き起こす原因、さらには男性型・女性型脱毛症の仕組みまで、専門知識がなくても分かりやすく解説します。

脱毛とヘアサイクル(毛髪の成長周期)

白いシャツを着た女性がベッドに横たわり、スマートフォンを手に壁を見つめながら思い悩む様子。抜け毛や毛周期の乱れに影響するストレスとの関係を表現したイメージカット。

髪の毛が抜ける理由を正しく理解するためには、まず髪の毛の正常な成長周期(ヘアサイクル)について知っておく必要があります。毛髪は、ケラチン(keratin)と呼ばれるたんぱく質でできており、毛包(hair follicle)と呼ばれる皮膚内部の構造から生み出され、皮膚表面に押し出される形で成長します。

この毛髪の成長は、「成長 → 退行 → 休止 → 脱毛」という一連の周期的なプロセスを繰り返しています。これが毛周期(hair growth cycle)と呼ばれるものです。

自信を取り戻す、最適な植毛

毛周期の4つのステージとは?

滑らかで艶のある肩までのダークブラウンヘアの女性が横顔で微笑む様子。健康な毛髪の成長やヘアサイクルの正常な状態を象徴するイメージカット。

毛周期は、以下の4つの段階に分けられます:

  • 成長期(Anagen phase):毛髪が実際に成長する期間
  • 退行期(Catagen phase):毛包が退化し始める移行期
  • 休止期(Telogen phase):成長が停止している期間
  • 脱毛期(Exogen phase):毛髪が抜け落ちる段階
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具体的には、以下のような流れになります:

  1. 成長期(Anagen)は通常2~8年続き、この間に毛髪はどんどん伸びていきます。
  2. 続いて退行期(Catagen)に入り、毛包が萎縮して毛髪の成長が止まります。この期間は2~4週間程度と短いのが特徴です。
  3. 次に休止期(Telogen)に入り、毛髪は成長を完全に止めた状態になります。この時期は2~4ヶ月続きます。
  4. 最後に脱毛期(Exogen)では、休止期に入っていた毛髪が自然に抜け落ちます。その後、新たな毛髪が生え始め、新しい成長期が始まります。
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毎日50〜100本の抜け毛は正常

人間の頭皮では、毎日平均して50〜100本の毛髪が抜けるとされています。これは自然な毛周期の一部であり、入浴時やブラッシング時に見られる抜け毛の多くはこの範囲内です。こうした髪の毛はまた新たに生えてくるため、過度な心配は不要です。

通常、頭皮全体のうち、休止期(Telogen phase)にある毛包は全体の10%未満です。このバランスが崩れると脱毛が目立つようになります。

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毛周期に影響を与える要因

毛周期のバランスが崩れると、一時的または恒久的な脱毛症(alopecia)につながる可能性があります。以下のようなさまざまな要因が関与します:

  • 医薬品の服用
  • 放射線治療や化学療法
  • 化学物質への暴露
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 栄養不足
  • 甲状腺疾患
  • 全身性または局所的な皮膚疾患
  • 強いストレス

これらの要因は毛包の機能や毛周期に悪影響を与えることで、脱毛を引き起こします。

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髪の成長を制御するアンドロゲン(男性ホルモン)

アンドロゲン(androgens)とは、テストステロン(testosterone)やジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone: DHT)などの男性ホルモンの総称です。これらは人間の毛髪の成長に深く関わっています。

例えば、ヒゲ、わき毛、陰毛などの成長にはアンドロゲンの存在が不可欠です。一方で、頭髪の成長自体はアンドロゲン依存ではないことが知られています。

しかし、男女問わず見られる男性型・女性型脱毛症(androgenetic alopecia)には、アンドロゲンの関与が非常に重要です。この脱毛症では、アンドロゲンの影響により毛包が縮小してしまい、髪の成長期間が短くなり、毛が細くなっていきます。

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ヘアサイクルの可視化と毛包のミニチュア化

次に示す図では、男性型および女性型脱毛症に見られる「毛包のミニチュア化(miniaturization)」の過程を視覚的に確認することができます。

この過程では、毛髪の成長期間が徐々に短くなり、それに伴って毛髪が細く、短く、色も薄くなるという変化が起きます。最終的には、産毛のような状態(軟毛:vellus hair)に近づいていきます。

毛包のミニチュア化は進行性であり、放置すると元の太く長い毛に戻すのが困難になるため、早期の対策が重要です。

毛髪の脱毛には多くの要因が関わっており、特にホルモンや生活習慣、ストレス、栄養状態などの影響を受けやすいのが特徴です。正しい知識を持つことで、自身の髪の変化に早期に気づき、必要な対応をとることが可能になります。脱毛が気になる方は、まずは毛周期の基本を理解し、医療機関での相談を検討するのが安心です。

ご希望があれば、図解やイラストも加えて視覚的な理解を深めることも可能です。必要でしたらお知らせください。

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記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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