別名・関連疾患名
- 11q13.2-q13.4 欠失症候群
- 11q13 欠失症候群(※11q13全体の欠失=オトデンタル症候群/oculo-oto-dental syndrome と重なることあり) (PMC)
(※11q13.2-q13.4 欠失は、一般に 微小欠失(microdeletion) として扱われる染色体構造異常であり、この領域の欠失は複数の症候群や臨床像と重複することがあります。 (ClinGen))
対象染色体領域
ヒト第11番染色体 長腕(q)13.2〜13.4 領域の欠失 です。
この領域には神経発達や身体各部の正常形成に寄与する複数の遺伝子が含まれています。欠失サイズは症例によって異なりますが、報告例ではおおよそ 2.7〜3.4 Mb 程度 の連続欠失として検出されています。 (ClinGen)
欠失が起こると、この領域に含まれる遺伝子が 1コピー欠失(ハプロ不全) となり、これが多様な症状の原因になると考えられています。 (ヒロクリニック)
発生頻度
11q13.2-q13.4 deletion syndrome は 極めて稀な染色体微小欠失疾患 であり、一般集団における正確な発生頻度は確立されていません。
- 現在のところ、報告例は数例程度 に限られているため、臨床的に希少な症例として扱われます。 (ClinGen)
- 多くの症例で de novo(新生突然変異) として発生しており、家族内での遺伝は報告が少ない傾向です。 (ClinGen)
極めて低頻度であり、一般的な出生頻度としての明確なデータはありませんが、染色体微小欠失のひとつとして 臨床遺伝子検査の対象領域 になるレベルの希少性です。 (ヒロクリニック)
臨床的特徴(症状)
11q13.2-q13.4 deletion syndrome の臨床像は報告例が少ないため一定のパターンに収束しませんが、複数の文献報告と症例データを総合すると、以下のような 多様な臨床的特徴 が報告されています。
1. 神経発達・認知機能
- 発達遅延(Developmental delay)
言語・運動・認知機能の発達が遅れることが多く報告されています。 (ヒロクリニック) - 知的障害(Intellectual disability)
軽度〜重度の知的障害が示されることがあります。 (ClinGen) - 言語発達遅延(Speech delay)
言語面の遅れが顕著な例が複数報告されています。 (PMC)
これらの神経発達上の特徴は、欠失領域に含まれる SHANK2 をはじめとする神経発達関連遺伝子のハプロ不全と関連すると考えられており、特に SHANK2 の欠失は重度の言語・認知遅延と関連する可能性があります。 (PMC)
2. 顔貌・身体的特徴
- 頭囲異常(microcephaly)
小頭症が一部の例で認められています。 (PMC) - 顔貌異常(craniofacial dysmorphism)
突出した額、深い眼窩、片側まぶた下垂(ptosis)、低位耳、広鼻根/鼻梁形成異常など、様々な顔貌形態が観察されています。 (PMC) - 歯の発達異常(dental anomalies)
乳歯や永久歯の発育遅延、歯列異常などが報告されています。 (PMC)
これらは典型的に同一表現型とは限らず、症例ごとに程度や形態が異なります。 (ClinGen)
3. 行動・心理面
4. 内臓・その他系の異常
- 内臓異常(心臓・腎臓など)
一部の患者で先天性心疾患や腎機能異常などの内臓系の問題が合併した例があります。 (ヒロクリニック) - 筋緊張低下(Hypotonia) や 摂食・栄養の問題 がみられることも報告されています。 (ClinGen)
原因
11q13.2-q13.4 deletion syndrome の原因は 染色体 11q13.2〜q13.4 領域の一部欠失 です。
この欠失により、当該領域の複数の遺伝子が 片方欠損(ハプロ不全) となり、その結果として正常な発達や形態形成が阻害され、多様な症状が生じます。 (ヒロクリニック)
欠失領域に含まれる遺伝子の具体的な影響としては以下のようなものが指摘されています:
- SHANK2
シナプス骨格構造に関わるタンパク質をコードする遺伝子で、欠失すると 重度の知的障害・言語遅延 に関連する可能性があります。 (PMC) - その他の神経発達関連遺伝子
欠失範囲内には複数の発達関連遺伝子が存在し、これらのハプロ不全が多様な臨床像/神経発達症状に寄与すると考えられています。 (ClinGen)
欠失は一般的に de novo(新生突然変異) として起こることが多く、両親の染色体が正常でも子に発症するケースが報告されています。 (ClinGen)
治療方法(管理・支援)
11q13.2-q13.4 deletion syndrome に対する 根本的な治療法は確立していません。
そのため、治療は 症状に応じた支持療法・包括的支援・専門科連携 を基本とします。 (ヒロクリニック)
以下のような支援が中心となります:
発達支援
- 理学療法(Physical therapy):
運動発達の遅れ、筋緊張異常に対する介入。 (ヒロクリニック) - 言語療法(Speech therapy):
言語遅延・発音の問題への支援。 (ヒロクリニック) - 作業療法(Occupational therapy):
日常生活動作の向上、感覚統合支援など。 (ヒロクリニック)
行動・学習支援
合併症への対応
遺伝カウンセリング
欠失の原因、再発リスク、家族計画に関する 遺伝カウンセリング が推奨されます。 (ClinGen)
まとめ
11q13.2-q13.4 deletion syndrome は、11番染色体長腕 q13.2〜q13.4 領域の一部が欠失することで生じる稀な染色体微小欠失疾患です。欠失により発達遅延、知的障害、言語発達遅延、顔貌異常、内臓系の合併症、行動面の課題など多岐にわたる症状がみられ、症例によって程度や特徴が異なります。欠失領域内の遺伝子(特に SHANK2 など)のハプロ不全が神経発達症状に大きく関与すると考えられています。治療は根治療法がなく、発達支援、行動支援、合併症への対応、定期的な評価を中心とした 包括的な支援・管理 が必要です。適切な医療支援および遺伝カウンセリングを受けることで、患者と家族の生活の質の向上が期待されます。
参考文献元
- ヒロクリニック:「11q13.2-q13.4 Deletion Syndrome」(症状・治療・原因など解説) (ヒロクリニック)
- Clinical Genome Resource: 11q13.2-q13.4 recurrent region deletion cases(発達遅延・身体異常など症例集) (ClinGen)
- Shen Y, 2023. De novo 11q13.3q13.4 deletion phenotype報告(SHANK2関与と臨床像) (PMC)
- Kim YS ほか. Chromosome 11q13 deletion syndrome: otodental syndrome 症例報告(歯・聴覚・顔貌異常を含む欠失例) (PMC)


