薄毛は世界中で“治す時代”へ──2015年ISHRS調査が示す自毛植毛と女性の新たなニーズ

明るい部屋で寄り添いながらスマートフォンを見て笑い合う女性たち。SNS広告や口コミで育毛情報を共有し合う、現代女性のリアルな日常シーンを表現したイメージ。

この記事の概要

「最近、髪のボリュームが気になる……」そんな悩みを抱えるのはあなただけではありません。実は今、世界中で“本当に効果がある薄毛治療”への関心が高まり、自毛植毛を中心とした医学的治療が主流になりつつあります。本記事では、国際毛髪外科学会(ISHRS)の2015年調査データをもとに、どんな治療が選ばれているのか、女性のニーズはどう変化しているのか、そして未来の治療選択肢まで、やさしくわかりやすく解説します。

髪の悩みは万国共通。今や“医療”として向き合う時代に

薄毛や外見の変化に悩む若い日本人女性がうつむき加減で考え込む様子。女性特有のびまん性脱毛や分け目の悩みに対し、自毛植毛や美容医療が注目される背景を象徴するイメージ写真

「最近、生え際が気になる……」「朝起きると枕に抜け毛が……」
そんな薄毛の悩みは、今や日本だけではなく、世界中の人々が抱える共通の問題となっています。

けれど今、薄毛は「老化のサイン」でも「遺伝だから仕方ない」でもありません。
世界中の医師たちが本気で取り組む、れっきとした“医療分野”なのです。

その最前線で活躍しているのが、ISHRS(国際毛髪外科学会)という世界最大の毛髪治療専門医の団体。
この組織には、世界70か国以上から1,100人を超える医師たちが参加しており、年々進化する毛髪治療の実態を、2年ごとに「実態調査(Practice Census)」としてまとめています。

今回は、その2015年版の調査報告をもとに、「世界で今、本当に求められている薄毛治療」とは何か? どんな技術が使われているのか? そして、誰がどんな理由で治療を求めているのか?を、できるだけわかりやすく、時には楽しくご紹介していきます。

自信を取り戻す、最適な植毛

8年で76%も増加!世界が信頼する外科的薄毛治療とは?

長いブラウンヘアの日本人女性がカフェのテーブルに身を乗り出し、太陽の光を受けてツヤのある髪を輝かせながら明るく笑っている様子。自然な毛流れと健康的な髪質が際立ち、毛髪移植後の理想的な仕上がりをイメージさせるビジュアルカット。

まず驚くべきは、この数字です。
2006年から2014年までのわずか8年間で、世界中で行われた自毛植毛手術の件数は76%も増加しました。

2014年だけで見ても、約40万件(正確には397,048件)の植毛手術が世界中で行われていたのです。

これはもう、「一部の美容好きな人だけの話」ではありません。
医学的な根拠に基づき、多くの人が信頼を寄せる“標準的な治療”として広まりつつあることの証と言えるでしょう。

この「外科的治療」とは、主に自毛植毛(じもうしょくもう、Hair Transplantation)と呼ばれるもの。
自分の髪の毛を別の場所に移すことで、自然なボリュームを取り戻すという方法です。

でも一体、どんな技術が使われているのでしょうか?次に詳しく見てみましょう。

自信を取り戻す、最適な植毛

自毛植毛の“主流”4大手法とは?

調査では、6種類の自毛植毛技術について、世界中の医師に対して「どれをどれだけ使っているか?」が聞かれました。
その結果、次の4つの方法が主流として挙げられています。

① 手動FUE法(Manual HT FUE)【35.9%】

最も使われていたのが、FUE(Follicular Unit Excision)法と呼ばれる技術の中でも、医師が手作業で毛包(もうほう:髪の根っこ部分)を1本ずつ取り出す「手動FUE法」でした。

これはまさに職人技の世界。
1本1本丁寧に採取し、傷跡を最小限に抑えながら自然な仕上がりを目指す高度な手法です。

自信を取り戻す、最適な植毛

② トリコフィティック閉鎖を伴うFUT法【30.2%】

FUT(Follicular Unit Transplantation)は、頭皮を帯状に切り取り、その中から毛包を取り出す方法。
やや大がかりな手術ですが、効率よく大量の髪を採取できるという強みがあります。

その中でも、「トリコフィティック閉鎖(Trichophytic Closure)」と呼ばれる縫合技術を使うと、傷跡が目立たないように工夫された手術が可能になります。

自信を取り戻す、最適な植毛

③ トリコフィティック閉鎖を使わないFUT法【20.8%】

同じFUT法でも、縫合の工夫をせずに通常どおり閉じる場合もあります。
こちらはやや傷跡が残りやすいという難点がありますが、施術時間やコストを抑えたい人には選ばれることもあるようです。

自信を取り戻す、最適な植毛

④ 自動FUE法(Automated HT FUE)【12.6%】

医師の代わりにロボットや専用機器が毛包を採取する方法です。
手作業よりもスピーディーで均質な仕上がりが期待される一方で、機械に任せる不安を感じる人も一定数いるようです。

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女性の治療理由ランキング:「もっと髪が欲しい」だけじゃない!

