赤ちゃんを守るロタワクチン、2種類の違いとメリットを徹底紹介

2026.01.08

「冬になると赤ちゃんが急に嘔吐や下痢を繰り返す」——それはロタウイルス感染症かもしれません。
かつては脱水症で入院する乳幼児も多かったこの病気は、ワクチンの普及によって重症例が激減しました。
現在、日本で使用されているロタウイルスワクチンは「ロタリックス」と「ロタテック」の2種類。どちらも経口(飲むタイプ)のワクチンですが、接種回数や特徴に違いがあります。
本記事では、それぞれのワクチンの仕組み・効果・安全性をわかりやすく解説します。

1. ロタウイルス感染症とは?赤ちゃんが重症化しやすい理由

ロタウイルスは乳幼児に多いウイルス性胃腸炎の原因のひとつです。
感染力が非常に強く、わずかなウイルスでも感染が成立します。

主な症状

  • 嘔吐(1〜2日間続く)
  • 水のような下痢(白っぽい便が特徴)
  • 発熱(38〜39℃)
  • 脱水(尿の減少、ぐったりする、口の乾き)

重症化の中心は脱水症状です。特に生後6か月〜2歳の赤ちゃんでは、体内の水分量が少なく、嘔吐と下痢で一気に水分を失ってしまいます。
入院治療が必要になることもあり、命に関わるケースも報告されています。

2. ロタワクチンの仕組み

ロタウイルスは複数の型(血清型)があります。
ワクチンはこれらに対する免疫をつけることで重症化を防ぐように設計されています。
いずれも「経口生ワクチン」と呼ばれ、生きた弱毒化ウイルスを飲むことで腸管免疫を刺激します。

ワクチンの目的

  • 感染自体を完全に防ぐわけではない
  • 目的は「重症化を防ぐ」こと
  • ワクチン接種により入院率・死亡率が90%以上減少

3. 2種類のワクチンの違い

比較項目ロタリックス(Rotarix)ロタテック(RotaTeq)
製造会社GSK社MSD社
型(血清型)1価(G1P[8]型)5価(G1・G2・G3・G4・P[8])
接種回数2回3回
接種開始時期生後6週〜生後6週〜
最終接種期限生後24週未満生後32週未満
投与方法経口(飲む)経口(飲む)
主な特徴1価ながら交差免疫で幅広く防御5価で多型に対応、より包括的

選び方のポイント

どちらも高い有効性があり、医療現場では「どちらを選んでも問題ない」とされています。
ただし、接種スケジュールが異なるため、他のワクチンとの兼ね合いを考えて選択することが重要です。

4. ロタリックスの特徴とメリット

ロタリックスは、単一の型(G1P[8])から作られたワクチンです。
しかし、この型が世界的に最も多いこと、さらに他の型にも交差免疫を示すことから、高い予防効果を持ちます。

メリット

  • 接種回数が2回と少なく、通院負担が少ない
  • 他ワクチン(B型肝炎・ヒブ・小児肺炎球菌など)と同時接種しやすい
  • 効果発現が早く、初回接種からの防御が強い

注意点

  • 接種スケジュールの締め切り(生後24週未満)を過ぎると接種不可
  • 早めの接種スケジュール管理が必要

5. ロタテックの特徴とメリット

ロタテックは5つの型(G1〜G4、P[8])をカバーする5価ワクチンです。
世界中で使用実績が多く、幅広いウイルス型への免疫が得られます。

メリット

  • 多型に対して包括的に免疫を誘導
  • 海外データが豊富で安全性が高い
  • 追加接種(3回目)により長期的な防御効果が期待できる

注意点

  • 接種回数が多く、他の定期接種と重なりやすい
  • 最終接種期限(生後32週未満)を超えると接種できない

6. 接種スケジュールと同時接種の考え方

ロタワクチンは、生後6週〜の早い段階から開始します。
他の定期接種(ヒブ、小児肺炎球菌、B型肝炎、四種混合など)と同時に受けることが可能です。

スケジュール例(ロタリックスの場合)

接種回数時期備考
1回目生後6〜8週他のワクチンと同時接種OK
2回目1回目から4週以上あける24週未満に完了

同時接種のメリット

  • 通院回数を減らせる
  • 接種間隔の遅れを防げる
  • 免疫効果を早期に得られる

7. 副反応と安全性

いずれのワクチンも安全性は高く、世界中で広く使用されています
主な副反応は軽度で一過性です。

主な副反応

  • 一時的な下痢・嘔吐
  • 微熱
  • 機嫌の変化(不機嫌・泣きやすい)

腸重積のリスクについて

ごくまれに、接種後1週間以内に「腸重積」を起こすことがあります。
ただし、発生率は10万接種に1例未満であり、自然発症率とほぼ同程度とされています。
下記のような症状がある場合はすぐに医療機関へ:

  • 突然の激しい泣き(周期的に繰り返す)
  • 嘔吐
  • 血便(イチゴジャムのような便)
医療

8. ロタワクチンを接種しないリスク

ロタウイルス感染はワクチン未接種の乳幼児に多く、初感染で重症化するケースが目立ちます。
ワクチンを接種しない場合、

  • 高熱・脱水による入院リスク
  • 家族への二次感染
  • 免疫力の低い兄弟・祖父母への感染拡大
    といったリスクが高まります。

ワクチンによって感染自体を完全に防ぐことはできませんが、
「命を守る」ために重症化を防ぐことが最大の目的です。

9. 保護者がよく抱く疑問Q&A

Q1. ロタワクチンはどちらを選べばいいですか?

