つわり専用薬「プレグボム」と他治療薬の比較解説

Posted on 2025年 10月 22日 薬

妊娠初期の「つわり」は、多くの妊婦さんが経験する代表的な症状で、軽いムカつきから一日中続く強い吐き気・嘔吐まで幅があります。においに敏感になって食事の準備が難しくなったり、水分さえ受けつけず脱水に傾いたり、通勤や家事・育児が思うように進まず心理的にも追い詰められる方は少なくありません。症状が悪化して水分摂取が困難、体重減少、尿量低下などがみられる場合は「妊娠悪阻」と診断され、点滴や入院管理が必要になることもあります。「妊娠とはこういうもの」と我慢しがちですが、適切なケアを行うことで、日常生活の質(QOL)を守ることは十分に可能です。

従来は食生活の工夫(少量頻回・冷たい食事・におい対策)や制吐剤、ビタミンB6、漢方、輸液といった対処が中心でしたが、近年は妊婦さんの症状パターンに合わせて使いやすい「つわり専用薬」が注目されるようになりました。中でもヒロクリニックが提供する 「プレグボム(Pregvom)」 は、就寝前1回の服用設計を基本とし、起床時の強い吐き気への“先回り”をねらえる点が特長です。オンライン診療・当日発送にも対応し、外出が負担な時期でも導入しやすい体制が整っています。

本記事では、従来の治療薬とプレグボムを公平に比較しながら、それぞれの長所・短所、向いている症状や使い分けのコツ、導入からフォローまでの流れを産婦人科的観点でやさしく解説します。「今つらいを今すぐ和らげたい」「朝の地獄の時間帯を何とかしたい」——そんな切実な思いに寄り添い、妊婦さんとご家族が納得して選べる情報をお届けします。

1. つわり治療に使われる従来の薬

1-1. 制吐剤(吐き気止め)

プリンペラン(メトクロプラミド)やドンペリドンなどが用いられます。

  • 特徴:即効性があり、強い吐き気に対応可能。
  • 注意点:眠気や胃腸への副作用が出る場合あり。長期使用は慎重。

1-2. ビタミンB6製剤

  • 特徴:妊娠初期のつわり軽減に効果があるとされる栄養素。
  • メリット:安全性が高く、副作用リスクが少ない。
  • 注意点:効果は軽度なつわりに限られることが多い。

1-3. 漢方薬

小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)などが代表例。

  • 特徴:体質や症状に合わせて処方可能。
  • 注意点:効き目は個人差が大きく、即効性は乏しい。

1-4. 点滴療法

水分や電解質を補給する治療。

  • 特徴:脱水や体重減少が強い場合に有効。
  • 注意点:症状の根本治療ではなく、入院が必要なケースも。

2. 新しい選択肢「プレグボム」とは?

プレグボムは、妊娠中の吐き気・嘔吐に的を絞って設計された“つわり専用薬”です。従来の制吐剤が幅広い吐気原因に用いられるのに対し、プレグボムは妊娠に伴うホルモン変動や自律神経の揺らぎに伴う症状を、夜間~起床時の“最もしんどい時間帯”に合わせてコントロールしやすいよう、就寝前1回を基本とした服用設計が特徴です(必要時は最大1日2回まで調整可)。

2-1. 作用の考え方と“時間設計”

  • 嘔吐反射経路への穏やかなブロック
    妊娠初期に高まる刺激(におい、空腹、消化遅延など)で過敏化した嘔吐中枢への入力を持続的に鎮めるアプローチです。
  • 就寝前に服用する理由
    入眠中に血中濃度を安定させ、起床時の“朝いちの吐き気”を先回りで抑えることを狙います。従来薬の「効き始めの谷」を感じにくく、“朝がラク”になったと感じやすいのが利点。
  • 日内変動への追従
    朝~午前に強い方、夕刻にぶり返す方など個別のリズムに合わせ、2回目を追加することでピークを平らにしやすい運用が可能です(医師が適応を判断)。

2-2. 適しているケース・適さないケース

  • 適しているケース
    • 朝の吐き気が強く、仕事・家事・通学のスタートが毎日つらい
    • ビタミンB6・漢方・一般的な制吐剤だけでは波を抑えきれない
    • におい刺激や空腹で悪化しやすく、夜間の連続睡眠が妨げられる
    • 通院が難しく、オンライン診療+配送を希望
  • 慎重評価・適さない場合
    • 成分に対する過敏症・アレルギー既往
    • 眠気・めまいが仕事の安全に直結する勤務(要調整)
    • 重度の脱水・電解質異常を伴う妊娠悪阻では、点滴等の入院管理を優先
    • 併用薬(中枢作用薬など)との相互作用リスクが高い場合

2-3. 服用プロトコルとフォロー

  • 基本用法:1日1回就寝前。必要により医師判断で1日2回まで
  • 導入の目安非薬物療法(食事・環境調整)や従来薬で不十分なとき。
  • 評価指標:嘔吐回数、吐き気の持続時間、朝のつらさ、水分摂取量、尿量、体重、活動量。
  • 減量・中止:症状が安定したら段階的に減量し、リバウンドの有無を確認。
  • 副作用観察:眠気・めまい・口渇・便秘など。気になる変化があれば服用時間調整や用量見直しを行います。

2-4. 他治療との“並走”がしやすい

プレグボムは、単独での効果に加えて、ビタミンB6生活リズム調整といった土台の対策を邪魔しません

  • ビタミンB6…食事・サプリでの基礎づくりを継続。
  • 漢方…体質・冷え・胃内停水感などの個別所見に合わせて併用検討。
  • 制吐剤…急な吐気の“レスキュー”として短期追加する設計も可能(医師判断)。
  • 点滴…脱水是正を先に行い、落ち着いたタイミングで経口へ橋渡し。

