この記事の概要
タダラフィルは、勃起不全(ED)の治療や、前立腺肥大症に伴う排尿障害、肺動脈性高血圧の治療などに使われる薬です。この薬を服用する際には、特定の薬との併用や注意点があります。以下はタダラフィルと一緒に服用してはいけない薬や、服用中に気をつけるべき点です。
タダラフィルには、一緒に飲むと血圧が急激に下がって危険な薬があります。なかでも硝酸薬(ニトログリセリンなど)との併用は禁忌で、例外はありません。このページでは、併用してはいけない薬、注意が必要な薬、血圧の薬を飲んでいる場合の考え方、そして食べ物・飲み物との飲み合わせを整理します。
頭痛やほてりといった副作用そのものについてはタダラフィルの副作用で扱っています。
一緒に飲んではいけない薬
硝酸薬(ニトログリセリンなど)
硝酸薬は、狭心症などの治療に使われます。タダラフィルと硝酸薬を併用すると、血圧が急激に低下し、危険な状態になる可能性があります。特に、ニトログリセリン、イソソルビド二硝酸、アミルニトライトなどの薬が該当します。
錠剤だけでなく、舌下錠・スプレー・貼り薬(テープ)・注射のいずれの形でも同じです。「発作のときだけ使う」という頓服の硝酸薬でも併用はできません。タダラフィルは効果が最長36時間続くため、服用から時間が経っていても硝酸薬を使えない時間帯が長く残ります。狭心症の発作が起きたときに使える薬が制限されるという意味なので、心臓の治療を受けている方はこの点を必ず医師に伝えてください。
リオシグアト(肺動脈性高血圧の治療薬)
リオシグアトとタダラフィルを併用すると、血圧が著しく低下する可能性があるため、併用は避けるべきです。
アルファ遮断薬
高血圧や前立腺肥大症の治療に使われるアルファ遮断薬(ドキサゾシン、タムスロシンなど)との併用は、血圧が急激に低下するリスクがあります。医師の指示がない限り、これらの薬との併用は避けるか、慎重に行う必要があります。
一部の抗真菌薬や抗ウイルス薬
ケトコナゾールやリトナビルなど、一部の抗真菌薬やHIV治療薬は、タダラフィルの分解を遅らせ、血中濃度を高めるため、注意が必要です。これらの薬と併用する場合は、医師に相談してください。同じ理由で、抗菌薬のクラリスロマイシンなども血中濃度を上げる方向に働きます。
血圧の薬を飲んでいる場合
「高血圧だとタダラフィルは飲めないのか」という質問をよく受けます。答えは、高血圧そのものは禁忌ではないです。ただし条件があります。
タダラフィルは血管をひろげる薬なので、それ自体に血圧を下げる作用があります。降圧薬を飲んでいる方が併用すると、下がり幅が上乗せされ、立ちくらみやめまいが出やすくなります。カルシウム拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・利尿薬といった一般的な降圧薬との併用は可能とされていますが、飲み始めは血圧の変化に注意が必要です。前述のアルファ遮断薬だけは扱いが別で、慎重な調整が要ります。
一方、血圧が下がりすぎている状態(低血圧)や、コントロールできていない高血圧では使えません。目安として収縮期血圧90mmHg未満の低血圧、170/100mmHgを超えるような未治療の高血圧が該当します。健診で指摘されたまま放置している方は、EDの薬を手に入れる前に血圧の治療を受けてください。EDの背景に動脈硬化が進んでいることは珍しくなく、順序を逆にすると危険な側を見落とします。
食べ物・飲み物との飲み合わせ
グレープフルーツ
グレープフルーツはタダラフィルの分解を遅くし、血中濃度を高めてしまうことがあります。副作用が強く出る可能性があるため、服用中はグレープフルーツとそのジュースを避けてください。果肉でもジュースでも同じで、影響は数時間から1日程度続くと考えられています。「薬を飲む前後だけ避ければよい」という性質のものではありません。
オレンジやみかんなど、ほかの柑橘類では同じ作用は問題になりません。避けるべきなのはグレープフルーツと、その仲間であるブンタンやスウィーティーです。
アルコール
少量であれば大きな問題にはなりません。ただし多量に飲むと血圧が下がり、めまいや頭痛が起こりやすくなります。加えて、アルコールそのものが勃起機能を抑える方向に働くため、飲みすぎると薬の効果が出にくくなります。晩酌の量を守って使うのが現実的なところです。
食事のタイミング
タダラフィルは、シルデナフィル(バイアグラの成分)と違って食事の影響をほとんど受けません。食後に飲んでも効果は大きく変わらないため、食事の時間を気にせず使えます。
服用後に異常を感じたら
次の症状が出た場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。
- 4時間以上おさまらない勃起(持続勃起症) ─ 治療が遅れると勃起機能に恒久的な障害が残ることがあります
- 突然の視力低下、片目が見えない
- 突然の聴力低下、耳鳴り
- 胸の痛み、息切れ ─ 硝酸薬は使えないため、必ずタダラフィルを飲んだことを伝えてください
頭痛・ほてり・鼻づまり・腰痛といった頻度の高い副作用と、その持続時間についてはタダラフィルの副作用で詳しく説明しています。
まとめ
- 硝酸薬・リオシグアトとの併用は禁忌。剤形を問わず、頓服でも併用できない
- アルファ遮断薬は慎重な調整が必要。一般的な降圧薬との併用は可能だが血圧の変化に注意
- 高血圧そのものは禁忌ではないが、未治療の高血圧と低血圧では使えない
- グレープフルーツは避ける。アルコールは少量なら可、多量は効果を落とす
- 食事の影響はほとんど受けない
飲んでいる薬が該当するかどうかは、名前だけでは判断しにくいものです。お薬手帳を持って受診いただければ、その場で確認できます。当院は全国11院とオンライン診療で対応しています。
畠山 聡先生 (はたやま さとし)
医師・医学博士 / ヒロクリニック医師
略歴
- 2016年 大阪市立大学(現:大阪公立大学)卒業
- 2016年 育和会記念病院
- 2019年 大阪鉄道病院
- 2021年 大阪公立大学附属病院
- 2022年 大阪鉄道病院医長
- 2023年 ヒロクリニックなんば心斎橋院院長
資格・所属
- 日本泌尿器科学会認定の泌尿器科専門医
この記事は、ヒロクリニックEDの編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。






