「スケジュールが多くて覚えきれない」「副反応が怖い」——そんな声をよく耳にします。
でも、ワクチンは子どもを感染症から守る大切な“免疫のバリア”です。重い合併症を防ぐためにも、正確な知識が欠かせません。
この記事では、2025年最新の定期接種スケジュールをもとに、
- どんなワクチンがあるのか
- 接種時期のポイント
- 副反応が起きたときの正しい対応法を、まとめました。
1. 定期予防接種とは?目的と仕組み
日本の「定期予防接種」は、感染すると重症化・後遺症の恐れが高い病気を予防するために、国が推奨・公費で実施しているワクチン制度です。
定期接種の目的
- 子ども自身を感染症から守る
- 周囲への感染を防ぎ、社会全体を守る(集団免疫)
- 将来の重い合併症を防止する
生後2か月から始まり、就学前・学童期まで段階的に進められます。
「無料だから行く」のではなく、子どもの命を守る医療行為として、計画的に受けることが大切です。
2. 主なワクチンの種類と目的
2025年の日本では、ワクチン制度が大きく変化しています。
従来の「四種混合(DPT-IPV)」はほとんどが五種混合(DPT-IPV-Hib)へ移行し、肺炎球菌ワクチンも15価製剤(PCV15)が標準的に使われています。
以下に、最新の定期接種ワクチンをまとめました。
| 区分 | ワクチン名 | 予防できる病気 | 主な目的 |
| 生ワクチン | ロタウイルス(1価または5価) | 胃腸炎(重症下痢・嘔吐) | 乳児の脱水・重症化を防ぐ |
| 生ワクチン | MR(麻しん・風しん) | はしか・風しん | 高熱や合併症、先天性風しん症候群の予防 |
| 生ワクチン | 水痘 | 水ぼうそう | 発疹・発熱・重症化防止 |
| 不活化 | B型肝炎 | 肝炎ウイルス感染 | 将来の肝硬変・肝がんリスクを防ぐ |
| 不活化 | 小児用肺炎球菌(15価) | 肺炎・髄膜炎・中耳炎 | 13価より広範囲の菌型をカバー |
| 不活化 | 五種混合(DPT-IPV-Hib) | 百日せき・破傷風・ポリオ・ジフテリア・ヒブ感染症 | 接種回数を減らし、安全かつ効率的に免疫獲得 |
| 不活化 | 日本脳炎 | 日本脳炎ウイルス感染 | 蚊を介する脳炎を予防 |
| 不活化 | HPVワクチン(9価) | 子宮頸がん・尖圭コンジローマ | 女子に加え男子も対象へ拡大中 |
| 不活化 | 二種混合(DT) | ジフテリア・破傷風 | 学童期以降の追加接種用 |
| 生ワクチン(任意) | おたふくかぜ | ムンプス・難聴の予防 | 任意接種だが強く推奨 |
| 不活化(任意) | インフルエンザ | 季節性インフルエンザ | 毎年秋~冬に流行予防 |
ポイント
- 2024年度から、五種混合が全国で導入され、四種混合はほぼ廃止。
- 肺炎球菌ワクチンは15価製剤(PCV15)へ切替。
- HPVワクチンは男子も定期接種化へ拡大予定。
3. 接種スケジュールと押さえておきたいポイント
生後2か月からが“免疫づくり”のスタートライン
赤ちゃんはお母さんからもらった免疫(移行抗体)で守られていますが、それは生後数か月で減少します。
そのため、生後2か月からのワクチン開始がとても大切です。
最初の接種では次のワクチンを一度に受けることが一般的です。
- 五種混合(DPT-IPV-Hib)
- B型肝炎
- 小児用肺炎球菌(15価)
- ロタウイルス(経口)
これらを同時接種で受けることで、効率的に免疫をつけることができます。
世界的にも同時接種の安全性は確立しており、日本小児科学会も推奨しています。
月齢ごとのスケジュールの目安
| 年齢(月齢) | 主な接種内容(2025年基準) | 備考 |
| 生後2か月 | 五種混合①、肺炎球菌①、B型肝炎①、ロタ① | 初回の同時接種スタート |
| 生後3か月 | 五種混合②、肺炎球菌②、B型肝炎②、ロタ②(5価は3回目あり) | 経口ワクチンをこぼさないよう注意 |
| 生後4か月 | 五種混合③、肺炎球菌③ | 1歳前の免疫の基礎完成期 |
| 生後5~8か月 | BCG | 結核予防(1回のみ) |
| 生後6~11か月 | B型肝炎③(最終)、ロタ③(5価のみ) | 完了後は一段落 |
