14q11-q22 deletion syndrome

Posted on 2026年 1月 19日

別名・関連疾患名

  • 14q11‐q22 deletion syndrome(14番染色体 長腕 q11〜q22 欠失症候群)
  • Chromosome 14q11‐q22 contiguous gene deletion syndrome(連続遺伝子欠失による14q11〜q22欠失症候群)
  • 14q11.2 microdeletion syndrome(一部として扱われることがある14q11.2微小欠失症候群) (ヒロクリニック)

これらの名称は 14 番染色体長腕の q11 領域から q22 領域にまたがる部分的な欠失によって生じる疾患として文献や臨床データベースで使われます。 (ヒロクリニック)

対象染色体領域

14番染色体 長腕(q)の q11 から q22 領域にまたがる欠失(14q11−q22 deletion) が原因です。この欠失は 連続遺伝子欠失(contiguous gene deletion) で、複数の遺伝子が同時に欠失して発症します。 (ヒロクリニック)

  • 欠失範囲が広いため、含まれる遺伝子数、欠失の正確な位置や長さが症状の重さや臨床像の多様性に影響します。
  • 多くは 新たに生じた(de novo)欠失 ですが、まれに家族内へ遺伝することもあります。 (ヒロクリニック)

発生頻度

14q11−q22 deletion syndrome は 非常に稀な染色体異常疾患 です。明確な一般集団での発生率は確立されていませんが、症例は多くなく、症例報告や希少疾患データベースに基づいた限られた情報しか存在しません。特徴的な欠失範囲を持つ症例が文献レベルで数十例程度報告されているにとどまるとの見方があります。 (ヒロクリニック)

臨床データベースでは 14q11.2 単独の微小欠失としての症例が少数報告されているものの、q11〜q22 の欠失全体としてはさらにまれであり、100万人に1人に満たない頻度の希少疾患と考えられています。 (ヒロクリニック)

臨床的特徴(症状)

14q11−q22 deletion syndrome の臨床像は欠失範囲に依存して大きく異なりますが、報告例や臨床データベースに基づき以下のような 主要症状・特徴 が多数の場合に観察されています:

1. 発達障害・知的機能面

  • 発達遅延(Developmental delay):運動、認知、言語の複数領域で遅れが見られます。
  • 知的障害(Intellectual disability):軽度〜重度まで幅広く報告されており、個体差が大きいです。
  • 筋緊張低下(Hypotonia):低筋緊張が乳児期からみられる例があります。
  • 歩行・言語の遅れ:歩行開始や言語獲得が遅れることが一般的です。 (MalaCards)

2. 発育・身体成長

  • 成長不良(Failure to thrive):出生後の体重・身長増加が遅れることがあります。
  • 頭囲小(Microcephaly):例によっては頭蓋発達の遅れ、小頭症がみられることもあります。
  • 広い鼻梁・特徴的顔貌(facial dysmorphism):顔面構造の異常(鼻が低く短い、鼻と上唇間隔が長いなど)が報告されています。
  • 低位耳・短鼻・長い人中 など、顔貌異常の所見が複数見られます。 (NCBI)

3. 神経系・脳構造異常

  • 脳梁(corpus callosum)低形成異常髄鞘形成(abnormal myelination) が観察されることがあります。
  • 痙攣(seizures)運動制御の異常(spasticity, hyperreflexia) など、神経機能面の課題が認められています。
  • 歩行困難・遅延 も一般的な臨床像の一部です。 (MalaCards)

4. 感覚・代謝・内分泌機能

  • 視覚・聴覚の異常:視機能・聴力に関連する違和感や障害が報告されることがあります。
  • 甲状腺刺激ホルモン上昇(TSH高値) や内分泌異常がみられる例もあります。
  • 消化管症状・摂食困難(feeding difficulties) も報告されています。 (NCBI)

5. 四肢・骨格・その他身体的異常

  • 四肢の形成異常、関節の可動性低下や股関節亜脱臼などがみられる場合もあります。
  • 広い顔面、短鼻、狭い眼裂、鼻尖低位 などの顔貌異常とともに、骨格関連の所見を伴うことがあります。 (NCBI)

原因

14q11−q22 deletion syndrome の原因は、14番染色体長腕 q11 から q22 領域の一部が欠失(遺伝子のコピー数減少)すること(chromosomal deletion)です。
この欠失は多くが de novo(新生突然変異) として生じ、細胞分裂時の構造異常やゲノム配列の再編成によって発生します。 (ヒロクリニック)

欠失によって影響を受ける領域には、発達・神経機能・成長制御・代謝・細胞接着・シグナル伝達 に関わる複数の重要な遺伝子が含まれていると考えられ、これらの ハプロ不全(haploinsufficiency) により発達や身体機能に重大な影響が出ると推測されます。
欠失の影響は、欠失の大きさ・位置・含まれる遺伝子数によって症状の多様性や重症度が変わることが臨床的に認められています。 (ヒロクリニック)

診断は染色体マイクロアレイ解析(CMA)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、全エクソーム検査など遺伝子レベルの高解像度検査で行われます。

治療方法(治療・管理)

14q11−q22 deletion syndrome に対する根本的な治療法は存在しません(欠失した遺伝子を元に戻す治療は不可)。治療は 症状ごとの支持療法と多職種による包括的ケア が中心になります。

 1. 発達・運動支援

  • 理学療法(Physical therapy):筋緊張低下や運動発達遅延に対応。
  • 作業療法(Occupational therapy):日常生活動作や感覚統合の支援。
  • 言語療法(Speech therapy):言語遅延とコミュニケーション支援。

これらは乳幼児期から早期に開始することで、発達機能向上に寄与します。

2. 神経・行動支援

  • 行動療法・心理支援:情緒面の困難や行動上の課題への対応。
  • てんかん管理:発作がある場合は神経科による抗てんかん薬調整。
  • 精神科評価:行動・学習面での支援計画立案。

3. 医療的対応

  • 視覚・聴覚評価:適切な補助具や専門治療(眼科・耳鼻科)。
  • 栄養・成長フォロー:成長曲線の評価、必要に応じた栄養支援。
  • 内分泌評価:甲状腺機能などホルモン管理が必要な場合。

4. 相談支援

  • 教育支援計画(IEP):学習の困難に対応する個別支援。
  • 家族サポート・遺伝カウンセリング:原因説明、再発リスクの評価、家族計画支援。

まとめ

14q11−q22 deletion syndrome は、14番染色体の長腕 q11 から q22 領域が欠失することにより生じる非常に稀な染色体異常疾患です。発達遅延、筋緊張低下、知的障害、顔貌異常、脳構造の異常、運動遅延、摂食困難、内分泌・感覚機能の課題など、多系統にわたる症状がみられます。欠失範囲や含有遺伝子によって臨床像は大きく変動します。治療は 根本治療はなく、発達・神経・教育・医療的支援を組み合わせた包括的な措置が中心となります。早期評価・早期介入が患者の機能獲得と生活の質向上に寄与します。 (ヒロクリニック)

参考文献元

  1. Hiro Clinic: 14q11-q22 deletion syndrome overview (EN) — 病因と発症の概要。 (ヒロクリニック)
  2. NIH GARD / MedGen: Chromosome 14q11-q22 deletion features — 臨床像(神経・発達・内分泌・成長など)。 (NCBI)
  3. Orphanet: 14q11.2 microdeletion syndrome — 14q11.2の微小欠失症候群の定義。 (Orpha.net)
  4. Malacards: Chromosome 14q11-q22 deletion syndrome profile — 症状リスト。 (MalaCards)