では、どんな理由で人は髪の治療に踏み切るのでしょうか?
特に女性においては、「ただ髪が増えればいい」という単純な理由だけではありません。

2014年の調査によると、女性が毛髪再生治療を受ける主な理由は以下のようになっています:

  • 薄毛が気になり、人目が気になって自己意識が高まった」:65.0%
    → つまり、「見た目に自信が持てない」「写真に写りたくない」など、心理的な悩みが最も大きな動機です。
  • 薄毛治療が“ちゃんと効く”と広く知られるようになった」:15.7%
    → 一昔前は「怪しい」と思われていた治療が、今では信頼性ある医療として認知され始めています。
  • 「女性でも薄毛治療ができると知った」:7.9%
    薄毛治療は「男性だけのもの」と思われがちでしたが、実は女性のニーズも非常に高いのです。
  • 「薬による治療方法があると理解した」:4.3%
  • 「社会的に“美しい髪”を求められる圧力」:7.0%
    → 「髪は女の命」という言葉が象徴するように、外見に対する期待も無視できない要因です。
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実は人気急上昇中!眉毛・ヒゲ・まつげへの移植

毛髪移植といえば「頭のてっぺん」を思い浮かべがちですが、今注目されているのが頭皮以外への植毛です。
ISHRSの調査によると、2014年には以下のような部位に移植が行われていました:

  • 眉毛(Eyebrow):5.5%
  • ヒゲや口ひげなどの顔の毛(Facial):3.7%
  • まつげ(Eyelash):0.6%
  • その他(傷跡やもみあげなど):0.9%未満
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さらに、どんな部位に興味があるかを男女別に調べた結果がこちら:

  • 女性:92.2%が「眉毛への治療に関心あり」
  • 男性:63.8%が「ヒゲ・顔の毛」、31.5%が「眉毛」に関心

つまり、「顔の印象」を決定づけるパーツへのこだわりは、年々高まっているのです。

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地域別動向:アジアが主戦場!“顔・眉”治療の最前線

397,048件にのぼった2014年の植毛手術。
このうち、最も多くの施術が行われた地域はアジアでした。

アジアでは、頭皮だけでなく、眉毛・まつげ・顔・陰部などの移植も多く、見た目や美容への意識の高さが伺えます。

一方、アメリカでは「その他の部位」(例えば、手術跡や傷跡などの再建治療)が多く、医療的ニーズにも対応していることがわかります。

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処方薬事情:ロゲイン・プロペシアが二大柱

外科的治療だけでなく、薬によるアプローチも根強い人気を誇っています。

2014年の処方実績では、次の3つが主な薬剤でした:

  1. ロゲイン(Rogaine Foam 5%)=ミノキシジル外用薬
    発毛を促す血行促進剤で、男女ともに使用されます。フォーム状で使いやすいのが特徴。
  2. プロペシア(Propecia)=フィナステリド1mg
    主に男性向けの内服薬で、抜け毛の進行を抑える作用があります。
  3. ミノキシジル液(2%または5%)
    頭皮に塗布して使用する、世界的に広く使われる育毛剤です。
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1回で満足する人が多数!平均移植株数は2,000本近く

「何回手術を受ければいいの?」という疑問にも、ISHRSの調査が答えをくれます。

  • 67.7%の医師が「1回で効果を出せた」と回答
  • 施術の平均回数は4.6回、中央値は1.0回
自信を取り戻す、最適な植毛

また、1回の施術で移植される髪の本数(グラフト数)は:

  • 平均で1,956株
  • 中央値は2,000株
  • 42.2%の医師が「1,000~1,999株を移植

つまり、多くの人は1〜2回の手術で、2,000本前後の髪を増やしていることになります。

自信を取り戻す、最適な植毛

まとめ:薄毛は「隠す時代」から「治す時代」へ

ここまで見てきたように、2015年のISHRS調査は、毛髪治療がいかにグローバルに、かつ本格的な医療として進化しているかを如実に物語っています。

今や、薄毛の悩みは「仕方ないこと」ではなく、「科学的に向き合える課題」になりました。
もし、あなたやあなたの大切な人が、髪のことで悩んでいるなら——
それは未来を変えられるチャンスかもしれません。

次回は、最新の非外科的治療(レーザー、PRP、幹細胞など)の現状や、年齢層別の傾向も含めてご紹介する予定です。
どうぞお楽しみに!

自信を取り戻す、最適な植毛

記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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