植毛に関するよくある質問とその回答

疑問

植毛薄毛に対する有効な治療法として広く認知されつつありますが、「手術って本当に安全?」「費用はどれくらいかかる?」「痛みや後遺症はある?」など、不安や疑問を感じる方も多くいらっしゃいます。この記事では、植毛に関するよくある質問をピックアップし、専門的かつわかりやすく回答しています。初めての方でも安心して治療に臨めるよう、医学的根拠と実際の臨床経験をもとに解説していきます。

【1. 植毛の基本に関する質問】

Q1. 植毛とはどういう治療法ですか?
A. 植毛とは、後頭部や側頭部など脱毛の影響を受けにくい部位から毛根を採取し、薄毛の部位に移植する外科的治療法です。主に自毛植毛が用いられ、拒絶反応が起きにくく、生着すれば長期的に自然な髪が再生されます。

Q2. 植毛にはどんな種類がありますか?
A. 主に2つの方法があります:
・FUE法(Follicular Unit Extraction):毛根を1本ずつパンチでくり抜く方法。傷が目立ちにくく、ダウンタイムが短い。
・FUT法(Follicular Unit Transplantation):頭皮を帯状に切除して毛根を採取する方法。一度に多くの株を移植可能だが、線状の傷が残る場合も。

Q3. 誰でも植毛は受けられますか?
A. 一定の条件を満たす方であれば可能ですが、以下のようなケースでは施術が制限されることがあります。
・ドナー部(後頭部など)の毛量が不足している
・極度の皮膚疾患や感染症がある
・未成年または進行度が不安定な若年患者(場合により慎重対応)

【2. 治療前に多い不安・疑問】

Q4. 痛みはありますか?
A. 手術は局所麻酔で行うため、施術中の痛みはほとんどありません。術後に軽度の腫れや鈍痛を感じる場合がありますが、処方薬で十分にコントロール可能です。

Q5. 周囲にバレませんか?
A. FUE法であれば、術後の傷跡は点状で髪に隠れるため、他人に気づかれにくいです。また、帽子やヘアスタイルで自然にカバーすることも可能です。

Q6. カウンセリングはどのように進みますか?
A. カウンセリングでは、薄毛の進行度、ドナー部の状態、希望する仕上がりなどを確認します。写真撮影や頭皮診断を行い、患者の要望と医学的見解をすり合わせたうえで、移植株数や範囲を提案します。

Q7. 本当に生えてくるんですか?
A. 生着率は90〜95%と高く、自毛であるため拒絶反応のリスクはほぼありません。ただし、移植後すぐに生えるわけではなく、休止期を経て3〜6ヶ月ほどで発毛が始まります。

【3. 手術当日とダウンタイムについて】

Q8. 手術にはどのくらい時間がかかりますか?
A. 移植株数や施術方法によりますが、一般的に3〜6時間程度です。広範囲に渡る場合は2日間に分けて行うこともあります。

Q9. 当日はどんな服装で行けばいいですか?
A. 前開きのシャツなど、頭に服を通さずに脱ぎ着できるものが推奨されます。術後の頭部への摩擦や圧迫を避けるためです。

Q10. 手術後すぐに帰宅できますか?
A. 基本的には当日帰宅が可能です。ただし麻酔の影響が残る場合や体調により、数時間院内で休むこともあります。車の運転は避けましょう。

Q11. 仕事への復帰はいつから可能ですか?
A. デスクワークであれば翌日〜2日後から復帰可能ですが、頭部への刺激や汗を伴う作業は1週間程度控えることが推奨されます。

医者

【4. 術後の経過・効果・リスクに関する質問】

Q12. 植毛後に髪が抜けると聞きましたが本当ですか?
A. はい、移植後1〜3週間で「ショックロス」と呼ばれる一時的な脱毛が起こることがあります。これは毛根が定着し休止期に入る自然な現象で、やがて新しい髪が生えてきます。

