ED治療になにするのか 初診から治療までの流れを解説

医療

男性の性機能の悩みは、決して珍しいことではありません。特にED(勃起不全)は年齢や生活習慣、ストレスなどさまざまな要因が影響し、多くの男性が密かに悩んでいます。しかし、ED治療は決して特別なものではなく、適切な医療機関での診察と治療を受けることで、症状の改善が期待できます。ここでは、ED治療を受けたいと考えた場合、初診から治療までどのような流れで進むのかをわかりやすく解説します。

ED治療の重要性と主な原因

EDとは、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、もしくは維持できない状態を指します。医学的には「勃起機能の低下」とも呼ばれます。

主な原因は以下の通りです。

  • 器質性要因(血管・神経・内分泌):動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病によって血流が低下するケースが多い。
  • 心因性要因(精神的ストレスや不安):仕事や家庭の問題が影響することも。
  • 混合性要因:上記が複合している場合。

これらを適切に評価し、原因に応じた治療を行うことがED治療の基本です。

ED治療を受けるまでの準備

まず、治療を考えたときに重要なのは、「恥ずかしさを感じる必要はない」ということです。EDは多くの男性が抱える疾患であり、医療機関ではプライバシーを重視して診療が行われます。

受診前の準備

  • 現在服用している薬の確認(持参する)
  • 既往歴(高血圧、糖尿病、心疾患など)を整理
  • 生活習慣の記録(喫煙、飲酒、睡眠状況)

こうした情報が診察に大きく役立ちます。

ED治療 初診の流れ

実際に医療機関を受診すると、以下のような流れで進みます。

1. 問診

医師が患者さんの症状や背景を詳細に聞き取ります。

  • いつ頃から症状が出たか
  • 勃起の程度、硬さ、維持時間
  • 性欲の有無
  • 心理的要因の有無

これらをもとに、EDの種類や重症度を推定します。

2. 身体診察・血液検査

必要に応じて、以下を確認します。

  • 血圧、脈拍
  • 男性ホルモン値(テストステロン)
  • 糖尿病・脂質異常症の有無

血液検査により、ホルモンバランスや動脈硬化のリスクを評価します。

参考研究

診察

ED治療の選択肢

問診・検査の結果を踏まえ、治療方針が決まります。主な治療方法は以下の通りです。

1. 内服薬治療(第一選択)

多くの患者さんが選ぶ治療です。代表的なのはPDE5阻害薬で、血流を増やし勃起を補助します。

いずれも医師の処方が必要です。
効果発現のタイミングや持続時間は薬剤により異なります。

参考研究

2. 心理的アプローチ

心因性EDの場合、心理的要因へのアプローチが有効です。

  • 性行為に対する不安の軽減
  • パートナーとのコミュニケーション改善
  • 認知行動療法

心理的サポートと薬物治療を組み合わせるケースも多いです。

3. 生活習慣の改善

軽度~中等度のEDでは、生活改善が大きな効果をもたらすこともあります。

  • 禁煙
  • 食事の改善(地中海食など)
  • 定期的な運動
  • 適度な減量

参考研究

4. 血管外科的治療・陰茎インプラント

重症の場合、血管手術や陰茎プロテーゼ挿入が選択されることもありますが、日本では内服薬治療が中心です。

治療を継続するうえでの注意点

ED治療は一度で完結するものではなく、継続的なフォローが重要です。

副作用とリスク

  • 頭痛、ほてり(PDE5阻害薬)
  • 血圧低下(硝酸薬との併用禁忌)
  • 視覚障害(まれ)

副作用が出た場合は必ず医師に相談しましょう。

定期的な再評価

症状の変化や治療効果の確認のため、定期通院が推奨されます。

ED治療を検討している方へ

EDは身体的・精神的に負担を感じやすい症状ですが、適切な治療を受けることで多くの方が改善を実感しています。恥ずかしさや不安を抱えたまま我慢せず、まずは専門医に相談することが大切です。

EDは「年齢のせいだから仕方ない」と放置すべきではなく、生活の質(QOL)の維持のためにも積極的に治療を検討してください。

ED治療の受診をためらう人が多い理由

ED治療に関心がありながら、実際に医療機関を訪れることに抵抗を感じる男性は少なくありません。主な理由としては以下が挙げられます。

  • 恥ずかしい気持ちや抵抗感
     性機能の問題は非常にプライベートなため、「相談するのが恥ずかしい」と感じやすいです。
  • 病気という認識がない
     「年齢のせい」「気のせい」と思い込み、治療が必要だと気付かないケースも多いです。
  • パートナーへの遠慮
     自分の問題が相手に負担をかけるのではと不安になり、相談を先延ばしにしてしまう場合もあります。