どちらも効果と安全性は同等です。
通院回数を減らしたい場合は「ロタリックス」、より多型に対応したい場合は「ロタテック」を選ぶとよいでしょう。

Q2. 途中でワクチンを変更できますか?

できません。最初に選んだワクチンは最後まで同じ種類で完了させます。

Q3. 飲み残した場合はどうなりますか?

飲みこぼしても再接種は基本的に不要です。医師が再投与の必要性を判断します。

Q4. 下痢や風邪がある日は接種できますか?

軽い症状なら接種可能です。
ただし、嘔吐や下痢が強い場合は日を改めましょう。

Q5. ロタウイルスワクチンは注射ですか?

いいえ。経口投与(口から飲む)タイプです。注射ではありません。

Q6. 接種後に母乳やミルクをあげても大丈夫?

問題ありません。むしろ脱水を防ぐため、通常どおり授乳しましょう。

Q7. 兄弟への感染は防げますか?

完全には防げませんが、重症化リスクを大幅に下げることができます。

Q8. 副反応はいつ出やすいですか?

接種後1〜2日以内に軽い下痢や微熱が見られることがあります。
通常は数日で自然に治まります。

Q9. 腸重積はどれくらいの頻度で起こりますか?

10万回接種で1例未満。極めてまれであり、ワクチンの利益がリスクを大きく上回ります。

Q10. 腸重積はどんなときに疑えばいいですか?

「急に激しく泣く→おさまる→また泣く」を繰り返す場合や、嘔吐・血便があるときは受診を。

Q11. 生ワクチンと聞くと不安ですが、安全ですか?

はい。弱毒化されており、健康な乳児では安全に投与できます。
世界で数億回以上接種されています。

Q12. 接種を忘れたらどうすれば?

期限を過ぎていなければ接種可能です。
ただし、24週(ロタリックス)・32週(ロタテック)を過ぎると接種できません。

Q13. 他のワクチンと同時接種しても大丈夫?

はい。安全性に問題ありません。
同時接種で免疫効果が落ちることもありません。

Q14. ワクチン接種後にうんちにウイルスが出ますか?

一時的に排泄されます。
オムツ交換後は手洗い・消毒を徹底してください。

Q15. ワクチンの効果はどのくらい続きますか?

少なくとも2〜3年は有効で、重症化を防ぐ免疫が持続します。

Q16. ワクチンで感染を完全に防げますか?

感染はすることがありますが、重症化をほぼ防げます
入院や脱水のリスクを大幅に減らします。

Q17. 海外ではどう使われていますか?

ロタワクチンは世界100カ国以上で使用され、WHO(世界保健機関)も推奨しています。

Q18. 接種後に吐いてしまったら?

少量の嘔吐であれば再接種は不要。
ただし全量を吐いた場合は、医師の判断で再投与することがあります。

Q19. 兄弟で感染が広がったとき、ワクチンを打っていても発症しますか?

発症しても軽症で済み、入院を避けられることがほとんどです。

Q20. 予防接種の費用はいくら?

ロタワクチンは定期接種(無料)です。
以前は任意接種でしたが、現在は公費で受けられます。

Q21. 早産や低出生体重児でも接種できますか?

状態が安定していれば可能です。医師と相談して時期を決めましょう。

Q22. ワクチン接種後に旅行や外出してもいい?

問題ありませんが、1〜2日は体調の変化に注意しましょう。

Q23. 再感染することはありますか?

自然感染でも再感染は起こりますが、ワクチン接種により重症化は防げます

まとめ

ロタウイルス感染症は、乳幼児に多い重症胃腸炎の一つで、激しい嘔吐や下痢による脱水が命に関わることもある感染症です。
しかし、ロタワクチンの普及により、重症化や入院が大幅に減少しました。

現在接種できる「ロタリックス」と「ロタテック」は、どちらも高い効果と安全性を持つワクチンです。
違いは接種回数(2回と3回)や対象型の数ですが、重症化を防ぐ効果は同等です。
重要なのは、「生後6週から接種を始め、期限内に完了すること」です。

ワクチンを打つことで、赤ちゃん自身だけでなく、兄弟や家族への感染拡大も防ぐことができます。
たとえ感染しても、症状が軽く済み、入院せずに回復できるケースがほとんどです。

ロタウイルスは日常生活で完全に防ぐことが難しいため、予防の要はワクチン接種です。
早めにスケジュールを確認し、かかりつけ医と相談しながら確実に完了させましょう。
「守れる命を、確実に守る」――それがロタワクチンの目的です。