女性の抜け毛はなぜ起こる?髪の成長サイクルから分かる本当の原因と対策

髪を耳にかけて穏やかに微笑む女性。髪の健康や抜け毛対策に関心を持つ現代女性のイメージ

この記事の概要

「最近、抜け毛が増えた気がする…」そんな不安を抱える女性は少なくありません。実は、髪の毛にも「生え変わるサイクル(ヘアサイクル)」があることをご存じですか?この記事では、髪の基本構造から毛が抜ける自然なメカニズム、そして薄毛の原因と予防法まで、専門的な知識をやさしく丁寧に解説します。知っておくだけで、不安が軽くなるかもしれません。

女性の薄毛とヘアサイクル(毛髪成長周期)について

抜け毛や薄毛の不安を抱えながらも前向きに向き合おうとする女性のポーズ。ヘアケアや髪の再生に取り組む姿勢を表現

人間の髪の毛も、生物学的な存在である以上、「成長」と「休止」を繰り返す一定のサイクル(ヘアサイクル(hair growth cycle))に従って生え変わります。特に女性の場合、このヘアサイクルを理解することは、薄毛(脱毛症)や抜け毛の原因を知るうえで非常に重要です。

髪の毛は、毛包(hair follicle)と呼ばれる皮膚内部の構造から生み出され、外へと押し出されて形成されます。毛髪の主成分はケラチン(keratin)というたんぱく質で、爪と同じ成分からできています。

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毛髪の3つの成長段階:アナゲン期・カタゲン期・テロゲン期

うなじが見えるように髪をまとめた女性。ダークブラウンの髪をお団子に結び、耳元に数本の毛束が垂れる自然なスタイル。髪の質感や毛髪の健康状態を意識したイメージ

髪の毛は、以下の3つの段階を周期的に繰り返しながら成長と脱落を繰り返します:

  1. アナゲン期(anagen phase)=成長期
    髪の毛が活発に成長する時期で、通常2年から8年ほど続きます。この間に毛包の中ではケラチンが盛んに作られ、太くしっかりした毛が育ちます。
  2. カタゲン期(catagen phase)=退行期
    成長が止まり、毛包が急速に縮小・退化する短期間(約2〜4週間)の移行期です。この段階では新しい髪の準備が始まります。
  3. テロゲン期(telogen phase)=休止期
    髪が成長を完全に停止し、自然に抜け落ちるまで休んでいる時期です。通常、2〜4ヶ月続きます。

テロゲン期のあと、新しい毛髪が毛包から生え始めると古い髪が押し出されて抜け落ちます。これがいわゆる「自然な抜け毛」です。

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自然な抜け毛の量と心配のない目安

私たちは1日あたり平均で50〜100本の髪の毛を自然に失っています。これはテロゲン期にある毛が新たなアナゲン期に入った際に抜けるためで、シャンプーやブラッシングの際に目にする抜け毛のほとんどがこの正常な現象です。

この時点で抜けた髪の毛は再び同じ毛包から再生されるため、過度に心配する必要はありません。通常、頭皮全体の毛包のうち10%以下しかテロゲン期に入っていないとされています。

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ヘアサイクルに影響を与える要因と脱毛症(alopecia)

ヘアサイクルにはさまざまな内的・外的要因が影響し、一時的または永久的な脱毛を引き起こすことがあります。主な要因としては以下のようなものがあります:

  • 薬剤(medications)
    抗うつ薬、抗血圧薬、ホルモン薬など、一部の処方薬が脱毛を引き起こすことがあります。
  • 放射線治療・化学療法(radiation, chemotherapy)
    がん治療の一環として用いられる治療法は、急速に分裂する毛母細胞も標的となり、広範囲な脱毛をもたらします。
  • 化学物質への曝露(chemical exposure)
    染髪剤やブリーチなどの過度な使用は毛包にダメージを与えることがあります。
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  • ホルモンバランスの乱れや栄養不足
    妊娠・出産・更年期などのホルモン変化や、鉄・ビタミン不足も脱毛の原因になります。
  • 甲状腺疾患(thyroid disease)
    甲状腺ホルモンは代謝を調整する重要な役割があり、そのバランスが乱れると毛髪の健康に影響を与えます。
  • 皮膚疾患(generalized or local skin disease)やストレス
    頭皮の炎症や極度の精神的ストレスも脱毛の一因となります。
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アンドロゲン(androgens)と女性の薄毛の関係

人間の毛髪成長において、アンドロゲン(androgens)と呼ばれる男性ホルモン(具体的にはテストステロン(testosterone)やジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone, DHT))が重要な役割を果たしています。

ヒゲやわき毛、陰毛などの発育にはアンドロゲンが不可欠ですが、頭髪の成長そのものはアンドロゲンには直接依存していません。しかし、男女問わず、「男性型脱毛症(androgenetic alopecia)」や「女性型脱毛症」の発症にはアンドロゲンの存在が大きく関係しています。

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毛包の「ミニチュア化」と女性型脱毛症

以下の図で示されるように、女性型脱毛症では毛包のミニチュア化(miniaturization of the hair follicle)が進行します。これは、毛が生える期間が短くなり、毛髪が細く・柔らかく・色も薄くなり、最終的に産毛(vellus hair)のような状態に近づいていく現象です。

この変化が蓄積すると、見た目のボリュームが著しく減少し、薄毛として認識されるようになります。

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まとめ

女性の髪の健康を守るには、まずヘアサイクルの仕組みとそれに影響を与える要因を正しく理解することが大切です。抜け毛の多くは自然な現象であり、必要以上に不安になる必要はありませんが、長期間にわたって毛髪のボリュームが減り続けるようであれば、専門医の診察を受けることをおすすめします。

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記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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