尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の主に6型・11型が原因で、性器や肛門のまわりに痛みやかゆみの少ないイボ(腫瘤)ができる性感染症です。潜伏期間が3週間〜8か月(平均およそ3か月)と長く、いつ感染したか特定しにくいのが特徴です。治療でイボを取り除いてもウイルスが残り、再発することがあります。気になるイボがある方は、早めに医療機関で診てもらってください。

この記事でわかること

  • 尖圭コンジローマのイボの見た目と、潜伏期間の長さ
  • HPVが原因となる感染経路と、感染力の目安
  • 放置したときの経過と、再発しやすい理由
  • 視診を中心とした検査と、イボを取り除く治療の選択肢
  • HPVワクチンやコンドームで防げる範囲と、その限界

尖圭コンジローマとは

尖圭コンジローマとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚や粘膜に感染して、性器や肛門のまわりにイボができる性感染症です。

原因の多くは、HPVのうち6型・11型と呼ばれる低リスク型です。性的な接触で相手の皮膚や粘膜から感染します。子宮頸がんの原因となる高リスク型のHPVとは型が異なりますが、女性の場合は子宮頸がん検診もあわせて受けておくと安心です。

HPVはとてもありふれたウイルスで、性交渉の経験がある人なら誰でも感染する可能性があります。感染しても多くは症状が出ないまま経過し、一部の人でイボとして現れます。特別な人だけがかかる病気ではないため、過度に恥ずかしがらず、気になる症状は早めに相談することが大切です。

尖圭コンジローマは、比較的よくみられる性感染症のひとつで、20〜30代を中心に幅広い年代で確認されています。国内の発生状況は、国立健康危機管理研究機構の感染症情報や、厚生労働省の尖圭コンジローマのページで確認できます。


尖圭コンジローマの症状

主な症状は、性器や肛門のまわりにできる先のとがったイボで、痛みやかゆみが少ないのが特徴です。

イボの見た目の特徴

  • 白っぽい〜ピンク色の小さなイボができます
  • 先のとがった鶏のトサカ状・カリフラワー状に増えることがあります
  • 痛みやかゆみは少なく、気づきにくい場合があります
  • 数が増えたり、まとまって広がったりすることもあります

よくみられる部位

男女共通男性女性
肛門のまわり・会陰部陰茎の先端・包皮の内側・陰のう・尿道口陰唇・腟の入り口・子宮頸部・尿道口

女性の場合、腟の奥や子宮頸部にできたイボは自分では気づきにくいことがあります。パートナーに指摘されて受診し、はじめて分かるケースもあります。見えにくい場所が心配なときは、診察で確認してもらうと安心です。

潜伏期間は3週間〜8か月(平均およそ3か月)と長いため、いつ・誰から感染したかを特定するのは簡単ではありません。イボに気づいたら、自分でつぶしたり削ったりせず、そのままの状態で受診してください。


感染経路と感染力

尖圭コンジローマは、性的な接触によって皮膚や粘膜がふれ合うことで感染します。

  • 腟・肛門・口を使った性行為(オーラルセックスを含む)
  • 感染した人のイボや、その周りの皮膚・粘膜との接触
  • まれに、出産のときに赤ちゃんへうつる母子感染

イボがある部分は特に感染力が高いと考えられますが、見た目にイボがなくても、皮膚にウイルスが残っていてうつることがあります。ウイルス性という点では、性器ヘルペスと共通する部分があります。ヘルペスとの違いは性器ヘルペスのページもあわせてご覧ください。

感染を広げないためには、イボに気づいた時点で性的な接触を控え、早めに受診することが役立ちます。パートナーにも症状がないか確認してもらい、必要に応じて一緒に相談することで、再びうつし合うリスクを抑えられます。便座やタオルなど、日常生活のなかで感染が広がることはほとんどないと考えられています。


放置・再発について

尖圭コンジローマは自然に消えることもありますが、再発しやすいため、放置せずに医師へ相談することがすすめられます。

体の免疫の働きで、イボが自然に小さくなったり消えたりする場合もあります。一方で、そのまま数やサイズが増えていくこともあり、経過は人によってさまざまです。

治療でイボを取り除いても、皮膚や粘膜にHPVが残っていると、数か月のうちに再発することがあります。再発を早く見つけて対応するためにも、治療後もしばらくは経過を診てもらうと安心です。妊娠中に見つかった場合など、状況によって対応が変わることもあるため、医師の診察に沿って進めてください。再発を防ぐ考え方は性病の再発を防ぐにはも参考になります。


尖圭コンジローマの検査方法

検査はイボの見た目を確認する視診が中心で、判断が難しい場合には組織検査を行います。

多くのケースでは、医師がイボの形や色、できている場所を診ることで診断します。ほかの病気との区別が必要なときや、イボの様子がはっきりしないときは、組織の一部を採って調べる組織検査を追加することがあります。

性器のできものには、尖圭コンジローマ以外にもさまざまな原因があります。市販薬で自己流に対処すると、正しい診断が遅れることがあります。見た目だけで判断せず、医療機関で確認してもらってください。

当院では、プライバシーに配慮した診察を心がけ、結果のご連絡方法もご希望に応じてご相談いただけます。どの検査をいつ受けるか迷ったときは、性病の検査方法と受けるタイミングとはもご参照ください。


