足の裏のほくろを引き起こす病気は?検査や治療法について

足の裏のほくろ

足の裏のほくろは身近によくみられる症状です。
一方で、皮膚がんによりほくろがみられている場合もあります、この記事では、足の裏のほくろの種類や考えられる病気、医療機関で行われる検査や治療法ついて紹介します。

目次

「足の裏を見たとき、前にはなかったほくろが見つかった」と心配していませんか?足の裏にできるほくろは、比較的よくみられる症状の1つです。一方で、皮膚のがんがほくろの原因になることもあり、見分けることが大切です。

この記事では、足の裏のほくろで考えられる病気や症状、原因、治療法について紹介します。

そもそもほくろとは?

ほくろはメラニン色素とよばれる黒い色素の集まりで、見た目は、茶色や黒の小さいシミや隆起として現れます。健康な人の体にも複数のほくろがみられるのは自然なことです。

 ほくろができる原因には、生まれつきのものや子どもの頃にできるもの、大人になってから現れるがあります。

 一方で、ほくろの中にはがん化するものものあります。特に、大人になってできたほくろは、がんになりやすいという特徴があるので注意が必要です。

足の裏にできるほくろについて

近年の健康ブームの影響によりTV番組で「足の裏のほくろは皮膚がんが原因」といったテーマが取り上げられるようになりました。そのため、足の裏のほくろができたときに、「自分ががんではないか」と不安になる人も少なくありません。 

足の裏のほくろでみられる多くの原因は、良性腫瘍である「色素性母斑」によるものです。一方で、ほくろから皮膚がんの一種である「悪性黒色腫(メラノーマ)」が発生することがあります。 

悪性黒色腫は、色素細胞が増殖する悪性の皮膚がんです。発症すると皮膚にとどまるだけでなく、全身に広がるため命を落とす原因にもなるがんです。 

悪性黒色腫は、国内では1年間で1.5人(10万人あたり)の割合でみられ(※1)、それほど頻回にみられるものではありません。しかしながら、悪性黒色腫の3割は足底部から発生するため(※2)、足の裏にほくろがみられたら注意が必要です。また、悪性黒色腫は足の裏以外にも、口腔内や陰部などの粘膜、爪の下にも現れることがあります。 

悪性黒色腫の発生頻度について

悪性黒色腫は10代以外の子どもにはほとんど見られず、30歳以降になると発症する傾向があります。そのため、大人になってできたほくろが少しずつ大きくなっているときは、注意が必要です。

悪性黒色腫の原因は、紫外線との関連が高いとされています。足の裏側が紫外線に当たる機会は少ないものの、歩行などによりほくろに刺激が加わってがん化することが原因と考えられています。

悪性黒色腫は、白色人種が発症率が最も高くなることが分かっています。しかし、近年日本の悪性黒色腫の発生率は増加傾向にあります。特に、足の裏側は自分で気づきにくい部位でもあります。足の裏のほくろの変化や異変を感じたら、早めに医療筋を受診するようにしましょう。

足の裏のほくろの見分け方

自分の足の裏のほくろが、悪性黒色腫ではないか心配している人も多いでしょう。体にできたほくろが悪性黒色腫かどうか判断する方法に、「ABCD基準」があります。この基準は、以下の英語の頭文字から取ったものです。

足の裏のほくろを観察したときに、以下の項目に当てはまる人は医療機関を受診するようにしましょう。ただし、ほくろの識別するのは難しいケースが多いので、早めの受診がおすすめです。 

Asymmetry:形が左右非対称である

良性のほくろは、ドーム型に隆起しているものや、平らなものど色々な形が存在します。一般的に、顏には隆起型のほくろや平坦型のほくろ、体には平坦型のほくろが多くみられます。

悪性黒色腫は、色素細胞の増殖スピードが早いため、形がいびつになります。

Boundary:ほくろの縁がはっきりしていない

通常、良性のほくろは、色素のある部分とない部分の色が明確です。先に説明した左右非対称と同じように、悪性黒色腫は境界の部分があいまいにいなることがあります。

Color:ほくろの色調に濃淡がある

悪性黒色腫では、黒や茶色など入り混じり、均一な色ではありません。ただし、良性のほくろでも成長によって、平らな形から膨らんだ形になることがあります。このようなケースでは、膨らんでいる部分の色が薄くなるのがしばしばです。

Dianeter:ほくろの直径が7㎜以上ある

ほくろは、一定の大きさになるまで成長します。良性のほくろの多くは、6㎜以下の大きさにとどまります。(※生まれつきのほくろや子どもの頃にできたほくろは、10㎜以上に成長するケースもあります)