| 1歳~1歳3か月 | MR①、水痘①、肺炎球菌追加、ヒブ追加、五種混合追加(4回目) | 重要な「追加免疫期」 |
| 1歳6か月~2歳 | 日本脳炎①②(3歳開始自治体もあり) | 地域差に注意 |
| 3歳~6歳 | 日本脳炎追加③、MR②、水痘② | 登園・入学前に確認を |
| 9歳~12歳 | 二種混合(DT)追加、HPV(9価)開始 | 思春期の健康管理期 |
| 13歳以上 | HPV②③、インフルエンザ毎年 | 男子のHPV接種も推奨へ |
※接種間隔・時期は自治体により若干異なります。必ず母子手帳と自治体案内を確認しましょう。
接種スケジュールを立てるコツ
- 母子手帳を常に持参し、記録を確認する
→ 医療機関が異なっても履歴を正確に把握できます。 - 「同時接種」をうまく活用する
→ 1回の通院で複数ワクチンを受けると、通院回数が減り、免疫完成も早まります。 - 体調を見ながら計画的に
→ 軽い風邪なら接種できる場合もありますが、熱があるときは延期しましょう。 - 予防接種アプリ・リマインダーを活用する
→ 厚生労働省や自治体が提供する「予防接種スケジュール管理アプリ」では、自動で次回時期をお知らせしてくれます。
キャッチアップ(追いつき接種)も安心してOK
「接種のタイミングを逃してしまった」「引っ越しでスケジュールがずれた」——そんなときも大丈夫。
ワクチンは年齢が上がっても免疫を獲得できるよう設計されています。
医師に相談すれば、最適な「追いつきスケジュール(キャッチアップ)」を組んでもらえます。
特に注意が必要なのは以下のケースです:
- ロタウイルスワクチン:生後24週(約6か月)を過ぎると接種できない
- BCG:8か月を超えると定期接種の対象外になる自治体あり
- HPV:定期接種期間(高校1年生の3月末まで)を逃すと自費になる
これらの“期限つきワクチン”は、早めに受けるのが安心です。

4. 副反応の種類と正しい対応法
ワクチン接種後に起きる変化の多くは、体が免疫を作るための自然な反応です。
ただし、まれに重いアレルギー反応(アナフィラキシーなど)が起こる場合もあるため、接種後30分は院内で経過観察を行います。
よくある軽い副反応
- 注射部位の赤み・しこり・腫れ
- 一時的な発熱(37.5〜38.5℃)
- 不機嫌・眠気・食欲低下
いずれも1〜2日で自然に治まります。冷却や安静で十分対応可能です。
受診が必要なケース
- 39℃以上の高熱が長引く
- 顔色不良・ぐったりしている
- 呼吸の異常・意識もうろう
- 発疹やけいれんがみられる
異変を感じたら、すぐに医療機関へ連絡を。
副反応が強かった場合は、次回以降のワクチン調整を医師が行います。
5. 接種前後の注意点
接種前チェック
- 体温が37.5℃未満
- 発疹・咳・下痢などがない
- 前回接種で強い反応がなかった
接種後のケア
- 当日は激しい運動を控える
- 入浴は短時間でOK(こすらない)
- 食欲があれば普段通りで問題なし
当日の夜は発熱しやすいため、体温計と冷却グッズを準備しておくと安心です。
6. よくある質問Q&A
Q1. 五種混合は安全?
A. はい。日本を含む多くの国で安全性・効果が確認されています。接種回数が減り、保護者の負担も軽減されました。
Q2. 同時接種で免疫がつきにくくなる?
A. その心配はありません。同時接種でも抗体価(免疫の強さ)は十分に得られます。
Q3. 副反応が怖くて迷っています。
A. ワクチンで防げる病気(VPD)は、かかると重症化することがあります。副反応よりも感染リスクの方が大きいのが現実です。
Q4. 任意接種は受けた方がいい?
A. おたふくかぜやインフルエンザなども、合併症予防のために接種が推奨されています。
7. まとめ:正しい知識で、安心して予防接種を
ワクチンは「打つか迷うもの」ではなく、子どもを守る医療の基本です。
2025年の最新スケジュールでは、より安全で効率的な混合ワクチンが導入され、
接種回数や副反応リスクが減少しています。
もし不安や疑問があっても、一人で悩まず小児科医に相談を。
正しい知識と冷静な対応で、ママ・パパも安心して子どもの健康を守ることができます。