尖圭コンジローマの治療方法

治療はイボを取り除くことが中心で、塗り薬や凍結療法、レーザーなどから、イボの数や場所に合わせて選びます。

治療法内容特徴
塗り薬(イミキモドクリーム)自宅でイボに塗る体の免疫に働きかけてHPVに対処します
凍結療法液体窒素でイボを凍らせて取り除く外来で受けられる方法のひとつです
電気焼灼電気メスでイボを焼き取る局所麻酔をして行うことがあります
レーザー治療レーザーでイボを蒸散させる数が多い場合などに用いられます
外科的切除イボを手術で切り取る大きいイボや広がった場合に検討します

いずれもイボそのものを取り除く治療で、HPVが残っていると再発することがあります。パートナーにイボなどの症状がある場合は、あわせて相談してもらうと再びうつし合うのを防げます。使う薬や治療法は、イボの状態を診たうえで決まるため、必ず医師の診察・処方に従ってください。


尖圭コンジローマの予防

予防にはHPVワクチンとコンドームが役立ちますが、それぞれに得意な範囲と限界があります。

HPVワクチン

尖圭コンジローマの原因となる6型・11型は、4価・9価のHPVワクチンでカバーされ、感染予防に有効とされています。ワクチンは、すでにできたイボを治すものではなく、感染する前に接種することで予防効果が期待できます。接種の対象や時期は、医師に相談して決めてください。

コンドーム

コンドームは感染のリスクを下げますが、イボがコンドームで覆われない部位にある場合は防ぎきれない限界があります。それでも、はじめから終わりまで正しく使うことで、多くの性感染症のリスクを減らせます。コンドームで防げる範囲はコンドームで防げる性感染症と限界でくわしく解説しています。

なお、性行為のあとに抗菌薬を飲む予防(ドキシPEP)は、細菌による性感染症を対象としたもので、ウイルスが原因の尖圭コンジローマには効果がありません。予防薬の考え方は性病予防薬のページを、女性に多い性感染症への備えは女性がとくに気をつけたい性感染症もあわせてご覧ください。

あわせて心がけたいのが、定期的な検査です。潜伏期間が長く無症状のこともあるため、心当たりのある接触があった方や新しいパートナーができた方は、症状がなくても一度調べておくと安心につながります。パートナーと一緒に受けることで、うつし合いを防ぎやすくなります。


よくある質問(FAQ)

Q. 尖圭コンジローマのイボは自然に治りますか?

自然に消えることもありますが、再発しやすい病気です。イボが見えなくなっても皮膚にウイルスが残ることがあるため、自己判断せず、医師の診察を受けてください。

Q. 感染してから、どのくらいでイボが出ますか?

潜伏期間は3週間〜8か月、平均でおよそ3か月とされています。期間が長いため、いつ感染したかを特定しにくいのが特徴です。

Q. HPVワクチンを打てば、いまあるイボは治りますか?

ワクチンは予防のためのもので、すでにできたイボを治す治療ではありません。感染する前に接種することで、6型・11型による発症の予防効果が期待できます。

Q. コンドームを使えば確実に防げますか?

リスクは下げられますが、コンドームで覆われない部位にイボがあると防ぎきれないことがあります。予防と定期的な検査を組み合わせて考えてください。

Q. 尖圭コンジローマから子宮頸がんになりますか?

尖圭コンジローマの原因は主に低リスク型(6型・11型)で、子宮頸がんの原因となる高リスク型とは型が異なります。ただし女性は、あわせて子宮頸がん検診を受けておくと安心です。


まとめ

尖圭コンジローマは、痛みやかゆみが少ないぶん見過ごされやすいものの、早めに受診すれば適切に対応できる性感染症です。治療でイボを取り除いても再発することがあるため、経過を診てもらいながら、パートナーとあわせて向き合うことが回復への近道になります。気になるイボがある方は、ためらわずご相談ください。ほかの性感染症は性感染症の一覧性感染症の種類と特徴もご覧ください。



関連情報(男性・女性の視点)

尖圭コンジローマは、男性・女性それぞれの視点でも解説しています。あわせてご覧ください。

監修・運営/参考情報

本ページは医療法人社団福美会 ヒロクリニック性感染症検査の編集・監修体制のもとで作成しています。診断・治療は医師の診察に基づいて行われます。編集方針は編集ポリシーをご覧ください。

女性の症状・おりもの・妊娠への影響については、婦人科による女性向け解説「尖圭コンジローマ(女性)」もご覧ください。

医師監修 監修日:2025年7月29日

岡 博史 (おか ひろし)

医師・医学博士 ヒロクリニック統括院長

YouTubeチャンネルなどを通じて、遺伝子やNIPT(新型出生前診断)についてわかりやすく発信しています。

略歴

  • 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
  • 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
  • 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
  • 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
  • 2009年 医療法人社団福美会 理事長
  • 2015年 医療法人社団福美会 理事

資格・所属

  • CAPラボディレクター
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 日本医師会 産業医
  • 東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、ヒロクリニック性感染症の編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年7月29日

畠山 聡 (はたやま さとし)

医師・医学博士 ヒロクリニック医師

略歴

  • 2016年 大阪市立大学(現:大阪公立大学)卒業
  • 2016年 育和会記念病院
  • 2019年 大阪鉄道病院
  • 2021年 大阪公立大学附属病院
  • 2022年 大阪鉄道病院医長
  • 2023年 ヒロクリニックなんば心斎橋院院長

資格・所属

  • 日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医

この記事は、ヒロクリニック性感染症の編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年7月29日

花澤 司

医師 ヒロクリニック大宮駅前院 院長

資格・所属

  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医

この記事は、ヒロクリニック性感染症の編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年7月29日

陽川 英仁

医師・医学博士 ヒロクリニック大阪駅前院 院長

資格・所属

  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医

この記事は、ヒロクリニック性感染症の編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。