おたふくかぜワクチンは打つべき?接種時期とワクチンの効果

2026.01.08

「おたふくかぜって子どもがかかる病気でしょ?」
そう思っている方も多いかもしれません。しかし、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、発熱や耳の下の腫れだけでなく、髄膜炎・難聴・不妊症などの合併症を起こすことがある感染症です。
これらを予防するために開発されたのが「おたふくかぜワクチン」。任意接種ではありますが、小児科学会をはじめ多くの医療機関で接種が推奨されています。

本記事では、おたふくかぜの基礎知識・ワクチンの効果・推奨される接種時期・副反応や注意点について、やさしく詳しく解説します。

おたふくかぜとは?どんな病気?

ウイルスによる感染症

おたふくかぜは「ムンプスウイルス」というウイルスによって起こる感染症です。主に飛沫感染接触感染で広がり、潜伏期間は約2〜3週間。
発症すると、**耳の下(耳下腺)やあごの下(顎下腺)**が腫れて痛みが出ます。腫れは片側だけのこともあれば、両側に及ぶこともあります。

主な症状

  • 38〜39℃の発熱
  • 耳下腺・顎下腺の腫れと痛み
  • 食事や会話時の痛み
  • 倦怠感や頭痛

発熱と腫れは3〜7日で落ち着きますが、合併症を起こすこともあり、注意が必要です。

合併症に注意:おたふくかぜの怖さ

おたふくかぜは多くの場合自然に治りますが、合併症が起こると長期的な後遺症を残すこともあります。

主な合併症

合併症名主な症状頻度・特徴
無菌性髄膜炎発熱・嘔吐・頭痛・首のこわばり約1〜10%に発症
難聴片耳の感音性難聴(治らない場合あり)約1,000人に1人
精巣炎(男児・思春期以降)高熱・陰嚢の腫れ・痛み思春期以降で多い
卵巣炎(女児・女性)下腹部痛・発熱稀だが成人女性で発症あり
膵炎上腹部痛・嘔吐稀に発症

特にムンプス難聴は一度発症すると回復しないことが多く、予防接種による予防が非常に重要です。

ワクチンで防げるおたふくかぜの合併症

ワクチンの仕組み

おたふくかぜワクチンは生ワクチン(弱毒化されたウイルス)です。
接種することで体がウイルスに対する抗体を作り、感染しても重症化しにくくなります。

効果と持続期間

  • 1回の接種で約80%が免疫を獲得
  • 2回接種で約95%が長期間の免疫を維持

ワクチンを受けた人が感染しても、軽症で済むことが多く、耳下腺炎の腫れや高熱の期間も短くなります。

おたふくかぜワクチンの接種時期と回数

推奨される接種時期

日本小児科学会では、以下のように2回接種を推奨しています。

回数推奨年齢接種間隔
1回目1歳(MRワクチン・水痘ワクチンと同時期)
2回目小学校入学前(5〜6歳頃)1回目から5年以上あけるのが目安

※自治体によっては助成制度があるため、かかりつけ医や市町村の情報を確認しましょう。

おたふくかぜワクチンは任意接種?それでも必要な理由

定期接種ではない現状

おたふくかぜワクチンは現在、日本では任意接種(自己負担)です。
しかし、感染による合併症の重さや集団感染リスクから、医師会や小児科学会では定期接種化を強く推奨しています。

任意接種でも受けておきたい理由

  • 自然感染では合併症のリスクが高い
  • ワクチン接種で重症化を大幅に防げる
  • 家族・保育園・学校などでの集団感染を予防
  • 思春期以降の精巣炎や不妊症リスクを軽減

おたふくかぜは流行周期が3〜5年で、毎年数万人が感染しています。
軽視されがちな病気ですが、予防の価値は非常に高いといえます。

注射

副反応と安全性:気になるポイントを解説

主な副反応

症状発生時期頻度
発熱・耳下腺の腫れ接種後1〜3週間約5〜10%
発疹・倦怠感接種後数日まれ
無菌性髄膜炎様症状接種後3週間前後約1万〜10万接種に1例程度

以前は副反応の報告が問題視された時期もありましたが、現在の製品は改良され、安全性が確立しています。

ワクチン後の対応

発熱や腫れが出た場合は、無理せず安静にし、十分な水分をとりましょう。
高熱や強い頭痛などが続く場合は、早めに医療機関へ相談を。

自然感染とワクチン接種の違い

比較項目自然感染ワクチン接種
免疫の強さ強い(長期免疫)2回接種で同等レベル
合併症のリスク高い(髄膜炎・難聴など)きわめて低い
感染拡大のリスクあり(登園・登校禁止)なし
費用医療費・休園対応が発生任意接種(助成あり)

自然感染を待つより、ワクチンで安全に免疫をつける方が、圧倒的に安心です。

接種できない・注意が必要なケース

以下のような場合は、接種を控えるか医師と相談が必要です。

  • 明らかな発熱(37.5℃以上)があるとき
  • 重い急性疾患にかかっているとき
  • 以前ワクチンで重いアレルギー反応を起こしたことがある
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある場合
  • 免疫不全やステロイド治療中の場合

接種可否は個々の体調によるため、かかりつけ小児科医の判断が大切です。

家族で守る「おたふくかぜ予防」

家族全員で意識を

おたふくかぜは、兄弟間・家庭内での感染が多い病気です。
特に小学生未満の兄弟がいる家庭では、家族全体での予防意識が重要です。

予防の基本

  • ワクチン接種の記録を家族で共有
  • 感染者との濃厚接触を避ける
  • 手洗い・うがいを習慣化
  • 免疫の有無を母子手帳で確認

感染を完全に防ぐことは難しいですが、**「家族の免疫バリア」**を築くことが最大の予防策になります。

まとめ:おたふくかぜワクチンは“打つ価値がある”ワクチン

おたふくかぜは「かかっても大丈夫」と誤解されがちですが、
実際には難聴・不妊・髄膜炎など、長く影響を残す合併症を起こす可能性があります。

ワクチン接種により、これらの合併症をほぼ完全に防ぐことが可能です。
1歳での初回接種、5〜6歳での2回目接種を忘れずに行いましょう。

小児科医としても、家族全員での予防接種を強くおすすめします。
安心して健やかに成長できるように、今できる予防を一歩ずつ進めていきましょう。

【まとめポイント】

  • おたふくかぜは合併症が重い感染症
  • ワクチン2回で95%以上の予防効果
  • 任意接種でも推奨される理由は「重症化防止」
  • 副反応は少なく、安全性は確立
  • 家族で接種歴を確認し、予防意識を高めることが大切