この記事の概要
「なんで枝毛ってできるの?」そんな素朴な疑問を、本格的な科学が解決!実は、髪の毛の中には見えない力がたくさんかかっていて、それが原因で枝毛ができちゃうんです。この研究では、髪の毛がブラッシングなどでどんな力を受けて、どこから裂けていくのかを詳しく調べました。髪の質やブリーチなどの影響で、枝毛のなりやすさも変わってくるんです。きれいな髪を保つヒントが、科学の中に隠れているかも!
「枝毛 拡大」で検索して、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。枝毛は拡大すると、実は2つの違うタイプに分かれます。この記事では、拡大したときの見え方とセルフチェック方法を先に解説します。そのあとで、枝毛が起こる力学的な仕組みを科学論文をもとに詳しくご紹介します。
この記事は、ヒロクリニック統括院長・皮膚科専門医の岡博史が監修しています。日々の診察で寄せられる毛髪トラブルのご相談もふまえてまとめました。
- この記事でわかること
- 枝毛を拡大したときの見え方(2つのタイプ)
- 自宅でできる枝毛のセルフチェック方法
- 枝毛が起こる力学的な仕組み(科学論文の解説)
- 枝毛とAGA(薄毛)の違いと受診の目安
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枝毛を拡大するとどう見える?2つのタイプと見分け方
結論から言うと、枝毛を拡大すると2種類のタイプが見えてきます。ひとつは中心から裂けるタイプ、もうひとつは表面から割れるタイプです。まずはこの2タイプの違いと、自宅で簡単にできるチェック方法から説明します。
拡大画像でわかる2つの裂け方
毛先をルーペやスマホのマクロ撮影で拡大すると、枝毛には主に2つの見た目があることがわかります。1つ目は「センター・スプリット」で、毛の中心から縦にリボン状に裂けるタイプです。2つ目は「エッジ・スプリット」で、表面のキューティクルから浅く割れるタイプです。どちらも毛先のダメージですが、裂け方も原因も異なります。

センター・スプリットは、毛先が2本にリボン状に開き、裂け目が5mm以上に及ぶこともあります。一方のエッジ・スプリットは、毛先の表面がササクレのようにほつれるタイプです。浅い裂け目が短く点在するのが特徴です。この違いは、後述する研究データでも数値として確認されています。
自宅でできる枝毛セルフチェック3ステップ
専門的な拡大鏡がなくても、自宅で枝毛の状態はある程度確認できます。次の3ステップを試してみてください。

- 明るい窓際で毛束を広げる:少量の毛束を自然光にかざし、毛先のパサつきや裂けを目視で確認します。
- スマホのマクロ機能で拡大撮影する:カメラを毛先に近づけて撮影すると、肉眼より裂け目がはっきり写ります。
- 毛先を軽くひねって触感を確かめる:指でひねったときにリボン状に開いたり、ザラつきを感じたら枝毛のサインです。
3つとも当てはまる場合は、無理に引っ張らず毛先だけを軽くカットするのが基本の対処です。ここから先は、なぜこのような裂け方が起きるのか、力学的な仕組みを研究データとともに詳しく解説します。
髪の毛はどうして枝毛になるの?科学で解き明かす仕組み
髪の毛が先端から裂けてしまう枝毛は、非常に一般的な現象です。ただし、どのような力学的な仕組みで起こるのかは、これまで十分に理解されていませんでした。実験室で枝毛を再現し、定量的に測定する標準化された試験方法が存在しなかったことが理由のひとつです。
そこで本研究では、新たに3種類の機械的試験法が開発されました。「ループ引張試験」「可動ループ試験」「可動ループ疲労試験」です。髪が絡まった状態でブラッシングされたときに生じる、複雑な応力環境を再現するための試験法です。
これらにより、髪の種類や化学処理の違いが枝毛発生に与える影響を、詳しく調べることが可能になりました。

