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脂肪腫の特徴・原因と治療法について【医師監修】

脂肪種

脂肪腫とは発症頻度の高い良性の腫瘍です。脂肪細胞からなる柔らかいしこりは、首や背中、みぞおち・太ももなどの皮膚の下に多く見られます。摘出しない限り自然消滅することがない脂肪腫の特徴や原因、治療法や手術にかかる費用などを医師が解説します。

脂肪腫とは

脂肪腫(しぼうしゅ)とは皮膚の下に発生する良性の腫瘍のことです。脂肪細胞からなる柔らかな腫瘍であり、発症頻度が高く、一般的に「しこり」や「おでき」と呼ばれています。

脂肪細胞のある部位であれば、どこにでも発生する可能性がある脂肪腫ですが、おもに首の後ろ(後頚部)・背中やみぞおち、臀部など胴体に多く見られます。

脂肪腫のしこりの大きさは、数ミリ径から10センチ径以上におよぶものまでと個人差があります。脂肪腫は40代から60代に多く見られる皮膚の病気です。脂肪腫は少しずつ成長し、手術により脂肪のかたまりを摘出する以外に治療法はありません。自然消滅(治癒)することはなく、万が一皮膚の下にできたしこりが消えた場合、それは脂肪腫ではなく別の皮膚疾患といえるでしょう。

脂肪腫の特徴と原因

脂肪腫は皮膚の下にできた「脂肪のかたまりによる良性の腫瘍」です。ドーム状に盛り上がる皮膚に変色などの異常は認められず、指で押すと柔らかいしこりで痛みはありません。通常は個発(一つ)の腫瘍ですが、まれに多発性の脂肪腫が発生するケースも見られます。

脂肪腫が発生する原因は、はっきりとは解明されていません。しかし、糖尿病や肥満、高脂血症の方は脂肪腫ができやすいとされるため、食生活などには注意が必要です。なお多発性の脂肪腫(家族性多発性脂肪腫症)の場合、遺伝が原因といわれています。

脂肪腫の発症する部位

脂肪腫は脂肪細胞のある部位であれば、身体のどこにでも発生する腫瘍です。脂肪腫は皮膚の下に生じる「浅在性脂肪腫」と、筋膜の下や筋肉内・筋肉間に生じる「深在性脂肪腫」のふたつがあります。

脂肪腫は、おもに後頚部(首の後ろ)・肩・背中・みぞおち・臀部・太ももに発症します。頭皮や顔、足に生じることはまれで、その場合は他の皮膚疾患が疑われます。

最初は小さい脂肪腫が、10センチ径以上に成長することも多く見られます。痛みはないものの部位によっては他人の目が気になり、ストレスを感じる方もいらっしゃいます。脂肪腫は内服薬や外用薬で改善することはありません。手術によって脂肪のかたまりを摘出する治療法となるため、脂肪腫が大きくなるほど、手術跡も大きくなってしまいます。また皮膚の下に生じるしこりは、脂肪腫以外の悪性腫瘍のケースも少なくありません。痛みがなくても皮膚のしこりに気づいた際は、すみやかに診察を受けることが大切です。

脂肪腫のおもな種類

脂肪腫にはさまざまな種類があります。多くは皮下に生じる良性の腫瘍とされていますが、脂肪腫の中には痛みを生じるものや、神経障害を引き起こすものがあるため注意が必要です。

一般的に多く見られる「線維脂肪腫」

脂肪腫のなかで最も多くみられる良性の腫瘍です。脂肪細胞の中に膠原線維が認められ、被膜に包まれています。皮下に発生する柔らかなしこりで痛みはありません。首の後ろや背中など、一般的に刺激や圧がかかりやすい部位にできやすいとされ、放置することで脂肪腫が大きく成長することも少なくありません。

首の後ろに多く見られる「筋脂肪腫」

筋脂肪腫は皮膚の深い部位に発生し、筋肉内にある症例も少なくありません。また、後頚部(首の後ろ)に多く生じるとされています。腫瘍が筋肉に浸み込むように発生する場合もあることから、摘出がしにくい脂肪腫です。なお、完全に筋脂肪腫を取り除くため、正常な筋肉の切除にともない切開部が大きくなるケースがあります。

痛みのある「血管脂肪腫」

脂肪腫は首や胴体に発生するケースが多く見られますが、血管脂肪腫は胴体だけでなく、腕にも発生する皮下腫瘍です。血管脂肪腫の大きさは1センチ径ほどとなり、脂肪細胞の隙間に毛細血管が認められます。多発性でやや硬いしこりであることが多く、自発痛(触れなくても痛い)や圧痛(押すと痛い)が認められることも血管脂肪腫の特徴といえるでしょう。

乳幼児に発生する「びまん性脂肪腫」

びまん性脂肪腫は乳幼児(2歳以下)に発生するまれな疾患です。「びまん」とは「全体に広がる」ことを意味するように、発生部位は胴体や腕・脚など全身に至り、皮下だけでなく筋肉や内臓にも脂肪腫が見られることも少なくありません。

