この記事の概要
「最近、髪のパサつきや抜け毛が気になる…」そんなあなたに知ってほしいのが、髪の健康と食事の深い関係。じつは、ツヤのあるしっかりした髪を育てるには、たんぱく質や鉄分、ビタミン類などの栄養素が欠かせません。この記事では、国際毛髪外科学会(ISHRS)の専門医アラン・バウマン医師のアドバイスをもとに、髪にいい食べ物とその栄養効果をご紹介。忙しくても今日から取り入れられる食習慣で、内側から輝く美髪を目指しましょう!
健康的な髪は食事から育つ:美髪のために必要な栄養とは?

ツヤとコシのある美しい髪を手に入れるために、まず見直したいのが「日々の食事」です。髪は、私たちの身体の健康状態を映し出す“バロメーター”とも言われています。外からのケア(シャンプーやトリートメント)だけでは限界があり、体の内側からの栄養補給が、髪の成長やハリ・ツヤに深く関わっているのです。
本記事では、髪の健康を維持し、将来の抜け毛や薄毛予防にもつながる「髪に良い食べ物」と、それに含まれる重要な栄養素について詳しく解説していきます。科学的根拠に基づきながら、一般の方でもわかりやすく楽しく読める内容となっています。健康的な食生活を整えることが、結果的に「髪に効く自己投資」になる──そんな視点から、ぜひご覧ください。
サーモン(鮭):オメガ3脂肪酸と良質タンパク質の宝庫

髪に良い食品の代表格とも言えるのが、サーモン(鮭)です。脂ののった鮭には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といったオメガ3脂肪酸(Omega-3 fatty acids)が豊富に含まれています。これらは体内で合成できない「必須脂肪酸」であり、頭皮の保湿や毛根の炎症抑制、血流促進などを通して、髪の成長をサポートする重要な栄養素です。
また、サーモンは高品質な動物性タンパク質の供給源でもあります。髪の約95%は「ケラチン(keratin)」というタンパク質で構成されているため、良質なタンパク質が不足すると、髪が細くなったり、抜けやすくなったりすることがあります。
さらに見逃せないのが、ビタミンB12(Vitamin B12)と鉄分(Iron)。ビタミンB12は赤血球の生成や神経機能の維持に必要不可欠で、特に動物性食品に多く含まれます。不足すると貧血や毛根への酸素供給が滞り、脱毛のリスクが高まることもあります。
鮭を週に2回程度、食事に取り入れることで、髪だけでなく心臓や脳にも良い影響が期待できるとされており、まさに「髪と健康を同時に守る万能食材」と言えるでしょう。
緑色葉野菜:頭皮のうるおいを守るビタミンA・C
ほうれん草、ケール、スイスチャード(不断草)、ブロッコリーなどの濃い緑色野菜(dark leafy greens)は、「食べるビタミンサプリ」とも言えるほど栄養価が高く、特にビタミンA(Vitamin A)とビタミンC(Vitamin C)の供給源として優れています。
ビタミンAは、皮脂腺の働きを促進し、頭皮の乾燥を防ぐ役割があります。皮脂(sebum)は、髪に自然なツヤと潤いを与える天然のコンディショナー。適量の皮脂が分泌されることで、毛髪のパサつきや切れ毛を防ぐことができます。
ビタミンCは、抗酸化作用に加え、コラーゲン(collagen)の合成を助ける働きがあります。コラーゲンは、頭皮の構造を支え、毛包(hair follicle)を健やかに保つうえで重要な成分です。また、ビタミンCは非ヘム鉄(植物性鉄)の吸収を助ける働きもあるため、鉄分の豊富な野菜と一緒に摂ることで、相乗効果が得られます。
このように、緑黄色野菜は髪と頭皮の「内なる潤い」を守る栄養素がぎっしり詰まった、頼れる食材です。
豆類:タンパク質・鉄・亜鉛・ビオチンを含む育毛サポーター
キドニービーンズ(赤インゲン豆)、レンズ豆、大豆、ひよこ豆などの豆類(legumes)は、植物性タンパク質の代表格でありながら、髪の健康維持に欠かせない鉄分、亜鉛(zinc)、ビオチン(biotin)といった栄養素もバランスよく含んでいます。
特に注目すべきはビオチン(ビタミンB7)。ビオチンは「美容ビタミン」として知られ、ケラチンの生成を助け、髪の成長を促進し、抜け毛を予防すると考えられています。ビオチンが不足すると、髪がもろくなり、切れやすくなる可能性があります。
また、豆類に含まれる非ヘム鉄は、赤血球を通じて酸素を毛根に供給する働きがあり、特に女性に多い鉄欠乏性脱毛の予防にもつながります。