髪のサンプルと研究デザイン
本研究では、2人の被験者(研究者自身)から採取した直毛のヒト毛髪を使用しました。1人は45歳の女性で、日常的に枝毛に悩まされており、その髪は「低品質毛」と分類されました。もう1人は24歳の男性で、枝毛の経験がなく、髪の質も良好だったため「対照毛」として用いられました。
両者とも髪は直毛です。カーリーヘアのような構造的・機械的に複雑な変異がないことが選定基準でした。

髪の構造
毛髪の基本構造
ヒトの毛髪は、中心部の「皮質(コルテックス)」と、それを覆う「キューティクル」で構成されています。皮質は毛髪の大部分を占めています。結晶性のα型ケラチン(髪の強度を支えるタンパク質)が、繊維状構造を作っています。この構造が毛軸方向に整然と並んでいます。
これらのケラチン繊維の間には、アモルファスマトリックスと呼ばれる部分があります。非結晶性のタンパク質や脂質を主成分とする構造です。

さらに詳細には、以下の2つの階層構造が重要です。
・「中間径フィラメント」:直径約7ナノメートルのケラチン分子集合体
・「皮質細胞」:直径約5マイクロメートルで、細胞膜複合体(CMC)によって接着されています。枝毛や割れ目の多くは、このCMC領域から始まることが知られています。
キューティクルの役割
キューティクルは、β型ケラチンからなる数層のシート状構造で、屋根瓦のように重なっています。通常は6〜8層からなり、全体の厚さは約3〜4μmです。キューティクルの構造的な強度は、それほど高くありません。ただし、皮質を外的な損傷や化学的劣化から守るという重要な役割を果たしています。髪の階層構造については、米国NIH(国立衛生研究所)の資料でも同様に説明されています。

毛髪およびケラチン材料の機械的性質
引張特性(Tensile Properties)
髪の強さを測定する方法として最も一般的なのが「引張試験」です。1本の毛髪を両端から引き伸ばして破断するまでの応力-ひずみ挙動を測定します。
通常、以下のような機械的特性が得られます。
・ヤング率:2~4ギガパスカル(GPa)
・降伏強さ:50~200メガパスカル(MPa)
・最大引張強さ:100~400 MPa
・破断ひずみ:20~50%
引張時には初期は弾性的に応力が上昇し、やがて非線形となります。最終的にはα型ケラチンがβ型ケラチンへと相転移しながら体積が増加します。湿度(30~65%の相対湿度)や引張速度の影響も大きいことがわかっています。試験条件によって結果にばらつきが生じやすい点には注意が必要です。

他の試験法と疲労特性(Fatigue Behavior)
毛髪の機械的特性は、ねじり試験や衝撃試験、サイクル試験などによっても調べられています。例えば、以下のような結果が報告されています。
・高応力でのねじりにより20回程度の繰り返しで破断する
・低応力でも数千〜数十万回の繰り返しで疲労破壊が起こる
髪の毛は粘弾性を有しており、速い応力変化に対しては強度や剛性が増す傾向があります。
髪の破壊メカニズムと分類
破損した毛髪を電子顕微鏡で観察すると、初期の兆候が見えてきます。小さな表面亀裂やキューティクルの剥離などです。毛髪の破壊は、以下の4種類の断面形状に分類されます。
- 「平坦破断」:毛軸に対して垂直な破断面
- 「階段状破断」:横方向と縦方向の両方に亀裂が走る
- 「繊維状破断」:短い縦方向の亀裂が多数生じ、刷毛のような形状になる
- 「スプリット(枝毛型の破断)」:一本の亀裂が縦方向に長く進展する
髪の根元付近では、平坦破断が多く見られます。一方の毛先は損傷を受けやすいため、他の3つの破壊モードが見られやすくなります。特に化学処理や環境ストレスを受けた髪では、スプリットの発生頻度が高まります。
ケラチン材料の異方性(Anisotropy)
毛髪をはじめとするケラチン材料は異方性を示します。つまり、縦方向(毛軸方向)と横方向(直交方向)で強度や剛性が異なります。たとえば、以下のような報告があります。
・中間径フィラメントは、周囲のマトリックスに比べて剛性が100倍以上
・ウマの毛では剛性の異方性が20、動物の蹄では約10
・ヤマアラシの針では約3.4の異方性が報告されており、ヒトの爪でも縦方向とせん断方向で4倍の違いが確認されています
これらの知見から、縦方向には強く、横方向の応力に弱い構造が共通して見られます。圧縮には弱く、曲げやねじれで破損しやすいという特性があります。

