警察によるDNA鑑定

警察官とパトカー

警察によるDNA鑑定は、犯罪捜査や身元確認において個人を特定するための科学的な手法です。犯行現場に残された血液や毛髪などの生体資料と、被疑者や被害者のDNAを比較・分析します。この分析が、事件の解決や身元確認に役立てられています。この記事では、警察がDNA鑑定を活用する具体的な場面と、その精度や限界について解説します。

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この記事でわかること

警察がDNA鑑定を活用する主な場面

DNA鑑定の一般的な流れ

個人識別の精度と限界

プライバシーと法的な取り扱い

警察がDNA鑑定を活用する主な場面

警察によるDNA鑑定は、主に次のような場面で活用されています。DNA鑑定を行う際に必要な検体はDNA鑑定を行う際に必要なもので解説していますが、犯罪捜査と親子鑑定では採取する検体の種類が異なります。

  • 個人特定:犯行現場に残された血痕や唾液、皮膚組織などからDNAを抽出し、被疑者や被害者と照合します。
  • 未解決事件の再捜査:解析技術の向上によって、過去に採取された証拠資料を再度分析し、新たな手がかりを得ることがあります。
  • DNA型データベースとの照合:登録されているDNA型情報と、現場資料のDNA型を照合し、関連性を調べます。
  • 身元不明遺体の身元確認:事故や災害などで身元が分からない遺体について、遺族のDNAと照合して確認する場合があります。

日本の警察庁は2005年9月から、DNA型データベースの運用を始めています。運用開始以降、登録件数・照合件数はともに増加を続けています。

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DNA鑑定の一般的な流れ

警察が行うDNA鑑定は、おおむね次の手順で進められます。

  • 証拠資料の採取:犯罪現場から血液、毛髪、唾液などの生体資料を収集します。
  • DNAの抽出:資料からDNAを取り出します。現在の技術では、微量のDNAからでも分析が可能です。
  • DNAの増幅:PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)という技術で、微量のDNAを分析に必要な量まで増やします。
  • STR型の解析:個人ごとに繰り返し回数が異なるDNA領域(STR:Short Tandem Repeat)を解析し、個人ごとのDNA型プロファイルを作成します。
  • 照合と比較:現場資料のDNA型と、被疑者やデータベースのDNA型を照合します。
  • 結果の報告:鑑定結果は捜査資料として、また必要に応じて裁判の証拠として用いられます。

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個人識別の精度と限界

現在の警察によるDNA型鑑定は、極めて高い精度を持ちます。日本人の中で最も出現頻度の高い組み合わせでも、無関係の第三者が偶然一致する確率は約4兆7,000億分の1です。この数値は、日本の総人口をはるかに上回る規模です。

ヒロクリニックにも「DNA鑑定はどのくらい正確なのか」というご質問をいただくことがあります。この高い識別力を支えているのは、複数の部位(座位)を組み合わせて解析する手法そのものです。一方で、次のような条件下では、解析の難易度が上がることも知られています。

  • 混合検体:複数人のDNAが混在した資料は、単一由来の資料に比べて解析が複雑になります。
  • 微量・劣化したサンプル:採取から時間が経過し、DNAが断片化した資料では、正確な型判定が難しくなる場合があります。

プライバシーと法的な取り扱い

DNA型情報は、個人を特定できる極めてセンシティブな情報です。そのため警察庁のDNA型データベースは、取り扱いに関する規則にもとづいて厳格に管理されています。証拠の採取・保管・解析の各段階で手続きの正当性が求められ、これが結果の証拠能力にも直結します。

証拠の取り扱いに不備があった場合、無実の人が誤って疑われるリスクにもつながりかねません。こうしたプライバシー保護と証拠管理の厳密さは、犯罪捜査に限らず、DNA鑑定全般に共通する重要な考え方です。証拠管理の不備が冤罪につながった実例は冤罪におけるDNA鑑定で紹介しています。

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警察のDNA鑑定と民間の親子鑑定機関の違い

警察が行うDNA鑑定と、ヒロクリニックのような民間の鑑定機関が行う親子鑑定は、同じDNA分析の技術を土台にしながらも、目的や手続き、精度の考え方が異なります。ここでは、両者の違いを整理します。

まず目的が異なります。警察のDNA鑑定は、犯罪捜査や身元確認のために捜査機関が実施するものです。個人が自分の意思で警察にDNA鑑定を依頼するという性質のものではありません。

一方、親子鑑定機関のDNA鑑定は、血縁関係を確認したい個人や家族からの依頼にもとづいて実施されます。目的は家族関係の確認であり、犯罪捜査とは切り離されたものです。

手続きにも違いがあります。警察が扱う証拠資料は、採取から保管、解析にいたるまでの取り扱いが厳格に管理され、捜査や裁判の証拠として用いられます。一方、親子鑑定機関では、依頼者自身が来院して検体を提出する形が一般的です。

ヒロクリニックでは、家族間の確認を目的とした私的鑑定(108,000円・税込)と、裁判所や役所への提出にも対応できる法的鑑定(149,800円・税込)の2種類をご用意しています。料金や違いの詳細はDNA鑑定の費用(私的、法的鑑定の比較)で解説しています。