Q13. 植毛した髪はいつから生えますか?
A. 通常、3〜4ヶ月で発毛が確認され、6〜12ヶ月で密度や太さが増し、自然な状態に整っていきます。

Q14. 植毛の副作用や合併症はありますか?
A. 腫れ・赤み・かゆみ・内出血・まれに感染症が報告されていますが、多くは一時的です。クリニックの衛生管理と術後ケアの指導を守ればリスクは最小限に抑えられます。

Q15. 再び薄毛になることはありますか?
A. 移植された毛は後頭部の性質を持つため、基本的には抜けにくいですが、周囲の非移植部位が脱毛進行する可能性はあります。そのため、医師の判断により、薬物療法の併用が提案されることもあります。

【4. 費用や保険適用、支払い方法に関する疑問】

Q16. 植毛にはいくらかかりますか?
A. 移植株数と施術方法によって異なりますが、500株で20〜40万円、1,000株で40〜80万円程度が相場です。FUE法のほうがやや高額になる傾向があります。

Q17. 健康保険は使えますか?
A. 植毛は美容医療に分類されるため、公的保険は適用されません。すべて自由診療となります。

Q18. 分割払いや医療ローンは利用できますか?
A. 多くのクリニックでは医療ローンやクレジットカード払いに対応しています。初期費用を抑えたい方は事前に相談しましょう。

Q19. 費用と効果が見合うのか不安です…
A. 確かに費用は高額ですが、長期的に発毛効果が維持されることや、見た目の印象改善による心理的メリットを考えると、「費用対効果が高い」と感じる患者も多いです。費用を抑えつつ信頼性のあるクリニックを選ぶことが重要です。

【5. その他、よくある疑問とその答え】

Q20. 植毛後にヘアカラーやパーマはできますか?
A. 術後2ヶ月以降であれば可能です。ただし、頭皮が完全に回復してから行うようにしましょう。

Q21. 女性でも植毛は受けられますか?
A. はい、FAGA(女性型脱毛症)や牽引性脱毛症などに対しても有効です。髪型への配慮や毛量の設計が必要なため、女性の植毛経験が豊富な医師に相談することをおすすめします。

Q22. 遺伝で薄毛になりやすい家系です。予防は可能ですか?
A. AGAは遺伝的要素が強いですが、進行を遅らせたり予防するための薬(フィナステリドやミノキシジル)の使用が有効です。予防目的で治療を始める方も増えています。

Q23. 海外の製品や個人輸入薬との違いは?
A. 個人輸入薬は成分や濃度の信頼性が低く、副作用や健康被害のリスクがあります。厚労省の認可を受けた医薬品を用いた、安全管理が整った医療機関での治療を強く推奨します。

【6. よくある誤解と正しい理解】

Q24. 植毛をすれば二度と薄毛に悩まなくて済みますか?
A. 植毛は“今ある薄毛”に対しては非常に有効な治療法ですが、AGA(男性型脱毛症)などの進行性の脱毛症は、将来的に非移植部位で再び進行する可能性があります。
そのため、植毛後もフィナステリドやデュタステリドといった内服薬で進行を抑制することが勧められています。植毛だけで終わらせるのではなく、トータルな薄毛ケアを継続することで、より長期的な効果を得られます。

Q25. 芸能人のようなフサフサの髪になるのは難しい?
A. 芸能人のビフォーアフターを見ると「こんなに生えるのか」と思いがちですが、個人差やドナー部の質・量、頭皮の状態によって結果は変わります。
特に広範囲な薄毛では、ドナー株の確保に限界があるため、理想的な密度まで一度の手術で届かないこともあります。そのため、「現実的なゴール設定」と「段階的な治療プラン」が重要です。

Q26. 医師によって仕上がりに差は出ますか?
A. はい、経験・技術・美的感覚に大きく依存します。植毛は「医療」であると同時に「デザイン」の要素も強く、自然なヘアラインの形成や生え方の向きまで繊細な判断が求められます。
クリニック選びでは、症例写真の質・医師の経歴・専門資格の有無(形成外科・皮膚科の出身か)を確認することが推奨されます。