さらに、亜鉛は細胞分裂や組織の修復に関わり、毛包の機能維持に重要です。動物性食品に比べると吸収率はやや劣りますが、豆類も貴重な亜鉛源として評価されています。
植物性食品だけでこれほど多くの髪に良い成分が摂れるのは、まさに豆類ならでは。ベジタリアンの方にも心強い味方です。
ナッツ類:セレンと亜鉛で頭皮環境を整える
ナッツ類(nuts)は、手軽に食べられて栄養価も高く、髪や頭皮の健康を支える成分が豊富です。中でもブラジルナッツ(Brazil nuts)は、セレン(selenium)の含有量が非常に高いことで知られています。
セレンは、抗酸化作用を持ち、頭皮の老化や炎症を防ぐ働きがある微量ミネラルです。1日1~2粒のブラジルナッツで、成人に必要なセレンの摂取量を十分に満たすことができます。ただし、過剰摂取(400µg/日以上)は髪のもろさや抜け毛を引き起こす可能性もあるため、摂取量には注意が必要です。
他にも、くるみ(ウォールナッツ、walnuts)は、植物性オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸(alpha-linolenic acid)を含み、頭皮と髪に潤いを与える働きがあります。アーモンドやカシューナッツにも亜鉛が含まれており、亜鉛不足は脱毛の原因となることが知られています。
さらにナッツ類はビタミンE(vitamin E)の良好な供給源でもあり、ビタミンEは頭皮の血行を促進し、毛根に酸素や栄養を届ける役割を担います。毎日のスナックとして、ナッツをひと握り取り入れるだけで、髪への投資ができます。
卵:ビオチンとB12を含む“完全栄養食”
卵(eggs)は、手軽に摂取できる高タンパク食品でありながら、髪に良いビタミン類も豊富に含まれています。特に注目したいのが、ビオチン(biotin)とビタミンB12(Vitamin B12)です。
卵黄にはビオチンが多く含まれており、ケラチン合成を助け、髪の強度やツヤを高める効果があります。加えて、B12は貧血の予防や、毛根の酸素供給に関わるため、抜け毛予防にも貢献します。
さらに、卵にはビタミンDやビタミンA、鉄分、セレンなども含まれており、まさに「髪のための栄養パック」とも言える存在です。調理方法も豊富で、朝食から昼食、間食まで幅広く活用できます。
全粒穀物:B群ビタミンとミネラルで成長サイクルをサポート
全粒粉パンやオートミール、玄米などの全粒穀物(whole grains)は、ビタミンB群(B-complex vitamins)や鉄分、亜鉛、食物繊維の供給源として優れています。B群ビタミンは細胞分裂や代謝に不可欠で、毛包の活動を正常に保つ役割があります。
また、強化されたシリアルなどには鉄分や亜鉛が添加されていることが多く、特に植物性食品中心の食生活では、こうした強化食品が栄養補完の鍵となります。
さらに、食物繊維は腸内環境を整えることで、全身の代謝バランスを安定させ、ホルモンバランスも維持されやすくなります。これは、ホルモンの変化によって生じる抜け毛(特に女性のびまん性脱毛症)への対策としても有効です。
低脂肪乳製品:タンパク質とカルシウムで毛母細胞を活性化
ヨーグルトやスキムミルク(無脂肪乳)、カッテージチーズといった低脂肪乳製品(low-fat dairy)は、カルシウム(calcium)と高品質タンパク質(ホエイwhey・カゼインcasein)の供給源として、髪の成長をサポートします。
カルシウムは、骨の健康だけでなく、毛母細胞(毛の成長を担う細胞)の働きを活性化するうえでも重要です。また、乳製品に含まれるビタミンB群やビタミンD(fortified dairyの場合)も、毛包の健康維持に欠かせません。
植物性ミルク(例:豆乳)でも、カルシウム・ビタミンD強化タイプであれば代替可能です。朝食や間食にヨーグルト+フルーツ+ナッツを組み合わせれば、効率的に美髪栄養を摂ることができます。
まとめ:美しい髪は「食べるケア」からはじまる
シャンプーやトリートメントだけに頼るのではなく、「内側からのケア=食べるケア」を意識することで、髪本来の美しさと生命力を引き出すことができます。
今回ご紹介した食材は、いずれもスーパーやコンビニで手に入るものばかり。1食ごとに髪に良いものを意識して選ぶことで、将来の抜け毛予防やツヤのある健康的な髪の維持に大きな差が生まれます。
毎日の食事は、単なる栄養補給ではなく、「自分へのケアの時間」です。食卓から始める美髪習慣、ぜひ今日からあなたの生活にも取り入れてみてください。







