冬場に悪化するつらい手荒れの予防と治療法【医師監修】

手荒れ

毎年、冬になると手荒れに悩まされる患者さんが多くいらっしゃいます。悪化すると、ひび割れや、あかぎれとなり強い炎症を起こすことも少なくありません。この記事では手荒れの予防と治療法についてを医師が解説します。

手荒れとは

手荒れとは一般的な呼び名であり、医療用語では「進行性指掌角皮症(しんこうせいししゅかくひしょう)」「乾燥・亀裂型手湿疹」など症状ごとに、疾患名が異なります。また、手荒れは家事や洗剤・薬剤、指先を使う職業に多く見られ、皮膚への繰り返しの刺激がおもな原因とされています。

手荒れは空気の乾燥する冬場にとくに悪化します。この時「ただの手荒れ」と治療を怠り、皮膚のかさつきを放置することで指の関節や手の甲がひび割れ、炎症や出血などを引き起こし強い痛みを生じることも少なくありません。

手荒れは、かさつき・ひび割れのような乾燥による症状だけでなく、指の腹や手のひらに水ぶくれ状の湿疹が生じることも。これらの手荒れは、ハンドクリームでは改善することができません。悪化を招く前に病院で診察を受けることが大切です。

手荒れの原因

手荒れの原因は2つに分類されます。「物理的刺激」によるものと「化学的刺激」によって生じるものに分かれますが、どちらも皮膚炎とされ、おもな予防や治療法に大きな違いはありません。

物理的刺激によるおもな手荒れ

  • 家事や育児などによる水仕事
  • 庭仕事や掃除など
  • 長時間のパソコン作業(タイピング)など

化学的刺激によるおもな手荒れ

  • 消毒などのアルコール
  • シャンプー剤やパーマ液
  • 脱脂力の強い石鹸や洗剤など

手が荒れやすい理由とは

手が荒れやすい理由として、日常的に酷使する部位であることのほか、皮膚のバリア機能低下が挙げられます。

皮膚は3つの層からなっています。表面から表皮・真皮・皮下組織(皮下脂肪層)に分かれ、各層により機能が異なります。また、表皮の上には角質層と呼ばれる最外膜があり、外部からウイルスや菌の侵入を防ぐとともに、体内の水分を保持するバリア機能をもちます。

手のひらは他の部位よりも角質層に厚みがあり、丈夫であるとされています。しかし、物理的・科学的刺激により角質層が障害され、皮脂分泌と水分保持が正常に行われずバリア機能が低下することで、ひび割れやあかぎれといった手荒れ症状が生じるのです。

これらのことから手荒れを防ぐためには、人工的に皮膚を保護することが最も重要となります。  

手荒れ予防のためのハンドケア

手荒れの原因の多くは水仕事などによる物理的刺激か、洗剤などによる化学的刺激とされています。そのためこれらの刺激を避けることで、大半の手荒れを防ぐことができるといえるでしょう。

水仕事や掃除、洗剤などを使用する際に手袋(ゴム手袋)を着用することで、物理的・化学的刺激を避けることができます。また、ハンドクリームなどで肌に適度な水分と油分を与え、手荒れを防ぎましょう。

「手肌の乾燥が気になる」「手荒れが治らない」と、ハンドクリームを手放せない方も少なくありません。しかしハンドクリームは、あくまで保湿を目的とします。また、肌に優しい印象のあるベビーオイルやキャリアオイル(植物油)なども同様です。手荒れに炎症や出血・湿疹などの症状がある場合は、悪化を招くこともあるので病院で早めに診察を受けることが大切です。

手荒れの種類とおもな症状

悪化した手荒れのおもな症状は、乾燥によるひび割れやあかぎれが挙げられます。しかし、手荒れの中には水ぶくれや丘疹(小さなブツブツ)、かゆみや皮むけが生じることもあり、それぞれ治療が異なります。安易に市販薬でのセルフケアを行わず、必ず病院で診察を受けましょう。