その一方で、ほくろの大きさが7㎜以上を超えるものは、悪性黒色腫の可能性があります。

足の裏のほくろが現れるそのほかの病気

足の裏などに黒いできものが現れるのは、色素性母斑や悪性黒色腫だけではありません。ほくろと間違われやすい病気には、以下のものがあります。

脂漏性角化症

皮膚の表皮の細胞が増殖することによって起こる良性腫瘍です。加齢によってできるため、「老人性いぼ」ともいわれます。

顏や全身にできるできもので、形は平らのものから隆起したものがあり、左右非対称の形になることがしばしばです。色は肌色、茶色、黒色があり、見た目が悪性黒色腫に似ているケースもあります。また、ごくまれですが、脂漏性角化症ががん化したという報告もみられます。

基底細胞がん

皮膚の基底層や毛包の細胞から発生する皮膚がんです。通常、基底細胞がんは、鼻やまぶたが好発部位となりますが、足の裏にもみられることがあります。基底細胞がんは、少しずつ進行していきますが、転移はあまり起こりません。

血管腫

血管の拡張や増殖によって起こる良性のできものです。「赤あざ」ともいわれており、赤っぽく見えるのが一般的ですが、黒っぽくみえることもあります。血管腫は足の裏側にもできることがあります。

皮膚線維腫

皮膚のコラーゲンを作る線維芽細胞が増えることによって起こる良性のできものです。好発部位は太もも、腕、臀部で、虫刺されや傷の跡にできることがあります。

 茶色の固いしこりのようなものができますが、多くの場合症状はありません。痛みやかゆみがともなう場合は、手術によって切除します。

有棘(ゆうきょく)細胞がん

表皮の中間にある有棘層の細胞から発生するがんです。有棘細胞がんによるできものは、形が不明瞭で、赤い隆起ができるのが特徴です。紫外線によってリスクが高まるため、日焼け対策することが予防につながります。そのほかにも、ウイルスややけど、外傷なども発生要因となります。

足の裏のほくろで行う検査

足の裏のほくろの検査には、皮膚がんと見分けるために、以下の検査を行います。

ダーモスコピー

ダーモスコープという専門の器具を用いて診断することをダーモスコピーといいます。ダーモスコープは、特殊な照明の下で反射光のない状態で、病変部を10~30倍に拡大して観察するための器具です。

肉眼では、病変部の形や表面の色は確認できますが、皮膚の内部の色まで観察できません。ダーモスコープを使用すると、表皮から真皮の浅い部分まで色の分布を確認することができます。

特に、足の裏などの皮膚は、良性腫瘍の場合では、皮膚の溝に色素沈着が確認できます。一方、悪性腫瘍の場合では、皮膚の溝と溝の間にも色素沈着が確認できます。 

皮膚生検

足の裏のほくろが悪性腫瘍かどうか診断するために行います。局所麻酔の注射をした後に病変部の一部を切除して、顕微鏡で調べる検査です。

悪性黒色腫の場合は、進行度を確認することで、その後の治療方法を決定するのに役立ちます。

画像検査

足の裏のほくろが皮膚がんであった場合、ほかの部位への転移がないかどうかを調べるために、画像検査を行います。皮膚がんに対して行われる画像検査には以下のものがあります。

皮膚がんで行われる画像検査には、超音波検査、CT検査、MRI検査などがあります。 

足の裏のほくろに対して行われる治療

足の裏のほくろの原因が良性腫瘍の場合、特に症状がなければそのまま経過観察となります。良性腫瘍でも痛みや違和感があったり、見た目が気になるよう場合も手術治療を行います。

足の裏のほくろが悪性腫瘍の場合、手術による切除を行います。悪性腫瘍は、がん細胞が増殖して他の部位に転移する危険性があります。そのため、手術で取り除く場合は、少し広めに切除することがほとんどです。 

ほくろの除去方法には、切開とレーザー切除がありますが、手術自体は10分ほど終了します。局所麻酔をするので、切除による痛みを感じることはありません。 

また、足の裏のほくろが悪性腫瘍で転移する可能性がある場合、手術後に抗がん剤の投与することがあります。また、足の裏の悪性腫瘍に対して、手術が難しい場合には、抗がん剤の投与、放射線療法などが行われます。

足のほくろを切除する際の注意点

足の裏のほくろが気になる場合、自分で切除しないようにしましょう。ほくろの原因が皮膚がんである場合、カミソリでそぎ落としたり、お灸をしたりすると、刺激によってがん化が進むことがあります。また、自家療法は傷跡が残りやすく、見た目にも影響がでます。

足の裏のほくろが気になる人は、まずは当院に相談するようにしてください。

まとめ

足の裏にできるほくろの種類には、さまざまなものがありますが、ほとんどの場合、良性腫瘍によるものです。一方で、足の裏のほくろの原因は悪性腫瘍が原因だったり、良性腫瘍ががん化したりケースもあります。

 足の裏にほくろができたとき、気になる症状がある場合は、早めに当院を受診することが大切です。

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