処理や環境による影響
髪の毛は日常的なブラッシング、ドライヤーの熱、日光などによって損傷を受けます。化学的な処理(ブリーチ、パーマ、染毛など)では、以下のような影響が確認されています。
・ブリーチ後、最大50%の引張強度低下
・UV(紫外線)照射後の損傷
・システイン結合の破壊により皮質の恒久的な弱体化
・水分による水素結合の一時的な低下で柔軟性が増すが、乾燥すれば回復する
これらの効果は機械試験で定量的に確認されています。中でも繰り返しのブラッシングが破断の主因になることが多いとわかっています。実際の診察でも、ブリーチやカラーを繰り返している方ほど毛先の枝毛を訴えるケースが多いと感じています。

枝毛の力学的要因:絡まった髪に何が起きているか
絡まった髪における応力と破断
髪の毛が絡まった状態でブラッシングされると、非常に急な曲率が生じます。一部には極めて高い応力(応力集中)が発生します。毛髪が互いに折り重なり、強く曲がることが原因です。その結果、表面には引張応力と圧縮応力が、内部には縦方向のせん断応力が同時に発生します。
ブラッシングを続けることでこれらの応力が繰り返し加わり、疲労破壊が引き起こされるのです。
こうした力学環境が枝毛の直接的な原因である、という仮説があります。過去にSwiftらおよびKamathらの研究チームによって提唱されてきました。特にSwiftは、髪の毛を走査型電子顕微鏡で観察しながら、実際に絡まりを引っ張る実験を行いました。その結果、縦方向のせん断応力が中心的な役割を果たすと示唆しました。
しかし、これまでの研究は定性的な観察が中心でした。枝毛を定量的に再現・測定する試験法は存在していなかったのです。この研究では、それを補完するために「可動ループ試験」などの新たな試験法が導入されました。

試験方法
試験の種類と概要
本研究で使用された4つの試験法は以下の通りです。
- ストランド引張試験:40 mmの髪の両端を紙製タグで固定し、一定速度で引き伸ばして破断させます。
- ループ引張試験:2本の髪の毛を交差させてループを形成し、上下から引っ張って破断させる試験です。
- 可動ループ試験:片方の髪の毛を固定し、もう片方の髪を往復運動させてループ内を通過させます。ウェイトを用いて張力を加えます。
- 可動ループ疲労試験:上記の可動ループ試験を繰り返し(1 Hzの周波数)行い、破断までのサイクル数を記録します。
ブリーチ処理の影響
対照毛の一部には、化学処理が施されました。市販のブリーチ製品(過酸化水素とアンモニア水を含有)を使用しています。処理時間は20分、45分、80分の3段階で、メーカーの推奨時間である45分が基準とされました。処理後、可動ループ疲労試験にかけて髪の挙動を調べました。
測定と分析方法
毛髪の直径は光学顕微鏡により複数箇所で測定され、破断モードはSEMで分類されました。各群間の統計的な有意差の判定にはt検定(有意水準p < 0.05)が使用されました。

