子どもがノロウイルスにかかったらまずやること

2025.09.10

ノロウイルスは非常に感染力が強く、特に子どもにとっては体調を崩す原因となりやすい病気です。嘔吐や下痢を伴う症状が現れると、親としては不安になるものです。しかし、早期に適切な対応をすることで、症状を軽減させ、回復を早めることが可能です。本記事では、子どもがノロウイルスにかかった際にまずやるべきこと、また家庭でできる予防方法について、専門的な視点で解説します。

1:ノロウイルス感染の症状とは?

ノロウイルスは、一般的に急性胃腸炎を引き起こすウイルスであり、特に冬季に流行します。子どもが感染した場合、どのような症状が現れるのでしょうか。

嘔吐と下痢

ノロウイルスに感染すると、最も一般的な症状として嘔吐と下痢が現れます。特に小さな子どもは体調が急激に悪化しやすいため、早期の対応が重要です。

発熱と腹痛

また、発熱や腹痛を伴うこともあります。発熱は一過性であることが多いですが、体温が高くなることで子どもが非常に不快に感じることもあります。

脱水症状の兆候

嘔吐や下痢が続くと、脱水症状が現れることがあります。脱水は特に小さな子どもにとって危険であり、適切な水分補給が不可欠です。

2:ノロウイルス感染時の初期対応法

ノロウイルスに感染した場合、早期の適切な対応が回復を早め、症状の悪化を防ぐ鍵となります。特に子どもは症状が急激に悪化しやすいため、細心の注意を払う必要があります。以下では、ノロウイルス感染時の初期対応法を、具体的な手順に分けて説明します。

1. 水分補給を優先する

ノロウイルス感染時には、嘔吐や下痢により体内の水分と塩分が急速に失われます。特に子どもは脱水症状を引き起こしやすいため、水分補給が最も重要です。

水分補給の方法

  • 経口補水液(ORS)の使用
    経口補水液は、体内の水分だけでなく、失われた塩分(ナトリウム)や糖分も補充できます。これにより、脱水症状を防ぎ、体調の回復をサポートします。経口補水液は、少量を頻繁に与えることが重要です。
  • スポーツドリンク
    経口補水液が手に入らない場合は、スポーツドリンクでも代用可能ですが、糖分が多いため、希釈して与えることをお勧めします。
  • 水や薄めた果汁
    もし経口補水液やスポーツドリンクを嫌がる場合、水や薄めた果汁(砂糖無添加)でも構いません。ただし、炭酸飲料やジュースなどは避けましょう。

注意点

  • 1回に大量に飲ませるのではなく、少量を頻繁に与えることで、吐き戻しを防ぎつつ水分補給を行います。
  • 嘔吐がひどく続いている場合、飲み物を数分間隔で与え、体が飲み物を受け付けるようになるのを待ちます。

2. 休息と体調観察

ノロウイルス感染中は体力を消耗するため、安静にさせることが重要です。子どもは疲れやすく、無理に動かすと症状が悪化する可能性があります。

休息を取らせる

  • なるべく横になって休ませ、体を温かく保ちます。無理に食べ物を与えたり、外に出すことは避けましょう。

体調をこまめにチェックする

  • 嘔吐や下痢の回数をチェックし、症状がひどくなる場合や体調に異常が見られる場合は、速やかに医師の診察を受けることが重要です。
  • 体温を測り、発熱が長時間続いたり、異常に高い場合は、専門の医師に相談します。
  • 子どもの様子が普段と異なる場合、例えばぐったりしている、意識がぼんやりしている場合などは、すぐに医師に連絡し、診察を受けるべきです。

3. 食事は無理に与えない

ノロウイルス感染中は、嘔吐や下痢が続いているため、無理に食事を与えることは避けます。消化に負担をかける食事は、胃腸をさらに刺激する可能性があるため、食事は症状が落ち着いてから再開するのが望ましいです。

食事再開のタイミング

  • 嘔吐や下痢が治まり、子どもが水分を受け付けるようになった時点で、食事を少しずつ開始します。
  • 最初は、おかゆやスープ、柔らかいご飯など、消化に良い食品を与えることをお勧めします。固形物や脂っこいものは避けましょう。

