ED治療に必要な医師の診断プロセスとは？

ED（勃起不全）は、男性の自信や生活の質に深く関わるデリケートな問題です。
しかし、医学的な原因を正確に把握し、適切な治療を受けることで改善が可能な疾患でもあります。

医師によるEDの診断は、単に症状を聞くだけではなく、ホルモン・血流・神経・心理状態など多角的な要因を丁寧に分析するプロセスです。
この記事では、ED治療を受ける際の「診断の流れ」「検査内容」「治療方針の決め方」について詳しく解説し、さらによくある質問15選で不安を解消します。

1. EDとは？診断が必要な理由

ED（Erectile Dysfunction）は「十分な勃起が得られない、または維持できないために満足な性行為ができない状態」と定義されます。
日本では40代男性の約4割、50代では半数以上が何らかのED症状を感じているとされる、非常に一般的な疾患です。

● 自己判断では原因が特定できない

EDは「心因性」と「器質性（身体的原因）」、あるいは両者が混在した「混合性」に分類されます。
自己判断で原因を決めつけると、根本的な改善に至らないことも多く、医師の診断が不可欠です。

● 放置は危険信号

EDは、動脈硬化・糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病の初期サインであることがあります。
特に、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを早期に察知できる「血管の健康バロメーター」としても注目されています。

2. 医師による診断プロセスの全体像

ED治療を希望してクリニックを受診すると、次のような流れで診断が行われます。

この一連の診断を通じて、医師は「EDの原因は何か」「どの治療が安全で効果的か」を明確にしていきます。

3. 問診：生活習慣と心身の状態を丁寧に確認

EDの診断で最も重要なのは、問診です。
医師はあなたのライフスタイルや過去の病歴、精神状態までを丁寧に聞き取ります。

問診で聞かれる主な内容

• 勃起の頻度、持続時間、硬さの変化
  
• 朝勃ちの有無
  
• 性的刺激への反応
  
• 性行為中の心理状態（緊張・焦り・失敗経験など）
  
• 睡眠時間、ストレス、運動習慣
  
• 糖尿病・高血圧・うつ病などの既往歴
  
• 常用している薬（降圧薬、抗うつ薬、睡眠薬など）
  

これらを通して医師は、**「身体的要因が主か」「精神的要因が主か」**をおおまかに分類します。
特に初診時は、恥ずかしさよりも「正確な情報提供」が重要です。
また、オンライン診療の場合は、匿名性を保ちながらフォーム入力で回答できるため、心理的な負担が軽減されます。

4. 身体検査・血液検査で原因を特定

問診の結果、医師はさらに具体的なデータを得るために身体検査・血液検査・尿検査を行います。

● 身体検査

• 血圧・BMIの測定（高血圧や肥満はEDの主要因）
  
• 性器の形態観察（陰茎湾曲や萎縮の有無）
  
• 陰嚢・精巣の触診（ホルモン低下や萎縮の確認）
  
• 陰茎ドップラー検査（血流障害の有無を評価）
  

● 血液検査の主な項目

こうした検査によって、**「ホルモン異常」「血管障害」「神経伝達異常」**など、EDの根本原因を明確にできます。
必要に応じて、心電図や睡眠時の勃起検査（NPT検査）が追加される場合もあります。

5. 心因性・器質性の判断と治療方針の決定

EDは大きく以下の2タイプに分かれます。

医師は、問診や検査結果を総合して、EDのタイプを特定し、それに応じた治療方針を決定します。

● 主な治療方針

• PDE5阻害薬（バイアグラ、シアリス、レビトラなど）
  → 血流を改善して勃起を促す第一選択薬
  
• ホルモン補充療法（TRT）
  → テストステロン低下によるEDに有効
  
• 心理カウンセリング
  → 精神的ストレスやパートナーシップの改善
  
• 生活習慣の見直し
  → 食事・運動・禁煙・睡眠の改善
  

治療は医師の指導のもとで安全に行うことが大切です。
特に心疾患や高血圧の薬を服用している場合、薬の相互作用に注意する必要があります。

6. オンライン診療でのED治療と注意点

近年は、ED治療をオンラインで受けられるクリニックが増えています。
スマートフォンやPCから診察予約・問診・薬の配送まで完結できるため、人目を気にせず治療を始めやすいのが魅力です。

