2025年、アデノウイルスによる感染症が全国で流行しています。咽頭結膜熱(プール熱)や流行性角結膜炎など、特に小児を中心に感染が広がっており、学校や保育園での集団感染も報告されています。感染拡大を防ぐためには、早期の症状認識と適切な対策が重要です。本記事では、2025年のアデノウイルス感染症の流行傾向と、家庭や学校で実践できる予防法を詳しく解説します。
1. アデノウイルスとは?感染経路と主な症状
アデノウイルスは、さまざまな病気を引き起こすウイルスで、特に呼吸器系や消化器系、目に影響を与えることがあります。代表的な病気には「咽頭結膜熱(プール熱)」「流行性角結膜炎」「急性胃腸炎」などがあります。感染経路は主に飛沫感染と接触感染です。特に、感染した人の咳やくしゃみによる飛沫や、ウイルスが付着した物を触った手で目や口を触ることによって感染します。
主な症状:
アデノウイルスの症状は、感染した部位によって異なりますが、以下の症状が一般的です。
- 咽頭結膜熱(プール熱)
これは、アデノウイルスによる感染でよく見られる病気で、特に夏場に流行します。
- 発熱:38℃以上の高熱が続くことがあります。
- 咽頭痛:喉が痛く、飲み込むのが辛い場合があります。
- 結膜炎:目の充血や痛み、目やにが多くなることがあります。
- 発熱:38℃以上の高熱が続くことがあります。
- 流行性角結膜炎
目の感染症で、非常に伝染力が強いです。
- 目の充血:目が真っ赤になり、痛みを感じることがあります。
- 目やに:目から多くの分泌物が出ることがあります。
- まぶしさ:光がまぶしく感じることがあります。
- 目の充血:目が真っ赤になり、痛みを感じることがあります。
- 急性胃腸炎
アデノウイルスが消化器系に影響を与えると、胃腸炎を引き起こします。
- 下痢:水っぽい便が頻繁に出ることがあります。
- 嘔吐:吐き気や嘔吐が続くことがあります。
- 腹痛:お腹が痛く、食欲がなくなることがあります。
- 下痢:水っぽい便が頻繁に出ることがあります。
小児に多い感染症
アデノウイルス感染症は特に小児に多く見られます。乳幼児や小さな子どもは免疫力が未発達であり、感染しやすい傾向があります。感染が広がりやすい環境、例えば保育園や学校などでは集団感染が起こりやすいため、注意が必要です。
2. 2025年のアデノウイルス感染症の流行状況と傾向
1.咽頭結膜熱(プール熱)の流行
咽頭結膜熱は、アデノウイルスによる感染症で、主に小児を中心に流行します。2025年の流行は、例年よりも早い時期から発症が増加しており、特に6月下旬から7月上旬にかけてピークを迎えました。その後は減少傾向にありますが、依然として注意が必要です。
2. 流行性角結膜炎の増加
流行性角結膜炎もアデノウイルスによる感染症で、目の充血や目やに、まぶしさなどの症状が現れます。2025年の夏季には、例年よりも多くの症例が報告されており、特に学校や保育園での集団感染が見られます。
3. アデノウイルス7型の増加
アデノウイルスには多くの型があり、その中でも7型は特に重篤な症状を引き起こすことがあります。2025年には、アデノウイルス7型による感染が増加しており、これにより症状が重篤化するケースも報告されています。特に乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は注意が必要です。
関東地方:東京都を中心に流行
東京都では、2025年6月下旬から咽頭結膜熱の患者報告が増加し、特に7月上旬にピークを迎えました。この時期、学校や保育園での集団感染が報告され、感染拡大が懸念されました。感染経路としては、飛沫感染や接触感染が主であり、手洗いやマスクの着用、タオルの共用を避けるなどの予防対策が推奨されています。
関西地方:大阪府や兵庫県での流行
大阪府や兵庫県では、2025年6月中旬から咽頭結膜熱の患者数が増加し、7月にピークを迎えました。特に小児を中心に感染が広がり、学校や保育園での集団感染が報告されています。感染拡大を防ぐため、手洗いやうがいの徹底、タオルの共用を避けるなどの対策が呼びかけられています。
九州地方:福岡県や熊本県での流行
福岡県や熊本県では、2025年6月下旬から咽頭結膜熱の患者報告が増加し、7月上旬にピークを迎えました。特に小児を中心に感染が広がり、学校や保育園での集団感染が報告されています。感染拡大を防ぐため、手洗いやうがいの徹底、タオルの共用を避けるなどの対策が推奨されています。
アデノウイルス7型の増加と重症化のリスク
2025年には、アデノウイルス7型による感染が増加しており、これにより症状が重篤化するケースも報告されています。特に乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は注意が必要です。アデノウイルス7型は、咽頭結膜熱や流行性角結膜炎などの症状を引き起こすことがあります。感染拡大を防ぐためには、早期の発見と適切な対策が重要です。
3. 家庭でできる予防対策
家庭での感染予防は、以下のポイントを実践することが効果的です:
- 手洗い・うがいの徹底:外出後や食事前後に石鹸と流水でしっかり手を洗い、うがいを行いましょう。
- タオルや食器の共用を避ける:感染者とタオルや食器を共有しないようにしましょう。
- 目をこすらない:目のかゆみや違和感がある場合でも、手でこすらないようにしましょう。