注意点

  • 食欲が戻ったとしても、急に量を増やしたり、脂肪分の多い食品を与えたりするのは避けましょう。胃腸がまだ回復していない状態で、重い食事を与えることは胃腸に負担をかけ、症状が悪化する可能性があります。

4. 医療機関を受診するタイミング

多くの場合、ノロウイルス感染は家庭での対応で回復しますが、症状がひどくなる前に早めに医師に相談することが大切です。

受診すべき状況

  • 嘔吐や下痢が24時間以上続いている
  • 水分補給ができず、脱水症状が見られる(唇が乾いている、尿が出ないなど)
  • 発熱が高く、長期間続いている
  • 子どもがぐったりしている、反応が鈍い、意識がはっきりしない

受診のポイント

  • 病院に行く際には、症状が始まってからの経過や、飲んだ水分の量、嘔吐の回数などを医師に伝えると、診察がスムーズに進みます。

5. 家庭内での予防対策

ノロウイルスは非常に感染力が強いため、家庭内での感染拡大を防ぐための対策も重要です。

隔離と消毒

  • ノロウイルスに感染した子どもは、家庭内で隔離することが最も効果的です。他の家族と接触しないように注意しましょう。
  • 感染が疑われる箇所(トイレ、寝具、衣類)は、こまめに消毒液で拭き取るようにします。特にトイレの後は手洗いを徹底し、手指の消毒を行うことが大切です。

ノロウイルスに感染した子どもをケアする際は、最初の段階で適切な対応を取ることが、症状を軽減させ、回復を早めるために重要です。水分補給、休息、そして必要に応じて医療機関を受診することを心がけ、家庭内での感染拡大を防ぐことが重要です。

3:ノロウイルス感染時に避けるべきこと

ノロウイルスにかかった子どもをケアする際、いくつか避けるべきことがあります。これらをしっかりと守ることで、回復を早めることができます。

医者 バツ

1. 薬の乱用

ノロウイルス感染時に最も避けるべきことの一つは、市販薬の乱用です。特に下痢止めや抗生物質を無断で使用することは非常に危険です。

下痢止めや止吐薬の使用を避ける

  • ノロウイルスによる下痢や嘔吐は、体がウイルスを排除する自然な反応です。下痢や嘔吐を無理に止めることは、ウイルスが体外に排出される過程を妨げる可能性があります。
  • 市販薬である下痢止め(ロペラミドなど)や吐き気止めを使用すると、腸内の動きが鈍くなり、ウイルスが体内に長くとどまることになり、かえって回復を遅らせることがあります。

抗生物質の使用を避ける

  • ノロウイルスはウイルス性の感染症であり、抗生物質は細菌感染にのみ効果があります。したがって、ノロウイルスに対して抗生物質は全く効果がありません。
  • もし症状がひどくなったり、他の感染症を疑う場合は、医師に相談し、必要に応じて専門的な治療を受けることが重要です。

2. 他の家族との接触を避ける

ノロウイルスは非常に感染力が強いため、家庭内での二次感染を防ぐためには、感染した子どもを他の家族と接触させないようにすることが重要です。

隔離を徹底する

  • 感染した子どもは、他の家族とできるだけ接触しないようにしましょう。特に、食事を共にしたり、同じトイレを使用したりしないよう注意が必要です。
  • 子どもが寝る場所も、できるだけ他の家族と分け、感染の拡大を防ぐために別の部屋で休ませることをお勧めします。

感染者の使用物の共有を避ける

  • 感染した子どもが使用した食器やタオル、寝具などを他の家族と共有しないようにし、使用後には必ず消毒します。

3. 無理に食べ物を与えること

ノロウイルスに感染した際、嘔吐や下痢が続いている場合、無理に食べ物を与えることは非常に危険です。胃腸がまだ回復していない状態で食事を与えると、さらなる胃腸の負担をかけて症状を悪化させる可能性があります。

食事は症状が治まってから再開する

  • 嘔吐や下痢が続いている間は、無理に食事を与えないようにしましょう。水分補給が優先です。
  • 嘔吐が治まり、水分をしっかり摂取できるようになってから、消化に優しい食事を少しずつ再開します。おかゆやスープ、バナナなど、消化の良いものから始めるのが良いでしょう。