結果
引張試験の結果
ストランド引張試験では、低品質毛と対照毛の間に明確な強度差は見られませんでした。一方でループ引張試験では、低品質毛の平均引張強度が対照毛より31%低くなりました。p値0.061と、有意差に近い傾向が確認されました。
下の表は、毛髪タイプごとの強度をまとめたものです。「どれだけの力で切れ始め、どれだけの力で完全に破断するか」を示しています。数値が大きいほど、その力に対して強いことを示します(標準偏差を括弧内に示します)。
| 試験方法 | 毛髪タイプ | 降伏強さ(MPa) | 引張強さ(MPa) |
|---|---|---|---|
| ストランド引張 | 対照毛 | 47.1 (±23.0) | 153.0 (±59.4) |
| ストランド引張 | 低品質毛 | 57.3 (±27.3) | 144.2 (±56.7) |
| ループ引張 | 対照毛 | 記録なし | 95.2 (±34.5) |
| ループ引張 | 低品質毛 | 記録なし | 65.4 (±13.5) |
可動ループ疲労試験の結果
疲労試験では、毛髪の疲労耐性に明確な差が現れました。14 gの荷重では、対照毛が平均531サイクルで破断しました。低品質毛は平均207サイクルで破断し、有意差(p < 0.001)が確認されました。
26 gでは、低品質毛の約半数が1サイクル以内に破断するなど、静的破壊に近い現象も観察されました。
また、ブリーチ処理を受けた毛髪では、処理時間が長くなるにつれ、疲労耐性が低下する傾向が見られました。45分・80分処理群では、未処理群より有意に破断が早くなりました。統計的な有意差は、p = 0.024およびp = 0.039でした。
下の表は、毛先を繰り返し曲げたときに「平均何回で切れたか」を荷重別に示したものです。サイクル数が多いほど、繰り返しのダメージに強いことを意味します。
| 毛髪タイプ | 荷重(g) | 平均破断サイクル数 | 平均せん断応力 τ(MPa) | 応力拡大係数 K(MPa√m) |
|---|---|---|---|---|
| 低品質毛 | 14 | 207 | 39.2 | 0.44 |
| 低品質毛 | 26 | 85 | 89.1 | 1.00 |
| 対照毛 | 14 | 531 | 36.2 | 0.41 |
| 対照毛 | 26 | 255 | 64.2 | 0.73 |
枝毛の発生モードと拡大観察の詳細データ
センター・スプリットとエッジ・スプリット(詳細)
先ほどの図解で紹介した2つのタイプは、疲労試験による顕微鏡観察でも明確に区別されました。ここでは、その詳しいデータをご紹介します。
センター・スプリットは、髪の中心付近から亀裂が発生するタイプです。毛髪の軸に沿って、長距離にわたり進展していきます。低品質毛では、すべての14 g負荷試験、および多数の26 g試験でこのモードが見られました。亀裂は5 mm以上、時には40 mmの試験全長にわたって延びることもありました。破断後の髪は、リボン状に巻き込む形状になりました。
もう一方のエッジ・スプリットは、髪の表面、特にキューティクルの剥離部から浅い角度で亀裂が始まります。比較的短くとどまる傾向があります。対照毛ではこのモードが主に観察されました。1 mm以下の複数の亀裂が形成された後、そのうちの1つが最終的に破断を引き起こしました。
顕微鏡観察による確認
試験中に定期的にサイクルを中断し、光学顕微鏡で観察しました。すると、低品質毛の11サンプル中10例でセンター・スプリットが発生していました。対して、対照毛の6例では、すべてでエッジ・スプリットが主な破断原因でした。中心亀裂はほとんど見られませんでした。
さらに、45分または80分のブリーチ処理を受けたサンプルでは、変化が見られました。エッジ・スプリットに加え、センター・スプリットも観察されたのです。特に後者が破断の決定要因になる傾向が強くなっていました。

