髪が薄くなるのは男性ホルモンのせい?テストステロンとDHTのしくみをやさしく解説

鏡の前で頭皮に異変を感じ、驚きと不安の表情を浮かべる女性。瘢痕性脱毛症に気づかず進行させてしまう恐れをイメージしたシーン

この記事の概要

髪が抜けるのは年齢のせい?それとも遺伝?——実は、男性ホルモンが深く関係していることをご存じですか?この記事では、「テストステロン」や「DHT」といったホルモンがどのように薄毛に影響するのかを、専門知識がなくても理解できるようにやさしく解説。中学生でもスラスラ読める、エンタメ感覚の読みやすい解説で、髪を守る第一歩を一緒に踏み出しましょう。

男性ホルモンと薄毛の関係をやさしく解説:テストステロン・DHT・DHT阻害薬ってなに?

ソファに座ってビタミンDサプリメントのボトルを手に取り、成分表示を真剣に確認する女性。脱毛や健康維持のためにビタミンDの適切な摂取量を見極めようとする姿をイメージ。

「最近、おでこの生え際が気になる……」「髪が前より細くなったような気がする……」そんな悩みを抱えている方、実はとても多いのです。特に男性にとって、髪の毛の変化は見た目だけでなく、自信にも大きく関わってくるもの。

そんな“髪の毛の減少”に深く関わっているのが、男性ホルモンのひとつである「テストステロン(Testosterone)」、そしてそこから作られる「DHT(ジヒドロテストステロン:Dihydrotestosterone)」というホルモンです。

この記事では、「ホルモンってよくわからない……」「専門用語が難しくて頭がこんがらがる……」という方にも読みやすく、そして興味を持ってもらえるように、ストーリー仕立てで解説していきます。理系じゃなくても大丈夫。中学生でも「なるほど!」と思えるよう、じっくりやさしくご案内します。



そもそもテストステロンってなに?~男らしさをつくるホルモン~

泡立ち豊かなシャンプーで頭皮を力強く洗う男性。洗浄力を体感しながら至福の表情を浮かべる様子は、髪に合ったシャンプー選びの重要性を伝えるイメージに最適

まずは「テストステロン(Testosterone)」から紹介しましょう。これは、男性ホルモン(アンドロゲン:Androgen)の一種で、「男らしさを形づくるホルモン」と言われることもあります。

思春期にこのホルモンが急激に増えることで、体にさまざまな変化が起きます。

たとえば——

  • ヒゲや体毛が生えてくる
  • 声が低く、渋くなる
  • 筋肉がつきやすくなる
  • 性的な欲求が芽生える

などなど、まさに「大人の男性」へと成長していくために必要な変化ですね。

でも、ここからがポイント。このテストステロンは、大人になると体内で一部が「DHT(ジヒドロテストステロン)」という別のホルモンに変身するのです。そして、このDHTこそが、薄毛の“黒幕”として知られています。



DHT(ジヒドロテストステロン)とは?成長の助っ人から薄毛の犯人へ

DHTという名前を初めて聞いた方も多いかもしれません。DHT(ジヒドロテストステロン)は、テストステロンが5αリダクターゼ(5-alpha reductase)という酵素の力を借りて変換されてできるホルモンです。

このDHT、実は悪者ではありません。むしろ、胎児期や思春期にはとっても重要な存在なんです。

たとえば——

  • 男性器(外性器)の発達
  • 前立腺の成長
  • 思春期の体毛の増加

など、男子の成長にはなくてはならないホルモン。

でも、思春期を過ぎて大人になったあと、DHTは急に厄介な存在に変わります。

なんとこのDHTが、毛根(毛包)に悪影響を与えてしまうんです。



DHTが髪の毛を攻撃する?薄毛が始まるメカニズム

ここからが本題。なぜDHTが薄毛を引き起こすのか——それは「毛包(Hair follicle)」の縮小が関係しています。

私たちの髪の毛は、頭皮の中にある「毛包(もうほう)」という袋のような組織から生えてきます。この毛包が元気だと、太くてしっかりした髪の毛がすくすく伸びてきます。

でも、DHTがこの毛包に作用すると、毛包が少しずつ小さく縮んでいくのです。この現象は「毛包のミニチュア化(Miniaturization)」と呼ばれています。

するとどうなるか?