重い食事は避ける

  • 油っこいものや重い食事、乳製品は消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけます。回復初期には、消化に優しい食事を中心に与えましょう。

4. 無理に病院に行くこと

軽度のノロウイルス感染であれば、無理に病院に行く必要はありません。感染症の広がりを防ぐためにも、家庭内でのケアが最優先です。ただし、症状がひどくなった場合や他の病気が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診するべきです。

感染拡大を防ぐため、病院訪問は慎重に

  • ノロウイルスは感染力が強いため、感染した状態で病院に行くと他の患者や医療スタッフに感染を広げてしまう可能性があります。症状が軽度であれば、まずは自宅での水分補給と休養を優先しましょう。

症状がひどくなった場合は早期に受診

  • 嘔吐や下痢が続き、水分補給ができない状態や発熱がひどくなる前に、医師に相談することが重要です。脱水症状や体調の急激な悪化が見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

5. 手洗いを怠ること

ノロウイルスは主に口から感染しますが、手を介しても簡単に広がります。感染者やその周りの人が手洗いを怠ることは、家庭内での感染拡大を助長します。

手洗いの徹底

  • ノロウイルスに感染した場合、こまめに手洗いをすることが最も重要です。特に、トイレの後や食事前には必ず手を洗うようにしましょう。アルコール消毒液を使用する場合も、手が汚れている場合には十分な効果がないため、石鹸と流水で十分に手を洗うことが必要です。

共有物の消毒を徹底する

  • 家庭内で使用する食器やタオル、トイレの便座、ドアノブなど、頻繁に触れる物は、こまめに消毒を行い、ウイルスの拡散を防ぎます。

ノロウイルス感染時に避けるべき行動は、症状を悪化させないため、また感染拡大を防ぐために非常に重要です。薬の乱用や無理な食事、他の家族との接触を避けること、そして衛生管理を徹底することで、回復を早めると共に、家庭内での感染を防ぐことができます。

4:ノロウイルス予防法と家庭内対策

ノロウイルスは非常に感染力が強いため、家庭内での感染拡大を防ぐためには、以下の対策を徹底することが重要です。

1. 手洗いの徹底

ノロウイルスは主に口から感染しますが、ウイルスが手について感染が広がることが多いため、手洗いは最も効果的な予防策です。

手洗いの方法

  • 石鹸と流水で手を洗う
    ノロウイルスを含むウイルスは、アルコール消毒液で完全に除去できない場合があります。手が汚れている場合は、流水と石鹸を使用して、20秒以上かけて手を洗うことが推奨されます。
  • トイレ後や食事前に必ず手洗いを
    特に、トイレの後や食事前、調理前後に手を洗うことは、感染拡大を防ぐために欠かせません。お子様にも手洗いの習慣を身につけさせることが大切です。

消毒液の使用

  • 手洗いができない場合や外出先では、アルコール消毒液を使用することができますが、手が非常に汚れている場合や、食事の前などは手洗いが最も効果的です。

2. 家庭内での隔離と感染者の管理

ノロウイルスは非常に感染力が高く、感染者から直接または間接的に感染が広がるため、家庭内での感染拡大を防ぐための対策が重要です。

感染者の隔離

  • 感染者は、他の家族との接触を避けるようにしましょう。特に、食事や寝室の共有を避け、可能であれば別の部屋で休ませることが理想的です。
  • 使用したトイレや寝具、タオルなどは感染者専用にし、他の家族と共有しないようにしましょう。

感染者の体調管理

  • 嘔吐や下痢が続く間は、水分補給が最も重要です。感染者に経口補水液を少量ずつ与え、脱水症状を防ぎます。
  • 食事は無理に与えず、体調が回復するまで安静にさせることが大切です。

3. 食事の衛生管理

ノロウイルスは食物や水を介して感染することがあります。特に生の食材や不衛生な環境で調理された食事は感染源となることがあります。

調理前後の衛生管理

  • 食材はしっかりと洗浄し、特に生ものや加熱が不十分な食材(魚介類や肉など)は避けるようにしましょう。
  • 食材を扱う前には、必ず手を洗い、食器や調理器具も清潔に保ちます。

