避妊や生理周期のコントロール、月経痛の軽減などに効果がある低用量ピル。その中でも「マーベロン」と「ラベルフィーユ」は多くの医療機関で処方されている代表的なピルです。
一見すると似ている2種類ですが、実際には成分や価格、副作用の出方に違いがあります。本記事では、医師の監修レベルで両者の特徴を比較しながら、どちらを選ぶべきかをわかりやすく解説します。
1. マーベロンとラベルフィーユの基本情報
低用量ピルは、女性ホルモンの量をコントロールすることで、避妊効果だけでなく月経痛の緩和やホルモンバランス改善にも役立つ医薬品です。
その中でも「マーベロン（Marvelon）」と「ラベルフィーユ（Labelleule）」は、多くの婦人科で処方されている代表的なピルであり、同じ有効成分を持つ姉妹薬ともいえます。
ただし、先発品とジェネリックという立場の違いがあるため、価格・添加物・製造方法などに微妙な差が存在します。
マーベロンとは
マーベロンは、オランダのオルガノン社（現在はMSDグループ）が開発した第三世代低用量ピルです。
日本では長年にわたって処方実績があり、「避妊効果が高く、副作用が比較的少ない」ことから、初心者にも処方されやすいタイプとして知られています。
有効成分と働き
マーベロンには、以下の2種類の女性ホルモンが含まれています。
- エチニルエストラジオール（Ethinylestradiol）：女性ホルモン「エストロゲン」の合成型で、卵胞の発育を抑え排卵を防ぐ作用があります。
- デソゲストレル（Desogestrel）：黄体ホルモン「プロゲステロン」の合成型で、子宮内膜を薄く保ち、受精卵の着床を妨げるほか、精子の子宮頸管通過を阻止します。
この2つのホルモンが一定バランスで配合されることで、自然なホルモンサイクルに近い避妊効果と、月経周期の安定化を実現します。
ピルの種類（21錠・28錠）
マーベロンには、
- 21錠タイプ：21日間服用→7日間休薬
- 28錠タイプ：21日間有効錠＋7日間プラセボ（休薬期間も服用継続）
の2種類があります。飲み忘れを防ぎたい方は28錠タイプが推奨されます。
主な効果
- 高い避妊効果（理論上99％以上）
- 月経痛・PMS・排卵痛の軽減
- 生理周期の安定化
- ホルモンバランス改善によるニキビ・多毛の改善
避妊目的だけでなく、ホルモン療法の一環として処方されることも多く、婦人科では幅広く活用されています。
ラベルフィーユとは
ラベルフィーユは、マーベロンの**ジェネリック医薬品（後発医薬品）**です。
製造販売は富士製薬工業など日本国内メーカーが担っており、有効成分・含有量・剤形はすべてマーベロンと同一です。
そのため、基本的な薬理作用・避妊効果は変わりません。
ジェネリック医薬品とは？
ジェネリックとは、先発薬の特許期間が終了した後に、同じ有効成分・同じ効果を持つ薬として製造・販売される医薬品です。
日本の厚生労働省の厳しい基準をクリアしており、品質・効果・安全性が先発薬と同等であることが確認されています。
違いは、主に以下の3点です。
- 添加物・製造工程：製剤の滑りやすさやコーティング剤などが異なる。
- 価格：開発費が抑えられるため、一般的に半額程度で購入できる。
- パッケージ・デザイン：国内メーカーによるため、日本語で使いやすい。
ラベルフィーユの特徴
- 成分はマーベロンと完全一致
- 効果・安全性は同等
- 価格が安く、継続しやすい
- 日本国内での入手が容易（多くの婦人科で採用）
実際、多くの医師は「初回はマーベロンを使用し、問題がなければラベルフィーユへ切り替える」形で提案することもあります。
これは、マーベロンで副作用の出方を確認したうえで、コスト面を考慮してジェネリックに移行するという安全な選択肢です。
比較表：マーベロンとラベルフィーユの違い
| 比較項目 | マーベロン | ラベルフィーユ |
| 医薬品区分 | 先発医薬品 | ジェネリック医薬品 |
| 製造会社 | オルガノン（オランダ） | 富士製薬工業（日本） |
| 有効成分 | デソゲストレル／エチニルエストラジオール | 同一 |
| ホルモン量 | 同等（エストロゲン0.03mg、プロゲステロン0.15mg） | 同等 |
| 形状・サイズ | わずかに異なる | 日本人向けのサイズ感 |
| 主な用途 | 避妊・PMS・生理痛緩和 | 同等 |
| 価格目安（1シート） | 約2,000〜3,000円 | 約1,000〜2,000円 |
| 医師の処方実績 | 長年の臨床実績あり | 国内普及率上昇中 |
| 使用感・副作用 | 添加物により個人差あり | 同様（まれに軽減する場合も） |
どちらも「第三世代ピル」に分類される理由
マーベロンとラベルフィーユに共通する「デソゲストレル」は、第三世代プロゲステロンと呼ばれる成分です。
この世代のピルは、旧来の第二世代（レボノルゲストレルなど）に比べて、以下の点で優れています。
- 男性ホルモン様作用（アンドロゲン作用）が弱く、ニキビ・多毛・脂性肌の改善効果が高い
- ホルモンバランスの乱れによる情緒不安定を軽減
- 水分貯留が少なく、むくみが起こりにくい
このため、美容目的・ホルモン療法目的で選ばれるケースも多く、若い女性から30代・40代の更年期前女性まで、幅広く支持されています。
服用スケジュールの概要
