赤ちゃんの定期ワクチン B型肝炎とは どんな感染症?

2026.06.19

「B型肝炎」という言葉を耳にしたことはあっても、どんな病気か詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
B型肝炎は、ウイルスによって肝臓に炎症を起こす感染症で、感染すると長くウイルスが体内に残る場合があります。赤ちゃんに感染すると慢性化しやすく、一生付き合っていく病気になることもあるため、早期の予防がとても大切です。
この記事では、B型肝炎の原因や感染経路、そして赤ちゃんの定期ワクチンの重要性について、やさしく解説します。

1. B型肝炎とは?どんなウイルス?

B型肝炎は「B型肝炎ウイルス(HBV)」というウイルスが肝臓に感染して起こる病気です。感染すると、肝細胞が破壊され、肝機能の低下や炎症を引き起こします。

● 急性肝炎と慢性肝炎

感染してすぐに発症するのが「急性B型肝炎」。発熱・倦怠感・黄疸などの症状が出ることがありますが、成人では一時的な感染で治るケースが多いです。
一方、赤ちゃんや乳幼児が感染すると、体の免疫機能が未発達なためウイルスを排除できず、「慢性B型肝炎」に移行することが多くなります。慢性化すると、将来的に肝硬変や肝がんのリスクが高まります。
このため、赤ちゃん期の予防が特に重要です。

● 日本でもまだ油断できない感染症

日本では母子感染予防対策が進み、B型肝炎の感染率は大きく減少しています。しかし、完全にゼロではなく、母子感染や医療処置、性的接触による感染など、注意が必要な場面は今もあります。
そのため、赤ちゃんの時期からワクチンによる予防を行うことが、将来の健康を守るうえで非常に意味があります。

2. B型肝炎の主な感染経路

B型肝炎は、ウイルスを含む血液や体液を介して感染します。感染経路にはいくつかのパターンがあります。

● ① 母子感染(垂直感染)

もっとも重要なのが、母親から赤ちゃんへの感染です。
妊娠中や分娩時に、母親がB型肝炎ウイルスを持っている場合、出産の際に赤ちゃんへ感染する可能性があります。
この感染を防ぐため、生まれてからすぐにワクチンと免疫グロブリンを接種することが推奨されています。

● ② 血液を介する感染

ウイルスを含む血液が体内に入ることで感染します。たとえば、医療行為、針の使い回し、入れ墨、ピアス、注射器の共用などです。
日本では医療現場の衛生管理が徹底されていますが、海外では感染リスクが高い地域もあります。

● ③ 性的接触による感染

思春期以降では、性的接触による感染も報告されています。
このように、B型肝炎は年齢や性別に関係なく、誰でも感染の可能性があるウイルスです。

赤ちゃん

3. 赤ちゃんが感染した場合のリスク

乳児期のB型肝炎感染は、90%以上が慢性化すると言われています。
慢性化するとウイルスが体内に残り続け、数年から数十年をかけて肝硬変や肝がんに進行することもあります。
しかし、ワクチンによってこのリスクはほぼ100%近く防ぐことが可能です。
赤ちゃんは免疫が未熟なため、感染しても症状がほとんど出ないことが多く、発見が遅れがちです。そのため、症状が出る前の「予防接種」こそ最大の防御策になります。

4. B型肝炎ワクチンの接種スケジュールとポイント

● 接種時期の目安

一般的には、以下のようなスケジュールで行われます(自治体により若干異なる場合がありますので、かかりつけ医・保健所等で確認してください)。

  • 1回目:生後2か月頃
  • 2回目:1回目から27日以上あける(標準的には1か月後)
  • 3回目:2回目から6日以上、かつ1回目から139日以上あける(標準的には生後7~8か月頃)
    なお、母親がHBVキャリア(B型肝炎ウイルス保有)である場合、生後直後から免疫グロブリンとワクチンを併用する母子感染予防措置が取られます。

● ワクチンの効果と安全性

B型肝炎ワクチンは、感染防御効果が非常に高く、3回接種で抗体ができる割合は非常に高いとされています。
副反応も一般的には軽微で、接種部位の痛み・腫れ・発熱などが数日以内に起こることがありますが、重篤な副反応はまれです。
このため、赤ちゃんにとって「ワクチンを打つメリット」が非常に大きいとされています。

● 接種をしない・遅らせるリスク

もし接種が遅れたり、受けないままだったりすると、乳幼児期に無症状で感染し、慢性化して将来肝硬変・肝がんのリスクが高まる恐れがあります。
そのため、可能な限り早く・予定通りに接種を進めることが、赤ちゃんの健康を守るうえで重要です。

5. 定期接種をスムーズに進めるためのポイント

● 母子手帳・自治体通知を活用

赤ちゃんが生まれたら、自治体から送られてくる「予防接種のお知らせ」や母子手帳のスケジュール欄をチェックしましょう。

● かかりつけ小児科と相談を

ワクチンの在庫状況、同時接種の可否、接種間隔の調整などは、通院している小児科医師と相談しておくと安心です。

● 同時接種を前向きに考える

赤ちゃん期には複数のワクチンを接種する時期が集中します。例えば、2か月から生後6か月頃には、B型肝炎・ロタウイルス・ヒブ・小児用肺炎球菌・5種混合ワクチンなどが並行します。
同時接種(複数を同時に打つこと)は、実績もあり安全性も確認されているため、スケジュール通り進めるための有効な手段です。

● 遅れてしまった場合の対応

万が一スケジュールがずれてしまった場合でも、ワクチンをあきらめる必要はありません。自治体や小児科によっては補助や期限延長措置が取られている場合がありますので、早めに相談しましょう。

6. よくある質問(Q&A)

Q1. B型肝炎ワクチンは必ず受けないといけませんか?
A. はい。定期接種として法律で定められています。生後12か月になる前に3回すべて接種することが大切です。

Q2. 同時に複数のワクチンを打っても大丈夫?
A. 問題ありません。同時接種による安全性は確認されており、免疫効果も変わりません。

Q3. 接種を1回忘れた場合は最初からやり直し?
A. いいえ。間隔が空いても、残りの回数を接種すれば効果が得られます。かかりつけ医にスケジュールを相談しましょう。

Q4. ワクチンでB型肝炎に感染することはありますか?
A. ありません。使用されているのはウイルスの一部を加工した「不活化ワクチン」で、感染することはありません。

Q5. 家族がB型肝炎キャリアですが、赤ちゃんは守れますか?
A. 適切にワクチンを接種していれば、ほぼ100%防ぐことができます。

まとめ

B型肝炎は、肝臓に長く影響を与える可能性のあるウイルス感染症。
特に赤ちゃんが感染すると慢性化しやすく、将来の健康に大きな影響を及ぼすことがあります。
しかし、定期ワクチンをきちんと受けることで、そのリスクをほぼ完全に防ぐことができます。
わからないことや不安がある場合は、遠慮せずに小児科医に相談しましょう。
ワクチン接種は、赤ちゃんの「未来の健康を守るための第一歩」です。

医師監修 監修日:2026年6月19日

水田 俊

医師・医学博士 ヒロクリニック岡山駅前院 院長

資格・所属

  • 日本小児科学会 小児科専門医
  • 日本小児科学会認定 出生前コンサルト小児科医

この記事は、ヒロクリニック小児科の編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2026年6月19日

新田 啓三

医師 ヒロクリニック札幌駅前院 院長

資格・所属

  • 日本小児科学会 小児科専門医
  • 日本アレルギー学会 所属

この記事は、ヒロクリニック小児科の編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。