秋冬も要注意 手足口病はうつりやすい?潜伏期間と感染経路

2025.10.10

「手足口病」と聞くと夏の感染症という印象が強いですが、近年は秋冬にも流行が見られています。2025年現在、温暖化やコロナ禍で感染機会が減ったことによる「免疫の空白世代」の影響で、季節を問わず感染報告が相次いでいます。
本記事では、手足口病の潜伏期間・感染経路・うつる期間を中心に、家庭内での感染対策や登園再開の目安、さらには**よくある質問**までをわかりやすく解説。
「子どもが手足口病にかかったけど、いつまでうつるの?」「兄弟への感染を防ぐには?」といった疑問にも答えます。秋冬も安心して過ごすために、ぜひ最後までご覧ください。

1. 手足口病とは?秋冬にも流行する理由

手足口病は、**エンテロウイルス属(主にコクサッキーA16型、A6型、エンテロウイルス71型など)**によって起こるウイルス感染症です。
手のひら・足の裏・口の中などに小さな発疹や水疱が現れ、発熱・痛み・食欲低下を伴うことがあります。

かつては「夏風邪の一種」とされ、7〜8月にピークを迎えていましたが、近年は10〜2月にも流行。秋冬の発生も珍しくありません。

秋冬に増えている主な理由

  • 温暖化によるウイルス活動期間の延長
    平均気温の上昇で、ウイルスが長く活性化するようになっています。
  • 免疫の空白世代の増加
    コロナ禍での感染減少により、免疫を持たない子どもが増えています。
  • A6型ウイルスの流行
    低温でも感染力を保つA6型が主流化。冬にも感染が拡大。

このため、現在では「手足口病=夏の病気」という認識は古くなりつつあります。

2. 潜伏期間はどのくらい?

手足口病の潜伏期間は2〜5日間です。
感染してもすぐには症状が出ず、その間にウイルスが体内で増殖します。

潜伏期間中のポイント

  • 発症前からすでにウイルスを排出している可能性があります。
  • 兄弟や保育園での集団感染は、この時期に起こることが多いです。
  • 感染源が特定しにくく、「いつうつったのか分からない」ことも珍しくありません。

症状が出ていなくても、手洗い・うがい・タオルの共用禁止などを徹底しましょう。

3. 感染経路と家庭でのうつり方

手足口病の感染力は非常に強く、飛沫感染・接触感染・糞口感染の3経路で広がります。

(1)飛沫感染

くしゃみ・咳などの飛沫を吸い込むことで感染。
発熱期や発疹が出始めた時期は特に感染力が強いです。

(2)接触感染

水疱の中の液体や唾液・鼻水に触れることで感染します。
タオル・食器・おもちゃの共用は避けましょう。

(3)糞口感染

便中に長くウイルスが残るため、治ってからも2〜4週間は感染源になりえます。
おむつ替え後は必ず石けんで30秒以上手洗いを。

4. うつる期間と登園・登校の目安

感染力が最も強いのは発症初期〜発疹が出始めてから3〜5日間
ただし、便中には数週間ウイルスが残るため、家庭内感染には注意が必要です。

登園・登校の再開目安(2025年版)

