薄毛治療はもう恥ずかしくない?最新データに見る「植毛手術」利用者の本音とは

前髪に違和感を覚えながら鏡の前で髪を確認する女性。薄毛やボリューム不足に気づき始めた初期段階の不安を象徴する場面|女性の薄毛や自毛植毛に関する情報コラム用画像

この記事の概要

「薄毛は年齢のせい」「治療なんて人に言えない」――そんなイメージは過去のもの。今や植毛手術や薄毛治療は、誰もが正面から向き合える一般的な医療となっています。この記事では、世界的な医療学会による最新調査をもとに、治療を受けた人々の意識変化や手術件数の増加傾向、女性患者の増加、まつ毛・ひげへの応用まで、知られざる「現代の薄毛治療」の実態をご紹介します。

薄毛治療が一般化へ:治療を公表することへの抵抗が減少中

薄毛治療を前向きに捉える若い女性が、明るい笑顔で髪の横に手を添えてポーズをとっている様子。植毛手術や薄毛治療が恥ずかしいことではないというメッセージを体現|薄毛治療の社会的受容に関するコラム用画像

― 第26回世界毛髪再生外科学会が米カリフォルニア州ハリウッドで開催(2018年10月10~14日)―

2011年8月16日、アメリカ・イリノイ州ジュネーブ発。
かつてはタブーとされていた美容整形の話題も、今では職場や友人との会話の中で気軽に語られる時代となっています。その背景には、顔や身体のさまざまな部分に対する“ちょっとした変化”を可能にする治療選択肢が、これまでになく増えているという現実があります。

そして今、世界的に権威ある毛髪再生治療の学会「国際毛髪再生外科学会(International Society of Hair Restoration Surgery:ISHRS)」が実施した最新の会員向け調査結果から、薄毛治療、特に植毛(hair restoration surgery)を受けた人々が、その経験を積極的に公表する傾向が高まっていることが明らかになりました。



「隠さない時代」に変化:半数以上が治療を話題に

濡れた髪を両手で洗いながら笑顔を見せる女性。頭皮ケアや日常のヘアケア習慣が薄毛予防や毛髪再生治療の一環であることを示す象徴的なシーン|薄毛対策と植毛手術に関する啓発記事用画像

この調査では、ISHRSの会員医師に対し、「2010年当時、患者は2008年と比べて、自身の植毛治療について家族や友人に話すことに積極的だったか」を尋ねました。その結果、全体の56.4%の医師が「より話すようになった」と回答。さらに36.2%は「変わらない」、そして「話さなくなった」との回答はわずか7.4%にとどまりました。

ISHRS会長のジェリー・E・クーリー医学博士(Jerry E. Cooley, MD)は次のように語っています。

薄毛(hair loss)は全世界で男性の約50%、女性の25%以上が悩むごく一般的な症状です。ですから、こうした悩みを隠すのではなく、治療を選んだことをオープンにする人が増えているのは当然の流れだといえるでしょう。」



薄毛治療の世界的広がり:2010年の実績データ

調査では、薄毛治療の普及状況について、次のような具体的なデータが報告されました。

  • 2010年に世界中で行われた植毛手術件数は推計279,381件(2008年から11%の増加)。
  • 米国では101,252件の植毛手術が実施されました。
  • 世界中で薄毛治療を受けた患者数(手術・非手術含む)は約923,599人にのぼり、2008年比で14%増加(うち、手術患者は251,208人、非手術患者は672,391人)。
  • 米国では266,566人が薄毛治療を受けています。
  • 2010年時点で植毛手術を受けた患者のうち、男性が85.9%、女性が14.1%。
  • 2004年以降、女性の植毛患者数は24%増加。
  • まつ毛・眉毛・顔面(髭など)への植毛手術は2008年から2010年で14.2%増加。
  • 頭髪、顔面(口ひげ・顎ひげ)、胸毛の植毛手術は、最も多く米国で実施。
  • 特に顔面(ひげ)への植毛手術は、米国で2008年の1,369件から2010年には2,382件へと倍増。



最新技術が後押しする「自然な見た目」

クーリー博士は、毛髪再生技術の進歩についても次のように述べています。

「毛髪再生外科と確立された医療治療法の継続的な進化により、極めて自然で違和感のない仕上がりが可能になっています。将来的にはさらに技術が進化し、科学と芸術が融合したこの分野の発展が加速することでしょう。」



ISHRSとは?

国際毛髪再生外科学会(International Society of Hair Restoration Surgery:ISHRS)は、世界70カ国以上、1,100人超の会員医師を擁する非営利の国際医療団体であり、薄毛治療および毛髪再生医療の世界的権威です。1993年の設立以来、次のようなミッションを掲げています:

  • 医療技術の向上と医療倫理の遵守を通じて、患者満足度の最大化を目指す
  • 医師向けの継続的な専門教育(CME)を提供
  • 一般消費者に向けた最新の治療情報の普及
  • 特に、男性型脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)や女性型脱毛症(female pattern hair loss)といった代表的な薄毛症状に焦点をあてた情報提供と啓発活動

詳しくは、公式ウェブサイト www.ishrs.org をご覧ください。



記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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