しかし、EDは放置しても自然治癒しにくい疾患です。適切に治療することで、症状だけでなく自尊心や生活満足度の改善も期待できます。

初診の診療時間とプライバシー

ED治療を扱う医療機関では、診察のプライバシー保護が徹底されています。
多くのクリニックでは完全予約制を採用し、個室での診察が行われています。

初診の所要時間は概ね30分程度ですが、検査や相談内容によって前後する場合があります。
問診票に性機能に関する記入欄があり、これをもとに医師が質問を重ねます。

ED治療薬の選び方と特徴

ED治療薬(PDE5阻害薬)にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。

薬剤名作用発現持続時間食事の影響
シルデナフィル約30分約4時間食後に効果低下しやすい
タダラフィル約1時間最大36時間食事の影響を受けにくい
バルデナフィル約30分約5~8時間空腹時が効果的

治療薬を選ぶ際には以下のポイントを医師と相談します。

  • 性行為の予定の有無とタイミング
  • 生活スタイル
  • 持病や他の薬の服用状況
  • 副作用の出やすさ

また、心臓病治療の硝酸薬を服用中の方はPDE5阻害薬は禁忌です。必ず医師に伝えましょう。

心因性EDとカウンセリング

心因性EDは、性行為への失敗体験やパートナーとの関係、ストレスが影響します。

治療には心理的アプローチが有効で、以下の方法が行われます。

  • セックスセラピー
     パートナーと一緒に進めるカウンセリング
  • リラクゼーション
     不安を軽減する呼吸法やマインドフルネス
  • 認知行動療法
     否定的な思い込みを修正する

治療効果を高めるため、薬物療法と併用するケースも多いです。

EDと生活習慣病の関連

EDは生活習慣病の初期サインであることがわかっています。
たとえば糖尿病患者ではEDのリスクが約3倍に上がります。

研究例

生活習慣病管理はED治療と同時進行で行うことが推奨されます。

改善すべき生活習慣の例:

  • 血糖・血圧・コレステロール管理
  • 禁煙(喫煙は血管機能を障害)
  • 定期運動(有酸素運動や筋トレ)
  • バランスのとれた食事

治療費用の目安

ED治療は保険適用外(自由診療)となることが多いです。
費用はクリニックによって異なりますが、目安として以下を参考にしてください。

  • 初診料:3,000~5,000円
  • 血液検査:5,000~10,000円
  • 治療薬:1錠あたり1,000~2,000円程度

オンライン診療を実施するクリニックも増え、利便性が高まっています。

パートナーへの伝え方

EDは本人だけでなくパートナーにも影響を及ぼすことがあります。
正しい知識を共有することで理解が深まり、治療もスムーズに進みます。

伝える際のポイント

  • 「誰にでも起こること」だと説明する
  • 「一緒に治療に取り組みたい」という気持ちを共有する
  • 専門医やカウンセラーに同席してもらうことも検討する

パートナーのサポートは心理的負担を軽減し、治療効果を高める重要な要素です。

ED治療で得られるメリット

ED治療を通じて得られるメリットは、単に勃起機能の回復だけではありません。

  • 自信と満足感の向上
  • パートナーとの関係改善
  • QOL(生活の質)の向上
  • 生活習慣の見直し

EDをきっかけに健康意識が高まり、全身疾患の早期発見につながるケースもあります。

よくある質問

Q:ED治療薬は依存性がありますか?
A:PDE5阻害薬には依存性はありません。性行為の際に必要に応じて服用するもので、習慣性はないとされています。

Q:ED治療は年齢制限がありますか?
A:高齢の方でも健康状態が安定していれば治療可能です。持病がある場合は医師と相談します。

Q:効果が出ないことはありますか?
A:効果には個人差があり、心因性要因が強い場合は心理的治療を併用する必要があります。

まとめ

ED治療は、専門医による診察から始まり、問診・検査を経て原因に応じた治療方針が立てられます。
薬物療法、心理的支援、生活習慣の改善を組み合わせることで、多くの方が改善を実感しています。

「誰にも相談できない」と悩む前に、まずは一歩を踏み出して医療機関へ相談してみてください。
EDは治療可能な疾患であり、人生の満足度を高めるきっかけにもなります。

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