この記事の概要
脱毛は、年齢やライフスタイルに関係なく、多くの人々が経験する悩みです。本記事では、脱毛症のさまざまな原因やその治療法について解説します。遺伝的要因やホルモンの影響だけでなく、自己免疫疾患やストレスなど、さまざまな原因が脱毛に影響を与えることがあります。それぞれの症状や原因に応じた治療法を紹介し、あなたの髪の健康を守るための最適なアプローチを見つけましょう。
1. 脱毛症（Alopecia Areata）
脱毛症（Alopecia Areata, AA）は、再発性の病気であり、髪の毛が生えている部位のいずれにでも脱毛を引き起こす可能性があります。最も一般的なタイプは、丸または楕円形の脱毛斑として現れ、特に頭皮や眉毛に顕著です。この病状では、通常、髪の毛は6ヶ月から1年以内に再生しますが、多くの患者は同じ部位で再び脱毛のエピソードを経験します。脱毛が丸や楕円形の斑点として現れると、最終的には全頭脱毛（Alopecia Totalis）に進行することもあります。
脱毛症の原因は不明ですが、自己免疫疾患（体が髪の毛の毛包を認識せず攻撃する）であると考えられています。多くの患者は、ストレスや不安が脱毛の原因だと考えています。
治療法としては、ステロイド（コルチゾンなど）を局所的に塗布したり注射したりする方法が一般的です。脱毛症の発症が1年未満であれば治療結果は良好ですが、特に成人では長期にわたって病気が続いている場合、治療の効果は低くなる傾向があります。ミノキシジル（Rogaine®）が髪の再生を促進することがありますが、外科的治療は推奨されません。脱毛症に関して質問がある場合は、ISHRS（国際毛髪再生外科学会）の医師に相談することをお勧めします。
2. 引き抜き性脱毛症（Traction Alopecia）
引き抜き性脱毛症は、毛包に対する持続的な牽引（引っ張り）によって引き起こされ、特にアフリカ系アメリカ人女性に見られることが多く、きつい編み込みやコーンロウ（髪を編んで作るスタイル）によって生じます。この脱毛は通常、髪の生え際に現れます。男性が既存の髪にウィッグを装着する場合、長期間同じ位置で装着し続けると、このタイプの永久的な脱毛が起こることがあります。
また、引き抜き性脱毛症の一種であるトリコチロマニア（自分の髪を引き抜く強迫的な行動）は、脱毛が奇妙なパターンで現れることがあります。長期的にトリコチロマニアが続くと、永久的な脱毛が生じることがあります。
3. 瘢痕性脱毛症（Scarring Alopecia）
瘢痕性脱毛症は、頭皮に傷がつき、それが原因で髪の毛が失われる状態を指します。瘢痕（傷跡）ができる原因はさまざまで、例えば長期間の引き抜き性脱毛症が原因で瘢痕が生じ、永久的な脱毛が引き起こされることがあります。また、トリコチロマニア（強迫的な髪の引き抜き）が原因で、時間が経つにつれて頭皮に傷跡が残り、脱毛を引き起こすこともあります。
物理的な外傷や火傷による頭皮の損傷も、永久的な傷跡を残し、脱毛が生じることがあります。さらに、以下の疾患が原因で頭皮に瘢痕が生じることがあり、これにより永久的な脱毛が引き起こされることがあります：
- 自己免疫疾患（例：全身性エリテマトーデスや硬化症）
- 細菌感染症（例：毛包炎）
- 真菌感染症
- ウイルス感染症（例：帯状疱疹）
4. トリコチロマニア（Trichotillomania）
トリコチロマニアとは、頭皮や体毛を習慣的に引き抜く強迫的な行動のことです。時間が経つにつれて、髪を引き抜き続けると、髪のない部分（脱毛斑）が現れます。長期的なトリコチロマニアは、頭皮の皮膚や傷跡に永久的なダメージを与え、瘢痕性脱毛症を引き起こすことがあります。トリコチロマニアが習慣的行動なのか、強迫的行動なのかは明確ではありません。軽度のものでは、読書やテレビ視聴をしながら髪を引き抜くことがありますが、重度のものでは儀式的なパターンが見られ、鏡の前で髪を引き抜くことがあります。トリコチロマニアの人は、自分の「異常な」行動に対して罪悪感を抱くことが多く、それを隠そうとすることがあります。
5. 三角形脱毛症（Triangular Alopecia）
三角形脱毛症の原因は不明ですが、この状態はしばしば医療的または外科的に治療可能です。三角形脱毛症の特徴的な脱毛パターンは、こめかみ周辺の頭皮で髪の薄毛または完全な脱毛が現れることです。脱毛が完全でない場合、残された髪は「ミニチュア化」していることが多く、細くて薄い髪質になります。三角形脱毛症は、時に子どもの頃にこめかみ部分の髪の脱毛が原因で始まることがあります。
6. 休止期脱毛症（Telogen Effluvium）
休止期脱毛症は、頭皮の毛包の大部分が休止期（脱毛の準備段階）に入り、髪の成長が異常にタイミング良く進行することによって起こる脱毛です。この休止期が異常に長引く原因として、ホルモンの変化、栄養状態、薬物の影響、またはストレスが考えられます。休止期脱毛症の詳しい情報については、「髪の成長サイクル」のセクションをご覧ください。
7. ルーズアネージェン症候群（Loose-Anagen Syndrome）
ルーズアネージェン症候群は、特に色白の人々に見られることが多い病気です。この症候群では、髪の成長期（アネージェン期）において、髪が毛包内で非常に緩く保持されており、髪を梳かしたりブラシをかけたりするだけで簡単に抜けてしまいます。通常、子どもの頃に現れ、時間とともに改善するか、完全に治癒することがあります。