進行性指掌角皮症

物理的・化学的刺激による手荒れです。おもに指先に乾燥、ひび割れなどが生じます。

乾燥・亀裂型手湿疹

乾燥により手のひらや指の関節割れ(ひび割れ)が生じる手荒れです。「湿疹」とありますが、一般的に水疱は生じないとされています。

角化型手湿疹

中年以降に男性に多く見られる手荒れです。皮が硬くなり、ひび割れを伴うこともあります。また足の裏に生じるケースもあり、はっきりとした原因は解明されていません。

貨幣状型手湿疹

乾燥やアレルギーなどが原因とされています。手背(手の甲)に直径1〜5cmほどの円形の湿疹が生じる手荒れです。水疱が見られ、強いかゆみを伴います。

汗疱性手湿疹

手のひらや指の横側に小さな水疱と、強いかゆみを生じる手荒れです。汗によって引き起こるため、夏に多く見られる症状とされています。

手荒れに似た皮膚疾患

皮むけや湿疹、水ぶくれなど手荒れに似た皮膚疾患も少なくありません。症状によってはハンドクリームやベビーオイル・キャリアオイルなどを使用することで悪化を招くこともあるため、注意が必要です。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひら、または足の裏に膿の溜まった水ぶくれ状の膿疱(のうほう)が多発する皮膚疾患です。原因不明とされますが、喫煙や金属アレルギーが関与するともいわれています。

乾癬(かんせん)

皮膚に赤い盛り上がりの発疹に、鱗屑(りんせつ)といわれる白い皮膚の粉が生じる皮膚疾患です。全身どこにでも発症しますが、皮膚刺激の多い部位に多く見られます。はっきりとした原因は解明されていませんが、遺伝や生活環境によるものとされています。

手白癬(てはくせん)

白癬菌(カビの一種)が手に感染することで発症する皮膚疾患です。白癬菌とは一般的に水虫のことですが、かゆみは稀で手の皮がむける、小水疱が生じるなど手荒れに似た症状とされています。

疥癬(かいせん)

ダニ(ヒゼンダニ)が皮膚に寄生する感染症です。夜間に強いかゆみを伴い、爪に寄生することもあります。ダニの寄生数によって症状は異なり、赤い丘疹や皮が厚くなるなどの症状が現われます。なお、ヒトからヒトへ感染することも少なくありません。

カンジダ性指間びらん症・カンジダ性爪囲炎(そういえん)

真菌の一種であるカンジダが感染することで発症します。水仕事の後など指間に水分が残り、皮膚がふやけた状態を繰り返すことでカンジダが繁殖すると、皮のめくれやひび割れ、かゆみなどが生じる皮膚疾患です。爪の周囲に発症するカンジダ性爪囲炎の場合は、爪の変形や膿、指先の腫れなどが生じます。

ヒロクリニック形成外科・皮膚科での手荒れ治療

手の乾燥や軽いかさつきであれば、市販のハンドクリームやベビーオイルなどによる保湿で手荒れは改善するでしょう。しかし、ひび割れ・あかぎれを起こし、炎症や出血が生じている際は皮膚科で受診を行うことが大切です。

手荒れのおもな原因は外的刺激による皮膚のバリア機能低下です。手荒れが乾燥によるものであれば、バリア機能を正常化するための保湿が必要となります。おもにワセリンやヘパリン類似物質、尿素配合のクリームが処方されます。

悪化した手荒れで、炎症や湿疹がある場合はステロイド軟膏を処方いたしますので、医師の指示通りに塗布しましょう。手荒れにかゆみがある際は診察により、抗ヒスタミン薬の処方となります。

また手荒れの原因がアレルギー性であるケースも少なくありません。アレルギーであれば原因物質を突き止め、それを避ける生活を送る必要があります。「たかが手荒れ」と自己判断せず、悪化を防ぐためにも早期受診と適切な治療を行ないましょう。


【参考文献】

記事の監修者

ヒロクリニック 岡博史 先生

ヒロクリニック 岡博史 先生

“医療にITを組み合わせることで常に時代にアンテナをはり、
医療の可能性を最大限に広げ、新しい医療サービスの提供に取り組んでいます。”

経歴

1996 慶應義塾大学医学部 卒業             
2002 慶応義塾大学病院 皮膚科            
2008 ヒロ皮フ形成クリニック(H27年8月ヒロクリニックへ名称変更) 開院・院長就任
2010 医療法人社団福美会 設立・理事長就任
2011 株式会社Hiro Japan 設立・取締役就任(兼任)

資格

1996 医師免許取得
2003 皮膚科専門医 取得
2017 産業医 取得

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