13q14 deletion syndrome

Posted on 2026年 1月 19日

別名・関連疾患名

  • 13q14 deletion syndrome
  • Chromosome 13q14 deletion syndrome
  • Monosomy 13q14 syndrome
  • Chromosome 13q deletion syndrome(13q欠失症候群)
  • Partial monosomy 13q14
    これらの呼び名は同様に 13番染色体 q14 部分欠失 に由来します。(NCBI)

対象染色体領域

本疾患は 13番染色体の長腕(q)のうち 13q14 領域 に部分的な欠失が起こることで発症します。
この領域には複数の遺伝子が含まれ、特に Rb(Retinoblastoma 1)遺伝子 など腫瘍抑制因子が存在するため、その欠失により網膜芽細胞腫(retinoblastoma)などのリスクが高まることが知られています。(東京・ミネルバクリニック)

欠失は通常 新生突然変異(de novo) として起こりますが、まれに親からの構造異常の伝達として現れる場合があります。(NCBI)

発生頻度

13q14 deletion syndrome は 極めて稀な先天性染色体異常疾患 であり、明確な出生頻度は確立されていません。
報告例は少なく、国際的な希少疾患データベースにも症例数が限定的に登録されています。そのため、概ね非常に低頻度(100万人に数例レベル) と考えられています。(National Organization for Rare Disorders)

なお、この欠失が部分的で比較的小さい場合(微小欠失/ microdeletion) と、より大きな領域が欠失する場合では、症状・合併症や臨床像の重さが異なり、後者では追加の合併症が生じやすくなります。(ウィキペディア)

臨床的特徴(症状)

欠失範囲や含まれる遺伝子によって表現型は多様ですが、代表的に報告されている主な症状・所見を下記に整理します:

1. 発達遅延・知的機能の影響

  • 発達遅延(motor・言語・社会性など)
  • 知的障害(軽度〜重度まで幅広い)
  • 精神運動遅滞(psychomotor delay)
    13q14 deletion では広い範囲の発達課題が見られることが多く、幼児期から療育支援が推奨されます。(NCBI)

2. 網膜芽細胞腫(Retinoblastoma)

13q14領域には 網膜芽細胞腫(Rb1)遺伝子 が含まれており、この遺伝子の欠失を含む例では 小児期に網膜芽細胞腫を発症するリスクが大幅に高くなります。(東京・ミネルバクリニック)
網膜芽細胞腫は通常生後数ヶ月〜5歳頃に発症する悪性網膜腫瘍で、初期は白い瞳孔反射(白濁瞳)がみられることがあります。

3. 顔貌異常・頭部異常

13q deletion の特徴的表現型として、以下が報告されています:

  • 高い額(high forehead)
  • 眼と眼の間隔が広い(hypertelorism)
  • 顕著な鼻柱や鼻根幅の広さ
  • 厚い下唇や突出した人中
  • 逆さまつげや低位耳
    これらは全体として 独特の顔貌パターン を呈することがあり、診断の手がかりとなります。(MalaCards)

4. 身体成長・頭囲

出生時低体重や 胎内発育制限(IUGR)、出生後も 身長・体重の増加の遅れ(低身長)小頭症(microcephaly) がみられることがあります。(ウィキペディア)

5. 先天性奇形・内臓異常

13q14 deletion は臓器形成にも影響を与えるため、以下のような合併症がみられることがあります:

  • 先天性心疾患(心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存など)
  • 泌尿生殖器異常(停留精巣、尿道下裂など)
  • 腎臓・消化器の形成異常
  • 骨格異常(例:指・足趾異常、骨格形成異常)
  • 神経系異常(脳梁欠損、脳室の異常)
    これらは欠失がより大きい例で多様に見られるため、臨床像は個体差が大きいです。(ウィキペディア)

6. 視覚・聴覚・その他機能

眼の異常(網膜形成異常、斜視、弱視など)や聴覚障害がみられることがあります。
また合併てんかん発作など神経機能異常が報告されることもあります。(ウィキペディア)

原因

13q14 deletion syndrome の根本原因は、13番染色体長腕 q14 領域にある染色体部分が欠失(microdeletion または larger deletion)すること です。(NCBI)

この欠失により、その領域に位置する複数の遺伝子が ハプロ不全(haploinsufficiency) 状態となり、必要な遺伝子産物が十分に生成されなくなることが発症メカニズムと考えられています。(MalaCards)

13q14領域には 腫瘍抑制遺伝子(Rb1) のみならず、神経発達や細胞成長調節に関連する複数の遺伝子が存在するため、その欠失が 複数系統の発達異常に影響を与えると推測されています。(MalaCards)

多くの例では de novo(新生突然変異) として発生し、家族内での遺伝は稀です。(National Organization for Rare Disorders)

治療方法(治療・管理)

13q14 deletion syndrome に対しては 欠失そのものを修復する根本療法は現時点で存在しません
そのため、治療は 症状に応じた支持療法(supportive care) および包括的な管理が中心となります:

1. 発達支援

  • 理学療法(Physical therapy):運動発達の促進
  • 言語療法(Speech therapy):言語遅延や発話支援
  • 作業療法(Occupational therapy):日常生活動作の支援
    早期介入療育が発達予後の改善に寄与します。

2. 視覚・聴覚の評価と管理

  • 眼科フォロー:網膜芽細胞腫のスクリーニング、視力評価
  • 補聴器・耳科支援:聴覚障害への対応

網膜芽細胞腫リスクがある場合、生後早期から定期的な眼科検査が推奨されます。(東京・ミネルバクリニック)

3. 内科的・外科的対応

  • 先天性心疾患:循環器内科・心臓外科による管理
  • 泌尿生殖器異常・整形外科的評価:必要に応じた手術やケア

4. 症状特異的支援

  • 摂食・栄養管理
  • てんかん 発作管理(抗てんかん薬など)
  • 行動面・心理的支援

5. 定期的なフォローアップ

定期的な診察による 発育評価、身体機能評価、学習および社会適応の評価 が重要です。
多職種チーム(小児科、眼科、循環器科、リハビリテーション、教育支援者)による 包括的ケア が推奨されます。

6. 遺伝カウンセリング

  • 再発リスク評価:de novoが多いが、家族性の可能性を評価
  • 家族支援・計画支援:将来の妊娠・子育てに関する情報提供

まとめ

13q14 deletion syndrome は、13番染色体長腕 q14 領域の部分欠失により起こる稀な染色体異常症候群です。発達遅延、知的障害、網膜芽細胞腫の高リスク、特徴的顔貌、先天奇形、視覚・聴覚障害、成長遅延など 多系統にわたる多様な症状 がみられます。原因は主に欠失領域の遺伝子欠損(ハプロ不全)であり、治療は根本治療がないため 支持療法・多職種での包括的支援 が中心となります。早期療育、定期的な眼科スクリーニングおよび合併症への積極的な対応が生活の質向上に重要です。(NCBI)

参考文献元

  • MedGen: Chromosome 13q14 deletion syndrome — 臨床像(網膜芽細胞腫・知的障害・顔貌異常など)。(NCBI)
  • Malacards: Chromosome 13q14 deletion syndrome — 症候群概要、臨床所見。(MalaCards)
  • 13q14 微小欠失症候群(ミネルバクリニック) — RB1遺伝子関連リスク、網膜芽細胞腫スクリーニング。(東京・ミネルバクリニック)
  • 希少疾患情報センター(GARD): Monosomy 13q14 syndome overview.(National Organization for Rare Disorders)