  • 髪の毛が細く、短くなる
  • 成長のスピードが遅くなる
  • 抜けやすくなる

最終的には、新しい髪の毛が生えてこなくなり、頭皮が露出してしまう=薄毛・ハゲという状態になってしまうのです。

しかもこの影響は、特に前頭部や頭頂部の毛包に集中します。だから、生え際がM字型に後退したり、つむじ周辺が薄くなったりするのですね。



DHTを減らせば薄毛を止められる?救世主「DHT阻害薬」の登場!

「そんなに悪さをするDHTなら、どうにかして減らせないの?」

そう思ったあなた、正解です。実は、DHTの働きをブロックするための薬が存在します。それが、「DHT阻害薬(DHT Blockers)」と呼ばれるお薬です。

このお薬は、DHTの原料となるテストステロンがDHTに変換されるのを邪魔してくれる、まさに髪の守護神とも言える存在!

どんな風に作用するかというと——

  1. 5αリダクターゼという酵素の働きを抑える
  2. 結果的に、テストステロンがDHTに変わるのを防ぐ
  3. 頭皮のDHT濃度が下がる
  4. 毛包への悪影響が減る
  5. 脱毛のスピードが緩やかになる

というステップを踏んで、髪の毛の寿命を延ばすことができるのです。



どんな種類があるの?DHT阻害薬のタイプを知ろう

DHT阻害薬には大きく分けて2種類あります。

① 医薬品タイプ(処方薬)

  • フィナステリド(Finasteride):日本では「プロペシア」という商品名で有名。5αリダクターゼのうち「Ⅱ型」に特化して働きます。1日1錠(1mg)でOK。
  • デュタステリド(Dutasteride):日本では「ザガーロ」として知られています。「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の両方の酵素をブロックできるため、より強力です。

これらは医師の処方が必要な薬で、効果が高い反面、副作用のリスクもあるため、使用には十分な説明と相談が必要です。



② 天然由来タイプ(ハーブ・サプリ)

  • ノコギリヤシ(Saw Palmetto)エキス:アメリカで人気の天然ハーブ。軽度のDHT抑制作用が期待されています。
  • カボチャ種子油(Pumpkin Seed Oil)エキス:抗アンドロゲン効果があるとされ、DHTの自然な減少をサポートします。

こうしたサプリ系は薬ほどの強い効果はありませんが、副作用が少なく、気軽に始められる点で人気です。



実際に効果はあるの?DHT阻害薬の成果と注意点

DHT阻害薬を飲み始めたからといって、すぐにフサフサになるわけではありません。効果が出るまでには、少なくとも3か月〜半年はかかるとされています。

でも、継続していくと——

  • 抜け毛が明らかに減る
  • 髪にコシやボリュームが戻る
  • 「薄くなった気がする…」という感覚が改善される

といった変化を感じる人が増えてきます。

ただし、忘れてはいけないのは、DHT阻害薬は“延命措置”であって、永久的な解決策ではないということ。薬をやめてしまうと、DHTの影響が再び強まり、脱毛が再開することもあります。



さらに、ごくまれに以下のような副作用が報告されています:

  • 性欲の低下
  • 勃起障害
  • 精子数の減少

心配な方は、必ず専門医と相談のうえ、納得して使用することが大切です。



薄毛と戦うには、知識が最大の武器になる!

薄毛というのは、とてもデリケートな悩みです。「誰にも相談できない…」「まだ年齢的に早すぎる気がする…」と抱え込んでしまう方も多いでしょう。

でも、髪の毛の変化は早期対処がカギ!

DHT阻害薬は、そんなあなたの強い味方になってくれる存在です。薬に頼るかどうかは人それぞれですが、少なくとも「なぜ髪が抜けるのか」「DHTとはなにか」を知っているだけでも、心の安心感はまったく違ってきます。



まとめ:髪を守る第一歩は、「知ること」から始まる

テストステロンとDHT、そしてそれが髪に与える影響。ちょっとややこしい話ですが、仕組みがわかれば、怖いものではありません。むしろ、知ることで対策が打てるという点で、非常に前向きな話です。

薄毛が気になり始めたら——
まずは「自分の体の中で何が起きているのか」を知ってみましょう。
そして、DHT阻害薬という選択肢があることも、ぜひ覚えておいてください。

あなたの髪の未来は、今日から変わるかもしれません。



記事の監修者


監修医師

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医

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