左右対称に多発する「良性対側性脂肪腫」

良性対側性脂肪腫とは、肩や上腕(二の腕)・胸部・腹部・太ももなどに、脂肪腫が左右対称に多発するまれな疾患です。はっきりとした原因は解明されていませんが、アルコールを多く摂取する方に多く見られる症状とされています。

淡黄色に皮膚が盛り上がる「脂肪腫様母斑」

脂肪腫様母斑とは、臀部(お尻)や太ももに多く発生する腫瘍です。脂肪腫様母斑には個発性と多発性タイプがあり、10歳以下で多く見られるのは淡黄色の腫瘍が連なり、島のように皮膚が盛り上がる多発性です。一方、成人の場合、ドーム状に皮膚が盛り上がる個発性の脂肪腫様母斑が多いとされています。

胎児期に起こる「脊髄脂肪腫」

脊髄脂肪腫とは胎児期に背骨が癒着できず、ふたつに分かれる病気のことです。肛門のやや上に脂肪腫があることにより脊髄神経が引っぱられ、神経障害を引き起こすとされています。脊髄脂肪腫は、排尿・排便の障害や、下肢の変形や知覚障害・運動障害などを生じることも少なくありません。

脂肪腫と粉瘤の違いと見分けかた

脂肪腫と並び、多く見られる皮膚疾患の中に粉瘤(ふんりゅう)が挙げられます。脂肪腫は脂肪細胞が被膜に包まれた良性の腫瘍です。一方、粉瘤(アテローム/アテローマ)は、皮下に発生した袋状の組織に垢や皮脂が溜まった状態となります。

粉瘤は脂肪腫と同様に良性の皮下腫瘍とされ、皮膚にドーム状の盛り上がりを有します。しかし、その中心部には小さな黒い穴が見られ、悪臭を発することもあります。粉瘤が自然消滅することはなく、治療法として袋状の組織を摘出する手術が挙げられます。なお粉瘤は手術の際に、袋状の組織が残ってしまうと再発の可能性が高いとされる皮下腫瘍です。

脂肪腫と脂肪肉腫の違いとは

脂肪腫が良性腫瘍である一方、脂肪肉腫は悪性腫瘍(がん)とされます。脂肪肉腫は中年以降に発生することが多く、初期は脂肪腫と同様に痛みなどの自覚症状はありません。脂肪腫のしこりは長期にわたり少しずつ成長しますが、脂肪肉腫の場合、数ヶ月で急激にしこりが大きく成長するケースも見られます。

皮膚のできものは痛みのない症状も多く、目視では良性か悪性かを見分けることはできません.。いずれも皮膚のしこりに気がついた際は、すみやかに診察を受けることが重要といえるでしょう。

涙丘や目周りのしこり・できものは眼科を受診

脂肪腫は首や背中、みぞおちなどに多く見られる良性腫瘍ですが、まれに顔に生じるケースもあります。しかし涙丘(目頭の内側)やまぶた、まつ毛のきわに生じたしこり(できもの)は、他の皮膚疾患であることも少なくありません。涙丘や目周りなどのしこりに気づいた際は眼科を受診しましょう。

脂肪腫で失敗のない治療のために

脂肪腫は痛みがなく、また良性の腫瘍であることから取らないまま放置し、大きく成長してしまうケースも少なくありません。しかし、脂肪腫は手術以外に治療法のない皮下腫瘍です。摘出の際は、脂肪腫のサイズに合わせ皮膚の切開を行ないます。脂肪腫が大きいほど皮膚を大きく切り開く必要があるため、手術跡(傷跡)が目立つことも考えられるでしょう。

なお、脂肪腫の治療は保険適用となります。小さな脂肪腫の手術であれば、費用は10000円ほどでしょう。(保険適用3割負担の場合)しかし、脂肪腫が大きくなるほど治療費用がかさむこともあるため、どんなに小さくても皮下のしこりに気づいた際は早めの受診が大切です。

脂肪腫に限らず皮膚のできものが気になり、ピンセットなどで自分で取る方もいらっしゃいます。腫瘍の組織が残っていると再発するケースもあり、雑菌が入ることで重篤な感染症を招く可能性も少なくありません。何より悪性腫瘍であった場合、大変危険ですので絶対におやめください。

ヒロクリニック形成外科・皮膚科による痛みの少ない脂肪腫治療

ヒロクリニック形成外科・皮膚科では手術時の痛みや、手術跡に配慮した脂肪腫治療を心がけております。「小さいしこりだけど良性か悪性か気になる」「手術の失敗が怖い、傷跡を残したくない」など、ご不安なことは何でもご相談ください。


【参考文献】

記事の監修者

ヒロクリニック 岡博史 先生

ヒロクリニック 岡博史 先生

“医療にITを組み合わせることで常に時代にアンテナをはり、
医療の可能性を最大限に広げ、新しい医療サービスの提供に取り組んでいます。”

経歴

1996 慶應義塾大学医学部 卒業             
2002 慶応義塾大学病院 皮膚科            
2008 ヒロ皮フ形成クリニック(H27年8月ヒロクリニックへ名称変更) 開院・院長就任
2010 医療法人社団福美会 設立・理事長就任
2011 株式会社Hiro Japan 設立・取締役就任(兼任)

資格

1996 医師免許取得
2003 皮膚科専門医 取得
2017 産業医 取得

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