精度の基準についても、鑑定の目的によって考え方が変わります。STR法は、DNA中の特定領域にある繰り返し配列の個人差を利用する分析手法です。米国のFBIが運用する犯罪捜査データベース(CODIS)をはじめ、世界の法医学分野で広く採用されている標準的な手法で、CODISではおおむね13〜20程度の座位を組み合わせて解析する運用がなされています。

ヒロクリニックの親子鑑定では、これを上回る52座位を用いた解析により、99.99%以上の精度を実現しています。犯罪捜査における個人識別と、法的な血縁関係の証明とでは求められる精度の考え方が異なるため、鑑定機関ごとに組み合わせる座位数も変わってきます。

血縁関係を確認したいという理由で警察に相談しても、対応してもらうことはできません。家族間の親子関係や兄弟関係を確認したい方は、ヒロクリニックのような専門の鑑定機関にご相談ください。よくある疑問はQ&Aページでも紹介しています。

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親子鑑定で使われるSTR法との共通点

警察の犯罪捜査で使われるSTR型解析は、ヒロクリニックの出生前・出生後親子鑑定でも採用している手法と同じ原理にもとづいています。個人ごとに異なるDNAの繰り返し回数を複数の部位で比較するという考え方は、犯罪捜査でも親子鑑定でも共通です。STR法の詳しい仕組みはDNA鑑定とは?でも解説しています。

ヒロクリニックの検査体制は、統括院長・岡博史(医学博士、CAPラボディレクター)の医療監修のもとで運用されています。検体はバーコード管理と医療機関からの直接配送で取り違えを防止しています。犯罪捜査を目的とした鑑定は行っておりません。ご家族の中での血縁関係を確認したい場合は、私的鑑定・法的鑑定のどちらにも対応しています。

よくある質問

警察はどのような場合にDNA鑑定を行いますか。

犯行現場の資料からの個人特定、未解決事件の再捜査、DNA型データベースとの照合、身元不明遺体の身元確認などの場面で活用されています。

警察のDNA型データベースはいつから運用されていますか。

警察庁は2005年9月からDNA型データベースの運用を開始しています。運用開始以降、登録件数・照合件数はともに増加を続けています。

DNA鑑定の精度はどのくらいですか。

極めて高い個人識別力を持つ手法です。日本人で最も出現頻度の高い組み合わせでも、無関係の第三者が偶然一致する確率は約4兆7,000億分の1とされています。

DNA鑑定が誤る可能性はありますか。

複数人のDNAが混在した混合検体や、劣化した微量サンプルでは解析が難しくなる場合があります。証拠の採取・保管の手続きも結果の信頼性に影響します。

親子鑑定と犯罪捜査のDNA鑑定は同じ手法ですか。

個人ごとに異なるDNA領域を比較するSTR法という点では共通しています。ヒロクリニックの親子鑑定でも同じ原理の解析手法を採用しています。

警察のDNA鑑定と親子鑑定機関のDNA鑑定に違いはありますか。

目的と手続きが異なります。警察のDNA鑑定は犯罪捜査や身元確認を目的として捜査機関が実施するのに対し、親子鑑定機関のDNA鑑定は血縁関係の確認を目的として個人や家族からの依頼にもとづき実施されます。

血縁関係を確認したい場合、警察に依頼できますか。

できません。警察のDNA鑑定は犯罪捜査の一環として捜査機関の判断で実施されるものです。血縁関係の確認が目的であれば、ヒロクリニックのような専門の鑑定機関にご相談ください。

まとめ

警察によるDNA鑑定は、個人特定や未解決事件の再捜査、身元確認など、犯罪捜査のさまざまな場面で活用されています。STR法による個人識別の精度は極めて高い一方、混合検体や劣化サンプルでは解析が難しくなることもあります。

同じSTR法の考え方は、出生前・出生後の親子鑑定でも採用されています。ご家族の血縁関係を確認したい場合は、専門家に相談しながら正式な検査を検討してください。

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医師監修 監修日:2024年9月23日

岡 博史 (おか ひろし)

医師・医学博士 ヒロクリニック統括院長

YouTubeチャンネルなどを通じて、遺伝子やNIPT(新型出生前診断)についてわかりやすく発信しています。

略歴

  • 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
  • 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
  • 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
  • 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
  • 2009年 医療法人社団福美会 理事長
  • 2015年 医療法人社団福美会 理事

資格・所属

  • CAPラボディレクター
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 日本医師会 産業医
  • 東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月23日

堤 修一 (つつみ しゅういち)

医師・医学博士 ヒロクリニック博多駅前院 院長

略歴

  • 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
  • 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

発信・関連リンク

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. Jeffreys AJ, Wilson V, Thein SL. Individual-specific 'fingerprints' of human DNA. Nature. 1985;316(6023):76-79.
  2. Gill P, Jeffreys AJ, Werrett DJ. Forensic application of DNA 'fingerprints'. Nature. 1985;318(6046):577-579.
  3. Jobling MA, Gill P. Encoded evidence: DNA in forensic analysis. Nat Rev Genet. 2004;5(10):739-751.
  4. Roewer L. DNA fingerprinting in forensics: past, present, future. Investig Genet. 2013;4(1):22.

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