● オンライン診療のメリット

• 通院不要で全国どこからでも受診可能
  
• 医師と1対1で相談でき、プライバシーも確保
  
• 処方薬は自宅配送で受け取りもスムーズ
  
• 再診もオンラインで継続しやすい
  

● 注意点

• 医師が必要と判断した場合は、対面検査が推奨されることがある
  
• 健康状態を偽ると薬の副作用リスクが高まる
  
• 海外通販や個人輸入のED薬は偽物や過量成分のリスクあり
  

オンライン診療を選ぶ際は、医師が常駐し、正規医薬品を扱うクリニックを選ぶことが大切です。

7. まとめ：医師の診断がED改善への第一歩

EDは「年齢のせい」や「一時的なストレス」と思い込みがちですが、体からのサインであることも多いです。
医師による正確な診断を受けることで、

• 隠れた生活習慣病の早期発見
  
• 最適な薬剤選択
  
• 安全で持続的な治療
  が可能になります。
  

オンライン診療も活用しながら、医師と二人三脚で治療を続けることが、ED改善への最短ルートです。

Q&A：ED治療に関するよくある質問15選

Q1. 初診ではどんなことを聞かれますか？
→ 勃起の頻度や硬さ、性欲の変化、服薬歴、生活習慣などを中心に問診されます。

Q2. 検査は痛いですか？
→ 血液検査や血圧測定が主で、痛みを伴う検査はほとんどありません。

Q3. 恥ずかしくて受診しづらいのですが…
→ 医師は毎日多くのED患者を診ています。プライバシーは厳重に保護されるので安心してください。

Q4. 保険は使えますか？
→ 現在、日本ではED治療薬は保険適用外です。自費診療となります。

Q5. どのくらいで効果が出ますか？
→ 薬剤によって異なりますが、服用から30〜60分で効果が現れることが多いです。

Q6. 毎日飲む必要はありますか？
→ 用法は薬の種類によります。シアリスは毎日少量内服、他は必要時服用が一般的です。

Q7. 副作用はありますか？
→ 頭痛・ほてり・鼻づまり・動悸などが一時的に起こることがあります。

Q8. 心臓病でも服用できますか？
→ 硝酸薬を使用中の方は服用禁止です。医師の指導のもとで判断します。

Q9. テストステロンが低いと言われたら？
→ TRT（ホルモン補充療法）が有効な場合があります。

Q10. 精神的な原因が強い場合はどうなりますか？
→ カウンセリングや認知行動療法を併用することで改善が期待できます。

Q11. オンライン診療でも初診から薬がもらえますか？
→ 可能ですが、医師が必要と判断すれば追加検査を求めることもあります。

Q12. 他の薬との併用は大丈夫？
→ 降圧薬や抗うつ薬など、一部の薬との併用は注意が必要です。必ず申告しましょう。

Q13. 一度治っても再発することはありますか？
→ 生活習慣やストレス次第で再発する場合もあります。再診で早めの対処を。

Q14. 若いのにEDになるのはおかしい？
→ 心因性EDは20代〜30代でも多く見られます。珍しいことではありません。

Q15. パートナーにどう伝えればいい？
→ 「一時的な体調の問題」と率直に話し、協力して解決していく姿勢が大切です。

Q16. 薬以外の治療法はありますか？
→ 血管拡張注射（ICI療法）や陰圧式勃起補助具（VED）などの選択肢もあります。

Q17. 改善にはどれくらいの期間がかかりますか？
→ 原因によりますが、生活習慣の改善と併用で数週間〜数か月で効果を感じる方が多いです。

まとめ

ED（勃起不全）は、決して「男性としての終わり」や「恥ずかしい病気」ではありません。
現代医療の進歩によって、原因を正確に特定し、適切な治療を行えば多くの方が自信と性生活を取り戻すことが可能です。
重要なのは、自己判断で放置せず、医師の診断を受けること。血流・ホルモン・神経・心理といった多面的な要因を総合的に評価することで、あなたに最適な治療法が見つかります。

また、オンライン診療の普及により、自宅からでも専門医の診察を受けられる時代です。プライバシーを守りながら、気軽に相談できる環境が整っています。
EDは「年齢のせい」ではなく、体のサインを知らせる重要な症状でもあります。早期診断・早期治療を行うことで、生活習慣病の予防にもつながり、全身の健康を取り戻すきっかけにもなります。

もし少しでもEDの兆候を感じたら、ためらわずに医師へ相談してください。
あなたの健康と自信、そしてパートナーとの関係を守るために——ED治療の第一歩を、今日から踏み出しましょう。

記事の監修者

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岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

医師