ピルの効果を最大限に得るためには、毎日同じ時間に服用することが重要です。
- 初回は生理開始日から24時間以内に1錠を服用。
- 21日間連続で服用後、7日間の休薬（または偽薬）期間を設ける。
- 休薬中に「消退出血（生理様出血）」が起こり、8日目から新しいシートを開始。
この規則的な服用サイクルによって、自然なホルモンリズムを再現しながら避妊効果を維持します。
2. 有効成分・効果の違い
成分は同じでも「添加物」が異なる
マーベロンとラベルフィーユは有効成分が同一ですが、添加物（賦形剤）や製造工程が異なるため、体質によって合う・合わないがあるのが現実です。
そのため、「マーベロンでは吐き気が出たが、ラベルフィーユでは軽くなった」というケースや、その逆も見られます。
効果面の比較
- 避妊効果：両者ともほぼ100％に近い避妊効果があり、正しく服用すれば高い信頼性を誇ります。
- 月経痛・PMS緩和：ホルモンバランスを整えることで、生理痛・肌荒れ・情緒不安定の改善効果が期待できます。
- ニキビ・多毛症改善：アンドロゲン（男性ホルモン）抑制効果があるため、ニキビ肌の改善にも有効です。
3. 副作用と安全性の比較
主な副作用
どちらのピルにも共通して起こりうる副作用は以下の通りです。
- 吐き気・頭痛・乳房の張り
- 不正出血
- むくみ
- 一時的な体重増加
これらは初期のホルモン変化による一過性の反応であり、1〜3か月で落ち着くことが多いです。
血栓症リスクについて
第三世代ピルに分類されるため、血栓症のリスクはわずかに上昇します。
特に、喫煙者・肥満・40歳以上の女性では注意が必要です。
医師による問診でリスクを確認したうえで処方を受けるようにしましょう。
安全性のポイント
- ラベルフィーユも厚生労働省の認可を受けた正規品。
- 有効成分の純度や製造基準も厳しく管理されています。
- 医師の指導下で使用すれば、長期服用も安全です。
4. 価格・購入方法・ジェネリック事情
価格の違い
| 製品名 | 1シート（28日分）価格目安 | 処方形態 |
| マーベロン28 | 約2,000〜3,000円 | 医療機関処方 |
| ラベルフィーユ28 | 約1,000〜2,000円 | 医療機関処方／オンライン診療対応 |
ジェネリックであるラベルフィーユは、マーベロンの約半額で購入できるケースもあり、コスパを重視する人に人気です。
処方・購入方法
- 婦人科やオンライン診療（スマホ診察）で簡単に処方可能。
- 通販サイトでの個人輸入はリスクがあるため避けましょう（偽物や保存状態の不備の恐れ）。
5. どちらを選ぶべき？タイプ別おすすめ
| タイプ | おすすめピル | 理由 |
| 初めてピルを使う人 | マーベロン | 医師の処方が多く、臨床実績が豊富 |
| コスパ重視 | ラベルフィーユ | 効果は同等で価格が安い |
| 軽い副作用を求める | 体質により個人差あり | 両方試して自分に合う方を継続 |
| ニキビ改善を重視 | どちらも有効 | アンドロゲン抑制作用があるため |
ポイント：
価格よりも「体に合うかどうか」を重視しましょう。
同成分でも、体質やホルモンバランスの違いにより、感じ方は異なります。
初回は医師の診察を受け、2〜3シート試してから判断するのがおすすめです。
6. Q&A：よくある疑問への回答
Q1. マーベロンとラベルフィーユの効果は同じですか？
A. 有効成分・配合量は同じため、基本的に効果は同等です。
Q2. 副作用の出方に違いはありますか？
A. 添加物や体質の違いにより個人差があります。どちらが合うかは実際に試して判断しましょう。
Q3. ジェネリック（ラベルフィーユ）は安全ですか？
A. 厚労省認可の医薬品であり、安全性は確認されています。
Q4. 服用をやめると生理はどうなりますか？
A. 通常2〜4日で生理様出血が起こり、その後自然周期に戻ります。
Q5. ピルを飲み忘れた場合は？
A. 1錠以内の飲み忘れならすぐ服用すれば避妊効果は維持されます。2錠以上の場合は医師に相談を。
Q6. マーベロンからラベルフィーユに切り替えるタイミングは？
A. 旧シートの服用を終えた翌日から新しいラベルフィーユを開始します。
Q7. 保険は適用されますか？
A. 避妊目的では自由診療（自費）ですが、生理痛やPMS治療目的なら保険適用される場合もあります。
Q8. 長期服用しても大丈夫？
A. 医師管理のもとであれば、数年以上服用しても問題ありません。
Q9. 他の薬との飲み合わせに注意は？
A. 抗生物質や抗てんかん薬の一部は避妊効果を下げる場合があります。
Q10. 妊娠を希望する場合はどうすれば？
A. 服用をやめると1〜2か月で排卵が戻るケースが多いです。
7. まとめ：自分に合ったピル選びのポイント
マーベロンとラベルフィーユは、どちらも避妊・生理コントロール・肌トラブル改善に優れたピルです。
違いは主に価格と体質への相性。
マーベロンは実績と安心感、ラベルフィーユはコスパの良さが魅力です。
初めての方や副作用が心配な方は、医師と相談しながらスタートするのが安心。
また、ライフスタイルや目的（避妊・PMS改善・美肌など）によって最適なピルは異なります。
自分の体に合ったピルを見つけることで、より快適で安心な毎日を過ごせるでしょう。