- 発症時の外出を控える:発熱や咳、目の充血などの症状がある場合は、外出を控え、他者への感染を防ぎましょう。
これらの対策を家庭内で徹底することで、感染拡大を防ぐことができます。
4. 学校・保育園での感染拡大防止策
学校や保育園でのアデノウイルス感染拡大を防ぐためには、以下の対策が非常に重要です。感染が広がらないよう、早期の対応と予防が大切です。
1. 発症した場合の早期帰宅
発熱、咽頭痛、目の充血、咳、目やになどの症状が見られる場合、すぐに帰宅し、他の子どもたちやスタッフとの接触を避けるようにしましょう。学校や保育園での集団感染を防ぐためには、発症初期に休養を取ることが非常に重要です。症状が出た時点で早期に帰宅し、自宅で安静に過ごすようにしましょう。
2. 集団活動の制限
症状が回復するまでは、体育の授業や集団活動を控えましょう。感染者が他の生徒と接触することを避け、体育や集団遊びを制限することで、感染拡大のリスクを減らせます。また、症状が回復しても完全に回復するまで、周囲との接触を最小限にすることが望ましいです。
3. 帰宅後の服や靴下の洗濯など家庭でできること
家庭でできるアデノウイルス感染防止対策として、帰宅後の清潔保持が非常に重要です。特に、学校や保育園から帰宅した際に感染拡大を防ぐためのポイントを押さえましょう。
①服や靴下の洗濯
学校や保育園で過ごした後、帰宅したらすぐに外出時に着ていた服や靴下を洗濯しましょう。ウイルスが衣服に付着している可能性があるため、着用していた服はすぐに洗濯し、他の衣類と一緒に保管しないように注意してください。洗濯時は、熱湯を使って高温で洗うことが効果的です。
➁手洗い・うがい
帰宅後、まず手洗いとうがいを徹底しましょう。手には多くのウイルスが付着している可能性があるため、石鹸を使ってしっかり手を洗い、その後うがいをすることが大切です。手洗いは最低でも20秒以上行い、指先や爪の間もしっかり洗いましょう。
③家庭内の共用物品の消毒
ドアノブ、リモコン、電話、タブレットやPCなど、家庭内で多くの人が触れる物は、ウイルスが残りやすい場所です。アルコール消毒液や消毒用のシートを使用して、こまめに清掃し、ウイルスの拡散を防ぎましょう。また、頻繁に触れる場所に消毒液を常備し、家族全員が使う前に消毒を行う習慣をつけると良いです。
④ 洗面所やトイレの衛生管理
帰宅後に使用する洗面所やトイレも、ウイルスが拡散しやすい場所です。トイレや手洗い場は、使った後に消毒スプレーを使って清潔を保ちましょう。家族全員が手を洗う前に触れる場所であるため、特に注意が必要です。
4. 症状があれば受診をすすめる
発症した場合は、すぐに医療機関を受診することをおすすめします。発熱や目の充血、咳などの症状が続く場合は、早期の診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぐことができます。特に、乳幼児や高齢者、基礎疾患がある方は早めの受診が重要です。
5. 感染が疑われる場合の受診の目安
アデノウイルス感染が疑われる場合、早期に医療機関を受診することが重要です。以下の症状が見られる場合は、すぐに受診をおすすめします。
1. 高熱が続く
38℃以上の高熱が続く場合、アデノウイルスに感染している可能性があります。特に、長時間にわたる高熱は体調が悪化する前兆であるため、早めに受診し、診断を受けましょう。
2. 目の充血や痛み
片目または両目の充血や痛み、目やにがひどくなる場合は、アデノウイルスによる流行性角結膜炎の可能性があります。この症状が見られる場合も、早めに医師に相談することが大切です。
3. 下痢や嘔吐が続く
特に乳幼児で下痢や嘔吐が続き、脱水症状が見られる場合は、速やかに受診する必要があります。脱水は非常に危険で、早期の対処が必要です。

検査はするのか?
アデノウイルスが疑われる場合、医師は症状に基づいて診断を行います。検査が必要な場合、鼻や喉からのサンプルを取って、ウイルスの有無を確認することがあります。通常、症状からの判断で診断がつくことも多いため、必ずしも検査が必要とは限りませんが、重症化するリスクが高い場合には、検査を行うことがあります。
出席停止は?
アデノウイルスに感染した場合、学校や保育園での集団感染を防ぐために、症状が治まるまでは出席停止となることが一般的です。特に、発熱や目の充血、咳が続く間は他の子どもたちへの感染拡大を防ぐためにも、自宅での休養が求められます。出席停止期間は、症状が回復し、感染のリスクがなくなるまでとされています。
薬は?
アデノウイルス感染症に特効薬はなく、基本的には症状に対する対症療法が行われます。発熱や喉の痛みには解熱剤や鎮痛剤、目の症状には目薬が処方されることがあります。また、嘔吐や下痢が続く場合は、脱水症状を防ぐために水分補給が非常に重要です。医師の指導に従い、適切な治療を受けましょう。
6. まとめ:感染拡大を防ぐために
アデノウイルスによる感染症は、早期の対応と予防策の徹底により、感染拡大を防ぐことができます。家庭や学校、保育園での感染予防を意識し、症状が見られた場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。
感染症の流行状況は日々変化しますので、最新の情報を確認し、適切な対策を講じることが重要です。