  • 発熱・倦怠感がなく全身状態が良好
  • 口内の痛みが軽く、水分・食事がとれる
  • 保育園・学校が個別に定めるルールに従う

発疹が残っていても体調が安定していれば登園可能な場合もあります。
医師の指示を確認し、無理せず回復を優先しましょう。

園児

5. 感染を防ぐための家庭での対策

(1)手洗いを徹底する

  • 石けんと流水で30秒以上洗う
  • 爪の間・指の付け根・手首までしっかり
  • アルコール消毒が効きにくいことがあるため、手洗いが最優先

(2)おむつ交換・トイレ後のケア

  • 使い捨て手袋・ペーパータオルを活用
  • 便座や取っ手は定期的に消毒
  • 兄弟がいる場合はトイレ使用後の手洗いを親が確認

(3)共用物を避ける

  • タオル・コップ・おもちゃは個別に分ける
  • ドアノブやスイッチはアルコールまたは次亜塩素酸で拭く

(4)栄養と水分補給

口の痛みがある時は、おかゆ・プリン・ポタージュ・ゼリー飲料など刺激の少ない食事を。
水分は常温かやや冷たいものを少量ずつ摂取します。

(5)再感染を防ぐ

一度かかっても別のウイルス型では再感染の可能性があります。
家族内に患者が出た際は、1〜2週間は警戒期間として手洗い・うがいを強化しましょう。

6. よくある質問Q&A

Q1. 手足口病は大人にも感染しますか?
→ はい。免疫がない場合、大人も発症します。特に妊婦や高齢者は注意が必要です。

Q2. 潜伏期間中も感染しますか?
→ 可能性があります。発症前からウイルスを排出していることがあります。

Q3. 発疹はかゆいですか?
→ 一般的には軽度ですが、A6型ウイルスではかゆみが強いことがあります。

Q4. 水疱をつぶしてもいいですか?
→ 絶対にNG。液体内にウイルスが含まれ、感染が拡大します。

Q5. 熱は何日くらい続きますか?
→ 通常1〜3日程度で下がります。高熱が続く場合は再受診を。

Q6. 脱水症状に注意すべきサインは?
→ 尿が少ない・唇が乾く・泣いても涙が出ない場合は危険信号です。

Q7. お風呂に入っても大丈夫?
→ 発熱や痛みがなければ入浴可。ただし共用の浴槽は避け、短時間で済ませましょう。

Q8. 食欲がない時のおすすめ食事は?
→ 冷ましたおかゆ・ゼリー・豆腐・スープなど、柔らかく刺激の少ないものを。

Q9. 兄弟への感染を防ぐには?
→ タオル・食器の共有を避け、寝具も別にするのが理想です。

Q10. 登園許可証は必要ですか?
→ 園によって異なります。医師の診断書や登園届が求められる場合も。

Q11. 完治までどのくらい?
→ 一般的には7〜10日で回復します。発疹の跡が残っても問題ありません。

Q12. 予防接種はありますか?
→ 現時点(2025年)では日本で承認されたワクチンはありません。

Q13. 家族全員が感染することもある?
→ はい。とくに未就学児の兄弟間での二次感染が多く見られます。

Q14. 冬でも加湿が必要?
→ 乾燥した環境ではウイルスが長く生存します。加湿器を使って湿度50〜60%を保ちましょう。

Q15. 病院に行く目安は?
→ 高熱が3日以上続く、痛みで水分がとれない、ぐったりしている場合は早めに受診を。

7. 感染予防チェックリスト

チェック項目実施状況
□ 石けんで30秒以上の手洗いを家族全員が実施している
□ タオル・歯ブラシ・コップを家族で共有していない
□ トイレ・おむつ交換後の手洗いを徹底している
□ ドアノブ・スイッチを定期的に消毒している
□ 発症者の食器を別で洗浄している
□ 室内の湿度を50〜60%に保っている
□ 体調不良時に登園・外出を控えている
□ 水分補給と睡眠をしっかりとれている
□ 家族で症状の変化を共有している

毎日確認することで、家庭内感染を最小限に抑えられます。

8. まとめ:秋冬も油断せず正しい知識で予防を

手足口病は、かつて「夏の風邪」と呼ばれていましたが、現在では秋冬にも感染が広がる病気です。
発症初期から強い感染力を持ち、潜伏期間中や回復後の便中にもウイルスが残るため、家庭内での感染拡大に注意が必要です。

秋冬の流行を防ぐには、次の3つがポイントです。

  1. 手洗い・うがい・消毒の徹底
    → 基本の感染対策が最も有効。とくにトイレ後・食事前は必ず手洗いを。
  2. タオル・食器の共用を避ける
    → 飛沫・接触感染を防ぐ基本。兄弟がいる家庭は別々に管理。
  3. 水分・栄養・休養の確保
    → 免疫力を保ち、重症化を防ぐ重要ポイントです。

また、発熱や口内の痛みが強い時期は、無理に登園・登校させず、しっかり休養をとることが回復への近道です。
医師の診断に従い、家庭でも衛生管理を続けることで、家族全員の健康を守ることができます。

補足:医師への相談タイミング

  • 38.5℃以上の高熱が3日以上続く
  • 脱水症状が見られる
  • 口の痛みで食事・水分が取れない
  • 呼吸が早い、ぐったりしている

これらの症状がある場合は、迷わず小児科を受診してください。

参考文献

  • 厚生労働省:手足口病に関するQ&A(2025年版)
  • 国立感染症研究所:手足口病・ヘルパンギーナ発生動向調査
  • 日本小児科学会:感染症予防の手引き 第8版