力学的解釈と理論的背景
中心からのスプリット:せん断応力による破壊
センター・スプリットの発生には、縦方向のせん断応力が主要因となります。3点曲げモデルを単純化して仮定すると、せん断応力τは次の式で表せます。
τ = 4F / (3πr²)
ここでFは荷重、rは毛髪の半径です。また、亀裂が進展するかどうかは応力拡大係数Kが重要であり、以下の式で表されます。
K = Qτ√(πa)
Qは形状因子でここでは1と仮定し、aは亀裂の半長(ここではrと同等とみなせます)。
この理論に基づくと、14 g荷重での応力拡大係数Kは、低品質毛で0.44 MPa√mでした。対照毛では0.41 MPa√mです。低品質毛の値は、縦方向の微小亀裂が発生・進展するのに十分な応力です。一方、対照毛の値は、亀裂が広がる限界以下であると考えられます。
26 g荷重では、低品質毛のKは1.00 MPa√mに達しました。破壊靭性とは、き裂の進みにくさを表す指標です。この値は、過去の研究(Kamathら)で得られたKc ≈ 1.1 MPa√mに近い数値です。静的破壊に至る応力レベルと一致します。
表面からのスプリット:混合モードによる成長
エッジ・スプリットでは、最初は表面における引張応力(最大で50%のひずみ)により表面亀裂が生じます。この亀裂が毛軸方向に進展する際には、せん断変形が加わります。専門的には「混合モード」と呼ばれる変形です。この変形により、応力拡大係数が増加します。その結果、亀裂は浅い角度で長く進展することになります。
また、キューティクルは瓦状に根本側へ向かって重なる構造をしています。この構造により、亀裂の進展方向が根本側になることがあります。これは通常のブラッシング方向とは逆であり、エッジ・スプリットの進行を助けている可能性もあります。本研究の詳しい実験データや図表は、NCBI/PubMed Centralで全文公開されています。米国の国立生物工学情報センターが運営するアーカイブです。

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枝毛とAGA(薄毛)の違い:見分け方と受診の目安
枝毛は毛先に起こるダメージですが、AGA(男性型脱毛症)は毛根や地肌に起こる変化です。トラブルの起きている場所が違うため、見分け方も対策も異なります。

枝毛の場合、毛根や地肌は健康な状態のままで、毛先だけがパサつき裂けるのが特徴です。一方でAGAの場合は、毛が細く短くなったり、地肌が透けて見えたりします。生えぎわや頭頂部の後退がみられる点も、枝毛とは異なります。
私自身、AGA外来で診察をしていると「枝毛が増えた気がする」というご相談を受けることがあります。詳しく伺うと、毛先のダメージだけでなく、実は生えぎわの後退も気にされているケースが少なくありません。
地肌が透けて見える、毛が細くなったと感じる場合は要注意です。毛先だけの問題ではない可能性があるため、一度専門医にご相談ください。
髪が細くなる背景には、加齢やホルモン、ストレスなど複数の要因が関係します。詳しくは髪が細くなるのは年齢のせい?ホルモンやストレス、細胞の老化が関係するってほんと?でも解説しています。AGA治療の基礎を知りたい方はAGA治療を始める前に知っておきたい基礎知識もあわせてご覧ください。
枝毛を悪化させないための日常ケア
すでにできてしまった枝毛は、残念ながら元通りにはつながりません。ここでは、これ以上増やさないための日常ケアを紹介します。
・ドライヤーの熱を髪から15cm以上離す:高温の熱風は皮質のタンパク質を傷めます。
・ブラッシングは毛先から少しずつ:根元から一気にとかすと絡まりが強い応力を生みます。
・紫外線対策をする:UVカットスプレーや帽子で日中の紫外線損傷を防ぎます。
・ブリーチやカラーの間隔をあける:処理時間が長いほど疲労耐性が下がることが研究でも確認されています。
・枝毛部分は根元まで裂ける前に少しずつカットする:放置すると裂け目が数cm単位で進行することがあります。早めのカットが安全です。
美容師が発信している見分け方の解説動画でも、枝毛と切れ毛は原因もケアも違うものとして扱われています。毛先の状態を日頃から見比べておくことが、セルフケアの第一歩になります。
診察の場では、シャンプー後にタオルドライだけで自然乾燥させている方に枝毛の訴えが多い印象があります。濡れた髪はキューティクルが開いた状態のため、摩擦に弱くなっています。ドライヤーでしっかり乾かしてから就寝することも、日常でできる対策のひとつです。日々のヘアケアの基本については、日本臨床毛髪学会などの専門学会の情報も参考になります。
頭皮環境の乱れが髪のダメージにつながるケースは、敏感頭皮症候群とは?髪トラブルの意外な原因と対策で解説しています。実践的なヘアケア法は、薄毛の悩みを解決!最新研究と実践的ヘアケア法をご覧ください。