食品の加熱と保存

  • 食品は十分に加熱し、生ものを避けることが推奨されます。ノロウイルスは高温で死滅するため、調理中にしっかりと加熱を行いましょう。
  • 食品の保存についても注意が必要です。冷蔵庫内でも、食品を適切に保存し、食材が傷んでいないか確認します。

4. 家庭内の掃除と消毒

ノロウイルスは非常に強い感染力を持っており、家庭内での感染拡大を防ぐためには、感染者が触れた物や場所を徹底的に消毒することが重要です。

トイレと浴室の消毒

  • トイレは特に注意が必要な場所です。ノロウイルスはトイレの便座や水周りに長時間残ることがあります。トイレを使用した後は、便座や手すり、ドアノブなどを消毒用のアルコールまたは漂白剤を使って徹底的に拭き取ります。
  • 浴室や洗面所も同様に消毒し、感染者が使った後は他の家族が使用する前に消毒を行います。

食器やタオルの消毒

  • 感染者が使用した食器やタオル、寝具などは、洗濯機でしっかりと洗い、できるだけ高温で乾燥させます。
  • 食器についても、熱湯をかけるか、食器用洗剤でしっかりと洗浄します。特に、感染者と同じ食器を使用した場合は消毒を徹底します。

使用する消毒剤

  • ノロウイルスに有効な消毒剤には、アルコール、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)、または家庭用のウイルス除去用消毒スプレーなどがあります。消毒を行う際には、製品の使用方法に従って適切に使用し、ウイルスがしっかり除去されるようにします。

5. おもちゃや寝具の消毒

小さなお子さんがいる家庭では、おもちゃや寝具にも注意が必要です。感染者が触れたおもちゃや寝具は、ウイルスが付着している可能性があるため、消毒が不可欠です。

おもちゃの消毒

  • おもちゃは、アルコール消毒や漂白剤を使って消毒します。プラスチック製やゴム製のおもちゃは、しっかりと洗浄し、乾かすことが重要です。

寝具や衣類の管理

  • 感染者が使用した寝具や衣類は、できるだけ高温で洗濯し、乾燥機で乾燥させます。ノロウイルスは乾燥によって死滅するため、十分な時間をかけて乾燥させることが有効です。

6. 予防接種と健康管理

ノロウイルスに対する特効薬はありませんが、適切な予防策を取ることで感染リスクを減らすことができます。特に、外出から帰宅後の手洗いや、公共の場での接触を減らすことが効果的です。

予防接種

  • 現在、ノロウイルスに特化したワクチンは存在しませんが、定期的な予防接種(インフルエンザや風疹など)や、日常的な健康管理を心がけましょう。

免疫力の強化

  • 子どもや高齢者は免疫力が低下していることがあるため、日々の食事や睡眠を十分に取ることで免疫力を高めることが予防に繋がります。

ノロウイルスは非常に感染力が強いため、家庭内での感染拡大を防ぐためには、手洗いや消毒、隔離といった基本的な予防策を徹底することが非常に重要です。また、家族全員がこれらの対策を理解し、実行することが感染を防ぐために効果的です。

5:ノロウイルス感染後の回復とその後のケア

感染後、子どもが回復した後にも注意すべきポイントがあります。

十分な休息

回復期には、十分な休息が必要です。お子様が完全に回復するまでは、無理に外出させず、家庭で静養させましょう。

食事の調整

回復した後も、消化の良い食事を中心に少しずつ元の食生活に戻していきます。体調に合わせて食事の量を調整し、無理に食べさせないようにしましょう。

経過観察

感染後1~2週間は、体調に変化がないか経過を観察することが大切です。もし再び体調が崩れた場合は、すぐに医師に相談しましょう。

結論:

ノロウイルスは強い感染力を持つウイルスであり、特に子どもが感染するとその影響が大きくなりがちです。しかし、早期に適切な対応をすることで、症状を和らげ、早期回復が期待できます。家庭内でできる予防策や対応方法をしっかりと実践し、子どもの健康を守りましょう。