【7. 専門医を選ぶ際のチェックポイント】

Q27. 信頼できるクリニックはどう見分ければ良いですか?
A. 以下のようなポイントを押さえると、失敗リスクを大きく減らせます。

カウンセリングが丁寧で、リスクも包み隠さず説明してくれる
医師が直接カウンセリングに参加してくれる
公式サイトや資料に実際の症例写真が掲載されている
FUE/FUTどちらにも対応しており、希望に応じて選択可能
術後フォロー体制(定期診察やトラブル時の対応など)が明示されている

また、「〇〇株〇万円で誰でもOK」といった過剰な宣伝は慎重に検討すべきです。
髪の密度や生え際の形状は一人ひとり異なるため、画一的なプランで済むはずがないという意識が大切です。

【8. 実際にあったトラブルと対処法】

Q28. 他院で植毛を受けて後悔しました。やり直しはできますか?
A. 可能です。ただし、ドナー部の残存量や頭皮の瘢痕状態などによって、再施術には制限がある場合があります。
過去のトラブルで多いのは以下のようなケースです:

生え際が不自然な形状で、かえって目立ってしまった
密度が不足していて“まばら感”が強い
過剰な株を採取され、ドナー部が薄くなってしまった

このような場合は、「リカバリー植毛」や「SMP(頭皮アートメイク)」などの方法でカバーが可能ですが、最初の医師選びが最も重要であることがわかります。

【9. 植毛後のライフスタイルと心構え】

Q29. 植毛後に注意すべき生活習慣はありますか?
A. はい、以下のようなポイントに注意しましょう:

術後1週間は激しい運動や飲酒を避ける
シャンプーは専用の方法で優しく行う(クリニックが指導)
強い日差しや外部刺激から頭皮を守る(帽子の着用など)
ストレスをためすぎない、睡眠と栄養をしっかり確保する

毛根が安定するまでは非常に繊細な時期ですので、「見えない部分こそ丁寧に扱う」という姿勢が重要です。術後のケアが成功率や満足度を左右します。

Q30. 植毛後にヘアスタイルは自由に楽しめますか?
A. はい、移植毛は通常の髪と同じようにカット・カラー・パーマが可能です。ただし、術後2ヶ月までは頭皮の状態を考慮し、刺激を避ける期間を設ける必要があります。
また、生えそろった後は、自分の理想のヘアスタイルを再び楽しめるようになる方が多く、外見の自由度が大きく広がります。

【10. 将来的なメンテナンスと再施術の必要性】

Q31. 将来的にもう一度植毛が必要になる可能性はありますか?
A. 脱毛の進行や患者の希望によっては、2回目以降の植毛を検討するケースもあります。特に初回で「自然な変化に留めた」場合や、「将来のドナー温存を優先した」場合などです。
ただし、計画的にデザインされていれば、再植毛の回数は最小限に抑えることができます。

Q32. 薬(フィナステリドなど)はずっと飲み続けないといけませんか?
A. 基本的に、AGAの進行を抑えるためには継続的な服用が推奨されます。服用をやめると、非移植部の薄毛が進行してしまう可能性があるため、主治医と相談しながら継続の可否を判断してください。

Q33. 生活改善だけで薄毛は止められますか?
A. 食生活や睡眠、ストレス管理などは髪の健康に確かに影響しますが、AGAなどの遺伝的・ホルモン性の脱毛症には医学的な介入が不可欠です。生活改善だけでは進行を食い止めるのが難しいため、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

【まとめ】

ここまで紹介したように、植毛に関しては「治療法としての有効性」に加えて、「医師選び」「術後ケア」「再発対策」「自分に合った現実的な期待値の設定」が極めて重要です。
何よりも大切なのは、“正しい知識を得てから行動する”こと。焦って契約したり、安さや広告の派手さだけで判断するのは避けましょう。

薄毛という悩みに対し、長年向き合ってきたあなたが選ぶべき道は、安心できる環境で、自分の納得のいく治療を受けることです。
本記事の情報が、あなたの決断をサポートする一助となれば幸いです。

記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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