発熱

発熱

子どもの発熱は、小児科受診の理由として最も多い症状のひとつです。突然熱が出ると、「様子を見てもよいのか」「すぐ受診したほうがよいのか」と悩まれる保護者の方も多いのではないでしょうか。
発熱は感染症などに対する体の正常な反応ですが、原因となる病気はさまざまです。特に乳幼児では症状が急激に変化することもあるため注意が必要です。
当院では、発熱がみられた場合は早めの受診をおすすめしています。

発熱とは

発熱とは体温が通常より高くなった状態を指し、一般的に小児では37.5℃以上を発熱と考えます。
子どもの体温は大人より高めであり、1日の中でも変動があります。

  • 朝は低め
  • 夕方は高め

また、

  • 運動後
  • 入浴後
  • 厚着のとき
  • 泣いたあと

などにも一時的に体温が上昇することがあります。
しかし、これらとは異なり安静時にも体温が高い状態が続く場合は病気による発熱の可能性が高いと考えられます。
発熱の原因として最も多いのは感染症です。特に小児ではウイルス感染が大部分を占めますが、細菌感染など治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
そのため、発熱がみられた場合は医療機関で原因を確認することが重要です。

子どもの発熱の主な原因

子どもの発熱の多くは感染症によるものです。

かぜ症候群(ウイルス感染)

最も頻度が高い原因は、いわゆる風邪です。
主な症状:

  • 発熱
  • 鼻水
  • のどの痛み

多くは自然に回復しますが、気管支炎や肺炎へ進行することもあります。
原因となる主なウイルス:

  • RSウイルス
  • アデノウイルス
  • ライノウイルス
  • ヒトメタニューモウイルス

などがあります。

インフルエンザ

冬季に流行する代表的な感染症です。
特徴:

  • 急激な高熱
  • 強いだるさ
  • 頭痛
  • 関節痛

などの症状がみられます。
早期に診断することで、抗インフルエンザ薬による治療が可能な場合があります。
ただし、発熱してから間もない時期(発熱後おおよそ12時間以内)では、検査を行っても正確な結果が出ないことがあります。
そのため、発熱直後に受診された場合には、

  • 検査を行わず経過をみる場合
  • 時間をおいて再度検査を行う場合

があります。
インフルエンザが疑われる場合は、発熱後12時間以上経過してからの検査が望ましいとされています。
必要に応じて、適切なタイミングで検査を行うことが重要です。

突発性発疹

主に生後6か月〜2歳頃に多くみられる感染症です。
特徴:

  • 数日続く高熱
  • 解熱後に発疹が出現
  • 不機嫌になることが多い

高熱は38~40℃程度の発熱が3~4日ほど続くことが多く、熱のわりに比較的元気なこともあります。
突発性発疹では、熱が下がった後に発疹が出現することが特徴です。
多くの場合、
解熱後半日~1日以内に発疹が出始めます。
発疹には次のような特徴があります。

  • 赤色~薄いピンク色の小さな発疹
  • 盛り上がりが少なく平らなことが多い
  • かゆみはほとんどない

発疹は通常、胸やお腹、背中など体幹から出始め、首や手足へ広がることが多いです。
発疹は2~3日程度で自然に消失し、跡が残ることはほとんどありません。
突発性発疹では、高熱のあとに発疹が出ることで診断がつくことが多く、基本的には自然に回復する病気です。

溶連菌感染症

溶連菌感染症はA群溶血性連鎖球菌による細菌感染症で、小児の発熱の原因としてよくみられる病気の一つです。
特徴:

  • 発熱
  • のどの痛み
  • 発疹
  • いちご舌

抗菌薬による治療が必要となり、適切に治療することで通常は数日で改善します。
溶連菌感染症は年間を通してみられますが、特に

  • 冬から春(11月〜5月頃)、初夏(5月〜7月頃)

に多くみられる傾向があります
溶連菌感染症では、発熱やのどの痛みに続いて発疹が出現することがあります。

  • 小さな赤い発疹が全身に広がる
  • 細かくザラザラした触り心地(紙やすり様発疹)
  • 体幹から四肢へ広がることが多い

また、

  • のどが強く赤くなる、舌が赤くブツブツして「いちご舌」になる

といった特徴的な所見がみられることがあります。
指先や手のひら、足の裏の皮がむけること(落屑)がありますが、自然に治まります。

中耳炎

中耳炎は乳幼児に多くみられる疾患で、風邪に続いて発症することが多い病気です。
鼻やのどの炎症が耳管を通じて中耳に広がることで起こります。
特徴:

  • 発熱
  • 不機嫌
  • 耳を触るしぐさがみられる
  • 夜泣きが増える

診察では耳鏡を用いて鼓膜の状態を確認し、診断を行います。
炎症が強くなると鼓膜の内側に膿がたまり、強い痛みや発熱が続くことがあります。
さらに悪化すると鼓膜が破れて、耳だれ(耳漏)がみられることもあります。
中耳炎が疑われる場合は、耳鼻科専門医の受診をおすすめします。
耳鼻科では、