研究の限界と今後の課題
本研究にはいくつかの制限があります。
・引張試験と疲労試験で使用された変位速度や周波数は1種類のみで、ひずみ速度の影響を考慮していません
・湿度や温度といった環境条件は一定に保たれておらず、影響評価ができていません
・衝撃を伴う実際のブラッシング動作を完全には再現していません
・被験者は2名のみ、いずれも直毛であり、他の髪質(波状毛、縮毛など)への適用可能性は未検討です
今後の研究では、より多くの被験者と髪質を対象にする必要があります。湿度・温度・ひずみ速度・化学処理の違いなど、複数のパラメータを統制することも欠かせません。そのうえで、より包括的なモデル化が求められます。髪の構造は、ナノメートルからミリメートルまで多層階層的です。それぞれのスケールにおける力学応答と損傷進展を組み込んだ理論モデルの構築が求められます。

結論
枝毛を拡大すると、2種類のタイプが見えてきます。中心から裂ける「センター・スプリット」と、表面から割れる「エッジ・スプリット」です。この2つを初めて力学的に定義し、発生条件を明らかにした点に本研究の意義があります。従来の仮説(特にSwiftの仮説)を裏付ける結果となりました。同時に、今後の理論モデルやヘアケア製品開発の基盤にもなります。
毛髪は、生物由来の複合材料として非常に複雑な構造と性質を持つ素材です。日々のケアで防げる部分と、専門的な相談が必要な部分があります。まずはご自身の毛先を拡大して観察し、気になる変化があれば早めに対処してください。
よくある質問
枝毛について、診察やご相談でよくいただく質問をまとめました。
Q. 枝毛を拡大するとどのように見えますか?
A. 主に2つの見え方があります。毛の中心からリボン状に裂けるタイプを「センター・スプリット」といいます。表面のキューティクルから浅く割れるタイプは「エッジ・スプリット」です。スマホのマクロ撮影や拡大鏡で確認できます。
Q. 切れ毛と枝毛の違いは何ですか?
A. 枝毛は毛先が縦方向に裂ける現象です。切れ毛は毛の途中で横方向にプツッと切断される現象を指します。原因となる応力の向きが異なります。
Q. 枝毛は自然に治りますか?
A. いいえ、一度裂けた毛先が元通りにつながることはありません。トリートメントを使えば、一時的にコーティングして目立たなくすることは可能です。ただし、根本的な対処法は毛先のカットになります。
Q. 枝毛が多い場合、AGAを疑うべきですか?
A. 枝毛単独ではAGAのサインとは限りません。ただし、地肌が透ける、毛が細くなった、生えぎわが後退したといった変化を同時に感じる場合は要注意です。毛先だけの問題ではない可能性があるため、一度専門医にご相談ください。
Q. どのくらいの長さを切ればよいですか?
A. 研究では、センター・スプリットの裂け目が5mm以上、時に数cmに及ぶ例も確認されています。裂け目の少し上、健康な部分が残る位置でカットするのが目安です。
Q. ブリーチをすると必ず枝毛が増えますか?
A. 必ずではありませんが、リスクは高まります。研究では、ブリーチの処理時間が45分・80分と長くなるほど、疲労耐性が低下することがわかっています。この低下は、統計的にも有意な変化として確認されています。

監修者:岡 博史(おか ひろし)
医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長/医学博士。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学皮膚科学教室助手を経て2008年ヒロ皮フ形成クリニック開業。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本医師会認定産業医。
この記事の監修者
岡 博史 医師(医学博士) ヒロクリニック統括院長
慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学皮膚科学教室助手を経て、2008年ヒロ皮フ形成クリニックを開業。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・日本医師会認定産業医。
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