2-5. 利便性:オンライン診療×当日発送

体調が不安定な妊娠初期こそ、移動負担を最小化することがQOLの鍵。問診・確認事項(週数、既往、併用薬、仕事/家事の状況)をオンラインで丁寧に擦り合わせ、必要最小限の服用で最大の効果を狙う“パーソナライズド”な使い方がしやすいのも、プレグボムの強みです。

3. プレグボムと他治療薬の比較

治療法効果安全性即効性利便性
制吐剤強い吐き気に有効妊婦への使用実績あり通院必要
ビタミンB6軽度つわりに有効安全性高いサプリでも可
漢方薬体質改善に有効比較的安全効果に個人差
点滴脱水改善に有効安全入院が必要な場合あり
プレグボムつわり専用、持続的効果海外で豊富な実績オンライン診療可

ヒロクリニックでは、プレグボムはオンライン診療で処方可能です。体調が不安定で外出が難しい時期でも自宅から受診でき、診察後は最短当日発送にも対応しています。
服用は1日1回(就寝前)が基本で、症状に応じて最大1日2回まで医師が調整します。

料金(すべて税込)

  • 診察料:無料
  • プレグボム錠
    • 1錠:¥1,980
    • 5錠:¥9,900
    • 10錠:¥18,4801錠あたり¥1,848
    • 30錠:¥54,7801錠あたり¥1,826

適切な錠数や服用回数は、症状の強さ/ピーク時間帯/既往歴・併用薬/生活リズム(仕事・育児・通勤)を総合して医師が判断し、「必要最小限の用量で最大の効果」を目指して個別設計します。

4. 注意点と医師への相談の重要性

プレグボムは、つわりに対して有効性と安全性が期待できる専用薬ですが、すべての妊婦さんに同じ使い方が適するわけではありません。 妊娠週数・体質・既往歴・生活環境(勤務や育児)を踏まえ、医師の個別設計のもとで導入・調整することが前提です。

注意

導入前に確認したい主なポイント

  • 持病・既往歴:肝腎機能障害、心疾患、呼吸器疾患、睡眠時無呼吸、精神疾患治療歴など。
  • アレルギー歴:抗ヒスタミン薬や賦形剤への過敏症の有無。
  • 併用中の薬・サプリ:抗不安薬・睡眠薬・抗うつ薬、他の制吐剤、総合感冒薬、抗ヒスタミン含有製品、ハーブ類(ショウガ、セントジョーンズワート等)は相互作用に留意。
  • 生活・勤務の安全性眠気が事故リスクに直結する運転・高所作業・夜勤の有無。
  • 症状のピーク時間帯:朝型/夕方悪化/一日中——服用タイミング設計に直結。

服用中に意識したいセルフモニタリング

  • 簡易日誌:服用時刻、吐き気・嘔吐回数、朝のつらさ、水分・食事量、尿量・体重、日中の眠気。
  • 評価と微調整:3〜7日で改善が乏しければ、就寝直前への時刻調整用量調整を医師と相談。
  • 減量・中止:症状が安定したら段階的に。急断はリバウンドの可能性があるため避ける。

起こり得る副作用と対処の目安

  • よくある症状:眠気、めまい、口渇、便秘。→ 就寝直前服用・こまめな水分・軽い運動で対処。
  • 受診が必要なサイン:発疹や呼吸苦、強いふらつき・動悸、嘔吐の増悪や尿量著減、著しい倦怠感・意識変容など。

避けたい行動・注意事項

  • アルコール:眠気・ふらつき増強のため禁止
  • 運転・危険作業:開始直後や用量変更直後は控える
  • 自己判断の増減自己増量・自己中断は厳禁。市販薬の追加も必ず事前相談。
  • 重症悪阻が疑われるとき:連日の多回数嘔吐、短期間の体重5%以上減、ケトン尿、脱水や電解質異常の疑いは入院・点滴を優先し、経口薬は落ち着いてから再評価。

5. まとめ

つわりは“自然な反応”とはいえ、放置すべきものではありません。軽症であれば食事・環境の工夫やビタミンB6の補助で乗り切れることもありますが、脱水・体重減少・尿量低下・ふらつきが出る、あるいは「一日中吐いて休めない」といった状態は医療的介入のサインです。制吐剤は“今この吐き気”に対する即効性が期待でき、漢方は体質や随伴症状(冷え、胃内停水感など)に合わせて底上げを図れます。点滴は危機管理として脱水・電解質異常を素早く是正し、経口摂取へ橋渡しします。

一方で、プレグボムは“つわりに特化”した設計により、就寝前1回(必要時は1日2回まで)の服用で朝のピークをならし、日中の波を小さくするという“時間治療”の利点を持ちます。オンライン診療と配送によって通院負担を減らせる点も、妊娠初期の体調変動にやさしい仕組みです。もちろん万能薬ではないため、既往歴・併用薬・勤務形態(眠気の影響)など個別条件を医師と丁寧に擦り合わせ、必要最小限の用量で最大の効果を目指すことが重要です。

最終的な選択の指針はシンプルです。(1)症状のピーク時間帯はどこか、(2)「今すぐ止めたい」のか「一日の波をならしたい」のか、(3)通院負担をどれだけ減らしたいか——この3条件で整理すると、プレグボムを中核に、急性期は制吐剤でレスキュー、体質面は漢方で補助、脱水時は点滴で安全確保という多層的な戦略が描きやすくなります。

「我慢しかない」と抱え込まずに、まずは症状・生活・仕事/家庭環境を医師へ共有してください。正しい知識と適切な治療があれば、つわりの峠は越えられます。あなたと赤ちゃんの安全を第一に、いまのつらさを確実に軽くする選択肢としてプレグボムを前向きに検討してみてください。