  • 耳垢の除去
  • 鼓膜の詳しい観察
  • 鼻汁の吸引
  • 必要に応じた鼓膜切開などの処置

が可能です。
耳の痛みや発熱が続く場合、耳を気にするしぐさがみられる場合には、早めに耳鼻科専門医へ相談しましょう。

発熱時の家庭での対応

発熱がある場合は、無理をせず安静に過ごすことが大切です。

水分補給

発熱時は脱水になりやすいため、こまめな水分補給が重要です。

  • 麦茶
  • 経口補水液
  • 母乳・ミルク

などを少量ずつ与えましょう。
尿の回数が減っている場合は注意が必要です。

衣服と室温の調整・入浴について

発熱時には、体温調節がしやすい環境を整えることが大切です。
次の点に注意しましょう。

  • 厚着をさせすぎない
  • 室温を適切に保つ

衣服は汗をかいた場合に着替えやすいよう、通気性のよい薄手の衣類が適しています。
室温は20~25℃程度を目安にし、暑すぎず寒すぎない環境を保ちましょう。
また、汗をかいた場合は体を拭いたり着替えを行うことで、皮膚を清潔に保つことができます。

お風呂について

発熱時でも元気があり、水分が取れている場合には短時間の入浴は可能です。
一方で、次のような場合には入浴は控えてください。

  • 高熱でぐったりしている場合
  • 水分が取れていない場合
  • 強い咳や呼吸苦がある場合
  • 嘔吐がある場合

入浴が難しい場合は、ぬれたタオルで体を拭く(清拭)だけでも十分です。

食事について

食欲がない場合は無理に食べさせる必要はありません。
水分が取れていれば問題ないことが多く、食欲が出てきた段階で消化のよい食事を与えます例えば以下のような食品が適しています。

  • おかゆ
    胃腸への負担が少なく、水分も同時に補給できます。体調に合わせて五分がゆや全がゆなど調整します。
  • うどん
    やわらかく煮たうどんは消化がよく、比較的食べやすい食品です。薄味にするのが望ましいでしょう。
  • スープ
    野菜スープやみそ汁の上澄みなどは、水分と塩分の補給にも役立ちます。
  • ゼリーやプリン
    のど越しがよく食べやすいため、食欲がない場合でも摂取しやすい食品です。
  • 果物(すりおろしりんごやバナナなど)
    ビタミン補給になり、比較的消化がよい食品です。

一方で発熱時には、

  • 脂っこい食事
  • 刺激の強い食事
  • 甘いお菓子
  • 冷たい飲食物のとりすぎ

は胃腸に負担をかけるため控えめにしましょう。
また、

  • 嘔吐がある場合
  • 下痢が続く場合
  • 水分が取れない場合

には脱水の危険があるため、早めの受診をおすすめします。

解熱剤の使い方

小児の発熱には主にアセトアミノフェン製剤が使用されます。
解熱剤は病気そのものを治す薬ではなく、発熱による不快感を軽減し、水分摂取や睡眠を助ける目的で使用します。
次のような場合に使用が検討されます。

  • 38.5℃以上の発熱がある場合
  • つらそうな様子がある場合
  • 眠れない場合
  • 水分が十分に取れない場合

解熱剤を使用する際は、医師から指示された用法・用量を守ることが重要です。

使用間隔の目安

アセトアミノフェン製剤は通常、
1回使用した後は4〜6時間以上間隔をあけて使用します。
一般的には、

  • 1日2〜3回程度まで
  • 連続して使用する場合は医師の指示に従う

ことが推奨されます。
短時間で繰り返し使用すると過量投与による肝機能障害のリスクがあるため注意が必要です。
また、解熱剤を使用しても熱が下がらない場合や症状が悪化する場合は早めに受診してください。

発熱があった場合は早めの受診をおすすめします

子どもの発熱は原因となる病気がさまざまであり、診察を受けることで適切な対応が可能になります。
特に乳幼児では症状が急に悪化することもあるため注意が必要です。
当院では、発熱がみられた場合は早めの受診をおすすめしています。
以下のような場合は速やかに受診してください。

  • 生後3か月未満の発熱
  • 38.5℃以上の発熱が続く
  • 元気がない
  • ぐったりしている
  • 水分が取れない
  • 咳や呼吸が苦しそう
  • 嘔吐や下痢を伴う
  • 発疹が出た
  • 熱が繰り返し出る

また、

  • 保護者の方が不安を感じる場合

も受診をおすすめします。
早めに診察を受けることで、

  • 重症化の予防
  • 適切な治療
  • 保護者の安心

につながります。

まとめ

発熱は子どもに多くみられる症状であり、小児科受診の理由として最も多い症状のひとつです。多くはかぜなどの感染症によるもので、適切に経過をみることで自然に回復する場合も少なくありません。
元気があり、

  • 水分が取れている
  • 顔色がよい
  • 呼吸が苦しくない

といった場合には、ご自宅で様子を見ていただくことも可能な場合があります。
しかし原因となる病気はさまざまであり、早期の診断や治療が必要な病気が含まれていることもあります。
特に乳幼児では症状をうまく言葉で伝えることが難しく、元気がない、不機嫌、水分が取れないなどの変化が重要なサインとなります。また、子どもの体調は短時間で変化することも少なくありません。
医療機関を受診することで、

  • 発熱の原因を確認できる
  • 必要な検査を受けられる
  • 適切な治療を受けられる
  • 自宅での過ごし方について具体的な説明を受けられる

といった安心につながります。
発熱がみられた場合、もしくは受診を迷った場合にも、早めの受診をおすすめします。
お子さまの体調で気になることがありましたら、どのような些細なことでも構いませんので、お気軽に当院までご相談ください。